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タグアーカイブ: Cinematic

John D. Reedy – The Great Long Distance

 John D. Reedy - The Great Long Distance

 – Tracklist –
 01. Dreams of Budapest
 02. 60 Days
 03. 30 Days
 04. Heathrow / Stansted
 05. Dreams of Athens
 06. Sehnsucht
 07. Athens International
 08. Summer’s Afterglow
 09. The Great Long Distance
 10. Lost Dog
 11. We Remain
 12. Together



 - 04. Heathrow / Stansted


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 Release Date : 2017.02.17
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Cinematic, Classical, Long distance relationship, Piano, Soundscape.


 Related Links :
  ≫ Evæl on SoundCloud / on bandcamp

  ≫ John D. Reedy on SoundCloud / on bandcamp


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イギリスのミュージシャン、John D. Reedy。以前にはEvælの名義でリリースもあります。Neo folk/Neo classicalな音楽性のメランコリックなウタモノ“Breath”を経て、リアルネームで挑んだ今作のテーマは、“long distance relationship”。

遠距離恋愛の12ヶ月(なので12トラック)を表現した音像になっているようですが、ClassicalなPianoのメロディとAmbientなエフェクトが描き出すのは、ドラマティックでロマンティックなサウンドスケープ。ジャケットイメージから想像を膨らませると、時は中世、航海士の男と、港町の娘の恋、といったところでしょうか。航海によってはいつ帰ってくるかも分からず、命の保証すらないような、危険極まりない、船の旅。もしかしたらもう会えないかもしれない。大げさではなくそんな可能性があるのだから、旅立ちのとき、そして生還のときに、それぞれの心中には、それはそれは強い気持ちがあったことでしょう。

初期の航海では遭難や難破、敵からの襲撃、壊血病や疫病感染などによって、乗組員の生還率は20%にも満たないほど危険極まりなかった。しかし遠征が成功して新航路が開拓され新しい領土を獲得するごとに、海外進出による利益が莫大であることが立証された。健康と不屈の精神そして才覚と幸運に恵まれれば、貧者や下層民であっても一夜にして王侯貴族に匹敵するほどの富と名声が転がり込んだ。こうした早い者勝ち の機運が貴賎を問わず人々の競争心を煽り立て、ポルトガル・スペイン両国を中心にヨーロッパに航海ブームが吹き荒れるようになった。(from Wikipedia

そんな“大航海時代”という大きな大きな流れの中で見れば、船乗りと町娘の恋なんていうのは塵(ちり)のようなものなのかもしれないけれど、でもきっとあったと思うし、そこにあった気持ちの強さっていうのは、どんな物差しでも測りきれないものだったでしょう。大航海時代というロマンチックな(けれど厳しい)時代の中に埋もれたロマンスが、ここに記されている、そう考えると、時間にして決して長い作品ではありませんが、非常に重みが感じられてきます。1冊の本や、1本の映画にも負けていないような。12のトラックに物語は付されていませんが、聴いた人がそれぞれ、想像してみるのも、面白いかもしれませんね。

音楽的には特別なことが成されているわけではありません。穏やかだったり、ハッピーだったり、ピースだったりというよりは、どちらかというと、切なかったり不安だったりといった、sadな感情性が強いようにも感じられます(それはそうか)。意外に、ということもないんだけれど、メロディで引っ張る感じではなくて、大きなうねり―つまりサウンドスケープ―で空間を演出している感が強いので、その辺りがタグに用いられている“post-rock”に通じるのかなと思います。

ひとつ気になるのは、この物語がハッピーエンドなのか否かという点なのですが・・・。ラストが‘Together’なのでポジティヴに解釈できそうですが、その前の‘We Remain’はどう捉えるべきなのだろう。ジャケットイメージにしたって、これが出発の前なのか、それとも帰還の後なのかで、またそこに生じるものが大いに変わってくる。と、ここでJohn D. ReedyのSoundCloudを覗いてみると、わずか3トラックが残されていて、タイトルにはそれぞれMonth 22, 23, 24とつけられている。これは今作に収められなかった“その後”なのだろうか、果たして・・・。

リラクシンとはまた違うと思いますが、自身の頭の中に物語を作り上げることができたなら、終幕のときには涙が頬を伝う可能性もあるでしょう。というように、非常にイマジネイティヴな作品でもありますが、音楽単体でみても素晴らしい作品だと思います。



sensei40 – adventures in vHS vol​.​2 // erotica, horror & jungle edition

 sensei40 - adventures in vHS vol​.​2 // erotica, horror & jungle edition Cover

 – Tracklist –
 01. svensk dragkedja
 02. opportuni?
 03. kurrylude
 04. rupee boogie
 05. dariva
 06. moeesehs
 07. kaltakia mastoraki
 08. telepathic sea monster
 09. sioux farfalle
 10. mitaba!!



