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polu – waffle

 polu - waffle

 – Tracklist –
 01. Fortissimo (feat. KuTiNA)
 02. waffle
 03. Fortissimo (feat. KuTiNA) (instrumental)
 04. Fortissimo (feat. KuTiNA) (Famires Remix)
 05. Fortissimo (feat. KuTiNA) (stepic Remix)



 - 01. Fortissimo (feat. KuTiNA)


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 Release Date : 2017.06.04
 Label : Synthikate

 Keywords : Electronic, House, Pop, Remix, SynthWave, Vocal.


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シンクロニシティというヤツを皆さんは信じるだろうか。この界隈において私にままあるのが、“あのアーティスト何やってるのかなあ”と思いめぐらせたときに、そのアーティストの新譜に出くわすという事象である。これがなかなかの頻度で起こる。タネを明かせばおそらくはどこかで何がしかの情報を目にしており、それが脳内のいずこかにインプットされ、しかし私はそれを忘れ(あるいは気づかずに)、そのインプットが引き金となって、先の思い巡りに至っているだけなのかもしれない。が、そうではない可能性もある。第六感。セブンセンシズ。いやそれは違う。なんてな。

少し前に私が思いめぐらせていたのは、“はて4ruは今何やってるのかなあ”ということである。“そういえば名前変えてたよなあ”、というところまではたどり着けたのだが、そこから先に進まず。ついぞ彼の近況にたどりつくことはできなかった。4ruというのは韓国のトラックメイカーで、オフィシャルなリリースはほとんどなかった。私の知る限りでは、今作と同じ韓国のコレクティヴであるSynthikateからの“MileFeuille”にRemixで参加したのと、“Coloridium”のコンピレーションに‘Melon Cream Soda’を提供しただけ、ではないでしょうか。いつもWIP = Work In Progressな短いトラック(あるいは断片)をSoundCloudに挙げては熱心なファンを喜ばせ、そしてすぐに消すということを頻繁に行っていました。エモーショナル(emoって言っていいのかなあ)でメロディに富んだサウンドは、カラフルなメイクを施され、いつもPopで、アップロードの度に私も耳を傾けていました。

でも変名後の彼にたどり着けなかった私は意気消沈。もういなくなってしまったのかと半ば諦めもありました。が。ふとSoundCloudで流れてきたこのリリース。あれ、これ、もしかして、4ruの新しい名前じゃなかった?なんて思ってたら、polu = 4ruの文字を見つけ、ああまたもやシンクロニシティ(ちょっと意味違うかもな)と、ビックリうれしい驚きと、相成りました。

そして今作、‘Fortissimo’とそのインスト、そしてRemixが2つ、プラスタイトルトラックということで、実質的にはシングルのようなイメージですね。韓国のヴォーカリスト/ヴォイスアクターであるKuTiNAを迎えた‘Fortissimo’は2分ちょっとの短いトラックなんですが、変わらずPopでニンマリです。この手のElectronic/Popなトラックにありがちなウィスパーな儚げヴォーカルではなく、スキャットじみた冒頭からその歌声は力強くリスナーを刺激する(私の中ではこういうヴォーカルの方がPop musicのイメージに近い)。言葉は韓国語なのかな、ちょっと意味は分からないんですけれど、その摩訶不思議な聴き心地も愛おしく感じる始末。ヴォーカル抜きのインストも収録されているけれど、声という感情表現の手段が抜かれたことで新たな聴き心地が獲得され、しかし主たるメロディが消えたことによる物足りなさはないのだから、恐れ入る。

Remixも聴きごたえあり。Famiresで誰だろうと思ったら、omoshiroebiさんの新しい名前だった。よりシンセサイズで、EDMライクなアタックの強さもあり、ギターかな?エモいフレーズも挿入されていて、すごくエキサイティング。オリジナルとは違う魅力で良Remixです。対するstepicのRemixが対照的で、スローダウンしたエコーイックでファンタジックな音像から始まり、アコギやピアノもまぶしつつ、やがて訪れるダイナミックな展開とオリエンタルなメロディでカタルシス。これまた良Remixです。こうして聴くとそう、‘Fortissimo’は、そのインスト、そのRemixたちと、みな違った聴き心地があって、一粒で4度楽しめるのです。

