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タグアーカイブ: Ambient

Salfumán – IWYL

 Salfumán - IWYL Cover

 – Tracklist –
 01. IWYL
 02. Y no te das cuenta
 03. Disco Chill



 -  02. Y no te das cuenta


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 Release Date : 2018.08.05
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Chill, Pop, SynthWave, Vocal.


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いいですねえ、このジャケットイメージ、ビビッときますよ。黒いシャツに黄色いジャケット(コートかな?)、周囲を囲むのは緑の植物たち。リラクシンな空間に刺す、イエローという一筋の刺激。そして赤いルージュ。モダンなような、レトロなような、不思議なフィーリングですが、これは彼女の音楽にそのまま通じるような気がします。ちなみに前作のジャケットイメージにも黒、黄色、緑は用いられていて、自身の中で何かキーになっている色なのかもしれませんね。あと植物も良く使われてます。

そんなSalfumánは、スペインのシンガーソングライターSandra Rapulpのソロプロジェクト。Love Our Recordsを活動の基盤にしているようで、いくつかの作品はそちらからリリースされています。

コケティッシュといってよいんでしょうか、ウィスパー気味のヴォーカルが彼女の音楽のもっとも分かりやすい特徴かと思います。ギターも使われていはいますが、それほど主張はしておらず、むしろシンセによるAmbientな空間作りや、合成的ドリーム感が印象的です。歌詞もスペイン語なんでしょうか、聴いていてエキゾチックな感覚がありますね。

近作になるにつれてPopになってきていると私は勝手に思っているんですが、どうでしょうか―特に“C Y C A”(2016)から“Ambiente Satén”(2017)の辺り、これまでより高いポイントに達している感があります。‘Satén’のストレートにSynthWaveな佇まいとか、それまでにあまりなかったと思うし、このドライヴ感、堪らない(シンセと拮抗するギターの音がヒューマンエモーショナル)。じゃあなんで敢えてこの作品を選んだのかっていう話になりますが、逆にちょっと抜いてきたというか、角度をずらしてきたような聴き心地があって、面白かったからです。

M-1‘IWYL’はシンセも使われているもののそれはぜんぜんSynthWaveのタッチを感じさせるものではなくて、完全に添え物、簡素なギターとリズムで構成された余白の多いトラックにささやくヴォーカルが乗り、アダルティな空気が醸される。M-2‘Y no te das cuenta’もミニマルなリズムとシンセに不定型なヴォーカルラインが乗っかって、そこに生まれるのはChillWaveにも通じる気だるげなサマーヴァイブという、これまであまり見せていないスタイル。割と短めで、インタールードのような役割なのかもしれませんね。ハッキリとした歌もないままに終わってしまいますし。M-3‘Disco Chill’はタイトル通りにディスコテックなリズムではあるものの、フワッとしたシンセと、わざとメロディを崩したようなヴォーカルスタイルが印象的で、不思議な聴き心地ですね。だからDisco Chillなのか。

ということで、全3曲とコンパクトですが、特徴豊かなトラックが収められていて、よい作品だと思います。ときおりPrefab SproutとかNew Orderとか、最近だったらMirror Kissesとか感じたりしなくもないので、その辺のファンの人にもアピールする部分があるかもしれません。思い切り余談ですが、Salfumánの声は誰かに似てるなあと思って、ずっと記憶をほじってたんですが、出てきたのが12 RoundsのClaudia Sarneでした・・・ぜんぜん音楽的に違うけどな。

近作になるとタグにVaporWaveがついていますが、どの辺りなのかなあ、音楽的にはソフトなラウンジ感というか、スムースジャズやフュージョンからの影響があるのかもしれませんね。あとは意匠的には当初から影響受けてる気がします。



 - Satén (from “Ambiente Satén”)



 - C Y C A(from “C Y C A”)


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Arte de Eugenia Gómez


(CC)by 3.0



keyseeker – existence

 keyseeker - existence Cover

 – Tracklist –
 01. existence
 02. apathy



 - 02. apathy


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 Release Date : 2017.11.19
 Label : Not on Label

 Keywords : Ambient, Piano, Sad, Scene.


