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Various Artists – Hyperboloid 2020[HYPR080]

 Various Artists - Hyperboloid 2020[HYPR080] Cover

 – Tracklist –
 01. Summer Of Haze – Classica
 02. cadeu – happy new yeah
 03. Famitsu – Bowser
 04. A.Fruit – Promises
 05. Pixelord – Amen
 06. zarya – Voice Unit
 07. Bad Zu – GET DAT
 08. tropical interface – nitrogen enrichment
 09. Raumskaya – tv252
 10. Max Dahlhaus – AntiLog
 11. Nphonix – Dirty MF
 12. data drain – Time Warp Device
 13. new sylveon – Zwarovski Monolith (Britney’s Cocaina Nightmare)
 14. BOGUE – Deep Deep Down
 15. wac© – Ruins Around Us
 16. Fisky – Millenial Loop
 17. ZAKLADKI – COSMOGRAMMA
 18. Sangam – Arose Into



 - 1. Summer Of Haze – Classica



 - 6. zarya – Voice Unit



 - 8. tropical interface – nitrogen enrichment


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 Release Date : 2020.01.01
 Label : Hyperboloid Records

 Keywords : Bass, Compilation, Electronic, Future, IDM, Russia.


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このご時世にどれだけの人がアルバム単位でnetaudio界隈の音楽を聴いているのかという疑問はありますが、私はといえばやっぱり作品単位で聴いてしまうのですね。アーティスト側が1曲で聴いてくれってなら別ですけれど、何曲かコンパイルして公開しているなら、じゃあそのまま聴きましょうか―いや聴かせていただきます、と。そういう聴き方をしている人間にとってアルバムの冒頭曲というのは非常に重要な意味合いを持っています。その1曲で作品に引き込まれるかどうか、その先を聴くのかどうかが決定すると言っても過言ではない。そういう意味では、この作品は私の耳とハートを、見事に冒頭のトラックでキャッチした。

Hyperboloidはロシアンレーベル(初めは私がHyperboiledと誤読していたのはちょっと内緒)。私が不勉強なだけですでに一定の人気は獲得しているし、少なくない数の作品がリリースされてきています。Bass musicよりのElectronic musicという認識でよいのでしょうかね。アタックの強い電子なリズムをボトムに据えた作品が多いように思います。

今作は2020年1発目にリリースされたレーベルコンピレーションですが、ここでも私の不勉強さがさく裂して、ほとんどのトラックメイカーを存じ上げません…。PixelordやSangamあたりがかろうじて…という感じでしょうか。まあ知ってるか知らないかで聴いてたらこんなブログやってませんから、気にせず聴いていったわけですが、先にも書いたように1曲目がよいですね。妖しげに瞬くシンセとひたひたと歩むリズムは徐々にビルドアップされていく中で近未来都市のようなサイバーな空気も醸しており、実にクール。幻想的なシンセのラインと足早なドラムの対比で陶酔感を生み出すM-3や、リズムの音色変化で翻弄し続けるユニークなM-7、メタリックな収縮と解放を繰り返すM-8(M-7からこのM-8の流れは好きですねぇ)。

不穏な空気ながら、どこかにOutrun的なニュアンスも感じられるM-10も面白い聴き心地だし、いきなりシンフォニックなメタルミュージックのようなヴォーカルが聴こえ始めるM-14は意表を突かれますが、ColdWaveやIndustrialの流れを汲んだ、きちんとしたウタモノです。こうしてかいつまんで書いていてもなかなか聞き逃せない作品だなあと改めて思うわけですが、特に一組、超絶に気になったアーティストがいまして、M-6を手がけたzaryaです。全編通して聴くとよく分かりますが、作中でダントツにPopなフィーリングを放っています。変調されたエフェクティヴなヴォーカルに小刻みなリズムやシンセで作り上げられた冷たく美しい世界が私を魅了してやみません。方向性は異なるんでしょうが、この組み合わせは個人的にlexis shiiを思い出しました。