その上、タイトルトラック‘waffle’も収録されている。物憂げな雨の効果音とマッチする、丸いサウンドのイントロ。やがてさまざまなサウンドとメロディ、フレーズが交錯し、カラフルな世界が描かれ、その最中にもキュートなヴォイスやエディットヴォイスで巧みなブレイクを差し挟み、また物憂げな雨のシーンに返っていくという、雨の日に羽ばたく想像の翼を音像化したような、素敵なトラック。

常にその才能をうかがわせるトラックたち、間違いなく優れたトラックメイカーだと思っていますので、名前も変わったことだし、ここからはコンスタントにリリースしてほしい! ちなみにこのカバーイラストもpolu本人が描いているみたいですよ。



keiss – The Breath [TM24]

 

 – Tracklist –
 01. Looking Around
 02. Foggy Mirror Pictures
 03. Do Your own Mistakes
 04. The Last Tram
 05. Clinic On Your Mine
 06. Little Big Secret
 07. Ocean
 08. Save Me From Myself
 09. Memory Shards
 10. Waiting For The Flight



 - 09. Memory Shards


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 Release Date : 2016.04.21
 Label : TOUCHED MUSIC

 Keywords : Ambient, Electronica, IDM, Scenery.


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NENORMALIZMからlwpssとの共作としてリリースされた“Snowfall in spring”を聴いたときにも感じたことだけれど、keiss(Stanislav Kovalev)のサウンドはとても風景的だと思います。

この作品の1曲目など、どうですか。決してネガティヴにはとらえてほしくないんですが、曇天の風景が浮かんでは来ませんか。私の脳内には一聴、曇天の空を渡る生暖かい風が吹きました。晴れでもなく、雨でもない、曇りという空模様は、見方によってはニュートラル、中庸であると考えることもできませんか。どこにも着地せず、フワリと宙を舞っているような、そんな不思議なムードを持ったkeissのサウンドには、ニュートラルなイメージが良く似合う。それは哲学的な“中庸”とはまた趣が違うのかもしれないけれど。

サウンドのスタイル、ジャンルは何かと問われれば、私はAmbientと応えるだろうけれど、これでは意味が広すぎるだろう。アッパーでもない、ダウナーでもない、アブストラクトでもない、かといってピュアなトーンでもないし、メディテイティヴなものとも異なり、やはり風景的(scenery)、あるいはイマジネイティヴなAmbientなのです。朝焼けや薄暮といった、幻想的でノスタルジックな風景や、霧に包まれた山間部のような深遠な気配、孤独な物思いといった内省的なシチュエーション―

個性的だと感じるのは、リズムはあれどもそれが決して曲を動かす役目を持っているかというと、そうともいえないところ。Drum ‘n’ Bass(DnB)のリズムパターンも多用されているし、Glitchのようなエフェクトも散見される。けれどそれが決して曲の要になっていない。さりげなく添えられているそれはまさに風景の一部であり、あくまで主役はそこにある空間になっている(なんならビートレスでも成立する作品ではないだろうか)。ときにはギターの旋律を差し挟み、感情性を漂わせる。あるうねり、流れを持った風景の中にギターで以て感情を描くのは、確かにPost-Rock的でもある。

そんなように、一聴すると確かにAmbientであり複雑さは感じないのだけれど、耳を近づけるとさまざまなサウンドのエッセンスが浮かび上がってくるのも、聴きどころかと。ボンヤリとした聴き方にも、耳を凝らした聴き方にも対応する、daydreamingなサウンドトラックかと思います。一番好きなのはM-9‘Memory Shards’。Deep Ambientな出だしから、Electronica/IDM~DnBへとテクスチャーが移行していく中、保たれるAmbientiveな空間。風景的でありながら音楽的なカタルシスも内包されており、白眉かと思います。

ちなみに現時点でもっとも新しいトラックは“life as a vital amount”。タイトルにふさわしい力強いトラックになっています。気になる方は是非、聴いてみてください―





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Mastering by Ruxpin
Original photographs and artworks by Elena Rish

keiss would like to thank: lwpss, Elena Rish, Martin Boulton and Touched Music, Ruxpin, Sobrio and all Nenormalizm Rec community.



