ABRAcaDABRA

Netaudio explorer

タグアーカイブ: Electronic

Nine Inch Nails – Strobe Light

 Nine Inch Nails - Strobe Light Cover

 – Tracklist –
 01. Intro Skit
 02. Everybody’s Doing It (featuring Bono, Chris Martin & Jay-Z)
 03. Black T-Shirt
 04. Pussygrinder (featuring Sheryl Crow)
 05. Coffin on The Dancefloor
 06. This Rhythm is Infected
 07. Slide to the Dark Side
 08. Even Closer (featuring Justin Timberlake and Maynard Keenan)
 09. On the List (She’s not)
 10. Clap Trap Crack Slap
 11. Laid, Paid and Played (featuring Al Jourgensen and Fergie from the Black Eyed Peas)
 12. Feel Like Being Dead Again
 13. Still Hurts (featuring Alicia Keys)
 14. Outro Skit



 - 05. Coffin on The Dancefloor



 - 07. Slide to the Dark Side


+ + +


 Release Page Download Free!

 Release Date : 2019.04.01
 Label : Not On Label

 Keywords : Alternative, Electronic, Mashup, Nine Inch Nails.


 Related Links :
  ≫ Atticrent Reznoss on Twitter

  ≫ nine inch nails | the official website


+ + + + + +


Nine Inch Nails(NIN)のTrent Reznor(トレント・レズナー)は2009年の4月1日に、NINのニュー・アルバムとして“Strobe Light”のリリースをアナウンスしました。私もTwitterだったかどこだったか、正確には忘れましたが、実際インターネット上でその情報を目にしました。製作に関わったとされるのは一線級のアーティストばかりで、U2のBonoやJay-Z、Sheryl Crow、Justin TimberlakeにTOOLのMaynard Keenan、MinistryのAl Jourgensen、Alicia Keysなどなど、錚々たる顔ぶれ。しかもプロデュースはTimbaland。NINがこんなメンツでアルバム作るの?って驚いたもんですが、それと同時に何かおかしくね?って思ったことも覚えています。ジャケットイメージもNINぽくないというか、絶妙にハズしている感じだし、違和感満載だったんですが、それもそのはずというべきかどうか、このアルバムはトレントのかましたエイプリルフールのジョークだったんですね(詳細はNinWikiを参照)。何だよおかしいと思ったハッハッハッと笑ったあの日から早10年―

2019年4月1日、ファンメイドによる“Strobe Light”がインターネット上に現れました。完全フリーという形で。裏にいるのはAtticrent Reznossという、NINの右腕であるAtticus Ross(アッティカス・ロス)とトレントの名前をもじったかのようなユーザー名を持つ人物。アカウントには“seed9”というワードが使われています。トレントがこの作品に反応しているのかどうかは調べていませんが、NINの美術監督も務めるRob Sheridanは関知しているようで、Twitterでこのアルバムを取り上げています。

トラックリストも2009年にアナウンスされたものがそのまま使われています。どういった内容になっているのかが気になるところですが、これまでのNINの楽曲、それからフィーチャーリングとしてクレジットされているアーティストのヴォーカルを使った、マッシュアップなアルバムになっています。もともとNIN自体がリミックスワークには積極的だし(オリジナルアルバムのほとんどにリミックス盤が存在する)、“YEAR ZERO”に対するリミックス盤“Y34RZ3ROR3M1X3D”の後に開設されたRemix.nin.com(現在はアクセス不可)においてはファンに自身の楽曲のソースを公開し、自由にリミックスとアップロードを許可したり、“GHOSTS Ⅰ-Ⅳ”のリリース時には、“Ghosts film festival”と称してYouTube上で楽曲に対する映像作品を募るなど、常にファンの創作意欲を刺激するような、そんな姿勢をとってきた。そんなトレントだから、今作についても特別に目くじら立てるなんてことはないと思いますし、興味をもって聴いているかもしれません。