とここからZaryaの話になりますが、彼らは2018年に始まったシベリアのエレクトロニック・デュオ。HyperboloidのサブレーベルであるINTERNETGHETTOからも“Synthetic World”をリリースしてますし、何気にSIDECHAINSからも“18 y​/​o”をリリースしていて、今作収録曲とはまた趣の異なる彼らの楽曲に触れることができます。アタックの強い、エフェクトの効いたバックトラックでダイナミックに攻めながらもヴォーカルのメロディラインでしっかり聴かせるという見事にPop指向。好きですねぇ、イイですねえ。長く続いてほしいなあと思いますが、どうでしょうか。

とこういうように、存じ上げないアーティストばかりだからといって聴かずに終わらすのではなくて、一歩踏み込んだらお気に入りのアーティストが見つかる、というケースもあるのでね、やっぱりコンピレーションってのは(初見の人に)レーベルに興味を持たせるには最適だし、だからこそ冒頭一発目の曲はより一層重要になってくる、と思わされた作品でした。マル。散々電子なリズムで圧力かけておいて、ラストのSangamがしっとりAmbientで耳をいたわってくれる気遣いやよし。


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 Credit :

Mastering by Pixelord
Artwork by gsm_garden


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zarya – Холодный металл (Cold Мetal)




Crying on Vacation – Frankie [GST​​-​​21]

 Crying on Vacation - Frankie [GST​​-​​21] Cover

 – Tracklist –
 01. Frankie
 02. Fairytale, Fairytale



 - 01. Frankie


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 Release Date : 2018.04.20
 Label : Galaxy Swim Team

 Keywords : Alternative, Indie, Pop, Pop-Punk, Power-Pop.


 Related Links :
  ≫ Crying on Vacation on Twitter

  ≫ Noah Hafford on Facebook / on SoundCloud / on Twitter
  ≫ Dominic Nohai on Twitter


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Galaxy Swim Teamのファウンダーの一人でもあるNoah Haffordが率いるバンド、Crying on Vacationの作品がリリースされています。バンド、とはいってもどれほど強い力でバンドとして結びついているかは分かりませんが、少なくとも今作は4人で作られた作品の様子。前作”So Dude, What Are You Doing After High School​?​” はほとんどNoah Hafford個人による製作だったようなので、バンドというよりはソロユニット的なニュアンスなのかもしれません。余談ですけど、前作も良いんですよねえ。ジャケットイメージもはっきり記憶しているんですが、なんでここで紹介せずスルーしていたのでしょうか。ということで、今作が気に入った方は前作も是非。

で、今作はせっかくバンドで作ったにも関わらずたった2曲しか入っていない! 2曲目はアコースティック調だからバンドサウンドが活きている感じでもないし、ちょっと勿体ない印象です。というのも1曲目を再生した途端のこの疾走感、爆発力ががたまらなくカタルシスで、この調子で全編突っ走ってくれたらなあという思いがあるからです。たぶん‘Frankie’は別れの曲だと思うんですが(違ったらゴメンナサイ)、胸中に湧き上がるやるせなさを全力で振り切ろうとするかのような、この疾走感たるや。ギターのワンフレーズで引っ張りまくりますが、これもまた音楽の魅力。気持ちが良いんですコレで。ミニマルな中で緩急があって、感情性があって、グーンと気持ちが引っ張られる。

Noah Haffordはソロ名義だとChillWave風味のElectronicでセンチメンタルなPop musicを作ってて(このブログでも何回か名前が出てきたと思います)、こういうパンキッシュな曲を作るってことが意外だったんですが、でもやっぱりPopに仕上がってて、どうしたってこの人はPopに向かっていくんだなあと、その志向性には恐れ入ります。しかしこのちょっと鼻にかかったような歌声がアグレッシヴな曲調にまたマッチしててですね、このコンビネーション、個人的にはLagwagonのJoeyを思い出しました。

2曲目は先にも書いたようにアコースティックでしっとり締めくくる感じで、シングルという受け取り方をすれば、この2曲でバランスがちょうど取れてる、のかな。

この作品だけだとPop-Punkみたいな感じだけど、前作では骨太なギターにご機嫌なメロディがさく裂するPower-Popなトラックもあるので(下に1曲)、Weezerとか好きな方にもアピールすると思います。いずれにせよ、今作と共に良作。



 - Skippy (from ”So Dude, What Are You Doing After High School​?​”)


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Noah Hafford – Guitar, vocals, lyrics, mixing and mastering
Jason Hallyburton – Lead guitar, engineering
Adrian Leifson – Bass
Dominic Nohai – Drums

