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Netaudio explorer

Final Heal – Fata Morgana[QNR019]

 Final Heal - Fata Morgana[QNR019]Cover

 – Tracklist –
 01. Anna’s Journal
 02. My Blue Heaven
 03. Millennium Fantasy X
 04. Never Die
 05. From Here On Out
 06. Invitation to Elegy
 07. VIRUS
 08. Dream Tower
 09. Wind
 10. Telepathy
 11. Fly Away
 12. People, Memories, Places
 13. Snowman
 14. Sinner’s Lullaby
 15. Faerie Song

 - 15. Faerie Song


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 Release Date : 2018.08.20
 Label : Quantum Natives

 Keywords : Breakbeat, Electronic, Fantasy, Orchestral, Piano, Strange, VGM.


 Related Links :
  ≫ Final Heal on SoundCloud


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プロフィールは不詳ですが、このFinal Healの背後にいるのは、おそらくはAmun Dragoonではないかという指摘を見かけました。私も何とはなしにそう思っておりましたので、“そうだよね!”と共感した次第です。まあ結局よく分かっていないんですけれど。でもそう思わせる要素というのはあって、まずはやはりAmun DragoonのSoundCloudにFinal Healのトラックが(2年も前に)リポストされていること。私がFinal Healの存在を知ったのもそこからでした。単純に気に入ってリポストしただけという可能性もありますが、このつながりに加えて音楽性も類似しているのです。

Amun DragoonはVaporWaveの文脈に入れられることもあるし、実際トラックによってはその傾向も強くありますが(特にNewAge調のトラック)、現時点の最新作2015年の“Socotra Island”などはMIDI風のサウンドに傾倒している節があって、もはやVaporWave作家というイメージは私の中では薄れつつありました。そしてその先に何を出してくるのかという興味も持っていたのですが、それ以降動きはなく、まあ突然活動を止めてしまう(ように見える)アーティストも全然珍しくないので、Amun Dragoonも終了してしまうのかと危惧しておりましたところ、突然現れたのがこのFinal Healでして、聴いてみたところ、正直当初公開されていたトラックからはAmun Dragoonとのつながりは見いだせなかったのです。だってヴォーカル入ってるし(どこかたどたどしい)、何かメロディはポップだし、オーケストラルな要素もあって、ハッキリとした抒情性も感じられて、そこをつなげて考えるのは間違いじゃないかと思っておったのですが。

私がAmun Dragoonで一番好きなトラックは‘Secret Whispers From The Tamate Box’(下に張りますが最高だな!ビデオがイイ)ですが、これと共振する何かを今作の‘Dream Tower’‘Wind’, ‘Telepathy’に嗅ぎ取ったのですね。前者が陰とすれば後者は陽であるけれども、このスピリチュアルな望郷感とでもいうか、意図せず漏れ出てしまっている個性が共通しているように感じられて、ここで初めて両者をつなげて考えてもよいのかなと思い始めたのです。“Socotra Island”の延長線上というよりは、俗に寄せてきた感じ。

と、もし赤の他人だったら申し訳ありませんので、単体で触れましょう。仙人が下界に降りてきて世俗を楽しもうと思いきや、下々の常識が分からずにひっちゃかめっちゃかやってしまいました、みたいな。クロコダイルダンディ。そんなことやっちゃうのみたいな。ローファイ・エレクトリック・ファンタジー。大筋は抒情的なメロディがあって、ファンタジックで、ちょっとVGMっぽいところもあって、ストレートな聴き心地というか、ポテトチップス食べてるみたいな安心感なんですが、ところどころ異質な“何か”が混じっていて、非常に刺激的。M-2も静かに始まったと思ったら、終盤いきなりそんなデカいシンセと強いアタックのドラム入れちゃうの?っていう驚きがあり、M-4はコレ何であえて日本語の歌詞なんでしょう?カバーとかではない気がするんですがちょっとおぼつかない日本語のDIYな歌唱がまた惹きつける、M-6は9分超の大作ですがピアノでひそやかに始まってストリングスなんか入ってアラいい感じと思ってたら急にブレイクビートと共にドラマチックな展開になだれ込んで、何だかビデオゲームのバトルシーンみたいな曲調にいつの間にか連れて行かれてる、M-7もせわしないビートとシンセにアンニュイなヴォーカルが入って最終的に加速してって終わるしM-11も途中でギターなのか何なのかノイジーなフレーズが入ったり後半リズムが妙に力強かったりまたしてもミステリアスなヴォーカルを入れてくる―といった調子で、一度入り込んでキャッチされてしまえば、終始感じられるこの危ういバランス感(焦燥的でもある)と、抒情性の絶妙なコントラストが、クセになること請け合い(さらには‘Invitation to Elegy’‘My Blue Heaven’はSoundCloudで公開されているものとちょっとずつ内容が異なっているという攪乱ぶり)。人によってはスペインの雄This Deep Wellを想起する方もいらっしゃるでしょう。

