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Netaudio explorer

lucid beach85′ – 暖かさ≈深夜

 lucid beach85' - 暖かさ≈深夜 Cover

 – Tracklist –
 01. never too late
 02. moonwing spa
 03. touch me night
 04. a minute before sunrise



 - 02. moonwing spa


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 :: cassette tape is available . ::

 Release Date : 2016.07.02
 Label : global pattern

 Keywords : Ambient, Lounge, Luxury, Muzak, Nightlife, Smooth Jazz, VaporWave.


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“t u n e s f o r l u x u r y n i g h t l i f e s t y l e”なレーベル/コレクティヴ、global patternより。lucid beach85’の作品です。

最新の“ⓛⓐⓢⓣ ⓓⓐⓣⓔ”も良いんですが(ジャケットイメージはそちらの方が好み)、サウンドが醸すムードは圧倒的にこちらの方が好きです。と言っても、実際何がどう違うんだという感じかもしれませんが。私としてはこちらの方が圧倒的にMuzak! いやそれは“ⓛⓐⓢⓣ ⓓⓐⓣⓔ”もそうかもしらんが、あちらはどちらかと言うとやはりVaporWaveなのです。ヴォーカルも入ってるし、Chopped & Skrewedなサウンドも含め、スタンダードなVaporWave。

このイージーな感じ、堪りません。このスーパーマーケット感たるや。みなさん駅前にスーパーありますか? 駅前じゃなくても行きつけのスーパーあるでしょう、きっとほとんどの方は。残念ながらコンビニじゃあダメなんですよねえ(ねえ?)。今ちょっとでも時間があるなら、今作のM-2を聴いてください、そしてあなたがよく行くそのスーパーマーケットの売り場の光景を脳裏によみがえらせてください。そしてその脳裏にぼんやりと浮かび上がった、多少イマジナリーなやつでも構いませんから、その光景に、その音楽を流してやってください! どうです、ハマるでしょう? “だから何だ?”って言われたら返す言葉はない!―ちょっと関係ないけど“○○のあの曲と○○のあの曲(J-Popですよ)はモータウンビートだからきれいにつながるんだよ”って話を酒の席でしてたら“で?”って女子に言われたことを思い出した!

いやでも私の行くスーパーマーケット(何回もスーパーマーケットって書いてたら何かカッコいい気がしてきた)では基準がよく分からないが、ジャストナウなJ-Popではなく、“ああこの曲あったな”って楽曲の、パンチのないカラオケみたいなやつ(分かりますよね?)を流すので、若干今作のサウンドはイメージに合わないのであるが、そんな話ではないということをお分かりでしょうかみなさん。何を隠そう私はスーパーマーケットというフリーダムな場所が好きなのです。いや場所というか、そこにいるときの私は何にも縛られていない、仕事だとか厄介な考え事は気にしなくてよい状態であることが多いのです―つまり仕事帰りとかそういうことだな、そうだ―、だからつまり私はその時間が好きなのです。好きなものを買って帰るだけ、その好きなものを選ぶという、ただそれだけの時間! なんと素敵ではないですか! 次の日休みだったりしたらもう最高。とか考えてたら、そんな暮らしはまったく“l u x u r y n i g h t l i f e s t y l e”ではないということにハタと気づきました。でも何が言いたいかというと、スーパーマーケット(何回も書くなあホントに)的なリラックス感、アンド、感情の喜ばしい高まりというヤツを、今作は疑似体験させてくれるということなのです。後半はちょっとオシャレ感~Luxuryに流れてしまうのが残念なのだけれど、いやそれが今作の本来の意図なのかもしれないけれど、前半は本当に好きだなあ。どういう脳内回路か分からないんだけど、思春期に読んでた漫画とかまで浮かんでくるから不思議というほかない。