 -  01. svensk dragkedja


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 Release Date : 2016.10.21
 Label : Not On Label

 Keywords : Cinematic, Erotica, Hip-Hop, Horror, Sample-Based, VHS.


 Related Links :
  ≫ sensei40 on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp


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VHSの魅力というのは、どこにあるのだろう。日本で全盛を極めたのはバブル時代というのが、一般的な認識のようです。そういった背景もあるのでしょう、今では到底作品として世に出ることはないであろう代物が次々と、大量に、世に放出され、それが今もってマニアのコレクション心をくすぐっているという部分もあるようです。けれど私が言っているのは“そういうこと”ではなくて、VHSテープに収められた映像や音声に、なぜ魅せられるのかという話。前にもほかの作品について似たようなことを書いた気もするけれど、私にとってはやはり“いかがわしさ”というやつが、大きな魅力になっている。現在の再生機器によるものと比較すると、圧倒的に粗い画質と音声―必ずしもVHSのみがそこにあてはまるわけではないのだけれど、その部分は少なくとも私の中ではVHSと不可分となっています。

粗い画質と音声によって醸されるいかがわしさという点で話を進めていきますが、たとえば、そう、最近だったら“推定年齢12000歳の巨人が冷凍睡眠状態で発見される…イランの洞窟”(“Anunnaki Royals found in a sleeping stasis”)とか、逆に50年以上も昔だったらビッグフットの有名な動画(“Patterson/Gimlin Bigfoot Film – Complete Version”)とか、そういった一種オカルティックな映像であるとか、やはり音楽ファンとしてはいわゆる海賊版の存在も忘れちゃいけない、決して地上波には乗らないアンダーグラウンドで過激なミュージックビデオなどをダビングにダビングを重ねまくった劣悪な状態で観賞したりとか、70~80年代のパワー溢れるホラー映画であるとか―(別にこれを出す必要はないんだけど、たまたまですね)“OGROFF”―、その種の分けのわからなさと、不明瞭さを充満させ、しかしだからこそ知的好奇心を煽られ、そこから必然的に立ち上る浪漫の煙というヤツが、私にとってはVHSの最大の魅力(繰り返しますけど例に挙げた映像の記録媒体が実際にVHSのテープであるかどうかは問題ではないのです。私の中でVHSと結びつくイメージとしてそのようなものが在る、ということです。そして一文を長く書き過ぎだなアハハ)。

別にDVDだってBlu-ray Discだって、各種ストリーミングだって、いかがわしいものはいかがわしいんだろうけれど(エロティックなものも含み)、その点VHSの方が圧倒的強度を持っているのはなぜなのだろう。ここでやはり時代背景を取り入れざるを得なくなったけれど、VHS全盛期にはやはり観賞場所はお茶の間が基本だろう。デッキがそこにあるからだ。お茶の間でいかがわしい映像を見るとしたらどうする? 気がおけない友人と、というシチュエーションもあるだろうけれど、圧倒的に1人で、ってのが多いんじゃないかなあ。だから人目を盗んでこっそりと、一人で行うその秘密めいた行為―観賞―にあるスリルってやつは、VHSの内包するいかがわしさを何倍にも膨れ上がらせる、のではあるまいか。そう考えると、いまどきの一人に一台ってPC環境では、アレですね、そういったスリルなんて微塵も発生しないですね。そうすると逆に、その個人のPCで行われるすべての行為が、もう全ていかがわしく思えてきてしまいますよ、私は。欲望に直結しているといいますか。怖いもの見たさ、みたいな欲望は今だとLiveLeakとか(他にもあるね・・・)が引き受けてしまうのだろうし、真偽問わずとも信じられないくらいGoreなイメージがそうやってあっという間に世界を駆け巡っているその現実、空恐ろしい―