Various Artists – 人間指南

 Various Artists - 人間指南 Cover

– Tracklist –

 01. sususu&56loop – 霓虹過客
 02. LinFeng – Memories Of Reiko
 03. Fantasy Girl 1985 – Musicassette
 04. Goldchild – Feeling Lucky
 05. soulspeak – Aliens Born Chinese
 06. Fcyco – 颈椎病植入DNA1999
 07. Radiax – Touch
 08. Zean – Make It
 09. JoyGInger – Battle
 10. Lofimaker – Black Or White (LOFIMAKER Remix)
 11. Ops.7 – Schizophrenia



 - 03. Fantasy Girl 1985 – Musicassette


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 Release Date : 2017.04.24
 Label : Babel Records

 Keywords : Beats, Future, Hip-Hop, Neo-Soul, SynthWave, Urban, 90s.


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中国は北京のレーベル、Babel Recordsより。2016年の“夏日賓館”に続くコンピレーション“人間指南”がリリースされています。

世界のシーンすら見えていない私に中国のシーンなど分かるはずもありませんが、調べてみると、どのトラックメイカーもこの界隈のレーベルと何かしらの形で関わりがあるようで、色々なところで名前を見ることができます。ただ惜しむらくはそうやって調べないと情報にたどり着けないところ、でしょうか。どうもあまり対外的な活動をみなさん行っていないようで、各トラックメイカーのSoundCloudを覗いても、必ずしも今作への収録トラックが公開されているわけでもなし、リリース情報が掲載されているわけでもなし。それをいったら、そう、レーベル側からアーティストのネットスペース―何がしかのアカウントへのリンクも貼られていないようだ。だからこそ穿り返すことの楽しみもあるわけだが・・・もう少しオープンでもよろしいのではあるまいか。などと考える。

そう思うのは今作が積極的に耳を傾けるに値する、素敵な作品だからです。90年代のPop musicをビンテージなアナログトーンでもってサンプリング、というのが今作にある一定の方向性のようで、これによって90年代の中国を未来的に再形成する、描いて見せる、というのが、意図としてあるようです。

何の基盤も持たない私はサンプリングソースについてはもちろん、“ビンテージなアナログトーン”についても具体的な言及できないわけですが、おっとそう、今作はまあHip-Hopと言える作品になっておりまして、どの作品もメロディを使っていて、そこにモコッとした楽器音が入ってくることで煤けたセピアなカラーを塗りながら、それでいてシンセサイズな電子音をぶつけてきたりもするので、まさにレトロフューチャリスティックな過去から見た未来が描かれているような。たとえば90年代の中国の在り方―政治や経済などがどのような状態であったのか、そこと関連づけて今作を聴いたり論じたりするのも楽しみ方の一つかと思うので、興味のある方、そしてできそうな方は是非やってみてください。

どのトラックもみんなフックがあって良いんですが、最も好きなのはM-3‘Musicassette’です。SynthWave meets Hip-Hopっていうか、ちょっとChiptuneっぽい響きもあって、経済成長の時代に夢見たロマンチックな未来、その都市の夜景、みたいな(その未来は今ではないのだろうけれど)。けれどFantasy Girl 1985の素性がつかめない。ほかの作品でも出てくる名前なのですが、レーベル、チャンネル、コレクティヴ、あるいはプロデューサーのチームのような、複数名の集合体なのでしょうか。