正直なところもうサンプリングをEditしてるのかも分からないし、もし丸々使ってても(ちょっとピッチ落としただけとかね)、分からない自信が満々なのですが、どうなのでしょう。VaporWaveの剽窃カルチャーを考えれば今更気にするところではありませんが(それも酷いか笑)、自分が何に喜んでいるのかということを考えると、ちょっと複雑な気持ちになったりもする。のも事実なのです。まあ、まあ。

気に入った方はほかの作品もどうぞ! Trademarks & Copyrightsに通じるものがあるかなあと思ったけれど、聴いてみたらちょっと違いました・・・。


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(CC) by – nc – nd 3.0



PLAYLIST : 2016.11



月ごとにやるつもりもないしきっとできもしないので、不定期ということになるのでしょうが、久しぶりのPLAYLISTは、2016年の11月に聴いた中で、ということで括ってあります(つまり公開時期には構っていません)。

なんとはなしに哀愁が漂っていますね。トラックたちはいつ消えるか分からないので、あまり細々したことは記しませんが、メモのようなもので―

crisopaは、かつてはネットリリースを行うIDM/Electronicaのトラックメイカーとしては、私の中で燦然と輝いておったのですが、n5MDからリリースを行うようになってからは、どうも私の琴線に触れなくなってしまいました(でもアルバムはいずれも購入しています)。ここにあるトラックはそのかつてのcrisopaを彷彿させます。少し前にもうひとつトラックを公開していますが、こちらの方が好きです。

Laura Beatriz Rosenkranzは素性は謎ですが、量産トラックメイカーで、現時点で57トラックを公開(まだ増えるでしょう)。すべてのトラックを聴いたわけではないのですが、根底にノスタルジアがあるように感じられて、とてもツボです。ちょっと調べると2015年にhowl for beautyというウクライナのレーベルから、“Lunamotions”というカセットテープを出しているようですが、おそらく現在は販売していない様子(レーベルは最近だと日本のバンドBoys Ageのテープも出してるようで、しっかり生きているので、欲しい人は聞いてみるのもよいのかもしれません)。ちなみに収録トラックはLaura Beatriz RosenkranzのSoundCloudで聴けます。この量産スタイルはThis Deep Wellを思い出しますが、しっかりフォロワーに名前がありました―というかそこ経由で知ったのだったかな、忘れてしまった。

Kei TorikiさんのトラックはBreakcoreとPost-Rock/Shoegazeの合成獣。とても新鮮で、一粒で何度もおいしい感じが一発で好きになりました。というかOthermanRecordsから“Childhood Memories E.P.”がフリーでリリースされているので、手に入れるしかないでしょう。

Final HealはAmun Dragoon経由で知ったのですが、やはり謎です。サンプリングをEditしているのか分かりませんが、Classical、Orchestralなシンセミュージック―それはVGMにも通じる―といった按配で、なるほどAmun Dragoonの近作と重なる部分が感じられます。今のところトラックはフリーでダウンロード可なので、気になる方は是非。

tofubeatsは・・・ってこんなところで書くこと何もないんだろうけれど、FunkやSoulなどのブラック・ミュージックに血が騒がない私にとって、彼のサウンドはストライクにはなり得ないんですが、でもこういうトラックを聴くたびに、やっぱり優れたポップメイカーなんだなあと改めて思います。どなたかがこのトラックに五十嵐隆(syrup16g)に通じるものを感じるとおっしゃっていたような気がしますが、それも何となく分かります。

weiansue 蘇偉安はザ・インディー・ポップでニッコリですね。好きな方はホント堪らないと思います。リリースしないんでしょうか。ひときわ再生回数の多い‘海洋綠’もいいですね。手垢にまみれた表現ですが、甘酸っぱい!

Popcornkid!は最初入れてなかったんですが、滑り込みで入ってきました。“HUMAN SOUL”に収録。タイトルトラックのウタモノ“Human Soul Feat. Hills”もすごくイイんだけど、敢えてこっち。SynthWave。

ではまた。次の機会に。

※each tracks are faded away in time (maybe).