はて。いったい何の話をしている、のか。

sensei40って何か不思議な名前ですけど、プロフィールを信じるなら、ギリシャのトラックメイカーのようです。作品に付された記述を読むと、今回は“swedish and hindi erotica, cult horror, and italian spy & jungle virgin movies”の類からサンプリングを行っているようです(西部劇も含まれるよう)。そしてそれらを編集加工したのが本作ということになるようですが、冒頭からたまりませんね、このVHS感、もとい、いかがわしさ。まぶたの裏に浮かぶ、Lo-Fi ヴィジョン。なにがしかのイメージのもとに作られているとは思いますし、やはり映画からのサンプリングということで、自然シネマティックな作品になっています。ジャングル探検隊が暴いた古代の墓からゾンビウィルスが世界に蔓延する!みたいな(なんかイメージが“ブレインデッド”に引っ張られてる気がする。あとそこまでホラーチックではない今作)。eroticaということでその路線の喘ぎ声なんかも使われているけれど(思えばジャケットイメージもその方向なのか?)、どこかコメディタッチなんですよね全体的に。深刻さだとか過激さだとかはまったくなくて、ちょっと矛盾するかもしれないけれど、長閑な雰囲気があるんですよ。タグに使われているようなブードゥーのおどろおどろしさも醸されていますが、すべてをジャングルが包み込んでいるような、フラットな視線で見守っているような、奇妙なぬくもりが感ぜられます。ズバリちょうどよい。VHS感、いかがわしさは確実にありつつも、入れてるビートはHip-Hopだし、不思議に心地よい。そうかここにあるのはきっとエキゾチックだ。

ひとつ前にカンフー映画をサンプリングした“adventures in vHS vol​.​1 // martial arts edition”もありますが、これを聴いててふと思い出したのが、昔Last.fmで出会ったHwang Jang Lee。めっちゃ近しいサウンド。でも関係ないか。・・・今回特にまとまりがない文章・・・。


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Note :

This time sampling flicks like swedish and hindi erotica, cult horror, and italian spy & jungle virgin movies. Also, felt obliged to sample a western so here’s a second bunch of noisy nuggets. MITABA!!!!



BLACK LABEL – HOMEWORD ALTERNATIVE

 BLACK LABEL - HOMEWORD ALTERNATIVE

 – Tracklist –
 01. ANGELS WELCOME
 02. NEVER ALONE
 03. FORGETFUL TIME
 04. MERCY EMERGE
 05. HEAVEN EMERGE
 06. LIVING AGAINST
 07. FOR NOW



 - 05. HEAVEN EMERGE


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 Release Date :
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Cold, Drone, Meditative, Cinematic.


 Related Links :
  ≫ toby alden
  ≫ toby alden on Twitter
  ≫ EMBASSY on SoundCloud
  ≫ brlka on bandcamp


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アメリカのプロデューサ、BLACK LABELの作品です。bandcampのアカウントはbrlkaとなっていて、複数名義の作品がリリースされているので、てっきりレーベルかコレクティヴかと思っていたのですが、どうやら個人で作成したものを公開しているだけだったようです(おそらく)。でもすべての作品がここに集約されているわけでもなくて、別名義のbandcampへもリンクが張られていまして、その先にはここで公開されているよりも多くの作品があったりします。たとえばSapphire ShoresDREAM CORPなんかも彼の名義のひとつということになるわけですが、こういう一人で複数名義を使って作品を公開しているプロデューサってままいますが、どういう生活を送ってるのかとたまに不思議に思いますよ。“そんなに?”って思うとき、ないですか。私はあるんです。って、まあいいか。

名義によって確かに作風が異なっているようですが、共通しているのは、モコッとしたカセットタイプのAmbienceでしょうか。あとはそこに加わるリズムパターンだったり、Noiseの強度だったり、エディットの具合だったりで、スタイルが変わってくるように思います。そのザラついたAmbienceというところで、彼の作るサウンドはVaporWaveとの親和性も高いわけですが、そして実際そちらに傾いた作品もあるわけですが、今作についてはVaporWaveの影響はそれほど色濃く反映されているわけでもなく。サンプルを引き延ばしているのかどうか判然としませんが、スローモなレイヤーがたなびくAmbient/Droneサウンドになっています。