Michael Jacksonの‘Black or White’を使ったM-10も面白いですね。どことなくオリエンタルなフレーズを挿入したり、原曲のエモーショナルな歌唱が生かされていて、肉体性もあり、作中でも異色(というよりRemixとなっているから他トラックとは毛色が違うのは当然なのかもしれない)。

他トラックメイカーもなかなか名前を拝見したことのない方が多かったので、せっかくなので他作品からのトラックも―



 - sususu;Cattzim – sweet​,​sweet tone (from “Before Midnight”)



 - ​VISUDY;阿克江 – Seaside Motel​ (from “夏日賓館”)


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 Note :

以未来之声重塑一个八九十年代的中国场景为主题,来自北京的电子厂牌BabelRecords在4月末发行了一张令人瞩目的复古合集《人间指南》,这是自去年的《夏日宾馆》后他们再次高调发声。
Reshaping a 90’s Chinese scene with a futuristic vibe, Babel Records has just released a compilation full of vintage elements —‘人間指南’. The collection of tracks makes a strong follow-up to their previous compilation ‘Hotel Summer’ released in 2016.

整张专辑中,12首作品都融入自己的思考,采样90年代流行金曲或者运用你熟悉的模拟音色,让回到过去的思维与身处当下的空间感相互融合,重塑一个充满矛盾的复古又未来的八九年代中国场景。

The tracks of this compilation have a sonic coherence. sampling 90s’ pop music with vintage analog tones. Let your mind intermingle with time and space, and reshape a space which full of the contradictions of 90s’ China.

Cover Art by Lofimaker & 重型燈



Purl – Childhood Dreams [ETNLR09]

 Purl - Childhood Dreams [ETNLR09]

 – Tracklist –
 01. Childhood Dreams





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 Release Date : 2017.02.14
 Label : Eternell

 Keywords : Ambient, Dream, Drone, Memory.


 Related Links :
  ≫ Purl on SoundCloud

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自分にとって、世界はもう長いこと―本当に長いこと―、輝いていない。いつ以来だろうと、思いを巡らせたときに、いつも思い出すのは―

学生生活を終えたものの就職できなかった私は、実家のある田舎に引き戻された。ドがつくほどの田舎ではないが、それでも町の中心部からは程遠い、近くのドブ川を跨げばすぐに隣りの市に入るような、隅っこにあるのが私の家だった。実家住まいでバイト暮らしと言えば金は貯まりそうだが、選んだ仕事の時給の安さでそうも上手くいかず、私が都内に出るときはいつも数時間かけての鈍行だった(まあ鈍行でも上れるんだから悪くはない環境だった、今思えば)。

都心に出て、異性(この書き方はいやらしいか。有体に言えば彼女だ)と、映画を観た。単館上映の映画で、地下にあるちっさい館内で、でっかいスクリーンを見上げながら、二人で涙ぐんだ。そこからきっと魔法にかかったんだろう。昼食を食べ、街をぶらつき、夜になり、帰るはずの時間にも、私(たち)は帰路につかなかった。宿泊という選択で一夜を明かした私たちは朝になってようやく家路に向かったわけだが、電車の時間を見誤って、バイトの時間が迫りまくっていた私は超がつくほど焦っていて(真面目だな)、地元の最寄駅に停めてあった自転車に跨るや猛スピードでペダルを漕いだのだった。しかし、急ぎペダルを漕ぎながらも、私の目に映るすべての景色は、確かに輝いていた―朝日を反射する川面、その川沿いに繁茂する名も知らぬ植物、空を流れる雲、道路を走る車たちやガードレール。あれほど世界が輝いていることを実感したことは、あれ以降ないと断言できる。机の上の埃にさえ、輝きを見出したことだろう。

文字通り息を切らしてバイト先へ駆け込んだ私は前髪の乱れを気にしながら他のスタッフにあいさつをしたが、いつもより早く到着した私は怪訝そうな顔で出迎えられ、変にきまずい空気が流れたのだった。

