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Various Artists – Hyperboloid 2020[HYPR080]

 Various Artists - Hyperboloid 2020[HYPR080] Cover

 – Tracklist –
 01. Summer Of Haze – Classica
 02. cadeu – happy new yeah
 03. Famitsu – Bowser
 04. A.Fruit – Promises
 05. Pixelord – Amen
 06. zarya – Voice Unit
 07. Bad Zu – GET DAT
 08. tropical interface – nitrogen enrichment
 09. Raumskaya – tv252
 10. Max Dahlhaus – AntiLog
 11. Nphonix – Dirty MF
 12. data drain – Time Warp Device
 13. new sylveon – Zwarovski Monolith (Britney’s Cocaina Nightmare)
 14. BOGUE – Deep Deep Down
 15. wac© – Ruins Around Us
 16. Fisky – Millenial Loop
 17. ZAKLADKI – COSMOGRAMMA
 18. Sangam – Arose Into



 - 1. Summer Of Haze – Classica



 - 6. zarya – Voice Unit



 - 8. tropical interface – nitrogen enrichment


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 Release Date : 2020.01.01
 Label : Hyperboloid Records

 Keywords : Bass, Compilation, Electronic, Future, IDM, Russia.


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このご時世にどれだけの人がアルバム単位でnetaudio界隈の音楽を聴いているのかという疑問はありますが、私はといえばやっぱり作品単位で聴いてしまうのですね。アーティスト側が1曲で聴いてくれってなら別ですけれど、何曲かコンパイルして公開しているなら、じゃあそのまま聴きましょうか―いや聴かせていただきます、と。そういう聴き方をしている人間にとってアルバムの冒頭曲というのは非常に重要な意味合いを持っています。その1曲で作品に引き込まれるかどうか、その先を聴くのかどうかが決定すると言っても過言ではない。そういう意味では、この作品は私の耳とハートを、見事に冒頭のトラックでキャッチした。

Hyperboloidはロシアンレーベル(初めは私がHyperboiledと誤読していたのはちょっと内緒)。私が不勉強なだけですでに一定の人気は獲得しているし、少なくない数の作品がリリースされてきています。Bass musicよりのElectronic musicという認識でよいのでしょうかね。アタックの強い電子なリズムをボトムに据えた作品が多いように思います。

今作は2020年1発目にリリースされたレーベルコンピレーションですが、ここでも私の不勉強さがさく裂して、ほとんどのトラックメイカーを存じ上げません…。PixelordやSangamあたりがかろうじて…という感じでしょうか。まあ知ってるか知らないかで聴いてたらこんなブログやってませんから、気にせず聴いていったわけですが、先にも書いたように1曲目がよいですね。妖しげに瞬くシンセとひたひたと歩むリズムは徐々にビルドアップされていく中で近未来都市のようなサイバーな空気も醸しており、実にクール。幻想的なシンセのラインと足早なドラムの対比で陶酔感を生み出すM-3や、リズムの音色変化で翻弄し続けるユニークなM-7、メタリックな収縮と解放を繰り返すM-8(M-7からこのM-8の流れは好きですねぇ)。

不穏な空気ながら、どこかにOutrun的なニュアンスも感じられるM-10も面白い聴き心地だし、いきなりシンフォニックなメタルミュージックのようなヴォーカルが聴こえ始めるM-14は意表を突かれますが、ColdWaveやIndustrialの流れを汲んだ、きちんとしたウタモノです。こうしてかいつまんで書いていてもなかなか聞き逃せない作品だなあと改めて思うわけですが、特に一組、超絶に気になったアーティストがいまして、M-6を手がけたzaryaです。全編通して聴くとよく分かりますが、作中でダントツにPopなフィーリングを放っています。変調されたエフェクティヴなヴォーカルに小刻みなリズムやシンセで作り上げられた冷たく美しい世界が私を魅了してやみません。方向性は異なるんでしょうが、この組み合わせは個人的にlexis shiiを思い出しました。

