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タグアーカイブ: Electronica

VIRTUAL PVNDA – A.Bon.Danse

 VIRTUAL PVNDA - A.Bon.Danse Cover

 – Tracklist –
 01. Light Showers
 02. Faded Memory
 03. Her Tears
 04. Tsukiji Tuna Shop
 05. Noble Rot
 06. Weiss Endless Waltz
 07. Metro Transit Power Nap
 08. Forest Slumber Party
 09. Liquid Dream Ending Sequence



 - 02. Faded Memory


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 Release Date : 2018.06.09
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Electronica, IDM, SynthWave, Trap, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ VIRTUAL PVNDA on bandcamp


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まったくもって、素晴らしい。VIRTUAL PVNDAの作品は、いつだって私の琴線を揺さぶってくる。

とんとチェックを怠っているうちにリリースされていた最新作は“A.Bon.Danse”。全9トラック。

近作からの大きな路線変更はなく、アンビエントな空間に、スローなメロディ、ところによりトラップビートが入り込んでくる。メロディを奏でるのはシンセサイズな音色で、ディレイやリバーヴをかけられたそれはリスナーの中にノスタルジックな思いを引き起こす。今作は特にノスタルジャーな傾向が強いように思われます。“Light Showers”“Faded Memory”“Her Tears”“Liquid Dream Ending Sequence”といったタイトルも、記憶や思い出ににまつわるエトセトラを想起させ、すなわちシャイニング・メモリーなのですね。

スピリチュアルな話になるのかもしれませんが、心が帰る場所っていうのは、みんながみんな持っているものなのでしょうか。原風景、とは少し違うのかなと最近思い始めているのですが、郷愁と共に脳裏によぎるシーンとでもいうような。実際に訪れた場所というわけでもなく、いつかどこかで見た光景なのかもしれませんが、それほど具体的なものでもなく。テレビや映画でもよくあるシーンのような、川面に陽光が反射しているような、不規則なキラキラとした光の動き、光と影のコントラスト、うねり、けれどそこには8mmフィルムのような粒子の粗さがあって、ただそれが延々と、頭の中を流れ、私はそれを見つめ続けるという。そんな場所。それがなくなったからといってきっと困ることはないんだろうけれど、でもなくなるのは嫌だなあと最近思っているという、ああ、何かよく分からない展開になってきましたね。

この作品に限ったことではないんですが、そのシーンを脳裏に呼び起こす音楽作品というのが世の中にはあって、もちろん今作もそうなんですという話。M-2とかマジでたまらないのですよ。ちょっと音が割れ気味になるところもあるんだけれど、それすらもレトロ感の演出に一役買っている気がする。M-7の物憂げな休日感もいい。全編ビートがトラップ経由だけど決してそこに違和感はない。よくマッチしていると思うしそこが今様なのかなとも思う。でも前から言っているように、IDM/Electronicaの側面も相変わらず感じられるし(実際タグにも“Electronica”は使われてますね)、ビートがもっと複雑化したものだったり、あるいはノンビートのものも聴いてみたいなあ。まあそしたら、VIRTUAL PVNDAらしさは失われてしまうかもしれないけれど。

タイトルの意味をいまいち把握できていないのですが、もし“盆踊り”だとしたら、なかなか気が利いている。死者を供養するための踊りである“盆踊り”。死線を越えた向こうから現世を懐かしむかのような郷愁サウンドと、鎮魂の踊りというのは直接的でないにしろ、リンクすると思いませんか。いやそれよりも、もっと単純に、ここにあるサウンド自体が魂を鎮めるために鳴り響いている、そんな風にとらえることもできるのかもしれません―

だんだんとリリースの頻度が少なくなってきているのが気になるけれど、でも今作が素敵なのでしばらくはこれを心に沁み渡らせようと思います。


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PLAYLIST : 2018.03




 forget me not.



ahiru あひる – Cherry Plum

 ahiru あひる - Cherry Plum Cover

 – Tracklist –
 01. take my coat, you might catch a cold
 02. 彼女の笑顔 / ‘Her Smile’
 03. cherry plum
 04. maybe it will be a lot better for us someday
 05. as we shared our stories under that tree
 06. this summer you’ll be smiling again



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 Release Page Stream Only.

 Release Date : 2018.03.23
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Electronica, Pop, Relaxing, Spring.