そのときのことは別のブログに記してあって、しばらくは読み返すたびに、その世界の輝きが私の中にカムバックしてきたものだった。しかしいつしかその効果も時間の流れと共に薄れていき、ついには魔法は解けてしまった。つまりは世界は輝かなくなってしまった。

この作品を聴いて世界が輝きだしたということではなくて、かつて世界が確かに輝いていたことを思い出したのです。メモリー。記憶。思い出の物語。スペル・イズ・ブロークン。それは大人になることとは違うんだろうけれど。

ああ、上記の映画、私は珍しくパンフレットを買って、それは今でも本棚の端に鎮座ましましている。


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Ludvig Cimbreliusはこの他にも多くの名義を使っていくつも作品をリリースしてるので、気になってしまった人は探ってみてくださいね!


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 Note :

Made long ago (sometime in my late teens) from the warm light of early autumn, the soft undefinable longing of the cool evening breeze playing with the leaves that just started to turn colors, just beginning to fade…

Music by Ludvig Cimbrelius

Cover art by Brian Young –
www.flickr.com/photos/stillespace/
www.instagram.com/losingtoday/



helen – 404

 helen - 404 Cover

 – Tracklist –
 01. エコー
 02. 誰がそこに行く
 03. 悲惨
 04. 私は眠れない
 05. 何も終りはありません
 06. ヘレン



 - 03. 悲惨


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 Release Date : 2017.1.21
 Label : Not On Label / also available on New World.

 Keywords : Ambient, DreamPunk, Electronic, Future, VaporWave.


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都市の夜景。ビルの間を渡る風。往来を渡る車、列車、バイク、行き交う人々。レトロフューチャーというよりは、サイバーパンクな未来風景。決してあからさまではないその見せ方が、好ましい。私の脳裏に浮かぶのは、“Blade Runner”でもなく、“攻殻機動隊”でもなく、なぜか“The Matrix”なのであった。なぜかはよくわからない。ただおそらくは、使われているセリフなどを鑑みるに、世界観としては“serial experiments lain”なのではあるまいか。未見ではあるが。しかしこの精神世界へのコネクトを感じさせるサイケデリックな質感は、確かに“レイン”が感じさせるものと似ている。ように思う。ぼんやりとではあるけれど、電脳的精神世界とでも呼ばせて頂ければ幸い。

さて―

M-2―ズッシリとしたリズムの裏で加速する音風景や細かく刻まれるエフェクトは、薄汚れた電脳世界をさまよう意識、その領域は一つの到達点を求めてゆるやかに収斂する。最中に混線したように入り込んでくるスポークンワード。他のトラックにおいても散見されるそれらワードは、日本語をメインにしており、日本語圏以外では一風変わったエキゾチックな―異国情緒を醸すのかもしれないが、ここ日本、私の耳には、その言葉の意味はストレートに入り込み、意識にまとわりつき、ある種の精神世界的な気味の悪さを感じさせるのである。

携帯電話がふるえるバイブ音をエコーさせてリフにしてしまう‘悲惨’が面白い。雑踏の声や音、種々のシンセティックなサウンドが左右の耳朶を舞い、そこには、ネオンに彩られたサイケデリックな未来の―あるいは目にしたことのない世界の―繁華街が浮かんでくる。すれ違う人たちの背中はみな煤けていて。薄汚れた衣の下に隠されたサイバネティクスの影。マンションの一室にいる情報屋には金だけとって逃げられる。

ミスを犯し街をさまよう―‘私は眠れない’。寄る辺ない彷徨。ネオン瞬くバーの扉の隙間からフリークスが顔を出す。視線が絡む。お互い珍しくもないといった感じで表情なく、視線を外す。動かない感情。