とここからZaryaの話になりますが、彼らは2018年に始まったシベリアのエレクトロニック・デュオ。HyperboloidのサブレーベルであるINTERNETGHETTOからも“Synthetic World”をリリースしてますし、何気にSIDECHAINSからも“18 y​/​o”をリリースしていて、今作収録曲とはまた趣の異なる彼らの楽曲に触れることができます。アタックの強い、エフェクトの効いたバックトラックでダイナミックに攻めながらもヴォーカルのメロディラインでしっかり聴かせるという見事にPop指向。好きですねぇ、イイですねえ。長く続いてほしいなあと思いますが、どうでしょうか。

とこういうように、存じ上げないアーティストばかりだからといって聴かずに終わらすのではなくて、一歩踏み込んだらお気に入りのアーティストが見つかる、というケースもあるのでね、やっぱりコンピレーションってのは(初見の人に)レーベルに興味を持たせるには最適だし、だからこそ冒頭一発目の曲はより一層重要になってくる、と思わされた作品でした。マル。散々電子なリズムで圧力かけておいて、ラストのSangamがしっとりAmbientで耳をいたわってくれる気遣いやよし。


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 Credit :

Mastering by Pixelord
Artwork by gsm_garden


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zarya – Холодный металл (Cold Мetal)




Various Artists – Cómplices

 Various Artists - Cómplices

 – Tracklist –
 01. Gnomo – Desaparecidos
 02. Oceanozero – En Desobediencia
 03. pHunk – La Noche
 04. Datashit a.k.a. 00.2.7x – Basura
 05. Safoh & Venus – Hemeo Aztinomia
 06. In-seckt – Get Out Of My Head
 07. pHunk – Mucha Policía



 - 03. pHunk – La Noche


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 Release Date : 2017.10.06
 Label : Incordia Netlabel

 Keywords : Compilation, Breakcore, Electronic, Glitch, IDM, Jungle, Noise.


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自分の中の忘れていた自分に出会うというのは、いつもショッキングであり、そしてそれが自分の望まない自分であった場合、恐怖でもある。

最近私は愛用していたウォークマンを失くしたのである。つまり日進月歩の便利な電話モドキとは別に音楽再生装置を持ち歩いていたわけである。おそらくは食堂で下膳の際にトレーに乗せたまま、そのままベルトコンベアに託してしまったのはでないか、つまりベルトコンベアの先に待ち構えている食器や何やかんやを洗うシンクにドボンしたんではないかと考えられる。いや確認はしていないが恐らくそう。ああ。

まあ新たに買うことは決定事項であるとして(現時点で購入は果たされている)、その時間が取れるまでは、しばらく私は裸の耳で過ごさねばらななくなった。裸の耳というのは、つまりガードがないということである。

学生時代が終わってしばらくは私は携帯型音楽プレイヤーに否定的だった。尊敬していた人物の言も関係していただろう。「しゃらくせえ」と思っていた。音楽じゃなくて身の回りの音を聞けよ、なんて思っていた。が、いつからかうっかりウォークマンに手を出したらすっかり戻れない。自意識過剰で頭悪い私は、いちいち他人の視線や言が自身の矮小さを指摘しているように感じられる質なので、ウォークマンを通じて左右の耳の間に作られる世界は、そのわずらわしさから身を隠すのにうってつけだった。

はたして久しぶりにそのガードが外れてしまった私はしかたなく丸腰で電車に乗るわけだが。これが実に落ち着かない。自分でもハッキリ分かるくらいに。どれだけ音楽によるガードに依存していたのかを思い知る。そしてそんなときに私の前に立った大学生男女が充実したトークを繰り広げるものだから(内容は省きましょう)。対比的に自身の暗く鬱々とした学生時代が浮き彫りになってくるようで。耳をふさぎたくなる(目は閉じた)。お決まりの矮小感が身を貫く。逃げ場がない。“ああオレこんな人間だったな”と己の弱さに面喰い、そして精神的にうなだれる。“今畜生!”という気概もなく、ズルズルと家路を歩く。

そんな自分には再会したくなかった。

きっとそんな車内で私がウォークマンを持っていたなら、今作を再生していただろう。なんて思う。耳をふさぎたいってよりは、自分をブッ飛ばしたい気持ちかもしれない。でも聴き返してみたら、そんなにやかましくなかったネ。


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(CC)by – nc 3.0



Various Artists – PlayGround [#001]

 Various Artists - PlayGround [#001]

 – Tracklist –
 01. 10 – Candy Shop
 02. polu – Chewing Gum
 03. WyvernP – Bouncing Ball
 04. Levi Polis – Toy WarZ
 05. Alisweet – Feeling

 - 02. polu – Chewing Gum


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 Release Date : 2017.12.19
 Label : Palette

 Keywords : Compilation, Dance, EDM, Electronic, Glitch-Hop, Pop.