イージーな言い方をすれば、異なる楽曲のバックトラックとヴォーカルを組み合わせてひとつのトラックに仕上げているというのが、今作なわけですが、ファンとしてはその組み合わせの妙を楽しむことになりますね。で、感想としましては非常にクオリティが高いと思います。すべてAtticrent Reznoss(seed9)の手によるものなのかは分かりませんし、詳しく調べてはいませんが、もともと何処か―たとえばNinremixes.comなど―で公開されていたものではなさそうです。上に書いたようにNIN自体がリミックスに対してオープンなので、ウェブ上にはファンによってリミックスされたトラックが沢山ありますし、私も少ないながら耳を通しています。まあリミックスとマッシュアップでは同じラインで比べられませんが、直感的な感想では、数多あるリミックスと比べても、頭一つ出てると思います。

全曲を分解したり感想を書いたりするのは長くなりすぎるので、かいつまんで。マッシュアップという手法も関係しているのでしょう、基本的にはリズムが活きていたり、ディスト―ショナルなギターが入ってくるような、ノリの良いトラックが多いです。でも流れとしてはきちんと緩急がつけられていて、アルバムとしてのまとまりが意識されている印象です。

カッコいいなあと思った意外な組み合わせは、M-3―‘Into The Void’のバックトラックに‘Terrible Lie’のヴォーカル。ぜんぜん違和感ないのな。もともとがハンマービートな感じなので、‘Into The Void’の引き締まったリズムが合うんでしょうね。M-5も巧みな組み合わせでこれまたカッコいい―‘The Hand That Feeds’の分かりやすいリズムに、‘Discipline’を組み合わせ、間には‘Survivalism’を挟み込みながら勢いをつけ、徐々に‘All The Love In The World’を重ねつつ、ラストは完全にそのテンションで塗りつぶすという、スゲーなあ。そこから続くM-6で‘Wish’のリズムが走ってるのがまた堪らんですね。しかも合わせてるのは‘March Of The Pigs’っていう。吹き荒れるディスト―ション。

その次のM-7も‘The Big Come Down’のリズムっていう、かなりヘンテコなリズム使ってるんですが、そこに重ねてくるヴォーカルがなんと‘Burn’ですよコレ! しかもサビ的に‘Meet Your Master’を使うっていう、‘Burn’ってのあのギターが突っ走る感じがクライマックスになってると思うんですが、それがなくても見事に楽曲としてのテンションが持続しているというか、お見事ですね。すげーカッコいい。

M-11は‘Starfuckers, inc.’に‘Every Day Is Exactly The Same’というありそうもない組み合わせで盛り上がりを作りつつ、Ministryの‘T.V.II’からのシャウトも織り交ぜて爆発させたままM-12が‘Dead Souls’(Joy Divisonのカバーですね)のリズム! そこに‘Sanctified’を合わせてくるという、またこの妙! ダイナミックなリズムとギターで迎えられた‘Sanctified’のメロディは確実に新たな魅力を獲得しています。

しっとりトラックっていうのかな、緩急の‘緩’にあたるトラックには言及しませんが、ラストは‘Hurt’で締めくくってくれます。

ということで、楽曲のクオリティはもちろん、NINらしいテンションの作り方、またアルバムとしてのバランスも考えられていて、これはNINファンならマスト、ファンならずとも耳を傾けてみても損はない作品。そしてNINのオリジナルアルバムが聴きたくて堪らなくなりますねえ(というか実際聴いてました)。気になってしまった人は今からでも遅くはない、NINのファンになりましょう。


+ + +



+ + +


(CC)by – nc – sa 3.0



Final Heal – Fata Morgana[QNR019]

 Final Heal - Fata Morgana[QNR019]Cover

 – Tracklist –
 01. Anna’s Journal
 02. My Blue Heaven
 03. Millennium Fantasy X
 04. Never Die
 05. From Here On Out
 06. Invitation to Elegy
 07. VIRUS
 08. Dream Tower
 09. Wind
 10. Telepathy
 11. Fly Away
 12. People, Memories, Places
 13. Snowman
 14. Sinner’s Lullaby
 15. Faerie Song

 - 15. Faerie Song


+ + +


 Download Page Free!