電脳の網の目の中に見つけた失われたアイデンティティー―‘ヘレン’。かつてあった本当の自分、自らも知らない自分―それは真実か否か―を見つける瞬間というのはとても恐怖であり、ショッキング。大いなる意思に逆らって突き進むも、繰り返される‘Lets never come here again’の言葉。だが自らの存在を知るために、そしてこの世界の仕組みを知るために、進み続ける「私」。やがてスローモになる音の流れは、機能の停止か。悲しきcybernation doll

と、思うままにイメージを書き散らすと二束三文な、どこかで見たようなイメージに引き寄せられてしまうのですが。万有引力。それも面白い。でもAmbientな佇まいでありながらドリーミィ(あるいはサイケデリック)でCyberPunkな音世界を描いており、DreamPunkという言葉はまさに相応しい。こういうVaporWaveを経由したであろう、仄暗く、シネマティックなサウンドスケープ、好きであります。Setsuko Suwa(諏訪節子)なんかも好きなのよなあ。彼/彼女のトラック“06“のビデオ、ここでも“レイン”が使われている(まあこの界隈では珍しいことではないけれど)。というかビデオを作製したと思われるのは1-900-9099-CRYなのだが、そのYouTubeチャンネルには、このhelenの‘私は眠れない’のビデオもあるではないか。どっかどうかでこの辺りが繋がるのであろうか。

ちなみにhelenは岸本加世子さんをシンボルに使い(北野武監督の“花火”の頃か? 愛と死のイメージなんだろうか)、諏訪節子は南果歩さんをシンボルに使う。何か通底するものが感じられないだろうか。上手く言葉にはできないが・・・。

なお今作、ジャケットイメージをエディットの上、トラックタイトルを英語に変え、New World.からもリリースされています。



s a k i 夢 – 虹色[PS_29]

 s a k i 夢 - 虹色[PS_29]

 – Tracklist –
 01. 混乱しました
 02. 水中カリンバ
 03. 赤と緑 / 虹色
 04. ダブルテール



 - 01. 混乱しました


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 Release Date : 2016.05.20
 Label : Pizzabox Society

 Keywords : Ambient, Deep, Fish, IDM, Techno, VaporWave.


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  ≫ Kai Beckman


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アメリカはカリフォルニア州のレーベル、Pizzabox Societyより。fishvaporを標榜するs a k i 夢の作品がリリースされています。本体は(おそらく)Kai Beckman。もともと“魚の音楽”と銘打って多くの作品をリリースしてきていますが、そこから派生してのサイドプロジェクトになっているようです。コンセプト的には、ペットの魚がみる夢、という形になっているようで、他の作品においても彼(fish)のモノローグのような短文が付されています。

今作はs a k i 夢としては“夢の中で失われました”、“ノヴァーリス”に続く3つめの作品となっています。“ノヴァーリス”から始まった“水族館 series”のpart2にもなっています。音楽っていうのはやっぱり空間を形作る大きな要素になり得るので、空間演出の目的で使われることが多くありますが、当然水族館(という空間)を演出、テーマにした作品というのも、少なくないと思います。私が真っ先に思いついたのは、かつてPeace Records(HAYABUSA LANDINGS内のレーベルでしたが今は機能してないですね多分…)から発売されていた、その名も“aquarium”というコンピレーション(2004年リリースですってよ! 時間が経つのは早い)。音楽的にも遠からずで、重なる部分は多くあると思います。

VaporWaveというワードも用いられていますが、それを期待していると、間違いなく肩透かしを食らうでしょう。個人的にはVaporWaveらしさというやつはほとんど感じられません。ちょっとモコッとした音作りは影響受けているのかなと思いますが、それはVaporWaveに直結するわけではないし、アダルティなブラスの挿入とかがきっとVaporWaveらしさになるのかなあ…という程度。あからさまなChipped & Screwedがあるわけでもありません。