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韓国のトラックメイカー、ARForestとLevi Polisが中心になった新興レーベルPaletteより。第一弾コンピレーション“PlayGround”がリリースされています。初っ端ということで大量のトラックを詰め込んでくる手もあったとは思うんですが、内容は5トラックということで、厳選されているイメージです。

個人的にはまた(何度目だろう)姿を消したと思っていたpoluが再び姿を見せているのがうれしいところですが(でもSoundCloudにはこの1トラックしか残されていない!)、頭から聴いていきましょう。

10の‘Candy Shop’はタイトルは甘いんですが、中身はぜんぜん違いますね。抒情的なメロディに細かなブレイク、ダイナミックなドラムを加えて、とてもドラマチックな仕上がりになっています。シリアスな予感めいたイントロや、ほんのりVGMな雰囲気があるところも好きです。

poluの‘Chewing Gum’はBleepyなシンセやブレイクが挟まってはいますが、コロコロした電子音や編集したヴォーカルなどをまぶしたglitterなポップチューンで、相変わらずの手腕。4ru名義の頃に見せていたストレートにエモいトラック作りを封印しているような気もしますが、またいつか見せてほしいものです。いずれにせよ、頼むから消えないでほしい…。

WyvernPの‘Bouncing Ball’はいかにもGlitch-Hopなタイトルじゃあないですか。実際一番ブリブリしてると思います。でもド頭から突っ走るわけではなくて、出だしのjazzyなピアノからベースが入り、徐々にDance/EDMへ流れ、またふいにちょっぴりjazzな軽やかピアノを入れてくるあたりが、面白くて、カッコいい。ちゃんとメロディも生きててポップにまとまってるし上手いなあって思います。

Levi Polisの‘Toy WarZ’はメロディとリズムが素直に結びついたストレートな聴き心地。メロディもさることながら、遊びでChipsoundを織り交ぜる辺りでやはりPop指向を感じます。ラストのAlisweetによる‘Feeling’はChipstyleに寄せた作風で、小奇麗にまとまっている印象です。騒々しいんだけれどもPopでCuteでキラキラしているという、今作のカラーをもっとも簡潔に表しているトラックかもしれません。

この界隈(どの界隈だよというツッコミは受け付けませんヨ)で予想されるサウンドを大きく裏切ることはありませんが、逆に言えば安定のクオリティが確保されている作品です。そしてまだ先かとは思いますが、ピアノを主体にした別のコンピレーション“Memory of Childhood”が予定されているようなので、そちらも期待して待ちましょう。



Galaxy Swim Team – New Crown [GST​-​18]

 Galaxy Swim Team - New Crown [GST​-​18]

 – Tracklist –
 01. Post Boy – New Crown
 02. chalkboards – Guanajuato
 03. Jackson Scovel – Change of Pace
 04. Natbird – We Will Heal
 05. Noah Hafford – Honey
 06. hellstar.plus & Ivy Hollivana – Now I Know
 07. GWIZ – Crossroads
 08. Inniqleia – Spectral Resonance
 09. skybox – Lavender Skies (Feat. Business Pastel)
 10. DBOYD – Come Away With Me
 11. Lighten Up! – Young at Heart
 12. bansheebeat – Bombos



 - 05. Noah Hafford – Honey



 - 10. DBOYD – Come Away With Me


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 :: CD and New Crown Button are also available. ::

 Release Date : 2017.11.14
 Label : Galaxy Swim Team

 Keywords : Ambient, Chiptune, Compilation, Indie, Pop, Vocal.