.onion – YOU ARE LOST . . . [LWV-110]

 .onion - YOU ARE LOST . . . [LWV-110] Cover

 – Tracklist –
 01. surfing the deepest
 02. psychopathic fantasy with you
 03. the hidden wiki
 04. you are lost . . .
 05. weep no more please



 - 01. surfing the deepest


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 Release Date : 2016.08.05
 Label : Latinwave Records

 Keywords : Ambient, Drone, Haunting, Mystic, Nightmare, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ .onion on SoundCloud

  ≫ Nintendo膣69 on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp


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いきなり“ヤベえもん見ちまった”的なジャケットイメージでスイマセン。最近ホラーなビデオゲームの動画をしばしば観賞したり、ミステリー/ホラーな小説をしばしば読んだりしておりますもので、どうにも心の方向が“そっち”に行っておるのです。そんな小説読んでる時に、アッパーな楽曲を聴けないではありませんか。Mallsoftっていう手もあるけれど、それも・・・と話が逸れるので止めておきましょう。個人的にはこのジャケットイメージ、“The Taking of Deborah Logan”のワンシーンを彷彿させます―と言いつつ映画は観ていないという、この私の適当さ加減を許してください。TumblrかFacebookで流れてきた画像にビックリして調べたら件の映画だったという次第です。

この.onionの素性も例に漏れずよく分かりません。ご丁寧にも“I always change my IP, you can’t find me.”というメッセージを発しているので、つかまるつもりはないようです。Nintendo膣69のbandcampでもこの作品がリリースされているので、別名義なのかなとか思いますが、これもよく分かりません。そもそもNintendo膣69って個人なのかチームなのかよく分かりません。分からんづくしということで、ならば謎は謎のままで・・・。

地下室での秘密行為―それは多分に凄惨な―を思わせるイメージを使っていますが、中身はそこから想起されるようなGrindcoreやNoiseではありません。決して。逆に静的なAmbient/Droneを基調としていて、ハリウッドテイストのホラーかと思ったら、ジャパニーズホラーだったとでもいうような。でもまったくそこ―恐怖という感情―から離れているわけではなくて、全編において通底しているのは、不安からくるある種の予感―恐れなのです。M-1においても間延びした哀愁のブラスの後ろで延々と灰色のレイヤーが重く沈むようにして流れている。M-2やM-3でも、やはり重く広がる空間の中で、丸みのある電子音がフワフワと瞬くのだけれど、それはさながら悪夢の中でさまよう意識のようで。ドリーミィなのにとても不可解な音像。“オペラ座/血の喝采”のサウンドトラックを思い出し、そのことも今作に対する私の印象をたくましいものにしているかもしれません。

ラストの‘weep no more please’は乳白色なMystic Ambient/Drone。冷ややかな霧の立ち込める風景。唐突に景色は途切れるけれど、それはまるで異形の存在に捕まったかのような。これもひとつの演出か。SoundCloudでは2つだけトラックが公開されていて、ひとつは今作収録で、もうひとつは今作未収録の“VHS SNUFF STORE”。タグは“snuff ambient”。今作にある恐怖性は単に私が敏感にかぎ取りすぎただけ、要するに勘違いかと思ったりもしましたが、このトラックの佇まいで、やはり恐怖性、不可解さが意識されていることが確信できました。

第一印象はVaporWaveではないような気もするかもしれませんが、随所にらしさは取り入れられていて、あからさまなピッチの変化や変調したグロテスクヴォイスの挿入などがそれにあたるでしょうか。M-1のブラスなども、そちら方面からのアプローチなのかもしれません。敢えてその要素を取り入れる必然性はあるのか、Ambient/Droneサウンドだけで完結できるのではないかとも考えましたが、VaporWaveのもつ不可解さという側面を恐怖感の演出に用いたと考えれば、つじつまは合うのかもしれません。逆に考えれば、世界観さえマッチすれば、VaporWaveなサウンドを映像―ここでは映画というべきか―の演出に使うことも必然的になる・・・かな。HKEの“GHOST IN THE SHELL”の件もあるように。



6009 – The Third EP

 6009 - The Third EP Cover

 – Tracklist –
 01. 001
 02. 002
 03. 003
 04. 004
 05. 005
 06. 006
 07. 007
 08. 008



 - 02. 002


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 Release Date : 2016.11.02
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Downtempo, Electronica, IDM, Melodic.