Artwork by Sydney Landis (@ohhisydney)
Music video shot, edited, and directed by Danny Spiteri

(CC) by – nc – sa 3.0



エンヤサン – まさかサイドカーで来るなんて2 [sna-042]

 エンヤサン - まさかサイドカーで来るなんて2 Cover

 – Tracklist –
 01. どうしたって君だった
 02. それはそれでハッピーエンド
 03. UP TOWN(FUMI HIRANO cover)
 04. TONIGHT3
 05. まさかサイドカーで来るなんて2


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 Release Date : 2018.05.23
 Label : 術の穴

 Keywords : Acoustic, Alternative, Hip-Hop, Japanese, Pop.


 Related Links :
  ≫ Enya-Sang

  ≫ エンヤサン on Facebook / on SoundCloud
  ≫ Y-クルーズ・エンヤ on Twitter


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私はまだ(まだ!)買ってなくてスイマセンな“大メインクライマックス”(by ヘイポー)から約半年、エンヤサンのアコースティック(ミニ)アルバム“まさかサイドカーで来るなんて2”がリリースされました。“2”とあるからには1作目もあるわけで、そちらはこのブログでも紹介いたしました。そちらもフリーでのリリースだったわけですが、今作もまたフリー(※SpotifyやApple Musicでも配信予定ですがカバー曲は含まれません。なおiTunesは有料)! ありがとうございます。

Twitterでは“そんなにアコースティックでもない”、“電気もバンバン使ってる”と、ご本人笑ってらっしゃいますが、そんなことはいいんです。私にとってはぜんぜんアコースティックです! そして良い作品です。なんでこんなのフリーで出しちゃうんだろうなあって不思議です。

エンヤサンって私の中では、もしかしたら音楽シーンの中でも、微妙な立ち位置にいるような気がします。ぜんぜん私Hip-Hopとかクラブミュージックとか、興味ないし、積極的に聴かないんですけれど、エンヤサンてそっちフォーマットの曲も多いじゃないですか。でも聴いてしまうんですよ。POP志向っていうか、歌心があるところが、一番のツボなのかなあって自分としては思ってるわけですが、でもそれだけじゃなくて、このシリアスとジョークを渡り歩く華麗なセンスもすごい好きで。最近でいったら“大メインクライマックス”のCMとかすごいふざけてるし、“▽”の‘Aizuchi’も雪男との会話だし、Y-クルーズ・エンヤの‘Special Thanks’はセクシー女優名をひたすら読み上げていくという(トラック担当は食品まつり)だし、かと思ったら‘あるく’は深夜のウォーキング中の物思いが人生の捉え方につながっていくような、シリアスな内容だし(でもユーモアも忘れてない)、‘きれいごと’というネガティヴな言葉を受容するまでを描いたような(歌詞の意味は明らかにされていないけど)、‘きれいごと’も涙腺刺激するし、恋愛における曖昧さを“未確認”と表現し、そこから“UFO”へと繋がり、“「フォー・ユー」反対から読んで”という歌詞に着地する“UFOr”も切なさ沁みてくるし、このふり幅というか懐の深さよ。



そしてこのシリアスな側面は往々にして装飾を削いだアコースティックなトラックで際立ってくるし、またメロディも同じく。つまり今作はエンヤサンのシリアス(に見える)面がギュッと詰まったスペシャルな盤なのです。映画を観ながらのシチュエーションに絡めて“バッドエンドもいとわない 愛してる”と唄うラブソングな‘どうしたって君だった’、気まぐれで始まった関係性に酩酊感を絡めながら思い巡らせる‘それはそれでハッピーエンド’、サイケデリックな脱力POP/NewWaveな平野ふみさんのカヴァ―UP TOWNは見事なハマりっぷり。

