ABRAcaDABRA

Netaudio explorer

カテゴリーアーカイブ: 術ノ穴

エンヤサン – 寄せて上げてLP [sna-009]

 エンヤサン - 寄せて上げてLP [sna-009]

 – Tracklist –
 01. 告げ口 
 02. きっかけ
 03. 無垢
 04. どこまでも土色、こぼれて
 05. グッデイグンナイ
 06. Killing Me Softly feat.鈴木陽一レモン
 07. Start a Conversation(POURING OUT Remix) pro.鷹の目
 08. imo
 09. mono(ラフ)
 10. 新宿駅出れないダイジェスト


+ + +


 Release Page :
  ≫ [ 術ノ穴 ] / [ 特設サイト ] Download Free!

 Release Date : 2014.11.06
 Label : 術ノ穴

 Keywords : Alternative, Hip-Hop, Japanese, Pop, Spoken Word.


 Related Links :
  ≫ Enya-Sang official web site

  ≫ Enya-Sang on Facebook / on SoundCloud
  ≫ Y-クルーズ・エンヤ(エンヤサン) on Twitter


+ + + + + +


ボーカルを務める兄 Y-クルーズ・エンヤとギター・トラックメイクを務める弟 Jr.TEAからなる兄弟シンガーソングライターユニット〝エンヤサン〟。彼らのフリーアルバム、“寄せて上げてLP”が術ノ穴からフリーでリリースされています。エンヤサンは以前にも“まさかサイドカーでくるなんて”をフリーでリリース(現在配信終了)、私もブログで紹介させていただきました。

今回は“コンピ収録曲や特典音源、未発表曲も網羅したまさに寄せて上げた全10曲”ということで、編集盤/企画盤といったところでしょうか。‘告げ口’‘Killing Me Softly feat.鈴木陽一レモン’“新宿駅出れない”の特典音源、‘無垢’は術ノ穴コンピレーション“HELLO!!! vol.4”の収録曲、‘mono(ラフ)’は名前の通り‘mono’“新宿駅出れない”に収録)のラフヴァージョン、までは分かるんですが、あとはどこが初出なのかよく分かりません。というわけで私のような新参者には、初めて聴く音源も多くあり、非常にお得な10トラックとなっています。

“まさかサイドカーでくるなんて”は非常によく聴いていますし(正直“新宿駅出れない”よりも多い!)、なので私の中ではエンヤサンのイメージが図らずもアコースティックなサウンドになっているんですが、今作を聴くと、少なからずそれは覆ります。2ndミニアルバム“▽”を聴いたときのような、混沌としたイメージがフラッシュバックしてきました。

私がいまだ彼らにミステリアスなイメージを持っているのは、ライヴを観ていないせいもあるかもしれません(ぜひ観たいデスね)。なので、スタイルをつかみきれていないんですが(そこも魅力です)、やはりクラブミュージックやHip-Hop、R&Bが根っこにあるのかなあと、、今作を聴いて改めて思いました。M-2やM-4, M-5などは、Hip-Hop/R&Bテイストのサウンドに軽やかな歌メロを乗せて響かせるんですが、私いわゆるブラック・ミュージックっていうんですか、まったく反応しないタイプなんですが、なんでエンヤサンの曲には惹かれるのでしょう。ちょっと考えます。

まず声かもしれません。浮遊感ある伸びやかな歌声。声って歌のイメージを左右する、すごく大きい要素かと思うんですが、この空間的な感じ、Ambientって言えるかもしれないけれど、これが私の琴線に触れるのかもしれません。この声の気持ちよさというか、特性を非常に強く感じられるのが、M-3の‘無垢’です。スポークン・ワードと歌メロを組み合わせた、ダビーなポップスですが、この浮遊感たるや。浮世離れという言葉が実にふさわしい。吸い込まれそうな夏の日の空が目に浮かびます(MVは雨模様ですけどね・・・)。気持ち良いとかなんとかいうよりも、圧倒的ですね。

次に、Hip-Hop/R&Bなシティ・フレーバー・ポップスと対をなすような、アコースティック・サウンドも、ひとつポイントかもしれません。今作でいうとM-1とか、M-9ですか。特にM-9の‘mono(ラフ)’などは歌メロを思う存分響かせるポップスなんですが、シンプルなサウンドの中で浮き立つメロディのよさったら(“まさかサイドカーでくるなんて”にはこれが充満してたわけですね)。こういうアコースティック・サウンドで生きるメロディの強さっていうのも、エンヤサンの魅力です(言うまでもないか!)

あともうひとつ、歌詞にみられる二面性(あるいは多面性)も私は気になっています。物事の見方はひとつじゃあないよ、ということをさりげなく、教えてくれる気がするんです。‘告げ口’には、“誰かの話を口にすると/誰かが泣いている気がした”とかありますし、‘mono(ラフ)’には、“白と黒だけ/でも答えならいくつもあるから/狭い視界の外を 覗きにいこうよ”とあります。この後者なんかホントに上手いなあって思います。歌はゆるキャラオカザえもんの応援ソング的な立ち位置ですが、オカザえもんの色がモノクロであることから、“白と黒”につながり、そこから“白黒つける”=“答えを出す”という連鎖がつながり、“でも答えならいくつもある”という歌詞にたどりつき、答えはひとつじゃない、だから―“狭い視界の外を 覗きにいこうよ”と結ぶ、鮮やかさ。今作には入ってないけど“きれいごと”もやっぱりそう。きれいなこと唄ってるようだけど、タイトルからして“きれいごと”だし、一面的でないものを感じさせます(なんか似たようなこと前にも書きましたね、テヘへ)。それから“あるく”の“「おおっ」って忘れるんだ つまりたいしたことないんだ”の件もそうです。

あとはときおり見せるポップスの括りからハズれたような、ディープなタッチの曲ですね。ちょっとアンダーグラウンドに思えなくもない、潜ってる感じ。‘Killing Me Softly feat.鈴木陽一レモン’とか、‘Start a Conversation(POURING OUT Remix)’とかね(あと、SoundCloudで聴ける、あるく (STAGGER WALK Remix)もぜんぜんテイスト変わっててカッコいい) 。サビがまさかの“イモ”っていう、そのまんまの‘imo’ にあるみたいな、遊び心?もやっぱり楽しい。そう、だから、やっぱりポップスなんだけど、その在り方が非常にユニークなんですよ! 普遍的なポップスからなんじゃこりゃまでを縦横無尽に渡り歩くそのフットワークの軽さ。それを十分に感じられる今作はやっぱり広く聴かれるべきでしょう。フリーだし! こっからエンヤサンに触れるのも全然悪くないと思います。あと個人的には410~発売前夜~入れてほしかったデス。


+ + +


エンヤサン 『無垢』






【オカザえもん】 エンヤサン / mono(外ロケラフver.)


%d人のブロガーが「いいね」をつけました。