 Related Links :
  ≫ 6009 on SoundCloud / on bandcamp


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音楽フロンティアのロシアから現れた刺客、6009。なんでこの名前なんだろうって思いますよね。なんだったら作品名も“The Third EP”ですし、1作目と2作目はどこに行ったんだろうという按配です。加えて、各トラックのタイトルもそのまんまじゃないかという次第ですが、しかし今作が気になる作品であることに違いはないのです。

華々しい部分は全くなくて、むしろ抑制されたビートとちょっと翳りのあるメロディが基本になった、非常に落ち着いた作風なのですが。M-1なんか聴くとすごいクールな感じがします。ちょっと2stepっぽいリズムと不穏なシンセのラインだけで組み立てられてて、その抑制された筆致はインテリジェンスの裏返しにも思えて、なかなかに引き込まれます。が、M-2になるとどうですか、ちょっとばかり陽が差してくるのですよ。アレ、なんか急にIDMというかElectronicaな質感が出てきたりして、このフワリとした幻想的なメロディが生み出すノスタルジックな景色、意表を突かれる。そしてまたしても引き込まれる。M-3も点在するPianoによるメロディと柔らかいシンセによるIcyな音空間が往年のElectronicaを彷彿。

M-5にあるドリーミィなラッシュ感もいいですね。M-6やM-8もそうですが、この幻想的な音風景の中に乾いたスネア(かどうか分かりませんけど)の鳴りが使われることで、気持ちの良いアクセントになってますし、ときおり顔をのぞかせる不穏な空気と相まって、作品の聴き心地を独特なものにしていると思います。

そんなようにこの6009、MelodicなIDM/Electronicaの作り手なのですが、SoundCloudを覗いてみると、はたして他にもトラックを公開している。聴いているとなんとまあ、抜群に私のツボに入るものがあって、本当はそれらを紹介したかったのです。主に“Oryou”という言葉が付されたトラックたちがそれにあたるのですが、基本的にはAmbient/Droneです。せっかくなので、ちょっと聴いてみましょう―



 - Oryou – Intro


もうヤバいですね。このすべての感情を拒絶するような、あるいは受容するような、不定形のAmbience。Memorableな風景が脳裏によみがえって、私を虜にします。どんな風景かって? そう、私の実家は山に囲まれた地方なのだけど、風呂の窓を開け放すとちょうど遠くにある山々が視界に入ってきて、まだ幼いころにちょっと早めに―つまり陽が落ちて夜になる前に―風呂に入って窓を開けていると、熱い湯と窓から入る風の冷たさのコントラストがとても心地よくて、トワイライトな夕暮れ空の下で私を見据える山々はすべてを許しているようで、とてつもない安心感というか、そもそも悩みなんてなかったかなあの頃、という感じで、どうにもそれこそ郷愁に浸ってしまうのです。



 - Oryou – 3



 - Along


なんですかこのcalm downっぷりは。Ben Stepnerの“Sky”とか思い出します。あとLowercase Noisesの‘Stars’とか(“Marshall”収録)。ほんと好き。この傾向のトラックだけ集めてリリースしてくれないでしょうか。ってか再生回数少なすぎ! 

전자와 혈액 – 육지

 전자와 혈액 - 육지 Cover

 – Tracklist –
 01. 지난 달
 02. 한밤중
 03. 월광
 04. 위성
 05. 오아시스



 - 02. 한밤중


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 Release Date : 2016.11.04
 Label : Crypticorps

 Keywords : Ambient, Dark, Electronic, Industrial, Oriental, VaporWave.


