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タグアーカイブ: Electronic

cool places – coral beach resort [TWFM 009]

 cool places - coral beach resort [TWFM 009] Cover

 – Tracklist –
 01. I: finally, you’ve arrived
 02. II: resort shoppe
 03. III: fitness center
 04. IV: karaoke bar
 05. V: outdoor pool & spa
 06. VI: jacuzzi
 07. VII: entertainment zone
 08. VIII: beach-view brews
 09. IX: water park
 10. X: grand strand getaway



 - 05. V: outdoor pool & spa


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 Release Date : 2019.08.21
 Label : tapewurm.fm

 Keywords : Electronic, Melodic, Midi, Utopian Vurtual, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ Crystal Data Enterprises


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サナダムシ!ですよ。そういえば詳しく知らないよねってことでWiki読んでたら体内がムズムズしてきたので、熱心に読むのはやめました。ここに長ったらしく引用文でも貼ろうかなと思ったんだけど、やめておきます。確認したい人はリンクからどーぞ。長いと10m以上になるものもあるんだなあ…ふーん…。そういえばサナダせんせいってキャラクターもあったけど、よくよく考えたら、子供向けのバラエティ番組でサナダムシをキャラクター化ってのも、過激…。

じゃあなくて、いやそうでもないんだけど、このレーベルの名前、tapewurm.fmってどういうニュアンスで使ってるのか分からなかったんですが、bandcampのヘッダーにデカデカと“サナダムシ”とございますので、tapewormのモジりということでよろしいんでしょうか。ちょっと話逸れますけど、Nine Inch Nails(NIN)ファンの私としてはそのtapewormという響きで思い出すのは、Trent Reznorがその昔立ち上げかけたサイド・プロジェクトにまんまTapewormというものがあってですね、これはTrentはもちろん、NINのライヴメンバーのほか、Tool, A Perfect CircleのMaynard James Keenanや 、HelmetのPage Hamilton、PanteraのPhil Anselmo、プロデューサのAlan Moulder等々が参加した、スーパーグループ、スペシャルなプロジェクトで、Trentもたびたびインタビューで言及しておったのですが、結局リリースはないままに、2004年にあえなくプロジェクト終了宣言…というものがあって、それをボンヤリ思い出したのですが、今レーベルのリリースを見ている中で一つ、ひときわ気になったのが、なんとNIN、Trent Reznorがジャケットイメージに使われている作品がある!(いやここで取り上げている作品ではないのですが。アハハ。ちなみにそのタイトル“F R A G I L I T Y 3​.​0”はNINが2000年に行ったライヴツアー“Fragility 2.0”にあやかっている)。これはTrentのインタビューを使った奇妙なSpoken Word作品で、関わっているreznorwaveは一貫してNINとVaporWaveをコンバインしたトラックを作り続けているという…そんな作品をリリースしているレーベルの名前がtapewurm.fmって何かの縁ですよね、私にとって。膨大な作品があふれているネットの中から何を聴くか、そのきっかけとなるには十分すぎるこの縁をたどって行き当たったのが、さあこの作品。ようやく。

Midiの体裁を生かした、いってみればイージー・リスニングな作品だとは思いますが、方向性はどうあれ、この現実から乖離したイメージというのはやはりVaporWaveと共振するものがあります。サンプル―ベースなのか、原曲があるのか等々は判然としませんが、チープさゆえに醸されるレトロ感、シンセサイズ感の強い音色たちが与える不思議な漂白感。その中で作り上げられる仮想ユートピア(Utopian Vurtual)というのが、この作品の肝になるかと思います。しかしながらこれはこのレーベルからのリリース、この文脈で聴いているからこその聴取感であって、また違ったとらえ方をすれば、ぜんぜんVaporWaveとは切り離して聴くこともできると思います。素直にリラクシンな空間があるわけですし、それを享受することはおかしいことではない。当たり前だけど。