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カリフォルニアのレーベル、Galaxy Swim Teamからのコンピレーションです。勝手にChiptuneレーベルな認識を持っていましたが、聴いているとそれは狭い認識だったとわかります。

冒頭のタイトルトラック‘New Crown’からしてヴォーカルの入ったShoegazeだ(と私は思っている)。ゆるやかなメロディと力の抜けたヴォーカルが浮遊するギターポップでもある。‘Guanajuato’は夕暮れのまどろみと薄れゆくぬくもり(それは日没を意味する)が漂うAmbientトラック。chalkboardsは同レーベルからも“h​.​a​.​k​.​a​.​s.”をリリースしていますが、そちらも和やかな、ゆるくてフワリとしたポップ作品になっているので、このトラックが気になる方にはオススメです。

Jackson Scovelの‘Change of Pace’はAlternative~Post-Rock、そしてUSインディな雰囲気のあるバンドサウンドになってますが、ひとりでやってんのかな?と思ったら、jackson scovel = astroskeletonだった。あちらではポップで切ないChiptuneを鳴らしているのに、名義が変わるとぜんぜん違うサウンドになりますね。驚いた。jackson scovel名義の“quieting”なんかは楽器音を活かしつつも、割とastroskeletonに近しい部分もあって、中間的なイメージです。

Natbirdの‘We Will Heal’はピアノがたなびくミニマルな小品。物憂げな空気もありながら淡々としており、この雰囲気大好きです。心にちょっと引っ掛かりがありながらも家事を淡々とこなしている風景。それってHealですよね(きっと)。続くNoah Haffordの‘Honey’の突出感。急にメロディと感情があふれ出してきて耳を奪われる。名前を見ずに聴いていたら“誰だコレ!?”って興奮し、チェックして納得。ChillWave経由で描かれるサンセットなシーンはリスナーを手を止めること間違いなし。改めて優れたメロディメイカーだと実感しました。

リズムを利かせたエレガントなヴォーカルトラック‘Now I Know’から後半に。シアトリカルなVGMの雰囲気もある‘Crossroads’やサイバー/ダークなザラついた空気も持った‘Spectral Resonance’辺りで、徐々にChiptuneへのムードを高めつつ、次のskybox(元shoujo kissですネ)による‘Lavender Skies’、続くDBOYDによる‘Come Away With Me’で、ドライブ感満点のChipsoundが披露され、その空気が解放されます。特に後者は往年のカプコンのサウンドチームALPH LYLA(アルフ・ライラ)を彷彿させてアツいです。

ファンファーレのようなイントロから幕開けするどこかファニーなエモーショナルヴォーカルトラック‘Young at Heart’。そしてトリのbansheebeatはこの界隈では名前は通っておるでしょう(同レーベルからの“Techo☆Deluxe”も素敵です)。珍しく?せわしない、アグレッシヴなリズムが印象的です。タイトルの‘Bombos’ってのは民族音楽で使われる大太鼓らしいですが、その辺りも意識されているのでしょうか。休むことなく最後まで突っ走り続ける音像と重く響くドラムスは、大海原を戦いに向けて進んでいるような、雄大さと緊張感が漂います。

ちなみに今作に合わせて(今作を聴きながらプレイしてほしいとのことで)、ウォーキングゲームがリリースされています。気になる方は下記リンクからどうぞ。


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DOWNLOAD OUR ACCOMPANYING GAME FOR FREE
galaxyswimteam.itch.io/new-crown

(CC)by – nc – sa 3.0



Various Artists – Fanservice – Vol​.​1

 Various Artists - Fanservice - Vol​.​1

 – Tracklist –
 01. Intro
 02. maxwell – Crush
 03. Anzious – 藤原とうふ店(自家用)
 04. Nahviss – Suu
 05. Cold Youth – Nearby
 06. Keii – She
 07. Tyrrer – Hollow
 08. Koi – I’ll Go the Distance
 09. D N Z – Wonderful
 10. Dazamu – Summer Love
 11. Foxful – Aquarium
 12. ナニダトnanidato – umiみどり
 13. Tyrrer x Chiyoko – Windmill
 14. PROJECT SEKAI – Starlight
 15. Olli – i can’t make you love me
 16. Konara – Mixed Emotions



 03. Anzious – 藤原とうふ店(自家用)



 08. Koi – I’ll Go the Distance



 14. PROJECT SEKAI – Starlight


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 Release Date : 2015.09.21
 Label : Fanservice (ファンサービス)

 Keywords : Chill, Compilation, Electronic, Future Bass, Pop.


