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タグアーカイブ: Drone

MIXTAPE : MYSTICAL ZONE




Forget it.


– Tracklist –

 [00:00] Imachi Akira – Noise Dreams
  from “Lycoris radiata EP” [e09](2009) :: (CC) by – nc – nd 3.0 ::


 [05:42] PACIFICO CORP/国際 – ジャングルに深く
  from “アフリカへの旅” (2015)


 [09:02] Magnétophonique – Ghosts Dance
  from Les Halles / Magnétophonique – “Split II” [CR-08] (2013)


 [11:06] .onion – surfing the deepest
  from “YOU ARE LOST . . .” [LMV-110](2016)/ [ mirror


 [14:35] Un Vortice Di Bassa Pressione – to repel ghosts
  from “Anonymous said” [ioenl cdr 002](2009) :: (CC) by – nc – nd 3.0 ::


 [20:05] Friendzone – CHUCH
  from “’COLLECTION I (REMASTERED)” (2012)


 [23:24] Okkoto / / 돌로 – 420 / / 음식
  from “5F Dept. Store” (2015)


 [26:10] Karen Weatherly – Magical Passes
  from “A Separate Reality (2nd Edition)” (2015)


 [28:48] AirMosaic – Speculative Bubble
  from “Executive Horizons” (2015) / [ version


 [32:44] Mel – Un
  from “Un” [BP018] (2009) :: (CC) by – nc – nd 3.0 ::


 [35:52] Amun Dragoon – Secret Whispers From The Tamate Box
  from “Sinews of Shadows, Temple of Darkness” (2013) / [DL


 [39:12] Adam Lempel – Claire De Lune
  from “Synthetic Classical MIDI Scores” (2009)


 [44:16] iN. – Snowtrap
  from “Nowhere Here” [FQP#004](2010)


 [47:47] Foresteppe – Little Bird Cherries
  from “No Time To Hurry” (2013)



CORPORATE災害 – エリカの歌

 CORPORATE災害 - エリカの歌 Cover

 – Tracklist –
 01. 結婚式は滝の下で開催された
 02. 月光の下でハネムーン
 03. 性交
 04. セールスマンの死
 05. 欲望と孤独
 06. 胎児の死亡
 07. 記念碑
 08. 沈む感じ
 09. すべてが寒い
 10. 彼女は自殺した。
 11. 最後のメモ
 12. 引導



 - 06. 胎児の死亡


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 Release Date : 2017.04.09
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Drone, Requiem, Shoegaze, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ CORPORATE災害 on SoundCloud / on bandcamp

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みなさんは、つのだじろうさんをご存知ですか。漫画家であり、心霊研究家でもある。“うしろの百太郎”や“恐怖新聞”が代表作でしょうか。1970年代~80年代に続く、心霊ブームの火付け役といっても過言ではないでしょう。

とまあ、つのださんの紹介はそのくらいで。ちょっとマニアックかもしれませんが、つのださんの書いた短編漫画で、“霊魂の唄が聞える”というものがありました。調べると、初出は月刊ムーの第11号なのかな。第13号まで続く“唄が聞える”シリーズの、第一作だったようです。私が読んだのはムーではなくて、コミックだったのですが、はて何に収録されていたのかが、うろ覚えです(“メギドの火”だったかなあ)。内容については“「ムー」ランド”さんが明るいので、気になる方はそちらを参照。

と、延々と遠回りしておりますが、何が言いたいのかという話ですね。このジャケットイメージ、ちょっと不気味でしょう? どっから引っ張ってきたのか分かりませんが、モデルさんと思しき女性たちが並べられ、その目元が隠されている。匿名性、隠すという行為から連想される、いかがわしさ。加えてこの題字。ちょっとヘタウマな感じからも漂う、歪さ。そんないかがわしさと歪さが結びついたおどろおどろしいイメージの中、タイトルは“エリカの歌”となっている。正直そこに秘められた意味は分からない。何の意味もないのかもしれない。しかし私の中では、ビジュアルから醸される気味の悪さと、“歌”という字面がドッキングして、果たして上記の“霊魂の唄が聞える”という作品の記憶が、遥かなる時を超えて掘り起こされたのだった。