そういうことでいうと、VaporWaveと共振するようなMidi風作品で異彩を放っていたものは、私の狭い聴取範囲でいうと、ここでいくつか紹介したPHAṅTom ᴀᴄᴄᴇSS hazeからの作品ですとか、Amun Dragoonの後期の作品とかです。私別にピエロ恐怖症とかではないんですが、なんていうんでしょうか、お面とかもそうだけど、貼りついた表情の裏にある正体が不明であるがゆえの不気味さっていうかね、あとはコーティングの無菌感、無機質感への憧れ―あくまで憧れだから、決してそこにはたどり着けないという諦念の裏返し―とかね、そういう不気味さとか空しさとかがあちらにはあって、こちらにはない、ような気がする。別に悪いとかではなくて、違いを感じたということです。

だから今作はストレートに、真っ当に、ここにあるcoral beach resortをね、楽しむべき作品なんじゃないかなって、そう思います。


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Č∂є hλs tɘλmɘd up with thɘir pλrtnɘrs “cool places”. A trλvɘl λgɘncy f๏cusɘd ๏n sh๏wing thɘ pɘ๏plɘ ๏f ɘλrth λmλzing plλcɘs t๏ disc๏vɘr whilɘ thɘy’rɘ λlivɘ. Wɘlc๏mɘ t๏ thɘ Coral Beach resort, t๏night is disc๏ night λt thɘ kλrλ๏kɘ bλr.


Produced by: cool places
crystaldataenterprises.bandcamp.com

LOSTSLEEP – L O S T S L E E P

  LOSTSLEEP - L O S T S L E E P

 – Tracklist –
 01. foolish heart
 02. me & you
 03. love again
 04. sinner’s blood
 05. fuck yourself
 06. told you
 07. be mine



 - 01. foolish heart


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 Release Date : 2020.03.31
 Label : Ezhevika

 Keywords : Chill, Electronic, Indietronica, Synth, Vocal.


 Related Links :
  ≫ LOSTSLEEP on SoundCloud / on VK


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時間の感覚がずれている。遅いような、早いような、不思議な感覚が続く。どういった時間の過ごし方が最も自分にとってよいことなのか、考えるが、心に巣食っている不安というヤツが、いつも邪魔をする。集中を妨げる。どんな状況になっても結局不安というヤツは消えていかない。水道の蛇口からゆっくりと水をだし、空のヤカンに水を満たしていく、そこに生まれる波紋に視線を向け、とめどなく動き続ける水流を、グルグルと追っていく。さながら私の心の中のようではないか、ゆっくりと、ゆるやかに、何かが渦を巻きながら、貯まっていき、そしていつかは溢れ出る――

などということを私がやっている最中も、世界には、相変わらず――本当に相変わらず、音楽が流れていた。

ベラルーシはミンスクのレーベル、EzhevikaからリリースされたLOSTSLEEPのセルフタイトル作。ウクライナ、ドラツクのトラックメイカー。おそらくは初作だと思うんですが、いい意味での裏切りが耳を引きますね。M-1, 4はヴォーカリストを招いてのウタモノトラックになっているんですが、この歌声のエレガントな調子からして往年のトリップホップなリズム系が似合うんじゃないかなあ、というか、そういうドゥビーン、ズブゥーンというダビーでヘビーでスロウなリズムを予想してしまっている私がいたんですが、全然違った…。4つ打ちバスドラムが響いた瞬間のこの新鮮な空気たるや。そしてアンバランスにも思えるデカめのシンセによるアンビエンス。そこからさらにリズムの手数は増えて慌ただしくなっていく中で、歌声は優雅に響き続けるという。M-4もいろんなエフェクトを散りばめた上で醸されるこのチルな空気のウタモノトラック、いいですねえ…ちょっぴりノスタルジア。