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John Cageの“4’33″”を引き合いに出すまでもなく(だから話は早速ズレるけれど)、無音というのは十分に作品たり得ると思っています。というのも無音の外から聞えてくる音が我々の心に何がしかの影響を与え、その中に感じられるものが確かにあって、それは無音あればこその感覚だと思っているからです。

keyseekerのこの作品を聴いていて、そんな思いを改めて抱きました。ピアノの短いメロディ、フレーズが流れた後の、一瞬の間―だから正確には、ここにあるのは無音ではないでしょう―、その瞬間に心の中に広がる感情、景色。それは確固としたものではなくて、漠然とした、いつかの思い出のような、あるいはどこかで見た景色のような、ひょっとしたら実際に体験さえしてないかもしれないけれど、けれど確実に頭蓋の中を一度は通り過ぎて行った、つまりは知覚された、アブストラクトな何か。呼び起こされるのは悲しみを伴う懐かしさ。ノスタルジャーな私はその懐かしさに何度でも触れたくて、わずか2トラックで3分前後という短いこの作品を、何度でも再生してしまう。結局何もつかめないのだけれど。

keeseakerは、かつてはafterstoriesの名義で活動し、現在もnermuri winterの作品に参加しながら、温かみのある抒情的でMelodicなElectronicaを作っていますが、こういうピアノ一発っていうスタイルはあまりなかったような気がします。余計なもの差っ引いて抒情性が浮き彫り、みたいな、ある意味グロいっていうか、聴取感はジンワリなんだけど、心へのインパクトはファイヤーバード・スプラッシュを喰らった時みたいな(すいませんフザケマシタ。もちろん喰らったことはありません)。シネマティック、風景的で、とても好きなんですねえ。音が鳴って、自分の中に景色が流れてくるこの感覚、音楽の醍醐味だと思うわけですよ。たまにやっぱり音楽は魔法だなって思うんです。そんな作品。

bandcampやSoundCloudを辿れば他の多くの作品を聴くことができるでしょう。そしてkeeseakerの最新トラックは(おそらく)“Olive”。nemuri winterで公開されています。下に張らせていただきますのでどうぞお耳を―



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(CC)by – nc 3.0



Hevel – Nowhere Have You Gone

 Hevel - Nowhere Have You Gone Cover

 – Tracklist –
 01. Sleeping Beauty
 02. Love From Dirt
 03. Whereof One Cannot Speak
 04. Thereof One Must Remain Silent



 - 02. Love From Dirt


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 Release Date : 2019.06.03
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Classical, Drone, NewAge, Orchestral.


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以前にも“Insides”を紹介したHevelの新しい作品が、bandcampを通じてリリースされています。

彼のサウンドスタイルはAmbient/Drone。ミニマルな持続音の起伏で、抑制されていながらも抒情的な美しいメロディを奏でているような、そんな作品が多くありました。ときには明確な、エディットされたギターの音がそこに加わったりもしましたが、それはやはり楽器の音を意識させるというよりは、空間的な演出が意図されていたように思います。

そんな、これまでの作品と比較すると、今作はある種のチャレンジがあるのではないかという気もします。ピアノやストリングスが惜しげもなく、ストレートに、つまりメロディを鳴らすために用いられていて、ここまでにはあまり見せていなかったClassical/Orchestralな要素が顔をのぞかせているからです。

厳かな楽器音と、それによって奏でられるメロディは、これまでにも増して抒情性をもってリスナーを包み込み、静かに、想像力を掻き立てます。また楽器音に加えて従来からの電子音も巧みに織り込まれているので、方向転換というよりは、あくまでもこれまでの作品の延長線上にあるサウンドだと思います。今までよりもサウンドが直接的になっている分、Ambient/Droneからは遠ざかっているようにも受け取れますし、そこに寂しさを覚えるリスナーもいるのかもしれませんが(メロディが強すぎるというかね。瞑想的なイメージからはやや離れています)、個人的にはこのAmbient/Drone~Classical/Orchestralなスタイルはとっても好きです(じんわりしたAmbient/Droneも勿論ヨイデスケドね)。映画のサウンドトラックのようですね。お気に入りの何がしかの映画とか、あるいは本の中の物語とか、思い浮かべる人もいるんじゃないですかね。