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おそらくは(Koi)コイ。とDNZが主軸になっていると思われるコレクティヴ、Fanservice(ファンサービス)より。記念すべき初のコンピレーションがリリースされています。16トラック収録で、現在名を連ねているメンバーのほとんどのトラックが収録されているという、レーベル/コレクティヴのカラーを示すには十分すぎるボリューム。

そのカラーをざっくりいうと、やっぱりFuture Bassなんでしょうかねえ。いや、そう思います。特に前半部はその流れが強いです。コロコロ転がる金平糖みたいなmaxwellの‘Crush’、chipな響きも活かしたシティナイトなAnziousの‘藤原とうふ店(自家用)’(なんでこのタイトルにしたんだろう)、次がこの界隈ではよくチョイスされている様子のShiggy Jr.、の‘summer time’を煌びやかに刻んだNahvissの‘Suu’(サビを外しているのがニクいな)。そしてスローダウンしてChillに傾いたCold Youthの‘Nearby’。長閑な景色が心地よい。と、ここまでが私の中ではワンブロック。

このあとがBeats/TrapなKeiiの‘She’なんだけど、メロディを抑えた硬派な作りで、それまでの砂糖菓子みたいな甘さに食傷気味になりかねないリスナーを耳を、見事に別方向に導いてくれる。続くTyrrerの‘Hollow’も、アブストラクトなビートとGlitch、重々しいBass musicな調子で、メロディは感じられない冷徹なトラックになっていて、この流れで配置されていると、余計にシビれる。ちょうど中間地点に配置されている、koiの‘I’ll Go the Distance’やDNZの‘Wonderful’は、そんな色のない景色から軽やかに転じて、抑えたタッチながら、再び色を取り戻しにかかる。DNZのサーフする電子音から抜け出た先が、私の好きなDazamuの‘Summer Love’。Trapビートとフワリとした電子メロディを組み合わせた彼のスタイルのひとつだけれど、もっとSadな方向でも私は好きです。と、ここまでが私の中では2ブロック目。

お次がFoxfulの‘Aquarium’で再び賑やかな幕開け。VGMっぽさもありつつ、最後はオーケストラルな調子も交えて慌ただしくもファンタジックに。続くナニダトnanidatoは安定のJapanese Discoで人気を博していますが、ここでも期待を裏切らず、ストレートな―ストレートすぎるか?―Japanese Discoを展開。瀬能あづさの‘土曜の夜にRainbow’を使ってPopかつノスタルジックに攻めてきます。意外だったのがTyrrer x Chiyokoの‘Windmill’で、もっとPopに来るかと思っていたら、ぜんぜんアブストラクトだった。アンビエンスと振動するビートで、ややもするとIndustrialな調子さえあるという。確かに最近のChiyokoのトラックはメロディというよりAmbientに傾いているので、Tyrrerとの共作とはいえそれが反映されているのでしょうか。と、あえて分けるならここが3ブロック目。

ChillなHouseにTranceも織り交ぜたPROJECT SEKAIの‘Starlight’でラストのブロックが始まり。出だしは虫の声と、点描画される電子音で非常にAmbientな調子で、これはこれで好きなんですが、ビートが入ってきて景色が動き始めるところはやっぱり気持ちが良いですね。次がこれも私の好きなOlliの‘i can’t make you love me’なんだけど、フワッとしたSadなフィーリングを残して、わずか1分半で終わってしまうという、ちょっとさびしい展開。それでもラストのKonaraによる‘Mixed Emotions’のノスタルジックかつChillな景色に上手いこと繋げていると思います。淡いピアノを配したDowntempoといってもよいでしょうか、きっちりとチルアウトな締めになっています。

こうして4ブロックに分けて見てみましたが、途中に書いたように、Future Bass一辺倒ではなく、またそれが良い方向に作用している、好コンピレーションだと思います。“そんなに食べれないよ”という満腹感、食傷感が上手いこと回避されていて、各トラックの個性が際立つような流れ、展開が楽しめます。耳を傾けてみて、気になるトラックメイカーがいたら、是非フォローしてみてください。



Various Artists – 4-Way Split Album「CULTURE」 [YZML-09]

 Various Artists - 4-Way Split Album「CULTURE」 [YZML-09] Cover

 – Tracklist –
 01. adustam – counting 1 – 10
 02. siroPd- repeat every day
 03. ΔMUNOA – i ωɒN̂t iẗ ThÅt ωay
 04. _yi. – my culture
 05. adustam – 1129
 06. _yi. – nightdrive
 07. siroPd – Creation
 08. ΔMUNOA – spiritual


 (all tracks are streaming on release page.)