M-2はやはりシンセの包容力ある空間とBreakbeatも交えてちょっとアブストラクトな出だしでダークな方向にいくかと思いきや、まさかの哀愁ブラスが鳴り響いて、夕暮れの都市風景が目に浮かんでしまうじゃありませんか。M-3もこの冒頭の音色、なんていうんですかコレ、不勉強で分からないんですが、この音色すごく好きなんですよ。夜の底っていうか、都市の夜景が浮かぶような、しっとりラウンジな感じで行くかと思いきや、でもやっぱりそこから転じて、Electronicな方向でMelodicにまとめるっていう。M-6もPost-Punkみたいなフレーズが初っ端に出てきて通底するんですが、なんでここにコレなんだろうなあーという不思議な按配です。そのままなだれ込むM-7も尖がったシンセフレーズから始まって、徐々にいろんなサウンドフレーズが重なってビルドアップされていくにぎやかなトラック。もっとよい再生環境で聴けばまた違った印象になりそうな気もします。

M-8がようやっと、私が初めに今作に抱いたイメージに近い音像、かな、という感じです。スロウでダビーな空間処理で、ちょっぴりダークっていう。最後のトライバルな調子とか雄々しくて面白い。全体通して聴いてみると、今作って似た音色が多いような気もするんですが、各トラックは意図的にコネクトされているそうなので、敢えての作りなのかなと思います。“All tracks are connected with each other, from youthful exuberance to self-perception. All that is left is to walk on and aim for the best.”とあるので、みなさん自分なりにここから何かを読み取ってみるのも、また一興かと思います。

習作のようなニュアンスも感じられますが、さりとてこのユニーク、絶妙なバランス感覚も好ましくありますので、今後もこのPOP指向を保ちつつ、バリエーション豊かなトラックを期待しております。◎。


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 Credit

Music: Danil Markov (LOSTSLEEP)
Vocals (Tracks #1, #4): Axu Dzhuraeva
Design: Alexander Goluziy (Blood Burner)



Various Artists – Hyperboloid 2020[HYPR080]

 Various Artists - Hyperboloid 2020[HYPR080] Cover

 – Tracklist –
 01. Summer Of Haze – Classica
 02. cadeu – happy new yeah
 03. Famitsu – Bowser
 04. A.Fruit – Promises
 05. Pixelord – Amen
 06. zarya – Voice Unit
 07. Bad Zu – GET DAT
 08. tropical interface – nitrogen enrichment
 09. Raumskaya – tv252
 10. Max Dahlhaus – AntiLog
 11. Nphonix – Dirty MF
 12. data drain – Time Warp Device
 13. new sylveon – Zwarovski Monolith (Britney’s Cocaina Nightmare)
 14. BOGUE – Deep Deep Down
 15. wac© – Ruins Around Us
 16. Fisky – Millenial Loop
 17. ZAKLADKI – COSMOGRAMMA
 18. Sangam – Arose Into



 - 1. Summer Of Haze – Classica



 - 6. zarya – Voice Unit



 - 8. tropical interface – nitrogen enrichment


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 Release Date : 2020.01.01
 Label : Hyperboloid Records

 Keywords : Bass, Compilation, Electronic, Future, IDM, Russia.


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このご時世にどれだけの人がアルバム単位でnetaudio界隈の音楽を聴いているのかという疑問はありますが、私はといえばやっぱり作品単位で聴いてしまうのですね。アーティスト側が1曲で聴いてくれってなら別ですけれど、何曲かコンパイルして公開しているなら、じゃあそのまま聴きましょうか―いや聴かせていただきます、と。そういう聴き方をしている人間にとってアルバムの冒頭曲というのは非常に重要な意味合いを持っています。その1曲で作品に引き込まれるかどうか、その先を聴くのかどうかが決定すると言っても過言ではない。そういう意味では、この作品は私の耳とハートを、見事に冒頭のトラックでキャッチした。

Hyperboloidはロシアンレーベル(初めは私がHyperboiledと誤読していたのはちょっと内緒)。私が不勉強なだけですでに一定の人気は獲得しているし、少なくない数の作品がリリースされてきています。Bass musicよりのElectronic musicという認識でよいのでしょうかね。アタックの強い電子なリズムをボトムに据えた作品が多いように思います。