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イギリスのレーベル/コレクティヴと思しきCrypticorps。調べてもちょっと情報が出てこなくて、SoundCloudもFacebookもTwitterもないのだろうか、なかなかの潔さ。誰かの名義だろうかとも考えたが、空隙の作品のリリースなどもあり、その可能性も考えにくい。

作り手の전자와 혈액に関しても同様に情報はない。名義は韓国語で、訳すなら“電子と血液”となるようであり、かつて“electronicsandblood”というアカウントでbandcampが存在したようだが、それも今はない。横のつながりのようなものも、今のところ見受けられない(私のサーチ力のなさというところもあるかもしれないが)。唯一今作に関してはコラボレーションの相手として、Herculesという名のトラックメイカーが表記されていて、彼/彼女のbandcampへとはたどり着ける。一旦はそこで行き止まりに思えたが、Herculusは空隙とコラボレーションした過去もあり(“Tormenta Oscura”)、かつてNinety/총/Fiveという名義を使っていたことが分かる。しかし現在はHerculusというひとつの名義に統一されているようで、そこから先へはやはり進めなかった。

というのはちょっと脇道に入り込み過ぎている気がしなくもありませんが、作品に関して書くと、今作はVaporWave以降に位置づけられるかもしれません。たぶんもともとはそっちの人ではないような気がします。VHS感やモコッとしたウェットな質感は感じられますが、料理でいうなら使われている素材が違うというか、調味料が違うというか、“らしくない”聴き心地なのです。いきなりショッキングなのが、Dark Ambientな空気とOrientalな旋律、重金属なビートが合体した‘한밤중’。VaporWave/Industrialってのはまあ珍しくないと思いますが、このOriental感が新鮮です。ドラムはしかしエコーイックではなくて、とがった輪郭で以て鼓膜をビリビリと刺激するのです。ウェット・アンド・ドライな触感は、まるでサクサクパイとトロ~リシチューが合体したポットパイみたいな(なんか例えが上手くない気もするが許してください)。

その流れを引き継いだ‘월광’は、重厚さは共通しながらも、“らしい”トラックに。Wavyなシンセとエコーイックなドラムの7分間。続くトラック‘위성’ も重々しいのですが、ドラムが徐々にフェイドアウトして、スローモでシネマティックなサウンドスケープへと変化していく個所があって、この辺がHerculesっぽい気もします。Herculusもヘンテコなトラックの作り手でして、Orientalな音色やOrchestral/Classicalな意匠でシネマティックな空間を作りながら、そこにBreakcore/Industrialな破壊的リズムを持ち込んだり、かと思えばLow-bitでファニーなメロディを鳴らしたり、ビデオゲームからのヴォイスサンプルを突っ込んできたり、唐突に無邪気な側面を見せたりする(その混乱具合はサンプルに由来するのかもしれないが)。お勧めするなら現時点での最新作“Hajimashite”(5トラックで5分にも満たない!)か、“Colossus”。せっかくなので1曲―



 - Cathedral (from “Hajimashite”)

なんだかHerculusの紹介みたいになってきましたが、話を전자와 혈액に。そう上に書いたように、“전자와 혈액”の和訳は“電子と血液”という言葉になりますが、これが言い得て妙だと思うわけです。一見相容れなさそうなものが、同居しているこの不思議な空間。面白い作品だと思います。VHS感漂うジャケット画像もよい感じ。モノクロ画像に毒々しい赤。不吉な哀愁とでもいうか。ああそれは、ラストのトラック―鳴りはAcousticなんだけど、たぶん極端にスローにしてるんでしょう、ブヨブヨしてて、寝起きの意識みたいなもどかしい気だるさ―にピッタリあてはまる気がする。


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collab with hercules-antaeus.bandcamp.com



3zvm – ヒヤシンス Hiyashinsu (demos)

 3zvm - ヒヤシンス Hiyashinsu (demos) Cover

 – Tracklist –
 01. 乙女座 Virgo (demo)
 02. オーディション Casting (ft. Sofachips) (demo)
 03. チャイニーズ・キッド chinito (demo)
 04. 識別 id (demo Instrumental)



 - 02. オーディション Casting (ft. Sofachips) (demo)


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 Release Date : 2016.10.25
 Label : Not On Label

 Keywords : Hip-Hop, IDM, NewWave, SynthPop, VaporWave, Vocal.


