ABRAcaDABRA

Netaudio explorer

Marow – Inter [klitorik 015]

 marow - inter [klitorik 015]

 – Tracklist –
 01. inter1
 02. inter2
 03. inter3
 04. inter4
 05. inter5
 06. inter6



 - 02. inter2


+ + +


 Release Page :
  ≫ [ sonicsquirrel ] / [ Last.fm ] / [ Download ZIP ] Free!

 Release Date : 2012.03
 Label : Klitorik (no more)

 Keywords : Ambient, Drone, Electronica.


 Related Links :
  ≫ Marow on Last.fm


+ + + + + +


ベルリンのミュージシャン、Marow(Marcus Rehmet)とOlaf Tonsteinによって2005年に設立されたレーベル、Klitorikより。Marowの新しい作品がリリースされています。レーベルとしてはコンスタントにリリースはありますが、ほぼこの2人の作品で占められているので、非常に小さいレーベルというイメージがあります。また、PDFマガジンなどのリリースも行っていますが、対外的な活動も活発なものではないので、その運営スタイルには、本当に、ひっそりという言葉が似合う。

しかしながらこのMarowは決して無名というわけではない。かのMille Plateauxの親レーベルであったFORCE INCの再始動にあわせて、2011年にリリースした”+-0 [Plus Minus Null]”は、高い評価を得ており、ネット上でも多くのレビューを目にすることができる。一貫して静謐で冷たい音像の作品を作り続けている彼ですが、そんな中にあって今作は趣が異なっている。ここにあるのは、リズムを排除して、Ambient/Droneの方向に傾いたサウンドだ。もちろん彼のサウンドには、もともとその要素は含まれている。珍しくはない。けれど頭から終わりまでそのスタイルを保った作品は、なかっただろう。各トラックのタイトルも、意図的かどうか、あくまでトラックごとの弁別にしか用いられないだろう、簡素なものにとどまっている。

淡い輪郭のレイヤーが作り出す、霧のようなサウンドスケープ。それは大きな包容力があり、温かいようでいて、どこかに幻想的、神秘的なイメージも持っており、そのせいか、若干のミステリアスな聴き心地も生んでいる。その霧のような景色の向こうに彼が見せてくるのが、おそらくこれが彼の真骨頂なのだろう、非常にスローに、ミニマルに、明滅する電子の波なのだ。非Ambient的、つまり意識的、積極的に、音に耳を傾けないと、このゆるやかな起伏はおそらくリスナーの意識に上ってこない。電子の波に耳を凝らす、その様はまるで、霧の向こうにおぼろげに見える”何か”を、必死に見極めようとするかのようでもある。その最中、ふいに遠くで鳥の鳴き声が聴こえてきたりするものだから、新たな景色が立ち上り、リスナーの精神はさらに深くへと引き込まれていく。にくい演出だ。

流れる霧の向こうに見え隠れする電子の波をとらえ、耳がそれを追いかけ始めたら、徐々に気持ちがよくなってくる(私の場合は)。ミニマルな調べは、知らず、心を穏やかにする。表面的に受け取ると、ピュアなトーンのAmbient musicに近い部分があり、それが退屈を生みそうにも思えるけれど、その後ろにMarow節とでもいうべきか、魔法的な何かが存在している。その魔法的な魅力を言葉で示せない自分がはがゆいが、その部分が、今作を個性的なものにしている。これはテクニックか、センスか、あるいはその両方か。不思議な作品だ。そして正直に言えば、私はこの作品を最後まで聴きとおしたことがあまりない。なぜなら途中で眠りに落ちてしまうからだ。すべてがクリアになる安心感ではない、半覚醒状態のような、あらゆる刺激が自分から遠ざかっていくような感覚、心地よさがある(この話を推し進めていくと、なぜ睡眠が心地よいのかという話になりそうなので、そしてそれは私には説明できないので、ここで終わります)。

Marowの他の作品も、ほとんどがKlitorikからフリーでダウンロードできますので、気になる方は上記リンクからご来訪ください。


+ + +


(CC) by – sa 3.0



コメントを残す