今作は2020年1発目にリリースされたレーベルコンピレーションですが、ここでも私の不勉強さがさく裂して、ほとんどのトラックメイカーを存じ上げません…。PixelordやSangamあたりがかろうじて…という感じでしょうか。まあ知ってるか知らないかで聴いてたらこんなブログやってませんから、気にせず聴いていったわけですが、先にも書いたように1曲目がよいですね。妖しげに瞬くシンセとひたひたと歩むリズムは徐々にビルドアップされていく中で近未来都市のようなサイバーな空気も醸しており、実にクール。幻想的なシンセのラインと足早なドラムの対比で陶酔感を生み出すM-3や、リズムの音色変化で翻弄し続けるユニークなM-7、メタリックな収縮と解放を繰り返すM-8(M-7からこのM-8の流れは好きですねぇ)。

不穏な空気ながら、どこかにOutrun的なニュアンスも感じられるM-10も面白い聴き心地だし、いきなりシンフォニックなメタルミュージックのようなヴォーカルが聴こえ始めるM-14は意表を突かれますが、ColdWaveやIndustrialの流れを汲んだ、きちんとしたウタモノです。こうしてかいつまんで書いていてもなかなか聞き逃せない作品だなあと改めて思うわけですが、特に一組、超絶に気になったアーティストがいまして、M-6を手がけたzaryaです。全編通して聴くとよく分かりますが、作中でダントツにPopなフィーリングを放っています。変調されたエフェクティヴなヴォーカルに小刻みなリズムやシンセで作り上げられた冷たく美しい世界が私を魅了してやみません。方向性は異なるんでしょうが、この組み合わせは個人的にlexis shiiを思い出しました。

とここからZaryaの話になりますが、彼らは2018年に始まったシベリアのエレクトロニック・デュオ。HyperboloidのサブレーベルであるINTERNETGHETTOからも“Synthetic World”をリリースしてますし、何気にSIDECHAINSからも“18 y​/​o”をリリースしていて、今作収録曲とはまた趣の異なる彼らの楽曲に触れることができます。アタックの強い、エフェクトの効いたバックトラックでダイナミックに攻めながらもヴォーカルのメロディラインでしっかり聴かせるという見事にPop指向。好きですねぇ、イイですねえ。長く続いてほしいなあと思いますが、どうでしょうか。

とこういうように、存じ上げないアーティストばかりだからといって聴かずに終わらすのではなくて、一歩踏み込んだらお気に入りのアーティストが見つかる、というケースもあるのでね、やっぱりコンピレーションってのは(初見の人に)レーベルに興味を持たせるには最適だし、だからこそ冒頭一発目の曲はより一層重要になってくる、と思わされた作品でした。マル。散々電子なリズムで圧力かけておいて、ラストのSangamがしっとりAmbientで耳をいたわってくれる気遣いやよし。


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 Credit :

Mastering by Pixelord
Artwork by gsm_garden


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zarya – Холодный металл (Cold Мetal)




PLAYLIST : 2019.09




 You must have been dreaming.





Nine Inch Nails – Strobe Light

 Nine Inch Nails - Strobe Light Cover

 – Tracklist –
 01. Intro Skit
 02. Everybody’s Doing It (featuring Bono, Chris Martin & Jay-Z)
 03. Black T-Shirt
 04. Pussygrinder (featuring Sheryl Crow)
 05. Coffin on The Dancefloor
 06. This Rhythm is Infected
 07. Slide to the Dark Side
 08. Even Closer (featuring Justin Timberlake and Maynard Keenan)
 09. On the List (She’s not)
 10. Clap Trap Crack Slap
 11. Laid, Paid and Played (featuring Al Jourgensen and Fergie from the Black Eyed Peas)
 12. Feel Like Being Dead Again
 13. Still Hurts (featuring Alicia Keys)
 14. Outro Skit


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 Release Page Deleted?
 ≫ full album streaming on YouTube

 Release Date : 2019.04.01
 Label : Not On Label

 Keywords : Alternative, Electronic, Mashup, Nine Inch Nails.