だんとつ白眉はM-2‘Love From Dirt’。上にも書いたように、直球でピアノとストリングスなトラックですが、この作品のこの位置にあることですごくこのスタイルが映えていると思います。M-3‘Whereof One Cannot Speak’の複数レイヤーによるセンチメンタルな奔流から、ラスト‘Thereof One Must Remain Silent’における光と決意を感じさせるような、荘厳なラスト。総じてドラマチックに仕上がっていると思います。

小粒かもしれませんが、良作です! 気に入った方は他の作品も是非。



Samsara inc. – Simple Stories[CUNTROLL115]

Samsara inc. - Simple Stories[CUNTROLL115] Cover

– Tracklist –
 01. Forgetting
 02. Owls
 03. Forgotten amusement park
 04. Waterfalls
 05. Spring
 06. Hero(in)side
 07. Millenium
 08. Musicbox

 - 02. Owls


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Release Date :2018.03.01
Label : Cuntroll

Keywords : Ambient, ChillOut, Downtempo, Electronica, Guitar, Melodic.

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ロシアンネットレーベル、Cuntrollより。同じくロシアントラックメーカーのSamsara Inc.(Rodion Kudryavtsev)の作品です。以前にも同レーベルからの“Possible Worlds”を紹介しています。

私の偏見かもしれませんが(おそらくそうでしょう)、ロシアのミュージックって、音の組み合わせ方とか音のバランスとか、要は音作りが独特というか、極端であるイメージなんですが、今回のSamsara inc.のサウンドは統制が取れている。いや独特な部分もそれはもちろん感じられるのだけれど(どっちだよ)、私の中ではバランスが取れているということです。

小気味よいリズムにピアノやシンセの澄んだ音色を織り交ぜてAmbientiveでありながらしっかり動きのある空間を作るんですが、このSamsara inc. の特徴といえば何といってもギターでしょう。しかしながら流れる景色の中で感情性を醸し出すギターの音色は今回そんなに自己主張してこなくて、全編通してみると総じてサポートに回っている印象です。だからかどうか、曲調もちょっとメロウによっている気がします。そのせいでしょう、前作に書いたような、インディギターバンドみたいなイメージはちょっと薄れました(ダイナミックな音像はM-5, 7くらいですか)。細かいGlitchだとか、トライバル、パーカッシヴなリズムだとか、演出、エフェクトにこだわりが向けられている気もします。

M-6の‘Hero(in)side’だけ、夜の底で思考がトグロ巻いているみたいな粘着性がありますが、あとはもう総じてMelodicですね。‘Musicbox’のプィーンとした電子音とかちょっとVGMっぽい響きで、ノスタルジックで堪りませんねえ、そこからのラストへ向けて疾走するBreakbeatも哀愁を加速させる。M-2‘Owls’の静かな風景もよろしい。ありきたりな風景かもしれないけれどそれが大事っていうか。まあいってしまえばEasy Listening的な部分もあるんだけれど、見慣れた景色ってやっぱり安心するじゃないですか。海外旅行の刺激もよいけれど、やっぱり帰ってくるのは我が家っていうか。安心があるんですよ。そんなM-2から続くM-3‘Forgotten amusement park’は、キラキラした音色をバックにギターとピアノが風景を流れていく哀愁の透明感トラック。電子的なリズムの上でギターが血を通わせるM-4‘Waterfalls’もクールです。

シンプルなストーリでもそこには確かに物語があって、リスナーはそれによって何がしかの感情を引き起こされるのです。そしてその感情に嘘偽りはない。作品に付されたメッセージはきっとそんなことを言っているのだと思います。Samsara inc.は他のレーベルからも作品をリリースしていますので、気に入った方はディスコグラフィーをチェックしてみてくださいね(Discogsとか)。


