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カテゴリーアーカイブ: Abandonment label

Sons Of Dagon – A Tribute To The Dreamer [[AB]-153]

 Sons Of Dagon - A Tribute To The Dreamer [[AB]-153]

 – Tracklist –
 01. Dagon
 02. The Rats In The Walls
 03. The Colour Out Of Space
 04. The Whisperer In The Darkness
 05. The Dreams In The Witch House



 - 03. The Colour Out Of Space


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 Release Page :
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 Release Date : 2012.10.29
 Label : Abandonment label

 Keywords : Ambient, Drone, Electronic, Horror, H.P. Lovecraft, Noise.


 Related Links :
  ≫ Sons Of Dagon on SoundCloud

  ≫ attila777 on SoundCloud
  ≫ Pioggia d’ambra(E.F) on bandcamp
  ≫ Tommaso Busatto on SoundCloud


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ブルガリア基盤のエクスペリメンタル系ネットレーベル、Abandonment labelより。Sons Of Dagonの作品がフリーでリリースされています。直訳すれば”ダゴンの息子たち”という意味になる、この奇妙な名前のミュージシャンは果たして誰なのか。そんな疑問が出てくるけれど、リリースページで早々に答えが用意されている。Sons Of Dagonはattila777、E.F、Tommaso Busattoという3人から成るプロジェクトで、いずれもイタリアのミュージシャン。

ジャケット画像にあるこの面長のフェイスが誰なのか、ピンとくる人は、”ダゴン”という言葉と合わせて今作の趣旨が分かるでしょう。嶋田久作さんじゃないですよ。帝都大戦とか帝都物語は関係ないです。ここにある肖像は、Howard Phillips Lovecraft(ハワード・フィリップス・ラブクラフト)。非常に著名な、アメリカの怪奇・幻想文学の作家(余談だけど、嶋田久作さんの芸名候補として当初”ラヴクラフト嶋田”というものがあったという。そのくらい二人の顔は似ている)。ラブクラフトといえば、クトゥルフ神話(Cthulhu Mythos)。その提唱者は、ラブクラフトの死後に彼の作品を体系化したオーガスト・ダーレスなので、”クトゥルフ神話”という言葉自体はラブクラフトが生んだわけではないようだし、生粋のラブクラフト・ファンはその辺りにきっちり線を引くようだが、今はそこを掘り下げるのが主眼ではないので、深くは踏み込みません。

さまざまなアイテムをちりばめながら、現実世界の中で異形の神々の存在を示唆し、ときにはその登場を描く、独特の世界観、恐怖的演出のファンは、世界中に存在する。別の作家がその枠組みを応用した作品も数多く存在するし、特に日本ではアニメや漫画にクトゥルフ神話の要素を持ち込んだものも、少なくない。もちろん、音楽においても、彼の作品からインスパイアされたものが、いくつも存在する。そして、この作品もまた、そのひとつだ。ラブクラフトの実質的デビュー作である”Dagon”(1919)をプロジェクト名に用いている、この直接的すぎるトリビュート精神。さらには各トラックのタイトルも、すべてラブクラフトの著作、そのままなのだから、もうストレート中のストレート、ど真ん中ではないか! ちなみに各トラックに対応した邦題は次のとおり―”Dagon”は”ダゴン/デイゴン”、”The Rats in the Walls”は”壁のなかの鼠”、”The Colour Out Of Space”は”異次元の色彩/宇宙からの色”、”The Whisperer In The Darkness”は”闇に囁くもの”、”The Dreams In The Witch House”は”魔女の家の夢/魔女屋敷で見た夢”。

気が付いたら、ここまでまったく音について書いてないですね。さて、”we aren’t musicians, so…enjoy the atmosphere we created, instead of our non-musical skills.”という、謙虚な言葉もありますが、そこまで非音楽的ではないです。ダークな音空間に即興演奏的グルーミィなギター、レトロなホラー映画のような尖がったシンセ、ときにノイズ、そしてときにはフルートやストリングスといったクラシカルなサウンドを持ち込んで、暗く湿った太古的なイメージを生み出している。廃墟となった神殿や、地底深くに埋もれた禁断の都市といったような、荒涼としていながらも、浪漫を秘めたフィーリングがあるのは、こちらにいくらかの予備知識があるからだろうか。サンプリングされた環境音やスピーチ/スポークン・ワードのような人声もちりばめて、リスナーのイマジネイションを掻き立てる部分もある。残念ながらラブクラフトの熱心なファンではない私は(兄は熱心なファンだが)、数えるほどしか短編を読んでいないので、直接的に作品の内容と結びつけることができない。でも逆に、今作を聴いてから、物語の方に触れてみるのもアリだと思うし、そういった誘導も、この作品が生む効果のひとつだろう。

ちなみにSons Of Dagonのプロフィールには、出身地、活動地域として”R’Lyeh”という記述がある。これはラブクラフトの作品に登場する架空の地名だ(”Cthulhu”と同じく”R’Lyeh”も、人間には発音不可能な音を便宜的に表記したものだが、日本語では”ルルイエ”、”ル・リエー”と表記されるようだ)。ルルイエは、Wikipediaに依ると、”太平洋、南緯47度9分 西経126度43分の海底に位置し、ニュージーランド・南米大陸・南極大陸の中間付近、現実には太平洋到達不能極に程近い絶海の海域である”。こういった、アーティスト、作品の裏にある細かな情報をかき集めていくと、どんどんとイメージが肥大していき、頭の中には不明瞭ながらひとつの世界が浮かび上がってくる。それを楽しむのも、また一興ではなかろうか。決して斬新ではないけれど、面白い作品だと思います。


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Attila777 : piano/strings/rhythms
E.F. : guitar/drones
Tommaso Busatto : noises/drones/flute
H.P.L. : all


(CC) by nc 2.5 bg



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