 Related Links :
  ≫ Atticrent Reznoss on Twitter

  ≫ nine inch nails | the official website


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Nine Inch Nails(NIN)のTrent Reznor(トレント・レズナー)は2009年の4月1日に、NINのニュー・アルバムとして“Strobe Light”のリリースをアナウンスしました。私もTwitterだったかどこだったか、正確には忘れましたが、実際インターネット上でその情報を目にしました。製作に関わったとされるのは一線級のアーティストばかりで、U2のBonoやJay-Z、Sheryl Crow、Justin TimberlakeにTOOLのMaynard Keenan、MinistryのAl Jourgensen、Alicia Keysなどなど、錚々たる顔ぶれ。しかもプロデュースはTimbaland。NINがこんなメンツでアルバム作るの?って驚いたもんですが、それと同時に何かおかしくね?って思ったことも覚えています。ジャケットイメージもNINぽくないというか、絶妙にハズしている感じだし、違和感満載だったんですが、それもそのはずというべきかどうか、このアルバムはトレントのかましたエイプリルフールのジョークだったんですね(詳細はNinWikiを参照)。何だよおかしいと思ったハッハッハッと笑ったあの日から早10年―

2019年4月1日、ファンメイドによる“Strobe Light”がインターネット上に現れました。完全フリーという形で。裏にいるのはAtticrent Reznossという、NINの右腕であるAtticus Ross(アッティカス・ロス)とトレントの名前をもじったかのようなユーザー名を持つ人物。アカウントには“seed9”というワードが使われています。トレントがこの作品に反応しているのかどうかは調べていませんが、NINの美術監督も務めるRob Sheridanは関知しているようで、Twitterでこのアルバムを取り上げています。

トラックリストも2009年にアナウンスされたものがそのまま使われています。どういった内容になっているのかが気になるところですが、これまでのNINの楽曲、それからフィーチャーリングとしてクレジットされているアーティストのヴォーカルを使った、マッシュアップなアルバムになっています。もともとNIN自体がリミックスワークには積極的だし(オリジナルアルバムのほとんどにリミックス盤が存在する)、“YEAR ZERO”に対するリミックス盤“Y34RZ3ROR3M1X3D”の後に開設されたRemix.nin.com(現在はアクセス不可)においてはファンに自身の楽曲のソースを公開し、自由にリミックスとアップロードを許可したり、“GHOSTS Ⅰ-Ⅳ”のリリース時には、“Ghosts film festival”と称してYouTube上で楽曲に対する映像作品を募るなど、常にファンの創作意欲を刺激するような、そんな姿勢をとってきた。そんなトレントだから、今作についても特別に目くじら立てるなんてことはないと思いますし、興味をもって聴いているかもしれません。

イージーな言い方をすれば、異なる楽曲のバックトラックとヴォーカルを組み合わせてひとつのトラックに仕上げているというのが、今作なわけですが、ファンとしてはその組み合わせの妙を楽しむことになりますね。で、感想としましては非常にクオリティが高いと思います。すべてAtticrent Reznoss(seed9)の手によるものなのかは分かりませんし、詳しく調べてはいませんが、もともと何処か―たとえばNinremixes.comなど―で公開されていたものではなさそうです。上に書いたようにNIN自体がリミックスに対してオープンなので、ウェブ上にはファンによってリミックスされたトラックが沢山ありますし、私も少ないながら耳を通しています。まあリミックスとマッシュアップでは同じラインで比べられませんが、直感的な感想では、数多あるリミックスと比べても、頭一つ出てると思います。