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(CC)by – nc – nd 3.0



PLAYLIST : The last few months




How can you tell me
I still believe you some time
You don’t have to make a show
Or new beginning
Just have to move
You sometime

Alone
Alone
Alone
Alone



VAW – Public Footpath

 VAW - Public Footpath Cover

 – Tracklist –
 01. 01_97
 02. Isøtøpɇ
 03. Think
 04. Ǝ-Numbers
 05. Hana
 06. Escapement
 07. Escarpment
 08. Cave
 09. MSGS
 10. 𝓂𝒶𝓁𝓁 𝑔𝒶𝓂𝒾𝓃𝑔
 11. 02_98



 - 07. Escarpment


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 Release Date : 2018.08.21
 Label : Hallworth Collective

 Keywords : Alone, Ambient, Drone, Field, Psychedelic, Quiet, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ VAW on bandcamp


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みなさんは“ぬくもりが欲しくて 人混み歩いた”(By ZARD)なんてことはありますか。私はありません。“そのぬくもりに用はない”とばかりに精神的パーソナルスペースを発動してこっそりと他人を敬遠するのが私という人間の悪い癖(頭悪いな自意識過剰で)なのですが、さりとて街という人混みに出向かなければならないときもあり、そんなときはしっかりと心に武装をして(大げさ)出かけて行っているような気がなんとなく自分ではしておるのですが、そうやって一人で、否、独りで街へ出ているときにフトした瞬間に訪れる虚無感というヤツ。周りにいるのがすべて他人という事実。一生のうちに今ここでしか出会わないのではないか、つまり彼ら/彼女らとはなんの繋がりもないという断絶感。しかし頭上には太陽が照り、空気は私の頬をスルリと撫で、その横で皆は三々五々、何かを口にしながら、感情を表に出しながら、私の周りを流れ、そして散っていくという、いたって標準的な日常があり。その瞬間、見知った風景が、まるで見知らぬものに変わるような、不条理な感覚に襲われる、ことがある。自分だけが、何か大きな存在から取り残されたような、はぐれてしまったような、孤独感。周りに存在する人々の挙動、口を動かし、表情を変え、手足を動かしているその姿が、なぜか途端にグロテスクに見えてきてしまう(私はこれを職場の食堂でも感じることがある。昼時にテーブル席に着いた数多くの人間が皆、口を開けて食物というある種の物体を体内に入れていくという光景が、ひどくシュールでグロテスクに思える時が)。その一瞬のサイケデリア。たとえばそれは、つげ義春の“ねじ式”において、かみ合わない会話と知らない景色と肉体的なグロテスク、影のある描写から醸される得体のしれない不安感、のようなものにつながっていき、それはまた(私の中で)孤独につながっていく。

そんな、都市、街、における孤独感とでもいおうか、あるいはその孤独を幻想的にごまかすサイケデリアといおうか、そんなものがこの作品(楽曲だけではない。タイトルやジャケットイメージもすべて含めて)には漂っているように思います。添えられたメッセージは“I’m lost, can you help me?”。見知った街で自分の存在を見失う。精神の孤独。魂の彷徨。自分を置いて景色だけが流れていくような奇妙なラッシュ感(‘Escarpment’) 。自分が視点だけの存在になって、存在していながら存在していないような。かと思ったら陽の暖かみが私を現実に引き戻したり(‘Cave’

マルッと捉えればそれはもうAmbient(正直音だけではあまりpublic footpathなニュアンスはない。あとVaporWaveを期待して聴けるのはM9~10くらいだと思う)なんだけど、実に味わい深い。ヘッドフォンで大きい音で聴いているとその味はさらに濃厚になります。

VAWの素性は謎ですが、同コレクティヴからもう2作、“Train Thoughts”、“级联”(どちらもワントラックの長尺作品だ)がリリースされていますので、興味のある方はそちらもどうぞ―



Strawberry Hospital – Grave Chimera

 Strawberry Hospital - Grave Chimera Cover

 – Tracklist –
 01. Memento
 02. Canary Mane
 03. Chimera
 04. Holoparasite
 05. Cherish
 06. Arowana’s Scarlet



 - 01. Memento


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 Release Date : 2018.08.06
 Label : Not On Label

 Keywords : Alternative, Ambient, Emo, Noise, Screamo, Shoegaze, Pop, Punk, Vocaloid.