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 Release Date : 2014.12.10
 Label : ゆざめレーベル

 Keywords : Compilation, Electronic, Pop, Shibuya-Kei.


 Related Links :
  ≫ adustam on SoundCloud / on Twitter
  ≫ siroPd on Tumblr / on Twitter
  ≫ ΔMUNOA on SoundCloud / on Twitter
  ≫ _yi. on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on Twitter


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ちょっと気だるげな目元のガール。明るい茶色のロングヘアーはツインテールに結ばれて。赤いスタジャンに大きなリュック。生足ショートパンツにハイカットのスニーカー(ソックスがちょっとユルめなのがまたニクい)。スマホにつないだヘッドフォンを首にかけ、手に持った鍵はどこのものだろう? チャリンコかスクーターか、家の鍵と踏んだのだけれど、あえてここはコインロッカーの鍵で推したいと思います(でもあんな形状はなさそうだな)。ライヴハウスかクラブハウスに乗り込む前に、ちょっと駅前のコインロッカーに、みたいなことで。荷物も入れたし、さて行くか、おっとその前にスニーカーのポジションを直しておくかと、足に手をかけたところで、たまたま友人に声をかけられて、「おっす」と手を挙げたのが、このジャケットイメージなんだと、勝手に想像してました。すごくPOPな光景だと思いますし、その光景はある種のカルチャー、シーンにコミットしている人なら、日常的に目にする光景でしょう。つまりこの作品はジャケットイメージからも“カルチャー”を滲ませています。ばっちり作品にハマっていて、デザイン、イラスト共にすばらしいです。

さて、日本のものづくりレーベル、ゆざめレーベルからリリースされた“CULTURE”は、新進気鋭という言葉が見事に似合う、国内外4名のアーティストがトラックを提供したコンピレーションアルバム(これでまだ9作目のリリースなんですよね。意外)。同レーベルからのPalladium -siroPd Motion Collective-”も記憶に新しい、若き才能siroPd、NoDisco Recordsからの 繊細かつ大胆な編集感覚あふれる“[kiki]”も傑作だったΔMUNOA、Sayonara Recordsからのgalapagos escalator以来、3年ぶりの帰還を果たしたadustam、そしてOTNJ_B収録のsugar rushで私のハートにその名を刻みこんだエディット・ポップメイカー_yi.、以上4名が集結。特に_yi.が今回のリリースでいわゆるネットレーベル界隈に絡んできたのがうれしいですね。歓迎です。

コンピレーションということもあり、バラエティに富んだ音像を予想していたのですが、意外や意外、一貫性のある作品になっています。顕著なのは全編にあふれる編集感覚でしょうか。途切れるレイヤーが生み出す断片的な景色。まずそれがひとつと、その中に封じ込められたPopなフィーリング。これが全編で共通しているように感じます。さまざまなサンプルとエディットを駆使して、リスナーを楽しませてくれるわけですが、この作品の聴き心地には、ひとつの“流れ”を感じ取ることができます(これが意図的に作られているのか、そうでないのかは分かりませんが)。広く使われている言葉ではありませんし、私の中に明確な定義があるわけでもありませんが、Neo-Shibuyakeiというのが、私がここに感じ取った“流れ”に当てはめたい言葉です。