 Release Date : 2018.08.20
 Label : Quantum Natives

 Keywords : Breakbeat, Electronic, Fantasy, Orchestral, Piano, Strange, VGM.


 Related Links :
  ≫ Final Heal on SoundCloud


+ + + + + +


プロフィールは不詳ですが、このFinal Healの背後にいるのは、おそらくはAmun Dragoonではないかという指摘を見かけました。私も何とはなしにそう思っておりましたので、“そうだよね!”と共感した次第です。まあ結局よく分かっていないんですけれど。でもそう思わせる要素というのはあって、まずはやはりAmun DragoonのSoundCloudにFinal Healのトラックが(2年も前に)リポストされていること。私がFinal Healの存在を知ったのもそこからでした。単純に気に入ってリポストしただけという可能性もありますが、このつながりに加えて音楽性も類似しているのです。

Amun DragoonはVaporWaveの文脈に入れられることもあるし、実際トラックによってはその傾向も強くありますが(特にNewAge調のトラック)、現時点の最新作2015年の“Socotra Island”などはMIDI風のサウンドに傾倒している節があって、もはやVaporWave作家というイメージは私の中では薄れつつありました。そしてその先に何を出してくるのかという興味も持っていたのですが、それ以降動きはなく、まあ突然活動を止めてしまう(ように見える)アーティストも全然珍しくないので、Amun Dragoonも終了してしまうのかと危惧しておりましたところ、突然現れたのがこのFinal Healでして、聴いてみたところ、正直当初公開されていたトラックからはAmun Dragoonとのつながりは見いだせなかったのです。だってヴォーカル入ってるし(どこかたどたどしい)、何かメロディはポップだし、オーケストラルな要素もあって、ハッキリとした抒情性も感じられて、そこをつなげて考えるのは間違いじゃないかと思っておったのですが。

私がAmun Dragoonで一番好きなトラックは‘Secret Whispers From The Tamate Box’(下に張りますが最高だな!ビデオがイイ)ですが、これと共振する何かを今作の‘Dream Tower’‘Wind’, ‘Telepathy’に嗅ぎ取ったのですね。前者が陰とすれば後者は陽であるけれども、このスピリチュアルな望郷感とでもいうか、意図せず漏れ出てしまっている個性が共通しているように感じられて、ここで初めて両者をつなげて考えてもよいのかなと思い始めたのです。“Socotra Island”の延長線上というよりは、俗に寄せてきた感じ。

と、もし赤の他人だったら申し訳ありませんので、単体で触れましょう。仙人が下界に降りてきて世俗を楽しもうと思いきや、下々の常識が分からずにひっちゃかめっちゃかやってしまいました、みたいな。クロコダイルダンディ。そんなことやっちゃうのみたいな。ローファイ・エレクトリック・ファンタジー。大筋は抒情的なメロディがあって、ファンタジックで、ちょっとVGMっぽいところもあって、ストレートな聴き心地というか、ポテトチップス食べてるみたいな安心感なんですが、ところどころ異質な“何か”が混じっていて、非常に刺激的。M-2も静かに始まったと思ったら、終盤いきなりそんなデカいシンセと強いアタックのドラム入れちゃうの?っていう驚きがあり、M-4はコレ何であえて日本語の歌詞なんでしょう?カバーとかではない気がするんですがちょっとおぼつかない日本語のDIYな歌唱がまた惹きつける、M-6は9分超の大作ですがピアノでひそやかに始まってストリングスなんか入ってアラいい感じと思ってたら急にブレイクビートと共にドラマチックな展開になだれ込んで、何だかビデオゲームのバトルシーンみたいな曲調にいつの間にか連れて行かれてる、M-7もせわしないビートとシンセにアンニュイなヴォーカルが入って最終的に加速してって終わるしM-11も途中でギターなのか何なのかノイジーなフレーズが入ったり後半リズムが妙に力強かったりまたしてもミステリアスなヴォーカルを入れてくる―といった調子で、一度入り込んでキャッチされてしまえば、終始感じられるこの危ういバランス感(焦燥的でもある)と、抒情性の絶妙なコントラストが、クセになること請け合い(さらには‘Invitation to Elegy’‘My Blue Heaven’はSoundCloudで公開されているものとちょっとずつ内容が異なっているという攪乱ぶり)。人によってはスペインの雄This Deep Wellを想起する方もいらっしゃるでしょう。

