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Netaudio explorer

うつ病 – Claymation Playstation

 うつ病 - Claymation Playstation

 – Tracklist –
 01. new worlds
 02. power nap
 03. foamposite
 04. 30 tutorials
 05. warmth
 06. market shoes
 07. rumblepak & controller
 08. marijuana
 09. top floor
 10. monopoly
 11. where i am
 12. water room
 13. surviving
 14. feathers
 15. uncomfortable situation
 16. detroit
 17. our desire



 - 02. power nap



 - 08. marijuana


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 Release Date : 2015.06.23
 Label : ‡‡welcome_ 美 ₰ou₦ds††

 Keywords : Electronic, IDM, Melodic, Midicore, Non-sample, Retrospective, VaporWave.


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たとえば夜中、風呂上りに、何をするでもなく、漫然と思考を開放している時間とかあるじゃないですか。頭に何のイメージも浮かんでいないような、テレビはついているんだけど観てなくて、明日やること(タスク)とかも特に考えてなくて、でも何からも解き放たれているかというと、そうでもないっていう。漠然とした不安はあるけれど、目下のところそれはさほど問題とならないような、ある意味空白の時間。いや私はあるんですよ。漫然した思考、ってところは学生時代のプールの後の授業中、ってたとえも似合うかもしれない(ちょっと違うけどね)。

今作を聴いていて思ったことは、そんな時間に似合うんじゃないかなあってことなんです。そろそろ来るとか来ないとかまったく言われてないけど、一部では確かに愛好家がいる様子の“Midicore”が今作にふさわしい言葉だと思います。いや定義はよく分かりませんけど、私の中ではこれがMidicoreなのです(Midiはまだしもcoreは何でつける必要があるんだろうか)。

私はよく言うように音の作り手ではないのでMIDIというワードにも疎いわけですが、いろいろ参照して“MIDIは音がしょぼい”というのが誤解だということは、分かりました。こちらを信じるのであれば、近年のOSが標準装備しているMIDI音源は質が低い(“限定的な表現力しか有していない”、という表現がされていますが)。しかしMIDI音源の全盛期というのがおそらくは90年代後半であり、つまり裏を返せば、今現在はMIDIデータは主流ではなく、MIDIデータを使って音楽を再生する機会はほとんどない。そのため、その質の低さが問題視されることはない、ということですが、まさに参照先に書かれているように、これが原因で一般PCユーザー・リスナーには、“MIDI音源はしょぼい”という印象を与えているわけです。Windows95の発売によって、その後の数年でPCが爆発的に普及したことも無関係ではないと思いますが、聴き手側にとっては、MIDI音源は90年代後半のイメージで止まってしまっているのではないでしょうか。

そんなひと昔前のカラオケ音源のようなしょぼさを再現しているのが、このMidicoreサウンド(という捉え方は間違いかもしれませんが。実際どう作っているのか分かりませんし)。私がこのワードに気づいたのが遅かっただけで、今考えればAmun Dragoonの近作なんかも、完全にこっちの方向でした。なぜにVaporWave周辺にこの動きを見せるトラックメイカーがいるのかということですが、ちょっと考えると、80年代(VaporWave)と90年代(Midicore:MIDI全盛期という意味で)というズレはあれども、いずれも過去のリバイバルという側面を持っていることが共通しています。そしてそこには意図の見えない不透明性、怪しさ(何とも曖昧な表現だ)が充満している。先人たちへのリスペクトや、懐古趣味とも言い切れない、正体が分からないゆえの不気味さがあるのです。

われわれの多くの中にある、MIDI音源を利用した音楽についての、ノッペリとした、感情をうかがわせない、合成音声のような、違和感(それは自然界には存在しないプラスチック的な)。そしてVaporWaveの持っているある種のグロテスクさ―それはNewAge経由のスピリチュアルなバイブであれ、Chopped & Screwed経由の表面的な気持ち悪さであれ―は、根底でリンクしてはいないでしょうか。そしてこれは私には上手く説明できないのだけれど、両者の背後にあるPC(それも最新ではない)のイメージ。なぜ、どうして“PC”が両者をつなぐのかということが上手く表現できなくて歯がゆいのですが、私はVaporWaveにもMidicoreにも、PC(それがまだ多くの人にとって未来の象徴だったときの)というイメージが、チラついて仕方がないのです。まるでそれが憑依しているかのように。“playstation”もそうだけれど(やはり鍵は90年代にあるのか)。

と、サウンドについて全然触れていませんが、サンプルをいっさい使っていないそうで、VaporWave界隈では珍しい作品ではないでしょうか。どうもアイランドをイメージしているようですが、この赤紫に染まった空と、それを映した海は、何だか血を連想させて、ちょっと不気味。でもトラックはそんなこと全然なくて、‘foamposite’だけはちょっとスリリングだけど、あとはMelodicだったり牧歌的だったり神秘的だったりオリエンタルだったりトロピカルだったりで、不気味さとは無縁です(‘detroit’ってやっぱデトロイト・テクノなんかな。それっぽい)。先にも書いたように、このエモーション抜きの電子感ていうんですかね、これがね、クールなんですよ。聴き手の思考をどこにもつなぎ留めない。そういう意味ではVGMっぽさもある。Ambientとはまた違った空っぽ感(何も表現していないという意味ではないです)が、好ましい。‘30 tutorials’とかは、この手のサウンドにしては不思議な跳ねた感覚があって面白いしカッコいい(しかし“Tutorial”ってワードはAmun Dragoonも使ってるんですよねえ・・・)。

たまにMidicore探すんですが、上手いこと見つけられません。やはり来てはいないんでしょうか(わざわざMidicoreだと名乗っていないこともあるのかもしれない)。でもハッキリとしたカラーのある音楽なので、この中で面白いことやる人とか、マスターピース的なものが出てくれば、ジャンルとして盛り上がることもあるかもしれませんね。まあMidicoreのオーソリティとか出てきても何かアレだけど(笑)。あとAmun Dragoonの近作もアイランドがテーマのようだったけど、それは不思議なことに今作にも共通している。何かMidicoreによって描かれるべきものがあるんでしょうか。

何回も聴いていると次第に違和感なくなってきて、MIDIっぽさが薄れくるのがまた面白いです。MIDI音源で作ったIDM、という表現をしたくもなります。完全に過去に振り切らずに、今に着地させるバランス感覚が嗅ぎ取れる。実は名のある作り手さんかもしれない、なんて考える(結局分からない)。ちょっとThe Other People Placeとか思い出しました(彼James Stinsonは亡くなってますが)。


あとスイマセン記事にはできなそうなのでここで紹介しますが、Midicore的サウンドでよかったのが、Sapphire Shoresの最後の作品?(なのかなあ)、CRUISE LINER ‘DELPHI’です。MidicoreとVaporWaveが交互に出てくるような構成の、面白い作品でした。この作品を最後に、Sapphire Shoresは長いクルーズの旅に出たのだろう、というのが私の見解。さながらロング・グッドバイ。


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と、今回の文章を書く上でネットを彷徨った際、たまたま見つけた動画が印象深かったので、作品と直接関係ありませんが、リンクだけ貼らせてください―懐かしのWindows95入門ビデオ

―VaporWaveのバイブがそこに・・・。


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(CC) by – nc – nd 3.0



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