気になった方は是非Amun Dragoonも辿ってみてくださいネ。にしてもQuantum Nativesのサイトデザインやべえ。あえて不便さを強いてくるような突き放し感がヘヴンリー。


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Amun Dragoon – Secret whispers from the tamate box


Final Heal – Millennium Fantasy X(directed by Final Heal)



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Artwork by Aisha Mizuno & Galen Erickson
https://www.instagram.com/doctor_zoom_octopus/
https://www.instagram.com/chaos_egg/



PLAYLIST : H2 2018




 I am Capricious.



Tone Color – Everything You Know Is Wrong [AF39]

 Tone Color - Everything You Know Is Wrong [AF39] Cover

 – Tracklist –
 01. Via Lucherini
 02. The Last Day
 03. City of Three Rivers
 04. GRM Bloom
 05. Yatha Bhuta
 06. MAX~
 07. Forward Then Back
 08. Maria Casarès
 09. A Thousand Summers
 10. Oltrarno
 11. Voight-Kampff
 12. Neither an end nor a beginning



 - 10. Oltrarno


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 :: Limited Edition CDR is available. ::

 Release Date : 2018.05.06
 Label : Assembly Field

 Keywords : Ambient, Drone.


 Related Links :
  ≫ Tone Color on SoundCloud


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前の作品も紹介してたよな、と思って、見返していたら、5年も前の作品だった。ええ、ってことは、このブログもう5年以上経ってんの?って、我ながらちょっと衝撃だったので書いておきましょうか。

ということで5年ぶりのアルバムということでよいんでしょうか。イギリスのAssembly FieldからリリースされたTone Color(Andy Lomas)の作品です。

この作品の10曲目、‘Oltrarno’、これは私の中で新たなAmbient/Droneのマスターピースです。これまでNetaudioの界隈で出会ったトラックで、記憶に刻み込まれているものがいくつかありますが、この‘Oltrarno’もそこに仲間入りです。このBrian Eno感。いやそれが重要なわけではないんですが、この深遠な気配と、静かな水面にポトリと落ちていくような、そこを滑るような、ピアノの音色、その余韻。たまりません。引き込まれます。

私は不安を回避するように寝不足を選ぶことがある。足りない睡眠のせいで頭が冴えなければ、理性の芯はぼやけ、思考は鈍り、ひいては不安の表面化が少しでもし抑えられるんじゃないかって、そんなふうに考えて、寝不足を選択する傾向があります(とりあえず職場のみなさんに謝罪)。若干の睡眠不足を意識しながら今作のようなAmbient/Droneを聴いていると、気づくことがあって、この頭の芯のしびれ具合というか、ボヤケ具合が助長されるのである。ロングトーンのピュアなAmbient/Droneは特にそうだ。私の好きな小説家が“音楽を聴いて理性的になるなどありえない”と書いていたけれど、まさにそうで、ここにおいては、理性は静まり、不安は遠のき、ややもすると恍惚が訪れる。そしてやがて眠りが私をつかまえに来るという、幸福なサイクルがそこにはある、ように思われる。目覚めたころでまた不安は襲ってくるのだけれど、たとえ短い時間でも不安を遠ざける今作の力は、音に反して頼もしい。タイトルの“Everything You Know Is Wrong”ってのも、どこか力強さ感じます。