作品としてはAmbient/Droneだし、あえてVaporWaveってカテゴライズする必要もないと思うけれど、何らかのサンプルをDroningしているという点では通じる部分もあるのだろうか(つまりそれほどその側面は強調されていない)。むしろ他作品―“孤独”の収録曲‘望郷’はAphex Twinの‘Rhubarb’を、Cyber Dream Recordsからの“仮想風景”は、Harold Budd & Brian Enoの“Ambient 2: The Plateaux of Mirror”収録曲を、それぞれメロディを保つ程度にChopped & Screwedして引き延ばしている―ので、そちらの方が、よりVaporWaveらしいと言えるかもしれない。

とまあ、“そう”であるかどうかはさておき、私はここに漂う“死”の気配に惹かれる。惹かれてしまう。並んでいるタイトルを見ても、あまり前向きに受け取れるものはない。いずれも抑うつ的なイメージをもっているように思える(そして何らかのストーリー性も予感させる)。そのものズバリ“死”に結びついているものも、いくつかある。そういうところも、上記のような気味の悪さを呼び起こした原因になっているのであろう。

ソフトなShoegazeともいえる、白濁したサウンドスケープは、mistというよりもfog、重さをもったウェットなレイヤーは沈痛のイメージを引き起こし、まるで鎮魂歌のようにも聴こえてくる。と同時に現実とは切り離された、浮世離れ、ドリーミィな側面も確かにあって、それが死を飛び越えた甘美な何か、あるいは飛び越える寸前の甘い誘い―死線―を感じさせるのです。

そういう死にまつわるエトセトラなサウンドイメージもあるのかな、私が今作を聴きながら読んでいたのは、法月綸太郎の“密閉教室”であった―


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 Note :

私は彼女を愛していた。
私は彼女を崇拝した。
しかし、最後には
私は彼女を捨てた。
そして、今私は価格を支払う必要があります。
私を許して。



PLAYLIST : 2017.04

School Of Crystal Healing – Lightworkers Delight [TNRFREE010]

 School Of Crystal Healing - Lightworkers Delight [TNRFREE010] Cover

 – Tracklist –
 01. Influx
 02. Boutique Sternway
 03. Parallax Oasis
 04. Seven Stages Of Empathy
 05. Lavender
 06. Cherry Blossom
 07. Lonely Planet
 08. Fruity Loom



 - 05. Lavender


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 Release Page :
  ≫ [ Ektoplazm ] / [ Troll N’ Roll Records* ] Download Free! / * = pay what you wish.

 Release Date : 2016.06.18
 Label : Troll N’ Roll Records

 Keywords : Ambient, Deep, Downtempo, Drone, Meditation.


 Related Links :
  ≫ School Of Crystal Healing on Facebook / on SoundCloud

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Troll N’ Roll Recordsというと(ちなみにスウェーデンのレーベルだ)、コテコテのトランス・ミュージックばかりだと思っていたのだけれど。それは私の勝手な思い込みだったようだ。レーベルでもありトランス・ミュージック全般のポータルサイトでもあるEktoplazmからもリリースされている今作は、実に私好みの、DeepなAmbient、あるいはDrone作品だった。

Gubbologyの名前でも活動するOlof Ejstesのもう一つの顔が、このSchool Of Crystal Healingで、2012年には同レーベルから“Form And Frequency”をリリースしている。そちらも今作に負けず劣らずよい作品なのだけれど、私の中ではこちら“Lightworkers Delight”に軍配が上がる。

それはおそらく今作の方がメロディに寄っているからだろう。Ambient/Droneの趣が強い作品について述べる言葉としては語弊があるかもしれないが、総じて聴きやすい。シンセティックな音色で作られる、ドローニングなレイヤーの起伏、またそのかすかな瞬きは、森林(あえて深林と書いてもいい)、あるいは深海のような、ディープ、深遠なイメージへと私をいざなう。この手の音楽だと、一本調子のように誤解されるかもしれないが、なかなかどうして各トラックはバラエティに富んでいて、そのこともやはり聴きやすさに結びついている―複数のレイヤーが絡み合うような音作りや、また鳥や獣の鳴き声、水音のような環境音を差し挟んだりといった細かい演出、さらには和楽器の音色やDowntempo的なリズムを用いたりと、Ambient/Droneで一本筋を通しながらも、そこになされる肉付けは多種多様になっている。