表層的な部分ではそれぞれ違いがありますが、たとえばfu_mouのGreen Night Paradeや、TomgggのブロックバスターPopteen、kai takahashiのsoda pop(neo-mo-derecordsには超期待)などの作品と、今作の間には、根の部分で共振するものを感じるのです。逆に、表面的には似たことをやってそうだけど、でも根っこは何か違うよなって感じさせるのが、Superspinkの一連の作品だったり、spoomusicから出ているANgR MgMTのCut Ups EPや、Cut Ups EP2だったりします。うまく言えませんが、CORNELIUSと中田ヤスタカの違いみたいなものかもしれません。今作がどちらなのかといえば、前者・・・かと思っていましたが何回も聴いていたらよく分からなくなりましたので、この話題はこれで締めたいと思います(相変わらずの投げっぱなし)。

タイトル通りのカウントからはじまるadustamのM-1から、ピアノとLo-bitな電子音、そして弾んだリズムの絡みがファニーなsiroPDのM-2(目覚ましのアラームを模した冒頭もユニーク。繰り返す毎日)、変調ヴォーカルとアグレッシヴなリズム、伸びやかなシンセでアッパーに攻めるΔMUNOAのM-3と、徐々に盛り上がってくる構成もよいです。そして頭からバリバリのエディットで畳み掛ける、_yi.によるPopかつさわやかなM-4‘my culture’で前半部のクライマックス。

そのまま編集的な流れを引き継いだM-5がまた、クールでよいです。バックに点在するフレーズと拮抗するヴォーカルラインが不思議な浮遊感を誘いますが、途中からリズムがフラットに切り替わって、音像がShoegazingな方向に傾きます。この辺りにadustamがたまに見せるAlternativeなエッセンスを感じられて、ユニークなトラックです。次の_yi.による‘nightdrive’が、ギターとレイヤー状のヴォーカルをフィーチャーしたドリーミィなトラックで、またもや上手いつながり。統一感が非常に強い。ミニマルなピアノを主軸に、さまざまなフレーズを散りばめたトイ感覚のElectronica、‘Creation’で一息つくと、ラストはシックなシティフレーバーなポップス‘spiritual’がお出迎えです。スムースなメロディと、さまざまなフレーズが、自己主張しつつもバランスを保ったまま、混然一体となって耳に入り込んでくるさまは、とてもにぎやかで楽しくて、でもメロディはちょっと悲しくて、つまり見事にPOPです。

古今東西のサウンドを素材として利用する雑食性、それによって生まれる編集感覚やファニーなトイ感覚、そしてシックな都市感、これらはやはりShibuyakeiのイメージと重なるところがあります。ということで誠に勝手ながら、正体不明のまま連綿と続いてきた渋谷系(Shibuyakei)サウンドの最新モード、そのひとつの形を示しているのが今作ではないかと思います。大きい話を小さい視点でいうと、この作品が新しい“カルチャー”の片鱗を覗かせていることは、間違いありません。その目撃者、体験者になれるということは、非常に光栄です。ありがとうございます。

あ、ティーザーも超カッコいいんで、見ておくべきです。以下に。


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4-Way Split Album「CULTURE」 Teaser



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Illust : けーしん on Pixiv / on Tumblr
Design : ryokuca on Twitter

Basic license : (CC) by – sa 3.0 jp
M4&M6 license : (CC)by – nc 3.0



Various Artists – Inmyroom Mixtape Vol. 2

 Various Artists - Inmyroom Mixtape Vol. 2

 – Tracklist –
 01. Layur – Secangkir Teh, Rintik Hujan dan Beberapa Baris Melodi
 02. Beethoven From Stereo – It’s Easy and Simple to J.O.I.N.
 03. Galant – Farah’s Way From Here
 04. Nasadira – Vadya Masa
 05. Jollyhooks – Braingazing
 06. Blue Albatross – Sol Indiges
 07. Kucing Liar – The Most Spectacular, Indescribable, Deep Euphoric Feeling For The Girl With The Most Beautiful Smile I Ever See
 08. Individual Distortion – The Ballad of Pork Chops and Happytos
 09. Long Road To School – Pure Journey
 10. Sound Of Silence – Be Happy
 11. Pewee In The Garage – Lumie
 12. Wave Of Sun – With You
 13. The Sane – Under The Night Tides




 - 01. Layur – Secangkir Teh, Rintik Hujan dan Beberapa Baris Melodi





 - 10. Sound Of Silence – Be Happy


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 Release Page :
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 Release Date : 2013.12.01
 Label : Inmyroom Records

 Keywords : Acoustic, Alternataive, Compilation, Electronic, Indie, Pop, Vocal.