寄せては返す霧のような(そんな霧ないかもしれませんが)。それは密林の奥にある神秘的な秘境を覆い隠すような。どこか冷気を感じさせるのは、リバーヴやディレイといったエフェクトによって生まれるエコーが、まるで洞窟内のようなイメージをもたらすからでしょう(どの程度凝っているのかは分かりませんが、私としてはこのサウンドの角のなさというか、輪郭の淡さが絶妙なのです)。何かから(いったい何だろう)守られているような安心感と、白く濁った(決してネガティヴでない)景色が合わさることで、何も心配をせずに眠りにつくことを許されているような、夢見心地なときが流れます。そしてまた、レイヤーの中に確かに存在しているメロディが、音楽的快楽にも結びつくのです。厳かで、神妙に、リスナーを現実から隔離する、シネマティックなAmbient/Drone。

上記SoundCloudでもいろいろなタイプのトラックが聴けますが、やはり私が好きなのは、“cassette”のタグがついているもので、そこにある得体のしれない安心感は一体何にたとえたらいいのだろうと考えあぐねているのですが、いつか物語の中で行った懐かしい景色のような、自分とは切り離された郷愁(自分とは切り離されているから心配事はないのです。過去から責められることもない)。meditative、なんでしょうね、私にとっては。脳内の特定の領域が反応しているに違いない。



 - ETERNAL



Corwin Trails – ’93EP [AH052]

 Corwin Trails - '93EP [AH052]

 – Tracklist –
 01. Greatest Hits
 02. IO Michigan
 03. Abandon In Place
 04. Lachrymal Craquelure
 05. A Warning to Mr. Peters
 06. Parallel 45
 07. Diamond Bleacher Highlights
 08. Field Study
 09. Young People of My Future
 10. So Long Halcyon Day
 11. Age of Horrors
 12. Z is for Zemnoy Poklon



 - 03. Abandon In Place


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 Release Date : 2014.08.31
 Label : Archaic Horizon

 Keywords : Ambient, Electronica, Cinematic, Lo-Fi, Nostalgia, VHS.


 Related Links :
  ≫ Corwin Trails on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on YouTube


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アメリカのネットレーベル、Archaic Horizon(ここのところ活発で嬉しい)より。Corwin TrailsことSamuel Corwin Vandiverの作品がフリーでリリースされています。2007年にも同レーベルからセルフタイトル作をリリースしていまして、今作で7年ぶりのカムバック。その間にもリリースはありますが、bandcampで見る限りは1作のみ。寡作のようです。

で、どんな作風なの?ってところですが、これがヤバいくらいにノスタルジックで。聴いたとたんに「ヤバい」と口に出してしまった。押入れ掃除してたら出てきたVHSテープ、懐かしくて再生してみたら、テープがヨレヨレで画像も音もヒドいんだけど、ときおりハッキリする画や音声が、ふいに浮かび上がらせるノスタルジア、みたいな(長い一文)。シネマティックな宮殿感が醸すファンタジーなイメージと、チャイルディッシュなサンプリングが醸す回想が結びついて、得も言われぬドリームスケープが生まれます。ミニマルなメロディ(サンプリングなのか実演なのかは分からない)もどこか切なくて、ときおり素っ頓狂にゆがむ(なかなかエディットが効いている)その様も、記憶の歪さを表現しているようで、不思議と違和感はないのです。

以前の作品ではここまで編集感が強くないような気がするので、これは今作特有の作風なのかもしれません。タイトルも“’93EP”ですし、強く過去を意識して作られた作品なのかもしれないですね。過去の記憶を覗くってのは、いいことばかりではなくて、一緒に嫌なものも引きずり出されることも多くあって。そういう後ろ暗さっていうのかな、ちょっとした引っ掛かりがあって、夢見心地一辺倒ではないところも今作の魅力です。暗い部屋で独り、テレビに向かって思い出のVHSを見る光景って、すこし悲しいでしょう。切ないでしょう。なぜって、そこには今はもうないものが映っているから。意図されてないかもしれないけど、その辺の、思い出に特有の悲しみってやつも内包されている気がして、すごくよいですね。

と、ここまでサウンドのみに触れていたんですが、彼のYouTubeで今作に付随するビデオを見たら、さらにヤバかった! 自身のホームビデオをサンプルにして作られたと思しき、これまた編集感あふれる映像に、今作のトラックが付されているのですが、マッチしすぎてヤバい! 鳥肌立った! 何なら泣きそう! 粒子の粗い映像と、その中で動く子供たちの姿が、もうすでにノスタルジックで、そこにこんなサウンドがくっついてくるんだから、脳みそだけどこか別世界にすっとばされたような強烈なメモリーアタック(造語)をかまされました(特に‘Abandon In Place’の辺りがヤバい)。こんなのVaporWaveでも感じたことないぜ(ってアレはそういうものではない、たぶん)。捉えようによってはノスタルジア特化型VaporWaveと取れなくもない。映像が“The End”というワードから始まる皮肉感も、通じなくもないか(?)。

