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カテゴリーアーカイブ: New World.

helen – 404

 helen - 404 Cover

 – Tracklist –
 01. エコー
 02. 誰がそこに行く
 03. 悲惨
 04. 私は眠れない
 05. 何も終りはありません
 06. ヘレン



 - 03. 悲惨


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 Release Date : 2017.1.21
 Label : Not On Label / also available on New World.

 Keywords : Ambient, DreamPunk, Electronic, Future, VaporWave.


 Related Links :
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都市の夜景。ビルの間を渡る風。往来を渡る車、列車、バイク、行き交う人々。レトロフューチャーというよりは、サイバーパンクな未来風景。決してあからさまではないその見せ方が、好ましい。私の脳裏に浮かぶのは、“Blade Runner”でもなく、“攻殻機動隊”でもなく、なぜか“The Matrix”なのであった。なぜかはよくわからない。ただおそらくは、使われているセリフなどを鑑みるに、世界観としては“serial experiments lain”なのではあるまいか。未見ではあるが。しかしこの精神世界へのコネクトを感じさせるサイケデリックな質感は、確かに“レイン”が感じさせるものと似ている。ように思う。ぼんやりとではあるけれど、電脳的精神世界とでも呼ばせて頂ければ幸い。

さて―

M-2―ズッシリとしたリズムの裏で加速する音風景や細かく刻まれるエフェクトは、薄汚れた電脳世界をさまよう意識、その領域は一つの到達点を求めてゆるやかに収斂する。最中に混線したように入り込んでくるスポークンワード。他のトラックにおいても散見されるそれらワードは、日本語をメインにしており、日本語圏以外では一風変わったエキゾチックな―異国情緒を醸すのかもしれないが、ここ日本、私の耳には、その言葉の意味はストレートに入り込み、意識にまとわりつき、ある種の精神世界的な気味の悪さを感じさせるのである。

携帯電話がふるえるバイブ音をエコーさせてリフにしてしまう‘悲惨’が面白い。雑踏の声や音、種々のシンセティックなサウンドが左右の耳朶を舞い、そこには、ネオンに彩られたサイケデリックな未来の―あるいは目にしたことのない世界の―繁華街が浮かんでくる。すれ違う人たちの背中はみな煤けていて。薄汚れた衣の下に隠されたサイバネティクスの影。マンションの一室にいる情報屋には金だけとって逃げられる。

ミスを犯し街をさまよう―‘私は眠れない’。寄る辺ない彷徨。ネオン瞬くバーの扉の隙間からフリークスが顔を出す。視線が絡む。お互い珍しくもないといった感じで表情なく、視線を外す。動かない感情。

電脳の網の目の中に見つけた失われたアイデンティティー―‘ヘレン’。かつてあった本当の自分、自らも知らない自分―それは真実か否か―を見つける瞬間というのはとても恐怖であり、ショッキング。大いなる意思に逆らって突き進むも、繰り返される‘Lets never come here again’の言葉。だが自らの存在を知るために、そしてこの世界の仕組みを知るために、進み続ける「私」。やがてスローモになる音の流れは、機能の停止か。悲しきcybernation doll

と、思うままにイメージを書き散らすと二束三文な、どこかで見たようなイメージに引き寄せられてしまうのですが。万有引力。それも面白い。でもAmbientな佇まいでありながらドリーミィ(あるいはサイケデリック)でCyberPunkな音世界を描いており、DreamPunkという言葉はまさに相応しい。こういうVaporWaveを経由したであろう、仄暗く、シネマティックなサウンドスケープ、好きであります。Setsuko Suwa(諏訪節子)なんかも好きなのよなあ。彼/彼女のトラック“06“のビデオ、ここでも“レイン”が使われている(まあこの界隈では珍しいことではないけれど)。というかビデオを作製したと思われるのは1-900-9099-CRYなのだが、そのYouTubeチャンネルには、このhelenの‘私は眠れない’のビデオもあるではないか。どっかどうかでこの辺りが繋がるのであろうか。

ちなみにhelenは岸本加世子さんをシンボルに使い(北野武監督の“花火”の頃か? 愛と死のイメージなんだろうか)、諏訪節子は南果歩さんをシンボルに使う。何か通底するものが感じられないだろうか。上手く言葉にはできないが・・・。

なお今作、ジャケットイメージをエディットの上、トラックタイトルを英語に変え、New World.からもリリースされています。



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