 Related Links :
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  ≫ sam on SoundCloud


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私の住んでいる部屋のすぐ近くに公園がある。砂場とブランコとジャングルジムと滑り台とベンチと自治会館がある、スタンダードな公園だ。そんなに大きくはないんだけど、公園の内周にはグルリと桜が植わっていて、毎年春が巡ってくるたびに、薄桃色の花が咲き乱れる。咲き終わって、花が散った後は、公園外の路上にまで、花びらの絨毯ができて、小さい子が手ですくったり、足で蹴って巻き上げたり、そんな光景を見ることもできる。今現時点でも、ちょうど満開で、でも花見スポットになっているでもなく、いつもどおり、子供たちと、その親御さんたちが訪れて、桜の木の下で、遊び、談笑している。私はその光景を、自分の部屋、窓を開け放ったベランダから眺め―

ってのは理想で、実はベランダは逆向きだから公園は見れないんですけどネ! 玄関開ければ見えるけれど、大の大人が玄関開け放って公園見つめてるってのも、ある意味警戒されそうでしょう? だからしない。

ってまあ、そんなことはいいんだけど、春に、桜に、ぴったりの作品だと思うなあ。時期的にも合わせてきたんじゃないですかね。タイトルは“Cherry Plum” = “スモモ”だけれども。ジャケットイメージなんかピンク基調だし、まあ桜ではないかもしれないけれど、若い二人の春デート、みたいなホッコリ&キュート感。あと男の子がマスクしてるのがイマドキだなって思う。描いているのはスペインの方みたいだけど、このマスク着用の流れってのは世界的なものなんですかね。話逸れるけれど。

前の投稿でkoganeの音楽をなんて呼んでいいかよく分からないみたいなことを書きましたけれど、今回の探索で分かりました。nemuri winter系です! なんのこっちゃという人はnemuri winterをチェックチェック。この存在が頭から抜け落ちているとは私もポンコツだ。だって前にnemuri winterの作品は紹介しているのに。そう、このahiruも“nemuri winter vol. 1”に参加しているトラックメイカーです。

タイトル眺めていくと、春デート中の二人の有様を描いた作品なんじゃないかって気もするんだけど、穿ちすぎか。まあとにかく柔らかく、さりげなく、花のように香るメロディ、ときに雅な音色も聴こえてきて、否が応にも漂う日本情緒。アコースティックな楽器の響きがもたらす抒情性。はしゃぐ子供たちの声のような環境音も巧みに挿入されていて、架空的風景を演出する。全編にある暖かいサウンドは陽の光に結びつき、その抒情性と雅なイメージは日本的風景―桜に結びつき、私の頭にはもう、公園の桜の木の下で戯れる親子連れの風景が立ち上がってきて、消えないのです。

サウンド的にはちょっと外れるかもしれないけれど、bo enの‘miss you’とかと似たような音風景だなあと、私は思いマス。あと“花とアリス”のサウンドトラックとか。春デスね。うららかな、良き日。悲しみがないのはやっぱり春に由来してるんだと思うなあ。

今ちょうど切り替えの最中なのか分からないけど、上記ahiruのSoundCloudにはほとんどトラックがなくて、古いものがsamの方で公開されています。気になる方はチェックしてみてください。今だったらダウンロードもできるみたいですよ。


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 artwork by vivirin.carrd.co/



kogane – 2017 Discography

 kogane - 2017 Discography Cover

 – Tracklist –
 01. Don’t Be Scared
 02. Bittersweet
 03. Stay Gold
 04. Everything We’ve Done
 05. Sapporo
 06. Spring
 07. Welcome Home
 08. Memory Box (Bonus)



 - 03. Stay Gold


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 Release Date : 2017.12.07
 Label : Not On Label

 Keywords : Acoustic, Ambient, Dream, Electronica, Indie, Sad.