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PURE AESTHETEにも所属していたトラックメイカーStrawberry Hospital。新しい作品が2018年に出ていました(そしてこれ以外の作品は消してしまった…のか?)。

紹介文には―

Grave Chimera is a 6 track autobiographical album that emulates the complex feelings that come with issues like childhood trauma, sexual dysfunction, suicide, escapism, and gender dysphoria.

―とありますが、そこからうかがい知れるように、以前よりも内面的、内省的なアルバムになっている印象です。以前のサウンドといえば、Vocaloidが歌うPopなメロディにElectronicなバックトラック、ドリーミィな空間づくりが特徴で、それは日本人のリスナーにもアピールする心地よいものでした。対して今作はというと、少なくとも表面的にはハードでアグレッシヴな部分が目立っています。Noiseという部分でいえば、以前の作品にもShoegazeな要素はありましたが、ここではもっとハードコアな方向に振っています(何ならジャケットイメージにあるタイトルロゴもハードコア系のそれ)。

ディストーショナルなギターサウンドに加え、メロディックなパートを歌い叫ぶ(ここがVocaloidなのかは不詳)という、いわゆるEmo~Screamoに近いサウンドを鳴らしているのが今作の最大の特徴でしょう。といってもバンドサウンドではないので、リズム面でマシーナリーなエディットもあるし、フワフワしたシンセサウンドも使われている。でもこういった電子的なハードコアサウンドと親和性の高いBreakcoreな方向にはいっていないのが、ユニークに感じます(一時期のMeishi Smileなんかを彷彿とさせますね)。

精神的な鬱屈とした部分をモチーフにしているのであればもっと黄昏たサウンドになってもおかしくないと思いますが、苦しいときに強い気持ちで何かを願うような、そんな思いの強さがこのサウンドを生み出しているのでしょう。否定したい自分や、打ち消したい過去といった、誰しもが心の中に持っている影の部分に思い切って立ち向かっているが故の、焦燥感、暴力性。しかし冷静さを失わずに過去を懐かしむような目線もあり、Ambientなワンミニット・トラック‘Holoparasite’などは作中随一の郷愁。続く‘Cherish’は過去作のファンも留飲を下げるであろう、ドリーミィなVocaloidトラックになっていて、サービス精神も発揮されている。M-1のMetalっぽい耽美的雰囲気も魅力的。

Vocaloidを使用しながら、Ambient~Emo~Screamo~J-Popを股にかけたドリーミィサウンドを作り上げるこの手腕、巧みです。ラストの‘Arowana’s Scarlet’のハードコアパートとドリームパートの自由自在感とか凄いですね。しかもAmbientな哀愁で終幕させるという力技。

The ultimate goal of Grave Chimera is to serve as a form of therapeutic musical catharsis.

という言葉を見て、よくよく考えると、Strawberryというキュートでドリームなイメージと、Hospitalという(メンタル)ヘルスケアなイメージを融合させたこの名義―Strawberry Hospitalの名前に、もっともふさわしい作品なのかもしれません、今作。


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Note :

Grave Chimera is a 6 track autobiographical album that emulates the complex feelings that come with issues like childhood trauma, sexual dysfunction, suicide, escapism, and gender dysphoria.
Drawing influence from metal, j-pop, VGM, and industrial, Grave Chimera is self indulgent, nihilistic, and intimate.
Merriam-Webster defines “Chimera” as both “an illusion or fabrication of the mind; especially : an unrealizable dream” and “an imaginary she-monster compounded of incongruous parts”.
Grave Chimera explores the long term effects of psychosis, fragmenting your identity and leading you through an altered state of reality in which everything wants to destroy you.
The ultimate goal of Grave Chimera is to serve as a form of therapeutic musical catharsis. This an album for trauma survivors, for trans folk, and for anybody who can find solace in being able to relate to my experiences.
Thank you.