核になっている音楽性はDeep Ambient/Deep Technoなんでしょうね。それはKai Beckmanの音楽を聴いていても感じることです。Kai Beckmanに関してはもう少しメロディに意欲的な傾向があるし、使われている音色も豊富であるような気がしますが、大きく異なる音楽をやっているわけではないようです。s a k i 夢も、以前の作品にはちょっとNewAge調の部分もあったりして、素直にVaporWaveの影響を認めることもできましたが、今作に関してはAmbient/Drone調のレイヤーを使っていながらも、そういったフィーリングはなく、あくまでDeepなAmbient/Technoのまま、全編が流れていきます。

リズムを入れずにAmbientな浮遊感を押し出して、ドリーミィなタッチを強調してもよかった気がするんですが、リズムパターンもDrum‘n’Bass調のものがあったりしてフラット一辺倒ではないので、逆に単調さを回避しているのかなと思ったりもしますし、幻想的な中にもエモーショナルな部分が感じられて、それはそれで面白い、ユニークな部分です。

“新たにやってきたペットの魚が入れられた水槽は、自分がいる水槽とは部屋の反対側にあって、彼の姿はよく見えない。彼の体は赤色だと思うんだけど、たまになぜだか緑色に見えたりもして、でもきっとそれが彼の名前が“虹色”である理由だろう”というファンタジックなメッセージ、それを補強するジャケットイメージ(この仄暗さにあるちょっとした内向性というかミステリアスな空気、最高です)を頭に置きながら聴くと、よりディープに楽しめると思います。

Kai Beckmanの音楽もすてきなものが沢山あるので、いくつか貼らせてください―



– proxy and things(from “sleepingfish ep”)



– Lieben (from “Ein”)


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the human brought in yet another fish today. his tank is on the other side of the room since there is no more space on the owner’s desk. I can’t really see him from here, but I think he is red. it is weird though, because sometimes he looks green. maybe that’s why his name is nijiro…

part 2 of the 水族館 series.



Twinkle Park / Larksburg – Twinkle Park / Larksburg Split [PP08]

  Twinkle Park / Larksburg - Twinkle Park / Larksburg Split [PP08]

 – Tracklist –
 01. Larksburg – Make it That Way
 02. Larksburg – Something, or Rather
 03. Larksburg – Those Sheets
 04. Twinkle Park – Space Case
 05. Twinkle Park – Your Wierd
 06. Twinkle Park – In December



 - 01. Larksburg – Make it That Way



 - 04. Twinkle Park – Space Case


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 Release Date : 2016.03.05
 Label : Petal Port Music

 Keywords : Alternative, Electronica, Indie, Neo Acoustic, Post-Punk, Pop.


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2014年から始まったインディーレーベル、Petal Port Musicより。Twinkle ParkとLarksburgのスプリット作がリリースされています。bandcampでは販売が行われていますが、レーベルのウェブサイトからはフリーでもダウンロード可能になっています。

Twinkle Park とLarksburgというアーティストによる作品なわけですが、“Larksburg is: Brett Hanley”、“Twinkle Park is: Nik Clay”という記述もありますが、もう少し詳しく読んでみると、Larksburgというのはもともとバンド形態で活動しているようで、Twinkle ParkことNikもそのメンバーである、もしくはメンバーであったようです。最新の情報を手にしていないので分かりませんが、bandcampなどでメンバー構成を見る限りLarksburgは4人組であり、Nikもメンバーに含まれています。いずれにせよ、今作に関してはLarksburgはBrett Hanleyのソロプロジェクトとなっています。