全曲を分解したり感想を書いたりするのは長くなりすぎるので、かいつまんで。マッシュアップという手法も関係しているのでしょう、基本的にはリズムが活きていたり、ディスト―ショナルなギターが入ってくるような、ノリの良いトラックが多いです。でも流れとしてはきちんと緩急がつけられていて、アルバムとしてのまとまりが意識されている印象です。

カッコいいなあと思った意外な組み合わせは、M-3―‘Into The Void’のバックトラックに‘Terrible Lie’のヴォーカル。ぜんぜん違和感ないのな。もともとがハンマービートな感じなので、‘Into The Void’の引き締まったリズムが合うんでしょうね。M-5も巧みな組み合わせでこれまたカッコいい―‘The Hand That Feeds’の分かりやすいリズムに、‘Discipline’を組み合わせ、間には‘Survivalism’を挟み込みながら勢いをつけ、徐々に‘All The Love In The World’を重ねつつ、ラストは完全にそのテンションで塗りつぶすという、スゲーなあ。そこから続くM-6で‘Wish’のリズムが走ってるのがまた堪らんですね。しかも合わせてるのは‘March Of The Pigs’っていう。吹き荒れるディスト―ション。

その次のM-7も‘The Big Come Down’のリズムっていう、かなりヘンテコなリズム使ってるんですが、そこに重ねてくるヴォーカルがなんと‘Burn’ですよコレ! しかもサビ的に‘Meet Your Master’を使うっていう、‘Burn’ってのあのギターが突っ走る感じがクライマックスになってると思うんですが、それがなくても見事に楽曲としてのテンションが持続しているというか、お見事ですね。すげーカッコいい。

M-11は‘Starfuckers, inc.’に‘Every Day Is Exactly The Same’というありそうもない組み合わせで盛り上がりを作りつつ、Ministryの‘T.V.II’からのシャウトも織り交ぜて爆発させたままM-12が‘Dead Souls’(Joy Divisonのカバーですね)のリズム! そこに‘Sanctified’を合わせてくるという、またこの妙! ダイナミックなリズムとギターで迎えられた‘Sanctified’のメロディは確実に新たな魅力を獲得しています。

しっとりトラックっていうのかな、緩急の‘緩’にあたるトラックには言及しませんが、ラストは‘Hurt’で締めくくってくれます。

ということで、楽曲のクオリティはもちろん、NINらしいテンションの作り方、またアルバムとしてのバランスも考えられていて、これはNINファンならマスト、ファンならずとも耳を傾けてみても損はない作品。そしてNINのオリジナルアルバムが聴きたくて堪らなくなりますねえ(というか実際聴いてました)。気になってしまった人は今からでも遅くはない、NINのファンになりましょう。


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(CC)by – nc – sa 3.0



Final Heal – Fata Morgana[QNR019]

 Final Heal - Fata Morgana[QNR019]Cover

 – Tracklist –
 01. Anna’s Journal
 02. My Blue Heaven
 03. Millennium Fantasy X
 04. Never Die
 05. From Here On Out
 06. Invitation to Elegy
 07. VIRUS
 08. Dream Tower
 09. Wind
 10. Telepathy
 11. Fly Away
 12. People, Memories, Places
 13. Snowman
 14. Sinner’s Lullaby
 15. Faerie Song

 - 15. Faerie Song


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 Release Date : 2018.08.20
 Label : Quantum Natives

 Keywords : Breakbeat, Electronic, Fantasy, Orchestral, Piano, Strange, VGM.