続く‘TONIGHT3’は、日付の変わるころ、深夜の物思いを歌ってて、これは‘あるく’の延長線上だなあ、いいなあ、タイトルは“深夜”から“トゥナイト”へつながり、そこから“トゥナイト2”にひっかけたのかな、それも面白いなあなんて思って聴いていたら…、ご本人“競艇の歌です”って。ええ? どこが? ってミュージックビデオ観て、笑ってしまいました。競艇に妙に重なる。“横目に見える 紙切れが舞う 最後に笑う 笑う”って、競艇場で舞ってる紙切れって!! 勝手に深夜のアーケード街で頭の横をチラシが舞ってるような侘しいシーンを思い浮かべていたのに! でもこのどっちにも取れる感じがもうエンヤサン! “まさかサイドカーで来るなんて”に入っていた‘つまる うまる おもい こよい’も恋愛関係の終わりにも取れるし、長年住んだ部屋とのお別れにも取れるっていうダブルミーニングソングだったので、この捻りっぷりはエンヤサン節。そして間違いなく作中のハイライト。いい曲。



ラストはね、絶対こういうのねじ込んでくると思った。前作もタイトルトラックはユーモア溢れてたし、今作もそれを踏襲。やってくれます。ラジオDJ役誰ですかね。ちょっとミドリカワ書房の作品思い出しました。DJさんのグイグイ感面白いなあ。“詰めが甘いのがウリかぁ?”に笑う。無理やり曲やらせといて“イマイチだなあ”ってどんなナビゲートだよ。最後“視聴者のみなさんも、何かしら、やってこうじゃん。生きてんだしさ”ってどういうまとめ方だよ! “DJぐっちぃのまるでアレだよね”聴きたかった…。

ということで、激オシなんで、未聴の方は是非。歌詞カードもついてます。しかも今作に合わせて前作も再リリースされたので、これは一緒に聴くしか。私が“まさかサイドカーで来るなんて”から彼らのファンになったように、この作品からファンになる人がまた、いるんじゃないですかね。まあファンだったら早く“大メインクライマックス”買えよって話ですよね。おっしゃる通り!



AVION – Dreamin [AS139]

 AVION - Dreamin [AS139] Cover

 – Tracklist –
 01. where are you?
 02. sky full of stars
 03. dreamin
 04. mysterious
 05. relax please
 06. natural beauty
 07. stranger
 08. under the rain
 09. bored
 10. beach
 11. hot summer
 12. chillin easy
 13. 夜club 1988
 14. 奇妙thoughts
 15. flashbacks



 - 01. where are you?


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 Release Date : 2018.01.30
 Label : Adhesive Sounds

 Keywords : Ambient, Dream, Meditative, NewAge, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ AVION on SoundCloud / on bandcamp


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音楽作品に対する期待値っていうんですか、理想値っていうんですか、そういう線上のグラフのようなものが心の中に何とはなしにあります。頭から尻までをひとつの流れとした場合に、個々はもちろん、全体像としての理想的な流れというか展開というか。VaporWaveの作品って、いやそこに限らずですか、たとえば頭の辺りで“おぉ!”となっても、どっかどうかで“そっちに行ってしまったか…”と期待を外れること、ないですか(偉そうだナ)。

この作品は、私の中の期待値、理想値にきわめて近い流れを保っているのです。近似しているというか。

熟れきった果実から滴る果汁のような、極上の甘さ(私にとっては甘いのです)。熟じながら腐敗に向かうがゆえの、危うさ(エディットによって醸されるこの辺りの翳りがVaporWave特有のそれではあるまいか)。NewAgeに潜むノスタルジー。オリエンタルな気配。実際元ネタがあるのかもしれないが、そんなことはどうでもよくなるくらい、実によくまとまっていて、聴きやすく、そして聴いていて心地よい。

“気持ちの良い日”がいつまでも続くような。それはつまり夢のような。“Dreamin”とはよく言ったもんだ。スタンダードで、ストレートで、極めてシンプルで、だからこそ、芯が際立つ。

このAVION、どこの方かと思ったらロシアの方なんですかね。VKを眺めてるといろんなアーティストの音源が貼られているけど、小田和正があって意表を突かれた(笑)。Pop指向の人なのかな。今作が基本的にメロディを壊さないエディットスタイルなのも、頷けるような。でも“CYBERHEAD”とかは、ちょっと異形感あって、また別の顔をのぞかせている。

こういうホントにオーソドックスなVaporWaveって作るの難しいのか簡単なのか私にはよく分からないんですけれど、クオリティや評価は、もうセンスの問題なんですかね。もっとこういう作品に出会いたいですね。