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タイトル通り、koganeが2017年にリリースしたトラック(プラス、ボーナストラック1曲)をコンパイルした作品になるようです。

こういうサウンドって何と呼称するのがよいんでしょうね。いや聴くのが一番早いんですけれど。なかなか一言でいえる言葉がないものかなあと、いつもモヤリとします。サンプルベース、なのかどうかは分からないんですけれど、感傷的なメロディに、Acousticな音色による装飾を施した、シンプルな音作り。使われている音色にはチャイルディッシュなムードもあったりして、どこかに可愛らしさもあり(強引に今風につなげるなら、そのキュートさはFutureBassのそれにも通じるのかもしれない。強引に、だけれど)。

音から立ち上がる風景は、個人的には北欧を感じるのです。Sigur Rósのような、悲しげな涼としたコーラスや、抒情的なPiano、ペダル・スティールのようなトュワーンとした音色など、透明感あふれるサウンドが盛り込まれていることが大きく影響していると思われます。加えて‘Sapporo’なんていうトラックもありますしね。雪景色が似合うサウンドです。そしてその寒さは心をキュッとさせるのと同時に、そこから少しの悲しみを漏れさせるのです。けれど穏やかなディレイは優しく降り注ぐ日光のようで。すべてをドリーミィに包んでいくのです。

凛とした空気、このファンタジックで、切ない調子。そしてどこかしらキュート。果たして何かに通じるなあと、一瞬思って、頭の中でそれを追いかけていったんですが、私の中ではCloud Rapだったんですねえ。FRIENDZONEとか、私の大好きなmemory cardsとかの遺伝子ってのは、どこかしらにあるんではないかなあ。そう思います。いやもっと直接的にシンパシー感じるトラックメイカーとしては、ollitatsumi portが、すぐに出てくるところではありますが。このkoganeも、その系譜に連なる素敵なトラックメイカーだと思います。koganeって日本語でしょう?、きっと。名前も何かよい。こんなんストリーミングでふいに流れてきたら堪んないよな。

力強いサウンドではないけれど、空間を作り上げる確かな包容力。◎。


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 Note :

Compiling every song I released in 2017 plus 1 bonus.

Thank you for listening. This year has been a very odd one for me. If it wasn’t for music, I have no idea where I would be.



teams. – VGM 1

 teams. - VGM 1

 – Tracklist –
 01. cave (seiken densetsu 2)
 02. avalanche (final fantasy 7)
 03. pk starstorm (earthbound)
 04. sorry, but it looks like I won’t make it back (chrono cross)



 - 02. avalanche (final fantasy 7)


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 Release Date : 2017.10.07
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Dream, Electronica, Fantasy, VGM.


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ビートメーカー、teams.の新しい作品は、VGM(Video Game Music)。teams.っていうから、グループとかコレクティヴだと勘違いしていましたが、個人活動ということでよろしいでしょうか(間違っていたらスミマセン)。

これまでにもアンビエンス漂うHip-Hop/Beats作品を多くリリースしてきていますが、今作はビートがございません。自身が最も好んでプレイしてきたビデオゲーム―時代的には一昔どころではなく前になるけれどしかし不朽の名作である“聖剣伝説2”、“ファイナル・ファンタジー7”、“MOTHER2(英題はearthbound)”、そして“クロノ・クロス”、これらの音楽を作ってみた、というのが今作、今シリーズのコンセプトのようです。作ってみた、と書いたのは、オリジナルをアレンジとかリミックスしたわけではなくて、自身でゲームの特定のシーンをイメージして作ってみた様子だからです。というのも私は“聖剣伝説2”と“クロノ・クロス”のオリジナル・サウンドトラックは所持していますが、おそらくこのteams.の作品に入ってるトラックはそこには見てとれないからです。

でも完全オリジナルってなると、サンプリングありきのHip-Hopの手法からは外れるし、それはteams.っぽくないような気もするので、もしかしたらサンプル使用とか、極端なアレンジとかいう可能性もありますが、少なくとも私には分からない。オリジナルを使っているにしても、コレは、とピンとくる素材は使われていないように思います。

まあ、それはさておき、非常にAmbientに傾いた作風です。これまでも包容力あるサウンドを多く作ってきていますが、先にも書いたようにココにはビートがない。夢の中にきらめく星明り、あるいは電子の瞬きか。ドリーミィなサウンドスケープの中にある電子的冷たさが、ビデオゲームの空気を醸している。聴き方によってはShogaze/Noise的な側面も見いだせるかもしれません。

各トラックには題材になったと思しきゲーム名が付されているけれど、どれも特別にゲームのシーンを思い出させるような作りにはなっていなくて、説明がなければおそらくそれぞれのゲームに関連付けられることはないだろうと思います。なので件のゲームをプレイしていない人が楽しめないということは全くなくて、純粋にAmbientとして魅力を持った作品になっています。逆にプレイしてきた人は、思い出のシーンに当てはめてみるのも楽しいかもしれません。トラックタイトルもその助けになるでしょう。

今作はシリーズの第一作ということで、続編も控えているようなので、期待しましょう。お気に召した方は、過去作の“visual novel.”も近しいサウンドかと思いますので、ぜひ。


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 Note :

when i started making music I started off making video game music, bgm etc. This is the start of a small series of video game music I do. This one consist of my favourites like final fantasy 7, chrono cross, earthbound and seiken densetsu 2. There are more soundtracks of these games I did. Just got to get around finishing them. Series 2 will be up soon.