ちなみに前作のタイトルは“The Last Day”。今作の2曲目にも同名のものがあります。どういった意味合いで用いているのかは分かりませんが、Tone Colorにとって重要なイメージなのかもしれないですね。


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All tracks composed and recorded by Andy Lomas
Mastered by Wil Bolton
Artwork by Andy Lomas



Crying on Vacation – Frankie [GST​​-​​21]

 Crying on Vacation - Frankie [GST​​-​​21] Cover

 – Tracklist –
 01. Frankie
 02. Fairytale, Fairytale



 - 01. Frankie


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 Release Date : 2018.04.20
 Label : Galaxy Swim Team

 Keywords : Alternative, Indie, Pop, Pop-Punk, Power-Pop.


 Related Links :
  ≫ Crying on Vacation on Twitter

  ≫ Noah Hafford on Facebook / on SoundCloud / on Twitter
  ≫ Dominic Nohai on Twitter


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Galaxy Swim Teamのファウンダーの一人でもあるNoah Haffordが率いるバンド、Crying on Vacationの作品がリリースされています。バンド、とはいってもどれほど強い力でバンドとして結びついているかは分かりませんが、少なくとも今作は4人で作られた作品の様子。前作”So Dude, What Are You Doing After High School​?​” はほとんどNoah Hafford個人による製作だったようなので、バンドというよりはソロユニット的なニュアンスなのかもしれません。余談ですけど、前作も良いんですよねえ。ジャケットイメージもはっきり記憶しているんですが、なんでここで紹介せずスルーしていたのでしょうか。ということで、今作が気に入った方は前作も是非。

で、今作はせっかくバンドで作ったにも関わらずたった2曲しか入っていない! 2曲目はアコースティック調だからバンドサウンドが活きている感じでもないし、ちょっと勿体ない印象です。というのも1曲目を再生した途端のこの疾走感、爆発力ががたまらなくカタルシスで、この調子で全編突っ走ってくれたらなあという思いがあるからです。たぶん‘Frankie’は別れの曲だと思うんですが(違ったらゴメンナサイ)、胸中に湧き上がるやるせなさを全力で振り切ろうとするかのような、この疾走感たるや。ギターのワンフレーズで引っ張りまくりますが、これもまた音楽の魅力。気持ちが良いんですコレで。ミニマルな中で緩急があって、感情性があって、グーンと気持ちが引っ張られる。

Noah Haffordはソロ名義だとChillWave風味のElectronicでセンチメンタルなPop musicを作ってて(このブログでも何回か名前が出てきたと思います)、こういうパンキッシュな曲を作るってことが意外だったんですが、でもやっぱりPopに仕上がってて、どうしたってこの人はPopに向かっていくんだなあと、その志向性には恐れ入ります。しかしこのちょっと鼻にかかったような歌声がアグレッシヴな曲調にまたマッチしててですね、このコンビネーション、個人的にはLagwagonのJoeyを思い出しました。

2曲目は先にも書いたようにアコースティックでしっとり締めくくる感じで、シングルという受け取り方をすれば、この2曲でバランスがちょうど取れてる、のかな。

この作品だけだとPop-Punkみたいな感じだけど、前作では骨太なギターにご機嫌なメロディがさく裂するPower-Popなトラックもあるので(下に1曲)、Weezerとか好きな方にもアピールすると思います。いずれにせよ、今作と共に良作。



 - Skippy (from ”So Dude, What Are You Doing After High School​?​”)


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Noah Hafford – Guitar, vocals, lyrics, mixing and mastering
Jason Hallyburton – Lead guitar, engineering
Adrian Leifson – Bass
Dominic Nohai – Drums

Artwork by Sydney Landis (@ohhisydney)
Music video shot, edited, and directed by Danny Spiteri

(CC) by – nc – sa 3.0



エンヤサン – まさかサイドカーで来るなんて2 [sna-042]

 エンヤサン - まさかサイドカーで来るなんて2 Cover

 – Tracklist –
 01. どうしたって君だった
 02. それはそれでハッピーエンド
 03. UP TOWN(FUMI HIRANO cover)
 04. TONIGHT3
 05. まさかサイドカーで来るなんて2


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 Release Page
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 Release Date : 2018.05.23
 Label : 術の穴

 Keywords : Acoustic, Alternative, Hip-Hop, Japanese, Pop.