 Related Links :
  ≫ 3zvm on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on newhive


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ウルグアイのトラックメイカー、3zgmの作品です。

初期の“ラテンチャット バージン latinchat virgen”はNoiseに分類されるかもしれない、アブストラクトでささくれ立った作風でしたが、途中からヴォーカルを使ったスタイルが目立ち始めます。といってもPop全開というわけではなくて、リズムマシンとホワホワしたシンセにアンニュイなラップ調ヴォーカルをかぶせた、ゆるふわなHip-Hop、みたいな。

音楽性を指し示すであろう言葉にも関わらず、結局的を射れない言葉というのが時代時代にありますが、ひとむかし前ならAlternativeとか、ふたむかし前ならNewWaveとかでしょうか、今ならVaporWave(とか言っても、前の二つと同じ土俵には上がれないですね)なんてのもありますが、この作品は私的にはNewWaveだと思うわけですよ。もっと言うと、自分が90年代以降に多感な時期を過ごしたせいも多分にあるでしょう、その頃の(日本の)インディーシーンに見られたDIYかつPopなフィーリングに相通じるものを感じたりしてしまって、どうにも気になってしまったというのが、ここでとりあげた動機といえば動機。

特にM-2が抜群に良い。色あせた記憶を刺激するような、このレトロスペクティヴなシンセの音色がもうたまらん。チキチキ、ポスポスとしたチープなドラムに、デケデケした電子なベースと、バックトラックはシンプルなんだけど、そこに乗っかるサンプルなんだか実際の歌唱なのか分からないけれど、例のアンニュイな歌声が乗ることで、とたんに不思議な空気を持ったウタモノとして機能し始めるのです。リリース元ではIDMのタグを使っていたりもするんだけど、なるほど確かに聴きようによっては、IDMっぽいところも出てくるかもしれない。この電子的でドリーミィな感覚というか(強引に言えばBoards of Canadaとか?)。ミニマルな中にもちゃんと展開があって、デモ扱いはされているけれど、すでに形としては出来上がっているようにも受け取れます。

他の3トラックは、ちょっと輪郭が不明瞭な上にタッチもゆるいので、やはりインパクトは弱く感じられてしまいます。たとえば前作“偽の若者 AY”にあった‘素敵ビーツ suteki beats’とか、今作のM-2のような、Popなフィーリングを持ったトラックでコンパクトにまとめてくれば、がぜん私のお気に入りの作品になるかと思います! そういう作風が望むところでないと言われればそれまでですが。

bandcampにはきちんと歌詞が掲載されているので、気になる方は読んでみてください。反復性の強い歌詞作りは、ディレイ、リバーヴするヴォーカルと相まって、聴き心地をよりドリーミィに―あるいは眩惑的に―していると思います。



 - 素敵ビーツ suteki beats



Elevation – No DnB in the 音楽室

 Elevation - No DnB in the 音楽室 Cover

 – Tracklist –
 01. Professional People Watching ft. Shanic 
 02. Auricom Labs
 03. I’ll Be Beautiful ft. Selerac
 04. Still Playing Pointless Newgrounds Games
 05. Honda



 - 03. I’ll Be Beautiful ft. Selerac


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 Release Date : 2016.10.24
 Label : Palettes

 Keywords : Drum’n’Bass, Electronic, Fantasy, Melodic, Sample-Based.