その結果、聴取感についても、トランシー、サイケデリックなものから、ドリーミィ、メディテイティヴなものまで幅広く、この一作でさまざまな効用、効能を得ることができる。トランス一直線なものは敬遠しがちな私が耳をひかれている理由も、やはりその辺りにあるのだろうと思う。どのトラックも好きなのだけれど、フェイバリットを挙げるのであれば、M-5‘Lavender’―この浮遊感、望郷感たるや、背後にたなびくスペーシーなオーラもいい、そして順番は前後するがM-4‘Seven Stages Of Empathy’―冒頭から続くシンギングボウルみたいな断続的な持続音がやたらとトランシーなくせに、そこに絡んでくるのが優美でエモーショナル、抒情的なシンセメロディっていう、この不思議な組み合わせ。そしてやがては冒頭のエスニックなイメージに回帰していくのだけれど、そのめくるめく精神世界的なイメージが好き。


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(CC) by – nc – nd 4.0



Wondering Albatross – birch

 Wondering Albatross - birch Cover

 – Tracklist –
 01. Norilsk
 02. Ust’-Kut
 03. Nyurba
 04. Oymyakon
 05. Aykhal
 06. Gyda



 - 02. Ust’-Kut


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 Release Date : 2017.03.24
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Beatless, Calm, Drone, Nature.


 Related Links :
  ≫ Wondering Albatross on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp


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ふとFacebookのタイムラインで流れ来たのが、この作品でした。ポストしてくれたのはricrdo。彼は頻繁に音楽関連の投稿をしている―日本の音楽も多く、Number Girlや横田進なんかもある―ので、これも他の人の作品、つまりレコメンドなのかなと思っていたんですが、どうやらご本人の別名義のようですね(違ったらゴメンナサイ)。そんなricrdoも日本のレーベルEasy + Niceから編集盤“Spica”を発売したばかりですが、それはここでは置いておいて―

このWondering Albatrossのサウンドが非常にいい! 言ってしまえばAmbient/Droneだし、そんなのみんな一緒じゃないかって思う人もいるんでしょうけれど、複数作品を(聴く耳をもって)聴いてくれば、そこに傾向性の違いがあるというのは感じ取れると思うんです。私の場合は手法ではなくて聴取感(聴いた感じ)で区別するしかできませんが、こういうピュアなトーンのAmbient/Droneにおいてさえも、やはり“トラック”ごとの違いというのはあるわけで。たとえばArcticology(おそらく活動終了してますね)とか、The Inventors of Aircraftとか、Kendall Stationとか、alessとか、netaudio界隈における私の好きなAmbient/Drone作家もいるわけですが、それぞれやっぱりちょっとずつ違う。そしてこのWondering Albatrossも同じく、やっぱりちょっと違う。

イメージでいうと、何にもない陽だまりっていうかね。制作者のイメージと異なるかもしれないけれど。あるいはあるがままっていうか。それは自然といってもいいのか、どうか、自分でもよく分からないのだけれど。まあ大きい目で見れば人間も自然の一部だとは思いますが、人の手が入っていない、そのままの存在というか―陽が上り、雲は流れ、木々は風にゆれ、やがて日が沈むと、空には月と星が輝き、草木も眠る―その何でもないサイクル、そこにおける思考の欠落、何者の意志も感じさせない、その在り様が、ただひたすらに、心地よい。ポジティヴな意味で空っぽなんですよ。無。into the void.

私の中で今作のイメージに非常に近しいのは、Aphex Twinの‘Rhubarb’なのですが、そちらはややドリーミィな調子があるのが違いと言えば違い。何もかもを曖昧な輪郭にして、過去へと(あるいはここではないどこかへと)押しやり、その結果、私の現在が(一時的に)空っぽになる。それは決して悪いことではなくて、その瞬間、まるで自分が自然の一部になったような、存在しながら存在していないような、不思議な錯覚に陥るのです。冷たくもやさしくもないその許容ですが、なぜだか私はとても安心するのです。