 Related Links :
  ≫ Final Heal on SoundCloud


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プロフィールは不詳ですが、このFinal Healの背後にいるのは、おそらくはAmun Dragoonではないかという指摘を見かけました。私も何とはなしにそう思っておりましたので、“そうだよね!”と共感した次第です。まあ結局よく分かっていないんですけれど。でもそう思わせる要素というのはあって、まずはやはりAmun DragoonのSoundCloudにFinal Healのトラックが(2年も前に)リポストされていること。私がFinal Healの存在を知ったのもそこからでした。単純に気に入ってリポストしただけという可能性もありますが、このつながりに加えて音楽性も類似しているのです。

Amun DragoonはVaporWaveの文脈に入れられることもあるし、実際トラックによってはその傾向も強くありますが(特にNewAge調のトラック)、現時点の最新作2015年の“Socotra Island”などはMIDI風のサウンドに傾倒している節があって、もはやVaporWave作家というイメージは私の中では薄れつつありました。そしてその先に何を出してくるのかという興味も持っていたのですが、それ以降動きはなく、まあ突然活動を止めてしまう(ように見える)アーティストも全然珍しくないので、Amun Dragoonも終了してしまうのかと危惧しておりましたところ、突然現れたのがこのFinal Healでして、聴いてみたところ、正直当初公開されていたトラックからはAmun Dragoonとのつながりは見いだせなかったのです。だってヴォーカル入ってるし(どこかたどたどしい)、何かメロディはポップだし、オーケストラルな要素もあって、ハッキリとした抒情性も感じられて、そこをつなげて考えるのは間違いじゃないかと思っておったのですが。

私がAmun Dragoonで一番好きなトラックは‘Secret Whispers From The Tamate Box’(下に張りますが最高だな!ビデオがイイ)ですが、これと共振する何かを今作の‘Dream Tower’‘Wind’, ‘Telepathy’に嗅ぎ取ったのですね。前者が陰とすれば後者は陽であるけれども、このスピリチュアルな望郷感とでもいうか、意図せず漏れ出てしまっている個性が共通しているように感じられて、ここで初めて両者をつなげて考えてもよいのかなと思い始めたのです。“Socotra Island”の延長線上というよりは、俗に寄せてきた感じ。

と、もし赤の他人だったら申し訳ありませんので、単体で触れましょう。仙人が下界に降りてきて世俗を楽しもうと思いきや、下々の常識が分からずにひっちゃかめっちゃかやってしまいました、みたいな。クロコダイルダンディ。そんなことやっちゃうのみたいな。ローファイ・エレクトリック・ファンタジー。大筋は抒情的なメロディがあって、ファンタジックで、ちょっとVGMっぽいところもあって、ストレートな聴き心地というか、ポテトチップス食べてるみたいな安心感なんですが、ところどころ異質な“何か”が混じっていて、非常に刺激的。M-2も静かに始まったと思ったら、終盤いきなりそんなデカいシンセと強いアタックのドラム入れちゃうの?っていう驚きがあり、M-4はコレ何であえて日本語の歌詞なんでしょう?カバーとかではない気がするんですがちょっとおぼつかない日本語のDIYな歌唱がまた惹きつける、M-6は9分超の大作ですがピアノでひそやかに始まってストリングスなんか入ってアラいい感じと思ってたら急にブレイクビートと共にドラマチックな展開になだれ込んで、何だかビデオゲームのバトルシーンみたいな曲調にいつの間にか連れて行かれてる、M-7もせわしないビートとシンセにアンニュイなヴォーカルが入って最終的に加速してって終わるしM-11も途中でギターなのか何なのかノイジーなフレーズが入ったり後半リズムが妙に力強かったりまたしてもミステリアスなヴォーカルを入れてくる―といった調子で、一度入り込んでキャッチされてしまえば、終始感じられるこの危ういバランス感(焦燥的でもある)と、抒情性の絶妙なコントラストが、クセになること請け合い(さらには‘Invitation to Elegy’‘My Blue Heaven’はSoundCloudで公開されているものとちょっとずつ内容が異なっているという攪乱ぶり)。人によってはスペインの雄This Deep Wellを想起する方もいらっしゃるでしょう。

気になった方は是非Amun Dragoonも辿ってみてくださいネ。にしてもQuantum Nativesのサイトデザインやべえ。あえて不便さを強いてくるような突き放し感がヘヴンリー。


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Amun Dragoon – Secret whispers from the tamate box






Final Heal – Millennium Fantasy X(directed by Final Heal)