 Related Links :
  ≫ Enya-Sang

  ≫ エンヤサン on Facebook / on SoundCloud
  ≫ Y-クルーズ・エンヤ on Twitter


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私はまだ(まだ!)買ってなくてスイマセンな“大メインクライマックス”(by ヘイポー)から約半年、エンヤサンのアコースティック(ミニ)アルバム“まさかサイドカーで来るなんて2”がリリースされました。“2”とあるからには1作目もあるわけで、そちらはこのブログでも紹介いたしました。そちらもフリーでのリリースだったわけですが、今作もまたフリー(※SpotifyやApple Musicでも配信予定ですがカバー曲は含まれません。なおiTunesは有料)! ありがとうございます。

Twitterでは“そんなにアコースティックでもない”、“電気もバンバン使ってる”と、ご本人笑ってらっしゃいますが、そんなことはいいんです。私にとってはぜんぜんアコースティックです! そして良い作品です。なんでこんなのフリーで出しちゃうんだろうなあって不思議です。

エンヤサンって私の中では、もしかしたら音楽シーンの中でも、微妙な立ち位置にいるような気がします。ぜんぜん私Hip-Hopとかクラブミュージックとか、興味ないし、積極的に聴かないんですけれど、エンヤサンてそっちフォーマットの曲も多いじゃないですか。でも聴いてしまうんですよ。POP志向っていうか、歌心があるところが、一番のツボなのかなあって自分としては思ってるわけですが、でもそれだけじゃなくて、このシリアスとジョークを渡り歩く華麗なセンスもすごい好きで。最近でいったら“大メインクライマックス”のCMとかすごいふざけてるし、“▽”の‘Aizuchi’も雪男との会話だし、Y-クルーズ・エンヤの‘Special Thanks’はセクシー女優名をひたすら読み上げていくという(トラック担当は食品まつり)だし、かと思ったら‘あるく’は深夜のウォーキング中の物思いが人生の捉え方につながっていくような、シリアスな内容だし(でもユーモアも忘れてない)、‘きれいごと’というネガティヴな言葉を受容するまでを描いたような(歌詞の意味は明らかにされていないけど)、‘きれいごと’も涙腺刺激するし、恋愛における曖昧さを“未確認”と表現し、そこから“UFO”へと繋がり、“「フォー・ユー」反対から読んで”という歌詞に着地する“UFOr”も切なさ沁みてくるし、このふり幅というか懐の深さよ。



そしてこのシリアスな側面は往々にして装飾を削いだアコースティックなトラックで際立ってくるし、またメロディも同じく。つまり今作はエンヤサンのシリアス(に見える)面がギュッと詰まったスペシャルな盤なのです。映画を観ながらのシチュエーションに絡めて“バッドエンドもいとわない 愛してる”と唄うラブソングな‘どうしたって君だった’、気まぐれで始まった関係性に酩酊感を絡めながら思い巡らせる‘それはそれでハッピーエンド’、サイケデリックな脱力POP/NewWaveな平野ふみさんのカヴァ―UP TOWNは見事なハマりっぷり。

続く‘TONIGHT3’は、日付の変わるころ、深夜の物思いを歌ってて、これは‘あるく’の延長線上だなあ、いいなあ、タイトルは“深夜”から“トゥナイト”へつながり、そこから“トゥナイト2”にひっかけたのかな、それも面白いなあなんて思って聴いていたら…、ご本人“競艇の歌です”って。ええ? どこが? ってミュージックビデオ観て、笑ってしまいました。競艇に妙に重なる。“横目に見える 紙切れが舞う 最後に笑う 笑う”って、競艇場で舞ってる紙切れって!! 勝手に深夜のアーケード街で頭の横をチラシが舞ってるような侘しいシーンを思い浮かべていたのに! でもこのどっちにも取れる感じがもうエンヤサン! “まさかサイドカーで来るなんて”に入っていた‘つまる うまる おもい こよい’も恋愛関係の終わりにも取れるし、長年住んだ部屋とのお別れにも取れるっていうダブルミーニングソングだったので、この捻りっぷりはエンヤサン節。そして間違いなく作中のハイライト。いい曲。