ということでせっかくなので、上に挙げた4者の、特に好きなトラックを以下に示して終わりといたします―



 - Arcticology – Polybius (from “Music For Daydreamers” [earman053])



 - The Inventors of Aircraft – A way in (from “As it is” [RB088])



 - Kendall Station – Mend (from “Mend” [tube233])



 - Aless – Like Looking Through Broken Glass (from “i’mmobile” [DIST017])


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Cover photo by Oddbjørn Kvalvik

Purl – Childhood Dreams [ETNLR09]

 Purl - Childhood Dreams [ETNLR09]

 – Tracklist –
 01. Childhood Dreams





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 Release Date : 2017.02.14
 Label : Eternell

 Keywords : Ambient, Dream, Drone, Memory.


 Related Links :
  ≫ Purl on SoundCloud

  ≫ Alveol on SoundCloud / Ziyal on SoundCloud


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自分にとって、世界はもう長いこと―本当に長いこと―、輝いていない。いつ以来だろうと、思いを巡らせたときに、いつも思い出すのは―

学生生活を終えたものの就職できなかった私は、実家のある田舎に引き戻された。ドがつくほどの田舎ではないが、それでも町の中心部からは程遠い、近くのドブ川を跨げばすぐに隣りの市に入るような、隅っこにあるのが私の家だった。実家住まいでバイト暮らしと言えば金は貯まりそうだが、選んだ仕事の時給の安さでそうも上手くいかず、私が都内に出るときはいつも数時間かけての鈍行だった(まあ鈍行でも上れるんだから悪くはない環境だった、今思えば)。

都心に出て、異性(この書き方はいやらしいか。有体に言えば彼女だ)と、映画を観た。単館上映の映画で、地下にあるちっさい館内で、でっかいスクリーンを見上げながら、二人で涙ぐんだ。そこからきっと魔法にかかったんだろう。昼食を食べ、街をぶらつき、夜になり、帰るはずの時間にも、私(たち)は帰路につかなかった。宿泊という選択で一夜を明かした私たちは朝になってようやく家路に向かったわけだが、電車の時間を見誤って、バイトの時間が迫りまくっていた私は超がつくほど焦っていて(真面目だな)、地元の最寄駅に停めてあった自転車に跨るや猛スピードでペダルを漕いだのだった。しかし、急ぎペダルを漕ぎながらも、私の目に映るすべての景色は、確かに輝いていた―朝日を反射する川面、その川沿いに繁茂する名も知らぬ植物、空を流れる雲、道路を走る車たちやガードレール。あれほど世界が輝いていることを実感したことは、あれ以降ないと断言できる。机の上の埃にさえ、輝きを見出したことだろう。

文字通り息を切らしてバイト先へ駆け込んだ私は前髪の乱れを気にしながら他のスタッフにあいさつをしたが、いつもより早く到着した私は怪訝そうな顔で出迎えられ、変にきまずい空気が流れたのだった。

そのときのことは別のブログに記してあって、しばらくは読み返すたびに、その世界の輝きが私の中にカムバックしてきたものだった。しかしいつしかその効果も時間の流れと共に薄れていき、ついには魔法は解けてしまった。つまりは世界は輝かなくなってしまった。

この作品を聴いて世界が輝きだしたということではなくて、かつて世界が確かに輝いていたことを思い出したのです。メモリー。記憶。思い出の物語。スペル・イズ・ブロークン。それは大人になることとは違うんだろうけれど。

ああ、上記の映画、私は珍しくパンフレットを買って、それは今でも本棚の端に鎮座ましましている。


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Ludvig Cimbreliusはこの他にも多くの名義を使っていくつも作品をリリースしてるので、気になってしまった人は探ってみてくださいね!


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 Note :

Made long ago (sometime in my late teens) from the warm light of early autumn, the soft undefinable longing of the cool evening breeze playing with the leaves that just started to turn colors, just beginning to fade…

Music by Ludvig Cimbrelius

Cover art by Brian Young –
www.flickr.com/photos/stillespace/
www.instagram.com/losingtoday/



開花 tree – Fiori di l’amuri [AM014]

 開花 tree - Fiori di l'amuri [AM014] Cover

 – Tracklist –
 01. رؤى حديقة
 02. 完璧な晴天
 03. 今まで私があれば
 04. 森の秘密
 05. 月明かりに照らされた湖
 06. Cunchiusioni



 - 02. 完璧な晴天


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 Release Date : 2016.09.05
 Label : Adv. Materials

 Keywords : Ambient, Drone, Flower, Love, Melodic, Mystic, Nature, World.