 - 夜の寺院 : 久石譲的meditation。記憶のエコー。※SoundCloudから消えたけど“休暇の写真”に収録されました。



Galaxy Swim Team – New Crown [GST​-​18]

 Galaxy Swim Team - New Crown [GST​-​18]

 – Tracklist –
 01. Post Boy – New Crown
 02. chalkboards – Guanajuato
 03. Jackson Scovel – Change of Pace
 04. Natbird – We Will Heal
 05. Noah Hafford – Honey
 06. hellstar.plus & Ivy Hollivana – Now I Know
 07. GWIZ – Crossroads
 08. Inniqleia – Spectral Resonance
 09. skybox – Lavender Skies (Feat. Business Pastel)
 10. DBOYD – Come Away With Me
 11. Lighten Up! – Young at Heart
 12. bansheebeat – Bombos



 - 05. Noah Hafford – Honey



 - 10. DBOYD – Come Away With Me


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 Release Date : 2017.11.14
 Label : Galaxy Swim Team

 Keywords : Ambient, Chiptune, Compilation, Indie, Pop, Vocal.


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カリフォルニアのレーベル、Galaxy Swim Teamからのコンピレーションです。勝手にChiptuneレーベルな認識を持っていましたが、聴いているとそれは狭い認識だったとわかります。

冒頭のタイトルトラック‘New Crown’からしてヴォーカルの入ったShoegazeだ(と私は思っている)。ゆるやかなメロディと力の抜けたヴォーカルが浮遊するギターポップでもある。‘Guanajuato’は夕暮れのまどろみと薄れゆくぬくもり(それは日没を意味する)が漂うAmbientトラック。chalkboardsは同レーベルからも“h​.​a​.​k​.​a​.​s.”をリリースしていますが、そちらも和やかな、ゆるくてフワリとしたポップ作品になっているので、このトラックが気になる方にはオススメです。

Jackson Scovelの‘Change of Pace’はAlternative~Post-Rock、そしてUSインディな雰囲気のあるバンドサウンドになってますが、ひとりでやってんのかな?と思ったら、jackson scovel = astroskeletonだった。あちらではポップで切ないChiptuneを鳴らしているのに、名義が変わるとぜんぜん違うサウンドになりますね。驚いた。jackson scovel名義の“quieting”なんかは楽器音を活かしつつも、割とastroskeletonに近しい部分もあって、中間的なイメージです。

Natbirdの‘We Will Heal’はピアノがたなびくミニマルな小品。物憂げな空気もありながら淡々としており、この雰囲気大好きです。心にちょっと引っ掛かりがありながらも家事を淡々とこなしている風景。それってHealですよね(きっと)。続くNoah Haffordの‘Honey’の突出感。急にメロディと感情があふれ出してきて耳を奪われる。名前を見ずに聴いていたら“誰だコレ!?”って興奮し、チェックして納得。ChillWave経由で描かれるサンセットなシーンはリスナーを手を止めること間違いなし。改めて優れたメロディメイカーだと実感しました。

リズムを利かせたエレガントなヴォーカルトラック‘Now I Know’から後半に。シアトリカルなVGMの雰囲気もある‘Crossroads’やサイバー/ダークなザラついた空気も持った‘Spectral Resonance’辺りで、徐々にChiptuneへのムードを高めつつ、次のskybox(元shoujo kissですネ)による‘Lavender Skies’、続くDBOYDによる‘Come Away With Me’で、ドライブ感満点のChipsoundが披露され、その空気が解放されます。特に後者は往年のカプコンのサウンドチームALPH LYLA(アルフ・ライラ)を彷彿させてアツいです。

ファンファーレのようなイントロから幕開けするどこかファニーなエモーショナルヴォーカルトラック‘Young at Heart’。そしてトリのbansheebeatはこの界隈では名前は通っておるでしょう(同レーベルからの“Techo☆Deluxe”も素敵です)。珍しく?せわしない、アグレッシヴなリズムが印象的です。タイトルの‘Bombos’ってのは民族音楽で使われる大太鼓らしいですが、その辺りも意識されているのでしょうか。休むことなく最後まで突っ走り続ける音像と重く響くドラムスは、大海原を戦いに向けて進んでいるような、雄大さと緊張感が漂います。