ラストはね、絶対こういうのねじ込んでくると思った。前作もタイトルトラックはユーモア溢れてたし、今作もそれを踏襲。やってくれます。ラジオDJ役誰ですかね。ちょっとミドリカワ書房の作品思い出しました。DJさんのグイグイ感面白いなあ。“詰めが甘いのがウリかぁ?”に笑う。無理やり曲やらせといて“イマイチだなあ”ってどんなナビゲートだよ。最後“視聴者のみなさんも、何かしら、やってこうじゃん。生きてんだしさ”ってどういうまとめ方だよ! “DJぐっちぃのまるでアレだよね”聴きたかった…。

ということで、激オシなんで、未聴の方は是非。歌詞カードもついてます。しかも今作に合わせて前作も再リリースされたので、これは一緒に聴くしか。私が“まさかサイドカーで来るなんて”から彼らのファンになったように、この作品からファンになる人がまた、いるんじゃないですかね。まあファンだったら早く“大メインクライマックス”買えよって話ですよね。おっしゃる通り!



ブルックル – discography 2018

 ブルックル - discography 2018 Cover

 – Tracklist –
 01. ひばりが丘 [dvdkm]
 02. im like so desperately social
 03. i dont even say a word
 04. memory…
 05. shes so cute
 06. she controls my emotion
 07. eternity【不安と短い金髪】
 08. me and you (it never works out)
 09. ピンクパラソル
(※私が初めて目にした時よりトラックが増えているので、今後も追加されるのかもしれません)



 - 08. me and you (it never works out)


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 Release Date : 2018.01.01
 Label : Not On Label

 Keywords : Beats, Hip-Hop, Indie, Lo-Fi, Trap, VaporWave.


 Related Links :
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ノスタルジアとグロテスクなイメージはこと私の中ではなぜか結びつきやすい。なぜか。そこに純粋な何かがあるからだろうか。ブルックル(あるいはブロックル)の作品にある、ノスタルジックで、でもグロテスクで(それは主に視覚的な部分による)、無垢なイメージは、私の中できれいに結びつく。そこに違和感はない。

抒情的なピアノの旋律を活かしたBeatsなトラックが主になっているようで、VaporWaveというよりはBeats/Hip-Hopに寄っているような気がします(チキチキビートはTrap経由だろうか)。でもこれまでの作品の中ではもっともVaporWaveに接近しているのかもしれない。nemuri winter系というにはちょっと煙っぽくて、memory cardsに近しいような気もするけれど、あんなにドリーミィではない。M-2なんか十分にドリーミィじゃないかって言われるかもしれないけれど、この日曜日の昼下がりに何もすることがないときの空気みたいな、ダルッとした調子、どちらかというと憂鬱ではあるまいか。M-3にあるような日本語のセリフをサンプリングしたスタイルも珍しくはないけれど、そこから醸される恋愛に関しての思い悩みは多分に思春期的で、やはりそこには無垢なイメージがよく似合う。

リノリウムの床と、ちょっと暗い体育館と、紺色のブレザーを着たあの娘と、いつも晴れない私の気持ち。頬杖ばかりつく机の上。正面玄関、下駄箱の前に植わっていたのはサルビアで、その蜜を吸っていたのは、もっと前の記憶か。懐かしいけれど、特別に楽しくはない記憶が、フワリとよみがえる―明るくもなく、ちょっぴり憂鬱な毎日。それを懐かしく感じさせてくれるのが、音楽の素敵なところ、かもしれない。いつか見ていた景色も、意味のあるものに、思わせてくれる。喜びも、悲しみも、やがて懐かしさに変わる、のか。しかしそこにあった無垢で、それゆえにグロテスクな憧憬はいずこへ――果たしてそれは、懐かしさと共に、蘇る、のか――


intentional.trauma / 君へ恋文



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 Note :

tracks i released by themselves or on compilations in 2018
please support the people who helped share my music by supporting the tapes im featured in
credits

dvdkm

Some rights reserved. Please refer to individual track pages for license info.