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Artwork by Aisha Mizuno & Galen Erickson
https://www.instagram.com/doctor_zoom_octopus/
https://www.instagram.com/chaos_egg/



Aika – Neon Pink EP

 Aika - Neon Pink EP Cover

 – Tracklist –
 01. Hotline
 02. I Love You, Goodnight
 03. Neon Pink (ft. Hana)
 04. Lovestruck (Neon Edit)

 - 02. I Love You, Goodnight


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 Stream Neon Pink EP from desktop or your mobile device

 Release Date : 2018.03.16
 Label : Not On Label

 Keywords : Electronic, Dubstep, EDM, Future, Pop, Vocal.


 Related Links :
  ≫ Aika on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on Twitter / on Spotify


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SoundCloudに現れた頃から耳の早い音楽ファンの間では注目されていたAika。ふと目と耳を話していたすきに、SoundCloudのフォロワーは1万人を超えているし、リリースもコンスタントに重ねているし、精力的な活動をしているではないですか。

そして相変わらず作品のクオリティが高い。

基本的にはEDMやDubstepなどを経由した―Future Bassとも無縁ではないだろう―今様なElectronic musicなんだけど、何といってもどのトラックにもメロディが流れている点が特徴です。M-2‘I Love You, Goodnight’なんてこのファンタジック/ノスタルジックなな出だしはどうですか。一発で引き込まれてしまう。ここではVocaloidかな、ヴォーカルを入れているけれど、EDM然としたハイプレッシャーな音像ながら、Melodicなウタモノとして機能している。どっしりしたリズムとシンセの絡みから立ち上る雄々しさ(のようなもの)、そこはかとなく滲む抒情。実にエモーショナル。鳥肌が立つ。

M-3‘Neon Pink (ft. Hana)’のこのロマンチックなイントロも好き。じきにいつものサウンドに移行していくのだけれど、ホントにメロディ指向、Pop指向だよなあと感じます。リズムとシンセの組み方だけでも十分に聴かせてくれるのだけれど、歌の力もあるし、またこのトラックに限ったことではないけれど、和楽器の音色や、Chipsoundをスパイス的に散りばめることで、雅な響きや煌びやかさがフワッと漂ってくる瞬間があって、(正直それらがなくても成立はすると思うんですが)、一粒で何度も美味しいトラックになっています。こういう情報量の多いトラックを作る人ってどういう頭になってるんだろうっていつも不思議です。試行錯誤の結果だとは思うんですが、音楽の作り手ではない私はいつも感心するばかりです。パズルのピースのように当てはめていくにしても音色のチョイスもあるでしょうし、どうやって組み立てるのか、気が遠くなりそう。

ラストの‘Lovestruck (Neon Edit)’のファニーなイントロもフックがあるし、どのトラックも傾向性は似てるんだけど、違った魅力を持っていて、器用だよなあ、才能だよなあ、これは沢山の人に聴かれるよなあと、人気獲得にも納得。でも正直もっともっと爆発的人気でもいいと思うし、プロフェッショナルな活動もできると思うんですよ。そうなってないのはやっぱり埋もれちゃってるってことなんでしょうか。私がこういう傾向の音楽にあまり執心していないので、気づいていないだけで、ジャンル的に観た場合は、特別に飛び抜けていないんでしょうか。そんなことないと思うんだけどなあ。いや逆に私の耳にも入るくらいってことは、やっぱりスペシャルなんだと思いますよ。

今後も要注目なトラックメイカーであることは間違いない。聴いたことない方はSoundCloudを訪れて色んなトラック聴きまくってください。全部良い。あと今作、FutureでサイバーでDreamなジャケットイメージもグッド。

 - Make Believe : 割と控えめだけどやっぱり雅でPopだし。いい按配。

 - Camellia : 走りながら、泣きながら忘れようとするような。加速するノスタルジア


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Artwork: TheRyDesign
twitter.com/TheRyDesign
www.therydesigns.com