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インドネシアのネットレーベル、inmyroom recordsより。久しぶりのリリースは、見事にインドネシア勢でかためた、13トラック入りのコンピレーション。同レーベルからリリースを行っているミュージシャンもいますし、今回はじめてお目見えした方々も。

1曲目のLayurは、日本のtotokoko labelからもリリースを行っていますが、このトラックはそこ―“Selftitled”からの再収録となっています。今作を象徴する、Acousticで、温かく和やかな(そしてちょっとセンチメンタルな)空間は、導入部を飾るのに相応しい。とても素敵なトラックです。

M-2, M-3と、Electronicな質感も取り入れたヴォーカル・ポップが続きます。特にGalantのトラックはR&Bフレイバーの洒落た空間から後半、Drum’n’Bassを彷彿させるBreakbeatが走り始めるあたり、面白い展開です。そして再びAcousticなウタモノ‘Vadya Masa’(これも後半が勢いあるドラムとストリングスで盛り上がる)を通過したあとが、ちょっぴりガレージでサイケデリックな‘Braingazing’。突如発生する酩酊グルーヴに意表を突かれつつも、酔いしれる。

作品の中間地点‘Sol Indiges’は、シンプルなリズムと、シンプルなピアノで、リスナーの耳をいったんリセット。したあとが、‘The Most Spectacular, Indescribable, Deep Euphoric Feeling For The Girl With The Most Beautiful Smile I Ever See’(長い!)で、再び酩酊グルーヴ発生。ディレイ、リバーヴを生かした音作りと、カラフルなシンセで駆け抜けるかと思いきや、Thom Yorke系のメランコリックなヴォーカルで、空気を塗りかえる。

このメランコリアのあと‘The Ballad of Pork Chops and Happytos’が、まさかのBreakcoreっていう、Compilationならではの面白さがここでさく裂。わずか1分強のノイジーなトラックで、余韻すら残さずに走り去る。続くのがまたスウィートなエレポップ‘Pure Journey’。後半にDubstep経由のBleepyなシンセも聴こえるけれど、声質のせいもあるんでしょう、砂糖菓子のような甘さ。作中でもっとも濃厚な一瞬でしょう。

Sound Of Silenceの‘Be Happy’はエレクトロに突っ込みつつも、Popな志向を忘れずに、Bleepyなのに、非常にMelodicで聴きやすい。さまざまな音色が入り乱れ、目まぐるしく変わる景色の中で、それでも保たれるセンチメンタル。今作のハイライトです。続く‘Lumie’は、ストリングスとリズムとヴォーカルだけで聴かせる、どこか神聖な冒頭から、ピアノの登場と共にメロディが広がり、一気に視界が開けていく。

‘With You’は、(私の中で)ザ・インドネシアン・エレクトロニカですね。骨太のリズムと、空間の真ん中でデカデカと鳴らされるメロディ。それは歌謡曲的でもあり、歌のない歌のようなんです。ネガティヴさとは無縁なドリーミィな浮遊感。分かりやすい、シンプルさが魅力です。

ラストはひときわAcousticなウタモノ、‘Under The Night Tides’で締めくくられます。ギターを掻く音やブレスが生々しく迫ります。ここからM-1につながることに違和感がないので、繰り返し再生することも視野に入れた曲順なのかもしれません。

全体的にはAcousticな印象があるんですが、Electronicな質感のトラックもバランスよく配置されていて、リスナーの耳を飽きさせない、優れたコンピレーションだと思います(全編を通じてPopであることも忘れてはいけませんね。大きな魅力です)。補足として、今作をダウンロードすると、pdfファイルでブックレットが付いてくるんですが、これが素敵なんですよ。収録されているすべてのミュージシャンのプロフィールが、近影やイラスト画像と共に記されているんです。いいですねー。大切に保存したくなります。

最近リリースが途絶えているように思えるinmyroomですが、これからもインドネシアの素敵な音楽を我々に届け続けてほしいですね。期待しております。そんな願いも込めてのご紹介でした。


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(CC) by – nc – nd 3.0