 Related Links :
  ≫ Elevation on SoundCloud / on Twitter
  ≫ Pursuing Paradise on SoundCloud / on YouTube


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アメリカのトラックメイカーElevation(Pursuing Paradiseの名義も持っています)の作品です。2014年に設立されたレーベル/コレクティヴ、Palettesからのリリース。レーベルはbandcampも持ってるんですが、そちらはなぜかコンピレーション・シリーズのリリースしか掲載されておらず、他の作品たちは異なる場所からリリースされています。crapfaceの“:):):)”(これもすばらしい)は特設ページおよびmediafireからだし、今作もSoundCloudのみでリリースされている様子。なので熱心に追っている人しか耳にできないような気がして、そこはちょっと気になるところです。

business casualBedlam TapesからリリースされたPursuing Paradise名義の作品もこれまで紹介してきましたが、そちらはコラージュ感覚の強い―VaporWaveにも通じますが、私の中ではちょっと違う―、アブストラクトで混沌とした音像が特徴的でした。全編地続きの一大混沌絵巻という表現をしたかと思います。

対してこのElevationではより分かりやすい、メロディに傾むいたサウンドを作っている印象があったのですが、今作もそこから外れておらず。しかし確実にPursuing Paradiseも垣間見せる個性的なDrum & Bass(Drum’n’Bass)だと思います。ストレート、ストイックなDrum’n’Bassが苦手(かといって享楽的なのもちょっと敬遠)な私のアンテナが受信した時点で何か他とは違う部分があるのでしょう。それをとらえてみたいと思う次第―

M-1のJazzフィーリングなPianoやブラスと高速ブレイクビーツの対比、というのは珍しくないと思うんですが、このどこかしらに滲むドラマチック、ファンタジックな空気、伝わりますでしょうか。M-2も回転する高速ビートがカッコいいのはいわずもがなで、中盤のベースとブラスとドラムを交えたこのシリアスなムードから、何か木琴みたいなチャイルディッシュな効果音やディレイの効いたヴォイスのサンプリングで醸される密かな狂気性、そのコントラスト。そしてM-3が私の中ではもっともPursuing Paradiseらしさを感じるの白眉のトラックなのですが、冒頭のこのファンタジー感たるや。VaporWaveからの影響も見えるスローモかつディレイなサンプリング・ヴォイス、しかしそれはメロディを湛えていて、リスナーを包み込むようで、また、Aphex Twinを想起させる優雅なストリングスとBreakbeatsの対比もトラックタイトル通りに、実にビューティフル。楽園を追及するPursuing Paradiseのエッセンスが濃度高めで注入されています。すごく好き。

硬派な展開の中にしっかりMelodicなフレーズとアクセントを入れたM-4や、Ambientな包容力と豪快なアタックが同居するM-5も、やはりそれぞれユニークで、EP全体でバランスに優れた良作だと思います。編集感覚、編集センスの賜物かもしれませんが、繰り返し聴いても飽きがきにくい。狂気性からくる美しさ、のようなものがチラチラと瞬いていて、非常に魅力的。惹きつけられるのです。あとタイトルもイイ。ネットリリースだから、いつ消えるやもしれないし、ダウンロード不可になるかもしれないので、入手は早めが吉だと思います!

ちなみにPursuing Paradise名義で11月にリリースがアナウンスされている“Lust and the Downward Spiral”のティザーもあるので、以下に―


Lust and the Downward Spiral coming November



そしてついでに、ちょっと変則的ですが、レーベルの紹介ということで、上で触れたcrapfaceの作品から、crapface x Zack Bruceによる‘U & Me’も貼らせてください。Nightcoreっていえばそうなんだけど、IDM/Electronicaっぽさもあって、Popなフィーリングも一緒にあって、作中でいっとう好きです。たまらん。



 - crapface x Zack Bruce – U & Me (from “:):):)”) :: (CC) by – nc – sa 3.0 ::


あと、まだある。日本のtoiret status(!)と組んだFlamebaitからの“T​.​D​.​I​.​M”もすばらしいので是非! Breakbeats/Hip-Hop/Sample-Basedなコラージュで、メカニカルな躍動感がめちゃかっこいい。熱い。



 - Elevation X Toiret Status – ET03 (from “T.D.I.M”)



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