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ちなみに、ということで、せっかくなんで、私の好きな、“聖剣伝説2”と“クロノ・クロス”からのトラックをいくつか以下に―


時のみる夢(from “クロノ・クロス オリジナル・サウンドトラック”)
とはいってもコレは本編では使われていないはず。






海月海(from “クロノ・クロス オリジナル・サウンドトラック”)






時の草原(from “クロノ・クロス オリジナル・サウンドトラック”)






天使の怖れ(from “聖剣伝説2 オリジナル・サウンドトラック”)






ねがい(from “聖剣伝説2 オリジナル・サウンドトラック”)




VIRTUAL PVNDA – Tokyo Love Story

 VIRTUAL PVNDA - Tokyo  Love  Story

 – Tracklist –
 01. Perfect In Paradise
 02. Morning Glow
 03. Wake Up With You



 - 02. Morning Glow


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 Release Date : 2017.09.29
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Electronica, IDM, Nostalgia, VaporWave.


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VIRTUAL PVNDAの作品は、いつも不思議なChill感を与えてくれる。懐かしさの中にある爽やかさとでもいうか。

予定のない休み、その前日は夜更かしをしがちだ。私の場合。PCを漫然といじりながら(なにもインターネットとは限らない)、そのまま、眠りに落ちていくことも珍しくない。布団には入る、ようにしている。寒くなってくると、風邪をひいたりしたら、あとあと、差し支えるだろうから。そうすると、たいていは昼ごろに目が覚める。別に勿体ないとは思わない。なぜって前日に夜更かしをしているからだ。そこで時間を手に入れたのだから、勿体ないなどという言葉が出てくるはずがない。しかしそういう話になると、休日の過ごし方に口を出してくる者がいたりするが、それはしゃらくさいというものだ。休日なのだから自由に過ごして何が悪いのだろう。

昼に起きた私は食事をとり、バスタブに湯を張る。そして浸かる。正午はとっくに過ぎている。別に人がいつ風呂に入ろうが自由だが、私の場合ふだんは夜に入るので、これはちょっと特別だ。スペシャルな時間だ。予定もないしタスクもない状態というのが私は大好きで、それだけでウキウキしてくる。そんなウキウキでのんびり風呂に入る。上がり心地は爽やかだ。心地よさだけが体を支配している。

思い返せば、学生時代は、夜と朝に入浴していることもしばしばだった。今思えばその行為は、特別な爽やかさを求めると同時に、現実逃避的な側面もあったのかもしれない。朝、湯に浸かりながら、ツルンとしたバスタブで背中を滑らせるようにして、頭を沈め、くぐもった音の中で目を開き、ぼやけた世界を視界に収める(別に“パーフェクトブルー”に感化されていたわけではない。そのころはまだ視ていない)。そこで一瞬、世界と自分とのつながり具合が正常ではなくなったように、ねじれたように感じられて、日常がシャットアウトされ、自分の感覚が別世界にコネクトされるような気がして、その瞬間が好きだった。俗っぽく言えば学生時代が暗黒時代だった私は(もちろんそれは自分のせいなのだけれど)、別に人生やり直したいなどとは微塵も思っていないが、もしやり直すことを強制されたら、きっとそこ―学生時代を選ぶだろう。そこが今につながっていると思っているからだし、すなわち今に納得していないからだろう。妄想。

そんなノスタルジックな仄暗い思い出と、そこから派生する心地よさというヤツが、VIRTUAL PVNDAのサウンドにはある。相変わらずどのあたりがVaporWaveなのかよく分からないけれど、その懐かしく、心地よく、ちょっと暗い、というヤツが、VaporWaveの何たるかと共振しているような、気はする。