気になった方は是非Amun Dragoonも辿ってみてくださいネ。にしてもQuantum Nativesのサイトデザインやべえ。あえて不便さを強いてくるような突き放し感がヘヴンリー。


+ + + + + +



Amun Dragoon – Secret whispers from the tamate box






Final Heal – Millennium Fantasy X(directed by Final Heal)



+ + + + + +


Artwork by Aisha Mizuno & Galen Erickson
https://www.instagram.com/doctor_zoom_octopus/
https://www.instagram.com/chaos_egg/



Aika – Neon Pink EP

 Aika - Neon Pink EP Cover

 – Tracklist –
 01. Hotline
 02. I Love You, Goodnight
 03. Neon Pink (ft. Hana)
 04. Lovestruck (Neon Edit)

 - 02. I Love You, Goodnight


+ + +


 Stream Neon Pink EP from desktop or your mobile device

 Release Date : 2018.03.16
 Label : Not On Label

 Keywords : Electronic, Dubstep, EDM, Future, Pop, Vocal.


 Related Links :
  ≫ Aika on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on Twitter / on Spotify


+ + + + + +


SoundCloudに現れた頃から耳の早い音楽ファンの間では注目されていたAika。ふと目と耳を話していたすきに、SoundCloudのフォロワーは1万人を超えているし、リリースもコンスタントに重ねているし、精力的な活動をしているではないですか。

そして相変わらず作品のクオリティが高い。

基本的にはEDMやDubstepなどを経由した―Future Bassとも無縁ではないだろう―今様なElectronic musicなんだけど、何といってもどのトラックにもメロディが流れている点が特徴です。M-2‘I Love You, Goodnight’なんてこのファンタジック/ノスタルジックなな出だしはどうですか。一発で引き込まれてしまう。ここではVocaloidかな、ヴォーカルを入れているけれど、EDM然としたハイプレッシャーな音像ながら、Melodicなウタモノとして機能している。どっしりしたリズムとシンセの絡みから立ち上る雄々しさ(のようなもの)、そこはかとなく滲む抒情。実にエモーショナル。鳥肌が立つ。

M-3‘Neon Pink (ft. Hana)’のこのロマンチックなイントロも好き。じきにいつものサウンドに移行していくのだけれど、ホントにメロディ指向、Pop指向だよなあと感じます。リズムとシンセの組み方だけでも十分に聴かせてくれるのだけれど、歌の力もあるし、またこのトラックに限ったことではないけれど、和楽器の音色や、Chipsoundをスパイス的に散りばめることで、雅な響きや煌びやかさがフワッと漂ってくる瞬間があって、(正直それらがなくても成立はすると思うんですが)、一粒で何度も美味しいトラックになっています。こういう情報量の多いトラックを作る人ってどういう頭になってるんだろうっていつも不思議です。試行錯誤の結果だとは思うんですが、音楽の作り手ではない私はいつも感心するばかりです。パズルのピースのように当てはめていくにしても音色のチョイスもあるでしょうし、どうやって組み立てるのか、気が遠くなりそう。