ということで中身のお話ですが、まずLarksburgに関しては、これまでに発表している音源とカラーが違う! これまでは、鋭く、そしてザラついたヘビーなギターサウンドが印象的なAlternative/Shoegazeな、どちらかというと翳りのあるものがほとんどだったのですが、そのイメージで今作のM-1など聴くと、ひっくり返りそうになります。この瑞々しいギターやバックに流れるさわやかなコーラス、メロディを前面に押し出した音作り、紛れもなくPost-Punk~(日本で言うところの)ネオ・アコースティック・サウンド! Brettのヴォーカルはこれまでと変わった気がしないにも関わらず、このちょっと調子はずれな、飾らないスタイルがまた、どう聴いてもネオアコ。キラキラしたギターの音色と結びついたそんなヴォーカルを聴いていると私が思い出すのは、学生時代のCD屋巡りであった。インターネットや店頭の注文ですませることなく、なぜかひたすらアチコチのCD屋をさすらって、めぼしいものを見つけるという行為を行っていた、夏。手段は主にチャリンコというところがまた青春というかティーンエイジドリーム。遠方まで出たときにそんなに仲良くもないクラスメイトと出会ってしまって“お前なんでこんなところに?”って顔されたことも、思い出ですね。話逸れてるわ。そんなこんなでギターポップ、ネオアコファンには非常にお勧めのM-1~3になります。

Twinkle Parkもすでに名前がキラキラしてますが、これも前半の流れを引き継いでいるといいますか、もうちょっと打ち込み感というかマシーナリーな触感が強くはなりますが、依然としてさわやかな音像。Indietronicaという言葉が似合うかなあと、個人的には思っております。M-4, 5はダンサブルなリズムを使ったトラックになっていて、電子音楽寄りですが、ラストの‘In December’はタイトルから想像されるようなドラマチックな仕上がり。ギターやオルガン、シンセなど様々な楽器をちりばめて、哀愁漂いながらもどこか長閑な風景を演出。心が休まります。

Twinkle Parkとしての音源は同レーベルから出ている“Orange”というものがあるのですが、そちらは習作の雰囲気も漂うVocaloid作品(!)なのです。なんで今作とはまた少し傾向が違います。最新の音源はどうやら上記の“Orange”にリミックスや新曲を加えた(Reworkとあるので既発の音もいじってるのかもしれません)CD、その名も“Orange+”のようです。今のところ彼のライヴで販売されているのみのようですが、ネットでも販売をするつもりのようなので、気になる方は上記Twitterをチェックしてください。今のところ他に音源が発表されている形跡がない、というか発表の場すら設けていないようですが、ここからが始まりのようですし、今作はインストゥルメンタルですが、これからは歌を入れていくつもりのようなので、きっとこれから先にリリースを行ってくれることでしょう。期待しております。個人的にはM-6のようなバンド感も備えたトラックが好きなので、ぜひそちらの方面で。

各トラックほとんど2分台という非常に短い作品であっという間に終わってしまいますが、インディー感あふれる素敵な作品だと思います。是非。


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 Credit :

Larksburg is: Brett Hanley – vocals, lyrics, guitars, bass, drum machine.
Recorded, produced, and mixed by Nik Clay at his house in November 2015.

“Thanks for listening and supporting Larksburg! I went back to a ‘solo project’ for this split, but I still consider Nik, Dylan and Cody a part of the band. Look forward to hearing them in Eye Contact, out soon on Petal Port! (Eye Contact was recorded prior to the split)”
-Brett

Twinkle Park is: Nik Clay – synths, guitars, chord organ, samples.
Recorded, produced, and mixed by Nik Clay across two homes in 2015-2016.

“This split signifies the last of a lot of Twinkle Park trends, and the beginning of a lot for me as an artist. For one, its the last time I’m going to release a fully instrumental album (my songs are, at least). From here on out I’m going to sing (more accurately: yell) on my Twinkle Park material. This was also a transition between two DAWs, from Reaper to Logic. There was a lot of change and growth over the course of these songs being written and being finished, actually, and I hope that the music reflects that growth.”
-Nik

Album art by Nik Clay

Mastered by Tim Lindsay

Brett and Nik thank: Spencer Jordan, for letting us borrow his bass, Brett’s Dad, for driving him and his equipment to Nik’s house to record, Nik’s stepmom and sister, for putting up with the constant noise from across the hall through 5 albums, Nik’s Mom, for teaching him how to use her scanner to scan the album art, Alyssa Dalangin, for listening to these demos and working mixes a thousand times, and Tim Lindsay for mastering literally everything Brett and Nik have ever worked on.



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