それにしても“Tokyo Love Story”ってワードの強さ、すごいな。時代を超えてる。読んだ時のリズムも良いし、そこに内包されるイメージの多様さよ。もちろんオリジナルの“東京ラブストーリー”あってのことだとは思うけれど、ロマンチックで、何ならサイバーパンクの香りさえしそうなくらい。そして見事にVaporWave的でもある。


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Light Pillar – Phantasmagoria [#389]

 Light Pillar - Phantasmagoria [#389] Cover

 – Tracklist –
 01. Shadowplay
 02. Cell Transplant
 03. Fallopia in the Sky
 04. Evolutionary Eclipse
 05. Evening Stars
 06. Phantasmagoria
 07. Lunar Storm
 08. If you were sound
 09. The Mondrian Cube (as a bonus on Bandcamp)



 - 05. Evening Stars


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 Release Date : 2017.09.01
 Label : Kahvi Collective

 Keywords : Ambient, Electronica, IDM, Melodic.


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秋の訪れとともに老舗ネットレーベルKahvi Collectiveより届けられたのは、オランダからの新星Light Pillarの手になる“Phantasmagoria”。

アーティストの意志を尊重するなら、1トラック目から聴くべきなんでしょうか。どうなんでしょうか。でも聴いてほしいトラックってのがあると思うし(たぶん)、今作の場合、bandcampのプレイヤーは2トラック目から再生されるのは、そういう意味だと思います。でもやっぱり古い体質―CD世代というべきか―の私としては、いややっぱり頭から聴くべきだよね、なんつって頭の‘Shadowplay’から再生するのですが、まあこれだけ11分という長尺なわけで、その長さは作中では異質。と思っていると中身も異質で、これだけアブストラクトなAmbientトラックなんですね。メロディというかフレーズはあるけれど、どちらかというと空間が優先されているように思います。

なるほどなるほど悪くはないけどちょっとピリッとしないかなあ、なんてボンヤリ聴いていたら、あにはからんや、M-2から広がるのは極上のMelodic IDM/Electronicaだった!という次第。Popにすら踏み込みかけたメロディと、ときに生き生きとした表情を見せるリズムがAmbientな空間にフィックスされて作られる、至高のひととき。個人的にはアーリーなElectronicaのイメージがあって、まっさきに頭に浮かんだのはスウェーデンのMosaik。M-2にあったりするちょっとAncientというか、雅にも通じる趣が、特にそう強く感じさせます。

メロディはミニマルなんだけどベースやドラムといったリズム、あるいはバックグランドの流れで変化、メリハリをつけている部分も散見されて、これがまたリスナーを飽きさせないわけです。リズムがメロディ化しているのってIDMのひとつの特徴にも思うんですが、今作の場合特にM-4‘Evolutionary Eclipse’とかどうですか。いいですよね。あとはM-5‘Evening Stars’にそこはかとなく感じられるChipmusic的なドライブ感、追憶感(記憶くすぐり感ともいう)もすばらしい。かと思えばM-6‘Phantasmagoria’では流麗なストリングスと浮遊感あるElectronicaを織り交ぜて、ドラマチックでコズミックな空間を披露する。

M-6でGlitchを効かせたちょっぴり硬質なサウンドを聴かせた後が、あにはからんや(2回目)、ヴォーカルトラックなのです!(ご本人が歌唱されているのかは分かりません)。加工はされていますが朴訥なその歌声は無機質でありながら温かみのあるサウンドに実にマッチ。Pop musicとは異なるけれど、ちゃんと歌になっている。なんとなくヴォーカルフレーズ入れてみました、的な感じではない。ただのコーラスじゃね?というものでもない。抑揚がありクライマックスがある。そういうところから考えても、きっとPop志向の人なんだと思います。

M-9はbandcampだけのボーナストラックです。ミニマルなメロディを繰り返しつつ、バックが不穏に歪んでいく、その中にも郷愁を感じさせる不思議なトラックです。せっかくなのでbandcampで入手、というのもよろしいかと思います。

ところでPhantasmagoriaの意味ってみなさんご存知でしたか(私はホラーな方向のイメージしか思い浮かぶませんでしたが)。いまどき調べればすぐに分かりますが、あえて書きましょう。日本語にすると“幻影”、”幻想”の意味になるようです。移ろいゆく景色。奇妙な幻想。現れては消える幻。ぴったりじゃあないですか。


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(CC) by – nc – nd 3.0