ラストの‘Lovestruck (Neon Edit)’のファニーなイントロもフックがあるし、どのトラックも傾向性は似てるんだけど、違った魅力を持っていて、器用だよなあ、才能だよなあ、これは沢山の人に聴かれるよなあと、人気獲得にも納得。でも正直もっともっと爆発的人気でもいいと思うし、プロフェッショナルな活動もできると思うんですよ。そうなってないのはやっぱり埋もれちゃってるってことなんでしょうか。私がこういう傾向の音楽にあまり執心していないので、気づいていないだけで、ジャンル的に観た場合は、特別に飛び抜けていないんでしょうか。そんなことないと思うんだけどなあ。いや逆に私の耳にも入るくらいってことは、やっぱりスペシャルなんだと思いますよ。

今後も要注目なトラックメイカーであることは間違いない。聴いたことない方はSoundCloudを訪れて色んなトラック聴きまくってください。全部良い。あと今作、FutureでサイバーでDreamなジャケットイメージもグッド。

 - Make Believe : 割と控えめだけどやっぱり雅でPopだし。いい按配。

 - Camellia : 走りながら、泣きながら忘れようとするような。加速するノスタルジア


+ + +


Artwork: TheRyDesign
twitter.com/TheRyDesign
www.therydesigns.com



Various Artists – Cómplices

 Various Artists - Cómplices

 – Tracklist –
 01. Gnomo – Desaparecidos
 02. Oceanozero – En Desobediencia
 03. pHunk – La Noche
 04. Datashit a.k.a. 00.2.7x – Basura
 05. Safoh & Venus – Hemeo Aztinomia
 06. In-seckt – Get Out Of My Head
 07. pHunk – Mucha Policía



 - 03. pHunk – La Noche


+ + +


 Release Page Download Free! / pay what you wish.
 Release Date : 2017.10.06
 Label : Incordia Netlabel

 Keywords : Compilation, Breakcore, Electronic, Glitch, IDM, Jungle, Noise.


+ + + + + +


自分の中の忘れていた自分に出会うというのは、いつもショッキングであり、そしてそれが自分の望まない自分であった場合、恐怖でもある。

最近私は愛用していたウォークマンを失くしたのである。つまり日進月歩の便利な電話モドキとは別に音楽再生装置を持ち歩いていたわけである。おそらくは食堂で下膳の際にトレーに乗せたまま、そのままベルトコンベアに託してしまったのはでないか、つまりベルトコンベアの先に待ち構えている食器や何やかんやを洗うシンクにドボンしたんではないかと考えられる。いや確認はしていないが恐らくそう。ああ。

まあ新たに買うことは決定事項であるとして(現時点で購入は果たされている)、その時間が取れるまでは、しばらく私は裸の耳で過ごさねばらななくなった。裸の耳というのは、つまりガードがないということである。

学生時代が終わってしばらくは私は携帯型音楽プレイヤーに否定的だった。尊敬していた人物の言も関係していただろう。「しゃらくせえ」と思っていた。音楽じゃなくて身の回りの音を聞けよ、なんて思っていた。が、いつからかうっかりウォークマンに手を出したらすっかり戻れない。自意識過剰で頭悪い私は、いちいち他人の視線や言が自身の矮小さを指摘しているように感じられる質なので、ウォークマンを通じて左右の耳の間に作られる世界は、そのわずらわしさから身を隠すのにうってつけだった。

はたして久しぶりにそのガードが外れてしまった私はしかたなく丸腰で電車に乗るわけだが。これが実に落ち着かない。自分でもハッキリ分かるくらいに。どれだけ音楽によるガードに依存していたのかを思い知る。そしてそんなときに私の前に立った大学生男女が充実したトークを繰り広げるものだから(内容は省きましょう)。対比的に自身の暗く鬱々とした学生時代が浮き彫りになってくるようで。耳をふさぎたくなる(目は閉じた)。お決まりの矮小感が身を貫く。逃げ場がない。“ああオレこんな人間だったな”と己の弱さに面喰い、そして精神的にうなだれる。“今畜生!”という気概もなく、ズルズルと家路を歩く。