ちなみに今作に合わせて(今作を聴きながらプレイしてほしいとのことで)、ウォーキングゲームがリリースされています。気になる方は下記リンクからどうぞ。


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DOWNLOAD OUR ACCOMPANYING GAME FOR FREE
galaxyswimteam.itch.io/new-crown

(CC)by – nc – sa 3.0



Hotwax – Communicator

 Hotwax - Communicator

 – Tracklist –
 01. Aerotropolis
 02. Visionary ft. Navigateur
 03. Between the Rivers
 04. Titania
 05. Isopod
 06. Overpass
 07. Cyclical
 08. Rockaway ft. Steffaloo
 09. Gunlock Ave
 10. Skygrid
 11. Celestial
 12. Eternal



 - 01. Aerotropolis


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 Release Date : 2017.06.30
 Label : 2060 Records

 Keywords : Ambient, Chill, Downtempo, Dream, IDM, Trip-Hop.


 Related Links :
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アメリカの2060 RecordsからリリースされているのがHotwaxの“Communicator”。今作が初作ではなくて、これまでにも自身のbandcampから複数作品をリリースしていますし、またVacant Magicから“Dawn Emerges”、“Crystalline EP”のリリースがあったりしますし、SoundCloudでも多数のトラックを公開しています。

一発聴いて思ったのは、レーベルメイトでもあるLost Integrityのサウンド(最近動きがないですねえ…)。ということはさかのぼればBoards of Canadaも見えてくるということですが。白く濁ったアンビエンスと、ミドルテンポの安定したリズム、丸く柔らかいシンセのメロディ。作りとしては簡素だと思うんですが、でもそこに現れるドリームなスケープは確かに両耳を通じてリスナーを包み込んでくるし、また心地よいものなのです。エフェクトやサウンドの組み合わせの妙なのでしょうか。

サウンドは見事に統一されていて、まさに夢の中の散歩といった調子なのですが、‘Visionary’‘Rockaway’のようなヴォーカルトラック(これがまたいい)だったり、ラッシュ感のある‘Titania’を織り込むことで、その道程には絶妙に緩急がついている。先に出した“Crystalline EP”、それから自身でリリースしている“Captivate EP”などを聴くと、見せる景色は似通っているが、その耳触りは似て非なるものになっている。まずシンセのアタックが強いし攻撃的な印象もあるし、メロディも控えめで、SynthWaveというのは言い過ぎかもしれないが、ところどころ80sなサウンドを感じさせる部分もあったりする。作品によって、というよりは、自身のスタイルを模索している過程がそのまま作品に現れているような気もします。もちろんここでフィニッシュというわけではないでしょうが、確かに今までの中では完成度はもっとも高いと思います。しかし見る限りでは2011年の“Open Eyes EP”ですでにスタイルはほぼ出来上がっているので(特にWashed Out’sの‘Echoes’をサンプルにした‘Escape’がよいですね)、らせん状に上に上っている感じでしょうか。



 - ‘Escape’ (from “Open Eyes EP”)


さて、今作、全編一本調子(気味)なのはプラスに考えればそれだけひとつの夢にたゆたうことができるということ。十分Ambient的ですが、個人的にはもっとAmbientに傾いても好きですね。気に入った方は是非ほかの作品、トラックも聴いてみてくださいね。


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Guitar on “Visionary” by Nate Wagner.
Vocals on “Visionary” by Navigateur.
Vocals on “Rockaway” by Steffaloo.
Mastered by Drew Porras.



polu – waffle

 polu - waffle

 – Tracklist –
 01. Fortissimo (feat. KuTiNA)
 02. waffle
 03. Fortissimo (feat. KuTiNA) (instrumental)
 04. Fortissimo (feat. KuTiNA) (Famires Remix)
 05. Fortissimo (feat. KuTiNA) (stepic Remix)



 - 01. Fortissimo (feat. KuTiNA)


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 Release Date : 2017.06.04
 Label : Synthikate

 Keywords : Electronic, House, Pop, Remix, SynthWave, Vocal.


