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dep – Rivers & Ghosts

 dep - Rivers & Ghosts

 – Tracklist –
 01. With the Wind
 02. What’s Going On in the World
 03. At Your Helm
 04. Lift Off
 05. fter the Darkness
 06. Welcome Back
 07. We’ll Be Okay
 08. Yes
 09. If Anybody’s Listening
 10. This Glass is Already Broken
 11. Breathe
 12. To the Victor


 (all tracks are streaming on release page.)


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 Release Page / [ DL ZIP ] Free!

 Release Date : 2012.10.26
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Electronica, IDM, Piano.


 Related Links :
  ≫ dep.fm
  ≫ dep on facebook / on Twitter


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アッシュビル出身のミュージシャン、depことDanny Peckの新しい作品が、フリーでリリースされています。これまでにも少なくない数の作品をフリーでリリースしてきていますし、いずれもクオリティは高く保たれています。しかも近年は、作品ごとにタッチを変えてくる傾向があり(”The Wellness Prologues”はピュアなAmbient作品、”Within the Darkness”はピアノとアンビエンスのハーモーニーを生かした作品になっており、”Mayday”では2012年5月の1日から31日まで、毎日1曲ずつ作成しリリースするという試みが為されている)、その姿は自身の音楽表現のレンジを探究しているかのようでもある。

軸になっているのはAmbient/Electronica/IDMといったサウンドなのですが、ピアノやストリングスといったClassicalな要素、あるいはChipsoundやシンセのきらびやかな響きを持ち込んだり、またあるいはSinger Songiwriterとしての気質を垣間見せたりと、彼の音楽の中ではさまざまな要素が肉付けに用いられている。そのブレンド具合によって彼の作品の印象はガラリと変わる。たとえば今作や”The Wellness Prologues”のような静謐で内省的、シリアスな作品を聴いた後で、”Made in the Shade”のようなアップビートでシンセのタッチを強調した(しかもMelodicな)作品を聴くと、およそ同じ人物が作ったサウンドとは考えにくい。そのくらい、彼のサウンド、表現は多彩なものだ。

この作品は、彼の作品の中では、どちらかといえばおとなしい部類に入る。主な構成要素はAmbientな空間とピアノ。ときにストリングスやドラム、ささやかな電子音やヴォーカル、サンプリングされた環境音(人声も含む)たちが、トラックを演出する。また特徴的なのは、全編が地続き、一続きになっていて、トラックごとの切れ目があまり意識されないように作られているということ。これは長大なサウンドスケープと捉えることもできるし、その在り方はシネマティックでもある(その意味でのクライマックスはM-4の’Lift Off’ではなかろうか。壮大なストリングスと雄々しいドラムが、ドラマティックな空間を作り出す)。

そういったシネマ的な、演出された空間が今作の特徴かと思いきや、そういうわけでもない。ここには、上に書いたような、まさに彼の持つ音楽的素養のすべてが落とし込まれている。’Welcome Back’ではシンセを効かせた愛らしいElectronicaサウンドを聴かせてくれるし、’We’ll Be Okay’ではやはり電子感の強いサウンドにヴォーカルを乗せて、きらびやかでシリアスなサウンドを披露。’If Anybody’s Listening’ではユニークなリズム(音の配置バランスが素敵だ)とゆるい電子音に、ヴォーカルを幾重にも重ねて、サイケデリックでマジカルなElectronicaを披露、Ambientな空間にスピーチを埋め込んだ、抽象的なトラック’This Glass is Already Broken’(悲しいイメージを秘めたタイトルだ)から、’Breathe’を経て、ラストの’To the Victor’までは、これまたスムースな接続で、気が付かないうちにラスト・トラックに入り込んでいる。そしてピアノの重く響く、メランコリックでミニマルなフレーズに導かれて、幕は閉じる。

こうしてみてくると、作品の中盤でElectronicなパートが用意されていることになるが、それが違和感を生んでいない。あくまで作品の中のひとつのパーツとして機能していて、このバランス感覚はお見事だ。ちなみに私のフェイバリットはM-1の’With the Wind’。物憂げなピアノのメロディと、振り子時計のような、温かく、硬いリズム。’With the Wind’というタイトルに滲む郷愁。そこから立ち上るのは、時計の針の逆回転するイメージ。ノスタルジア。風と共に記憶は舞い戻り、我々は、いつかの景色の中を歩き始める―

この作品は、長い年月をかけて作られたようです。具体的にいつから作成されていたのかは不明ですが、必要に応じて頻繁に再録音し、現在の状態にまでこぎつけたということが、リリースページにも書かれています。そしてこうやってアルバムが完成したことに関して、”It’s a bittersweet relief.”という言葉を使っているところをみると、よほど難産だった様子。サポートしてくれているファンへの感謝や、自身が音楽作成をする理由にまで言及をし、家族・友人への謝辞を述べるなど、この作品を完成させることが、彼にとって非常に重要であり、まただからこそ、重荷にもなっていた様子がうかがえる。もしかしたらこの作品は、彼の中で集大成的なものであり、ひとつの到達点となるのかもしれませんが、一人のファンとしては、これで満足することなく、これまでと同様に素敵な作品を作り続けてほしいものです。


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All music produced, written, recorded and mixed by Danny Peck
Mastered by Brian Lucey (Magic Garden Mastering)


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