そんな自分には再会したくなかった。

きっとそんな車内で私がウォークマンを持っていたなら、今作を再生していただろう。なんて思う。耳をふさぎたいってよりは、自分をブッ飛ばしたい気持ちかもしれない。でも聴き返してみたら、そんなにやかましくなかったネ。


+ + +


(CC)by – nc 3.0



Various Artists – PlayGround [#001]

 Various Artists - PlayGround [#001]

 – Tracklist –
 01. 10 – Candy Shop
 02. polu – Chewing Gum
 03. WyvernP – Bouncing Ball
 04. Levi Polis – Toy WarZ
 05. Alisweet – Feeling

 - 02. polu – Chewing Gum


+ + +


 Download Page Free!
 :: Streaming on SoundCloud ::

 Release Date : 2017.12.19
 Label : Palette

 Keywords : Compilation, Dance, EDM, Electronic, Glitch-Hop, Pop.


+ + + + + +


韓国のトラックメイカー、ARForestとLevi Polisが中心になった新興レーベルPaletteより。第一弾コンピレーション“PlayGround”がリリースされています。初っ端ということで大量のトラックを詰め込んでくる手もあったとは思うんですが、内容は5トラックということで、厳選されているイメージです。

個人的にはまた(何度目だろう)姿を消したと思っていたpoluが再び姿を見せているのがうれしいところですが(でもSoundCloudにはこの1トラックしか残されていない!)、頭から聴いていきましょう。

10の‘Candy Shop’はタイトルは甘いんですが、中身はぜんぜん違いますね。抒情的なメロディに細かなブレイク、ダイナミックなドラムを加えて、とてもドラマチックな仕上がりになっています。シリアスな予感めいたイントロや、ほんのりVGMな雰囲気があるところも好きです。

poluの‘Chewing Gum’はBleepyなシンセやブレイクが挟まってはいますが、コロコロした電子音や編集したヴォーカルなどをまぶしたglitterなポップチューンで、相変わらずの手腕。4ru名義の頃に見せていたストレートにエモいトラック作りを封印しているような気もしますが、またいつか見せてほしいものです。いずれにせよ、頼むから消えないでほしい…。

WyvernPの‘Bouncing Ball’はいかにもGlitch-Hopなタイトルじゃあないですか。実際一番ブリブリしてると思います。でもド頭から突っ走るわけではなくて、出だしのjazzyなピアノからベースが入り、徐々にDance/EDMへ流れ、またふいにちょっぴりjazzな軽やかピアノを入れてくるあたりが、面白くて、カッコいい。ちゃんとメロディも生きててポップにまとまってるし上手いなあって思います。

Levi Polisの‘Toy WarZ’はメロディとリズムが素直に結びついたストレートな聴き心地。メロディもさることながら、遊びでChipsoundを織り交ぜる辺りでやはりPop指向を感じます。ラストのAlisweetによる‘Feeling’はChipstyleに寄せた作風で、小奇麗にまとまっている印象です。騒々しいんだけれどもPopでCuteでキラキラしているという、今作のカラーをもっとも簡潔に表しているトラックかもしれません。

この界隈(どの界隈だよというツッコミは受け付けませんヨ)で予想されるサウンドを大きく裏切ることはありませんが、逆に言えば安定のクオリティが確保されている作品です。そしてまだ先かとは思いますが、ピアノを主体にした別のコンピレーション“Memory of Childhood”が予定されているようなので、そちらも期待して待ちましょう。



polu – waffle

 polu - waffle

 – Tracklist –
 01. Fortissimo (feat. KuTiNA)
 02. waffle
 03. Fortissimo (feat. KuTiNA) (instrumental)
 04. Fortissimo (feat. KuTiNA) (Famires Remix)
 05. Fortissimo (feat. KuTiNA) (stepic Remix)



 - 01. Fortissimo (feat. KuTiNA)


+ + +


 Release Page Download Free! / pay what you wish.