Aika – Neon Pink EP

 Aika - Neon Pink EP Cover

 – Tracklist –
 01. Hotline
 02. I Love You, Goodnight
 03. Neon Pink (ft. Hana)
 04. Lovestruck (Neon Edit)



 - 02. I Love You, Goodnight


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 Release Date : 2018.03.16
 Label : Not On Label

 Keywords : Electronic, Dubstep, EDM, Future, Pop, Vocal.


 Related Links :
  ≫ Aika on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on Twitter / on Spotify


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SoundCloudに現れた頃から耳の早い音楽ファンの間では注目されていたAika。ふと目と耳を話していたすきに、SoundCloudのフォロワーは1万人を超えているし、リリースもコンスタントに重ねているし、精力的な活動をしているではないですか。

そして相変わらず作品のクオリティが高い。

基本的にはEDMやDubstepなどを経由した―Future Bassとも無縁ではないだろう―今様なElectronic musicなんだけど、何といってもどのトラックにもメロディが流れている点が特徴です。M-2‘I Love You, Goodnight’なんてこのファンタジック/ノスタルジックなな出だしはどうですか。一発で引き込まれてしまう。ここではVocaloidかな、ヴォーカルを入れているけれど、EDM然としたハイプレッシャーな音像ながら、Melodicなウタモノとして機能している。どっしりしたリズムとシンセの絡みから立ち上る雄々しさ(のようなもの)、そこはかとなく滲む抒情。実にエモーショナル。鳥肌が立つ。

M-3‘Neon Pink (ft. Hana)’のこのロマンチックなイントロも好き。じきにいつものサウンドに移行していくのだけれど、ホントにメロディ指向、Pop指向だよなあと感じます。リズムとシンセの組み方だけでも十分に聴かせてくれるのだけれど、歌の力もあるし、またこのトラックに限ったことではないけれど、和楽器の音色や、Chipsoundをスパイス的に散りばめることで、雅な響きや煌びやかさがフワッと漂ってくる瞬間があって、(正直それらがなくても成立はすると思うんですが)、一粒で何度も美味しいトラックになっています。こういう情報量の多いトラックを作る人ってどういう頭になってるんだろうっていつも不思議です。試行錯誤の結果だとは思うんですが、音楽の作り手ではない私はいつも感心するばかりです。パズルのピースのように当てはめていくにしても音色のチョイスもあるでしょうし、どうやって組み立てるのか、気が遠くなりそう。

ラストの‘Lovestruck (Neon Edit)’のファニーなイントロもフックがあるし、どのトラックも傾向性は似てるんだけど、違った魅力を持っていて、器用だよなあ、才能だよなあ、これは沢山の人に聴かれるよなあと、人気獲得にも納得。でも正直もっともっと爆発的人気でもいいと思うし、プロフェッショナルな活動もできると思うんですよ。そうなってないのはやっぱり埋もれちゃってるってことなんでしょうか。私がこういう傾向の音楽にあまり執心していないので、気づいていないだけで、ジャンル的に観た場合は、特別に飛び抜けていないんでしょうか。そんなことないと思うんだけどなあ。いや逆に私の耳にも入るくらいってことは、やっぱりスペシャルなんだと思いますよ。

今後も要注目なトラックメイカーであることは間違いない。聴いたことない方はSoundCloudを訪れて色んなトラック聴きまくってください。全部良い。あと今作、FutureでサイバーでDreamなジャケットイメージもグッド。

 - Make Believe : 割と控えめだけどやっぱり雅でPopだし。いい按配。

 - Camellia : 走りながら、泣きながら忘れようとするような。加速するノスタルジア


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Artwork: TheRyDesign
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