 Related Links :
  ≫ TDS on bandcamp


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2015年設立のAdv. Materialsより。開花 treeの作品です。といっておきながら、“by TDS”というクレジットがありますね。Vaporholicな方ならいざしらず、私のようにTDS=The Downward Spiral?なんて思う人はいないかもしれませんが、まあとにかく誰ですか?ということで、いつの間にかめっきりこの界隈(だけじゃないかもしれない)の作家を網羅し始めているDiscogsを頼ってみましょう。するとTDSはTelepathic Data Storage、あるいはDefunctの名義を持っていて、さらにはsaki 夢も参加する“Aquatic Airlines 魚の平面”のメンバーでもあることが分かります。またDiscogsでも関連性は示されていませんが、TDSはDOAT―Death Of A Telepathでもあり、Pure Lightでもあるようです。複雑ですね。

しかし今TDSのものと思しきbandcampを訪れても上記の名義による作品は一つとしてなく、Soceco(社会経済学:Hantasi & Seoul?)へのリンクがあったりして、頭を整理するはずが逆に混乱をしてしまいました。どこかにミッシングリンクがあるのかもしれませんが(偏執的にディグれば関連がありそうな他の名義も出てくる)、それを探すことがこの投稿の本願ではないので、追及はここまで(しかしVaporな音楽のこういったディグり甲斐―サンプルの元ネタも含め―というやつも、その魅力の一つではありましょう)。

DOATの“Wolrd 1”ではストレートなChip music、“Deep Into The Rave”ではRaveでありつつもストレンジなElectronic musicを、pure lightの“ߣ≠©«¡ø≈¥αåø”ではささくれ立ったHardvapour、defunctの“aquatic sketchbook”では、ミニマルでfish dreamなAmbient musicと、名義、作品ごとにスタイルを変え、その芯を見せることをしない不思議な作家さんです。本当に一人なのか、複数人ではないのかと疑問も浮かびますが、“aquatic sketchbook”について“defunct (known for her work as DOAT) ~”という記述があるところを見るに、どうやらソロのよう。何にせよ、気になる方は深く掘ってみてください。

肝心の本作はといえば、Ambient/Droneサウンド。無味無臭、ピュアなトーンのそれとはまた違っていて、ゆるやかでミニマルなフレーズがリフレインすることで、淡いメロディが形作られている。虫の声や風の音にも聴こえる効果音や、ウィスパーヴォイス、エスニックな音色も散りばめられていて、知らず、私の脳裏には、霧に包まれた山々とでもいったような、神秘的で幽玄な景色が浮かんでくる。

他の作品についても決してVaporWaveに正面からアプローチしたサウンドではないけれど、それは今作も例外ではなく。Adv. Materialsのカタログには排水溝ヴォイスを活かしたVaporWaveサウンドが多いけれど、そのような背景、文脈を無視すれば、およそ今作はVaporWaveとは関連性を見いだせない。ラストのトラック‘cunchiusioni’に至っては、Piano、ストリングスの感傷的なメロディにDowntempoなリズムを持ち込んだ、ちょっと涙腺が緩むくらいの抒情的なものになっていて、それはこれまでのTDSに絡む作品とも違うし、開花 tree名義の前作“ドリーミング桜”とも違うし、また今作収録のほかトラックとも違うし、これには素直に驚かされた。

タイトルの“Fiori di l’amuri”は直訳すれば“花の愛”という意味になるようです。使用されているイメージやトラックタイトルもロマンチックなものになっていますが、作中の視点は自然の神秘性から始まり、それは徐々にミクロに向かい、花の持つ美しさとそれゆえの儚さに収斂し、そして幕を閉じるような。

トラックによってはTranceやShoegazeのエッセンスも感じられるし、開花 treeが真に上に示したような複数名義を持つならば、まったくもってその音楽的な引き出しの数と、そこにある深さは杳として知れない。


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by TDS

(CC) by – nc 3.0



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