 Release Date : 2017.06.04
 Label : Synthikate

 Keywords : Electronic, House, Pop, Remix, SynthWave, Vocal.


 Related Links :
  ≫ polu on SoundCloud / on Twitter


+ + + + + +


シンクロニシティというヤツを皆さんは信じるだろうか。この界隈において私にままあるのが、“あのアーティスト何やってるのかなあ”と思いめぐらせたときに、そのアーティストの新譜に出くわすという事象である。これがなかなかの頻度で起こる。タネを明かせばおそらくはどこかで何がしかの情報を目にしており、それが脳内のいずこかにインプットされ、しかし私はそれを忘れ(あるいは気づかずに)、そのインプットが引き金となって、先の思い巡りに至っているだけなのかもしれない。が、そうではない可能性もある。第六感。セブンセンシズ。いやそれは違う。なんてな。

少し前に私が思いめぐらせていたのは、“はて4ruは今何やってるのかなあ”ということである。“そういえば名前変えてたよなあ”、というところまではたどり着けたのだが、そこから先に進まず。ついぞ彼の近況にたどりつくことはできなかった。4ruというのは韓国のトラックメイカーで、オフィシャルなリリースはほとんどなかった。私の知る限りでは、今作と同じ韓国のコレクティヴであるSynthikateからの“MileFeuille”にRemixで参加したのと、“Coloridium”のコンピレーションに‘Melon Cream Soda’を提供しただけ、ではないでしょうか。いつもWIP = Work In Progressな短いトラック(あるいは断片)をSoundCloudに挙げては熱心なファンを喜ばせ、そしてすぐに消すということを頻繁に行っていました。エモーショナル(emoって言っていいのかなあ)でメロディに富んだサウンドは、カラフルなメイクを施され、いつもPopで、アップロードの度に私も耳を傾けていました。

でも変名後の彼にたどり着けなかった私は意気消沈。もういなくなってしまったのかと半ば諦めもありました。が。ふとSoundCloudで流れてきたこのリリース。あれ、これ、もしかして、4ruの新しい名前じゃなかった?なんて思ってたら、polu = 4ruの文字を見つけ、ああまたもやシンクロニシティ(ちょっと意味違うかもな)と、ビックリうれしい驚きと、相成りました。

そして今作、‘Fortissimo’とそのインスト、そしてRemixが2つ、プラスタイトルトラックということで、実質的にはシングルのようなイメージですね。韓国のヴォーカリスト/ヴォイスアクターであるKuTiNAを迎えた‘Fortissimo’は2分ちょっとの短いトラックなんですが、変わらずPopでニンマリです。この手のElectronic/Popなトラックにありがちなウィスパーな儚げヴォーカルではなく、スキャットじみた冒頭からその歌声は力強くリスナーを刺激する(私の中ではこういうヴォーカルの方がPop musicのイメージに近い)。言葉は韓国語なのかな、ちょっと意味は分からないんですけれど、その摩訶不思議な聴き心地も愛おしく感じる始末。ヴォーカル抜きのインストも収録されているけれど、声という感情表現の手段が抜かれたことで新たな聴き心地が獲得され、しかし主たるメロディが消えたことによる物足りなさはないのだから、恐れ入る。

Remixも聴きごたえあり。Famiresで誰だろうと思ったら、omoshiroebiさんの新しい名前だった。よりシンセサイズで、EDMライクなアタックの強さもあり、ギターかな?エモいフレーズも挿入されていて、すごくエキサイティング。オリジナルとは違う魅力で良Remixです。対するstepicのRemixが対照的で、スローダウンしたエコーイックでファンタジックな音像から始まり、アコギやピアノもまぶしつつ、やがて訪れるダイナミックな展開とオリエンタルなメロディでカタルシス。これまた良Remixです。こうして聴くとそう、‘Fortissimo’は、そのインスト、そのRemixたちと、みな違った聴き心地があって、一粒で4度楽しめるのです。

