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カテゴリーアーカイブ: Ezhevika

B A I K A L – BAIKAL EP [EZH048]

 

 – Tracklist –
 01. Seagulls In The Sky
 02. Where The Summer Goes
 03. Taiga
 04. Mysterious Woods



 - 01. Seagulls In The Sky


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 Release Page Download Free!

 Release Date : 2015.06.30
 Label : Ezhevika

 Keywords : ChillWave, Electronic, Melodic, SynthWave.


 Related Links :
  ≫ B A I K A L on SoundCloud / on bandcamp / on VK (VKontakte)


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再生したとたんに感嘆の声を上げてしまった、久々のパターン。ベラルーシのネットレーベルEzhevikaから届けられたモスクワのトラックメイカー、B A I K A L(Alexander Zharikov)のEP。それがコチラ。

考えさせる楽しみとはまた別の、音楽的快楽に満ち満ちている、極上のChillWaveサウンドがここに。何も考えずに、音の波に身を任せればそれでいい、電子音に彩られたいつかの(それはどこにもない)記憶が、リスナーの中によみがえってくることでしょう―子供たちの笑い声や、波の音、カモメの鳴く声はサマーバケーション。湧き出るシンセの音は記憶の奔流。たゆまぬリズムはピースフルなハートの鼓動。溢れるメロディは、ゆらぎながら、燦々と照る陽の光。まぶしいこと、この上なし。

一刀両断、一撃必殺、満塁サヨナラホームランのごときインパクトを持つサウンドなのですが、あろうことか、このB A I K A Lは彼Alexander Zharikovのメイン・プロジェクトではないのです。ビックリするわ。いやそれはたまにはありますよ、バンドよりソロの方が好きとか、サイド・プロジェクトの方がいいよねとか、そういうパターン、世の中にたくさんありますよ。でもやっぱりメインはメインで、そこには作り手の主軸があるわけだから、そこにつぎ込まれている諸々のものを考えると、どうしたってメインはメインでしょうと思うんですが、このB A I K A Lは完全にメイン・プロジェクトであるMoskva-Kassiopeyaを食っている気がして仕方がないです。

Sci-Fi/Electroなサウンドを鳴らすMoskva-Kassiopeyaには、確かに今作に通じる80sなバイブも感じ取れます。今作のリリースページにもあるように、両プロジェクトの違いをいうなら、“Moskva-Kassiopeya is science fiction, space, unknown and unreachable things”であり、“B A I K A L is the purest nostalgia”となるわけですが、未知に対する壮大な神秘性、そこにある畏敬の念と、記憶の中のノスタルジアでは、確かに焦点が全く違う。内か外か。その焦点の違いをハッキリ音楽で表現しきっている、その手腕は確かなもの。お見事です。

いかに情報技術が発達して、音楽のプラットフォームも整備されてきて、国境がなくなってきた感はあれども、やはりロシアはいまだ未開拓、フロンティアのイメージが強いのが現実。このブログでも以前に紹介してきた、Capo​Blancotiiizaのような、ロシアっぽくない(ロシアっぽさって何だよってツッコミは受け付けないゼ)ChillWaveがたまに浮上してきたりしますが、まだまだいるんじゃないかなあ、なんて思います。その可能性を感じさせるだけの力強さを持った、傑作がこの“BAIKAL EP”。目を閉じて、きらびやかで、懐かしい風に吹かれてください。リピート必至の中毒性です。しかも完全フリーなんて。



Samsara Inc. – Endless Autumn [EZH040]

 Samsara Inc. - Endless Autumn [EZH040]

 – Tracklist –
 01. Endless Autumn
 02. Red Light
 03. Snakes
 04. Space Between Us



 - 01. Endless Autumn


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 Release Date : 2014.12.18
 Label : Ezhevika

 Keywords : Acoustic, Chill, Downtempo, Hip-Hop, Lounge, Melodic.


 Related Links :
  ≫ Samsara Inc. on Last.fm / on SoundCloud / on PROMODJ


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ベラルーシはミンスクのレーベル、Ezhevikaより。アバカン(ロシアはシベリア南部にあるハカス共和国の首都)から現れたRodion Kudryavtsevのワンマンプロジェクト、Samsara Inc.の作品がフリーでリリースされています。

リリースページにはこんな言葉があります―“If a musician lives in Siberia it doesn’t mean he is doomed to play post-rock. The great example is right here.”。ちょっと皮肉っぽいですよね。シベリアだからってPost-Rockじゃねえゾ!って。そのよい見本がここにあると。

そして何の気なしにM-1を聴いた瞬間、声を漏らしてしまいました。“あぁ”って。ピアノの哀愁ある響き、重なるアコースティックなギターの爪弾き、Downtempo/Hip-Hopのスムースなリズム。特にギターの音が好きですね。金属的な響きもあるんだけど、澄んでいて、シャラシャラと心地よく耳をくすぐります。バックに聴こえるささやかなノイズは雨音でしょうか、情感ある光景を作り上げることに一役を買っています。

非常にMelodicで、Loungeな向きもある、気持ちの良い音楽がここにあります。まさにChill。音楽の役割はこれだと言わんばかりに、余計なことは考えさせません。開けた空間の中での孤独な視点とでもいったような、さわやかさと寂しさの同居。視界に収まりきらない海や草原を眺めているような、彼方に吸い込まれる視点。自然と思考も物思いに耽りはじめます。

M-2などはパーカッシヴなリズムと、むせびなくエキゾチックなギターフレーズなどが相俟って、どこかリゾート感すら漂っています。後ろに流れている薄いシンセがまた抜群の効果を発揮していて、それによって作られるアトモスフィリックな空間がたまりません。海からの風が、湿った髪を撫でていくような、心地よさと、幾ばくかの切なさ(それは喧噪の終わり)。Post-Rockどころか、シベリアをイメージさせる冷たく澄んだ音像すら、ここにはありません。

M-3は少し毛色を変えて、アラビックな雰囲気の旋律と、ヘビーなリズムを使って、‘Snakes’=蛇のイメージを音像化することに成功。低音も強調された音作りで、作中でもっともダークでヘビーなトラックです。M-4で、アレ、ちょっとPost-Rockぽい雰囲気もあったりするかもしれないゾ、コレはってトラックがやってきます。スローなベースと、スローなドラム、その上でエモーショナルに翻るギターフレーズ。まさに曇天の空をいく雲のような、シネマティックなサウンドは、Post-Rockといっても決して過言ではないでしょう。

なるほどここまで聴いた上で、再度頭から耳を澄ましてみると、確かにギターを使った風景的かつ情感的なサウンドという部分で、Post-Rock的な聴き方、受け取り方をできることが分かります。そう考えると、Post-Rockを経由しつつのHip-Hop/Downtempo、Loungeという一面もあるわけで、初めは気づきませんでしたが、存外にユニークなサウンドなのかもしれません。

と、そうやって聴きながらいろいろ考えるのも、もちろん楽しいのですが、単純に音を聴いて“お、いいじゃん”ってのが一番ですし、私が一発目に聴いたときのあのトキメキは、まさに音楽の魔法といってよいでしょう。シーンとか、その中での立ち位置とか、音楽的意義とか、まあいわば文脈を気にした聴き方は私はできないのですが、その魔法的な力というやつは“そんなもの気にしなくていいんだヨ!”と、背中を押してくれているようで、その辺も、今作を好きな理由のひとつです。


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Music by Rodion Kudryavtsev.
Cover design by Dmitry & Konstantin Kourianov.

(CC) by – nc – nd 3.0

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