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シンクロニシティというヤツを皆さんは信じるだろうか。この界隈において私にままあるのが、“あのアーティスト何やってるのかなあ”と思いめぐらせたときに、そのアーティストの新譜に出くわすという事象である。これがなかなかの頻度で起こる。タネを明かせばおそらくはどこかで何がしかの情報を目にしており、それが脳内のいずこかにインプットされ、しかし私はそれを忘れ(あるいは気づかずに)、そのインプットが引き金となって、先の思い巡りに至っているだけなのかもしれない。が、そうではない可能性もある。第六感。セブンセンシズ。いやそれは違う。なんてな。

少し前に私が思いめぐらせていたのは、“はて4ruは今何やってるのかなあ”ということである。“そういえば名前変えてたよなあ”、というところまではたどり着けたのだが、そこから先に進まず。ついぞ彼の近況にたどりつくことはできなかった。4ruというのは韓国のトラックメイカーで、オフィシャルなリリースはほとんどなかった。私の知る限りでは、今作と同じ韓国のコレクティヴであるSynthikateからの“MileFeuille”にRemixで参加したのと、“Coloridium”のコンピレーションに‘Melon Cream Soda’を提供しただけ、ではないでしょうか。いつもWIP = Work In Progressな短いトラック(あるいは断片)をSoundCloudに挙げては熱心なファンを喜ばせ、そしてすぐに消すということを頻繁に行っていました。エモーショナル(emoって言っていいのかなあ)でメロディに富んだサウンドは、カラフルなメイクを施され、いつもPopで、アップロードの度に私も耳を傾けていました。

でも変名後の彼にたどり着けなかった私は意気消沈。もういなくなってしまったのかと半ば諦めもありました。が。ふとSoundCloudで流れてきたこのリリース。あれ、これ、もしかして、4ruの新しい名前じゃなかった?なんて思ってたら、polu = 4ruの文字を見つけ、ああまたもやシンクロニシティ(ちょっと意味違うかもな)と、ビックリうれしい驚きと、相成りました。

そして今作、‘Fortissimo’とそのインスト、そしてRemixが2つ、プラスタイトルトラックということで、実質的にはシングルのようなイメージですね。韓国のヴォーカリスト/ヴォイスアクターであるKuTiNAを迎えた‘Fortissimo’は2分ちょっとの短いトラックなんですが、変わらずPopでニンマリです。この手のElectronic/Popなトラックにありがちなウィスパーな儚げヴォーカルではなく、スキャットじみた冒頭からその歌声は力強くリスナーを刺激する(私の中ではこういうヴォーカルの方がPop musicのイメージに近い)。言葉は韓国語なのかな、ちょっと意味は分からないんですけれど、その摩訶不思議な聴き心地も愛おしく感じる始末。ヴォーカル抜きのインストも収録されているけれど、声という感情表現の手段が抜かれたことで新たな聴き心地が獲得され、しかし主たるメロディが消えたことによる物足りなさはないのだから、恐れ入る。

Remixも聴きごたえあり。Famiresで誰だろうと思ったら、omoshiroebiさんの新しい名前だった。よりシンセサイズで、EDMライクなアタックの強さもあり、ギターかな?エモいフレーズも挿入されていて、すごくエキサイティング。オリジナルとは違う魅力で良Remixです。対するstepicのRemixが対照的で、スローダウンしたエコーイックでファンタジックな音像から始まり、アコギやピアノもまぶしつつ、やがて訪れるダイナミックな展開とオリエンタルなメロディでカタルシス。これまた良Remixです。こうして聴くとそう、‘Fortissimo’は、そのインスト、そのRemixたちと、みな違った聴き心地があって、一粒で4度楽しめるのです。

その上、タイトルトラック‘waffle’も収録されている。物憂げな雨の効果音とマッチする、丸いサウンドのイントロ。やがてさまざまなサウンドとメロディ、フレーズが交錯し、カラフルな世界が描かれ、その最中にもキュートなヴォイスやエディットヴォイスで巧みなブレイクを差し挟み、また物憂げな雨のシーンに返っていくという、雨の日に羽ばたく想像の翼を音像化したような、素敵なトラック。

常にその才能をうかがわせるトラックたち、間違いなく優れたトラックメイカーだと思っていますので、名前も変わったことだし、ここからはコンスタントにリリースしてほしい! ちなみにこのカバーイラストもpolu本人が描いているみたいですよ。