その上、タイトルトラック‘waffle’も収録されている。物憂げな雨の効果音とマッチする、丸いサウンドのイントロ。やがてさまざまなサウンドとメロディ、フレーズが交錯し、カラフルな世界が描かれ、その最中にもキュートなヴォイスやエディットヴォイスで巧みなブレイクを差し挟み、また物憂げな雨のシーンに返っていくという、雨の日に羽ばたく想像の翼を音像化したような、素敵なトラック。

常にその才能をうかがわせるトラックたち、間違いなく優れたトラックメイカーだと思っていますので、名前も変わったことだし、ここからはコンスタントにリリースしてほしい! ちなみにこのカバーイラストもpolu本人が描いているみたいですよ。



Gossip Palace – Torsi

 Gossip Palace - Torsi Cover

 – Tracklist –
 01. Cloud Tube
 02. Ghosting
 03. Pepermint Peaks
 04. Firepower
 05. Izzy Black
 06. Jonquil
 07. White Flowers from a Saint
 08. Soda Rot
 09. Nap Aches
 10. Solar Powdered
 11. Vivite Somnia


+ + +


 Release Page Deleted!

 Release Date : 2017.02.17
 Label : Silver Throne Records

 Keywords : Electronic, Future Beats, Hip-Hop, Melodic, Swamp.


+ + + + + +


アメリカ合衆国はミシガン州デトロイトのレーベル、Silver Throne Records。前身はOCCULT DREAMSであると勝手に解釈しているが、間違っていたらスイマセン。

このあたりのBeats~Future Beats(と書いてはいるが、私はよく分かっていませんよ勿論)系のアーティストは、VaporWaveのそれよりはマシかもしれないが、やはり誰が誰やらよく分からない。聞いたことない名前だから新しい人かと思ったら誰かの変名とかは改めて書くまでもなくよくあるパターン(書くまでもなく、といいながら書いているが、ご愛嬌だ)。つまりこのGossip Palaceもよく分からないということで。

この金で作られた(あるいはゴールドプレート―金メッキかもしれないが)オブジェは何であろう。じっと見つめながら視点をあちこち彷徨わせてみるが、判然としない。何かのキャラクターのようにも見えるが、私の知っている中にはないようだ。ショーケース、ガラスケースに展示されている様子のそれは、衆人環視の状態でありながら、しかし意味を持たないようにも見える。意味のあるものを組み合わせたようで、それでいてその実何も表しておらず、あまつさえ“金”という、一般的には価値のあるもので仰々しく存在感を放ち、人目をひきつける。そう、それはまるで“Gossip”―噂話。

音楽的にも一言では表現できない、とは言っても複雑怪奇なものでもなく、Hip-Hopを下地にした、Melodicなフレーズが頻出する、聴きやすい作風ではないかと思う。シンセチックな電子音や、フワフワとしたAmbientな音色を使う一方で、ダビーに振動する‘Firepower’や、‘White Flowers from a Saint’が作品を引き締め(後者はSILENT POETSを想起した)、またラストの‘Vivite Somnia’ではメロディでもって幾ばくかの抒情性を漂わせる。アブストラクトな側面もあるけれど、トラック自体が決して長くないので、飽きずに最後まで聴けるというのも特徴だろうか。各トラックがフックを持っているというのもあるかもしれない。不思議と引き付けられる魅力がある。

さまざまなサウンドを用いたシンセサイズな音像が醸す冷たい人工感。そう、言いたかった言葉は“イミテイション・ゴールド”だ。だがここにある音楽がゴシップを揶揄する意味でイミテイション・ゴールドな佇まいを持っているのか、私にはよく分からない。こじつけすぎかもしれない。