ということで、この作品は映像と共にあった方が何万倍も輝くと思いますので、下にそのビデオを貼らせてください。ちなみにこれは今作全編が使われているわけではありません。アルバム全編は20分ほどです(それでも短いな)。傑作だと思いますよ、私は。


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’93EP(※全編ではなく、抜粋です)



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(CC) by - nc - nd 3.0



Blue Bliss & Stray Theories – Lucid Dreamer

 Blue Bliss & Stray Theories - Lucid Dreamer

 – Tracklist –
 01. Blue Bliss – Sorrow
 02. Stray Theories – Find My Way
 03. Blue Bliss – Adrift In Mind
 04. Stray Theories – Tomorrow



 - 04. Stray Theories – Tomorrow


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 Release Date : 2013.01.12
 Label : SilentSpace Records

 Keywords : Ambient, Cinematic, Deep, Drone, Electronica.


 Related Links :
  ≫ Blue Bliss on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp

  ≫ Stray Theories
  ≫ Stray Theories on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on Tumblr / on Twitter


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ニュージーランドのネットレーベル、SilentSpace Recordsより。テヘラン出身、カナダ在住のBlue Bliss(Alireza Zaifnejad)、そしてニュージーランドの、Stray Theories(Micah Templeton-Wolfe)。二人のミュージシャン/コンポーザーによる、スプリット作がフリーでリリースされています。

ジャケットイメージには、“Lucid Dreamer”というタイトルに対する日本語訳とみられる、“明快な夢みる人”という言葉。暗い空間の中央で、膝を抱えた胎児のような姿勢で、眼を閉じる彼/彼女こそ、そのDreamerなのでしょう。このタイトル、ジャケットイメージ、すごくいい雰囲気です。

サウンドもその雰囲気を損なわず、DeepなタッチのAmbient/Droneが軸になっています。でもピュアなトーンのAmbient/Droneとは異なって、シンセの起伏だけを延々繰り返す形にはなっていません。両者ともAmbient/Droneのテクスチャーに、リズムやエフェクト、淡いメロディなどを巧みに持ち込み、景色に変化をつけています。これによってサウンドはグッと音楽的な方向に近づいていて、聴きやすさが増しています。結果として、ここには、抒情性をもちつつも、Calmな空間が生まれています。

Stray Theoriesのサウンドの方が、雑食性が強く思えます。Post-ClassicalやPost-Rockの領域とも無縁ではないでしょう。そのせいでしょうか、感情性を感じさせるサウンドスケープ。対してBlue Blissの方は電子音に比重をおいているようで、Deep Technoを彷彿させるような質感もあり。こういったAmbient/Droneを下地にしながらも、異なる手触りのトラックが交互に配置されることで、リスナーにとっては心地よい緩急が生み出されています。耳を飽きさせません。

どのトラックも好きなんですが、M-1とM-4が特に好きです。M-1は、静かな水面を眺めているような出だしから徐々に音の層が増していき、中途では歌声がふいに挿入されることで、一瞬緊張感が漂います。Ambient/Droneでありながら、そういった張り詰めた瞬間があるのも面白いですし、サウンドが徐々にビルドアップされていくようなスタイルも、ユニークに思います。M-4はAmbient/Droneのテクスチャーにノスタルジックな電子音が瞬く前半から、徐々にPost-Rock経由のギターが響きはじめ、終盤で悲しげなコーラス(?)と共に一気に広がる音空間が、景色を切り替える瞬間が、カタルシスです。先にも書いたようにわりと音楽的な方向に寄っているので、いわゆるAmbient/Droneサウンドに苦手意識がある方でも聴きやすいかと思います。

そして気になった方は、両者とも今作以外にも作品を公開・リリースしていますので、SoundCloudやbandcampを訪問してみてください。Blue Blissは同レーベルからアルバムもリリースしています。ただ、レーベル自体はそれ以降沈黙の期間に突入しているようで、現時点では目立った動きがないようなのが、残念。


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Mastered by Alireza Zaifnejad
Artwork by Funi – funi.deviantart.com