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タグアーカイブ: Hip-Hop

otro – vida

 otro - vida

 – Tracklist –
 01. vida
 02. portrait
 03. duelo
 04. y/otro
 05. sujeto
 06. siento
 07. roto
 08. resurrección
 09. accord
 10. libera


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 Release Page Deleted!

 Release Date : 2017.02.24
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Glitch, Hip-Hop, IDM, Techno, Trap, Synthesis.


 Related Links :
  ≫ otro on SoundCloud
  ≫ socratako. on bandcamp


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スペインのトラックメイカー、otro(Aaron Morris)。otroはスペイン語のようで、英語にするとother、つまり“他の”という意味になるようだ。もともとはsocratako.という名義で活動していたようで、そのときのbandcampも消されずに残っている。それを踏まえたうえで“他の”という名前になったのかは分からないけれど、明らかに差別化が図られている。IDMやIndustrial、Body music~NewWaveをブレンドした電子音楽は、この名義になって、果たしてどう変化したのか。

ディレイやリバーヴを散りばめつつも、直線的、鋭角的で、音の粒やパーツのたった、パッキリとした音像から、歪で混沌とした抽象的、曲線的で、グニャリとした粘土細工のような音像へ―それぞれのパーツは互いに絡み合い、もともとの形を変え、ひとつにまとまり、そのさまはグロテスクでもあり、同時に美しくもあり。ある種の造形美。作品の中ほどとラスト、ふいに顔を出すAmbientなトラックは 否が応にも静謐な風景を引き起こす。

彼のInstagramを眺めてみれば、何気ない日常のスナップとは別に、ノスタルジアと、性と、暴力と、都市あるいは建築物の無機質性、それらを内包した写真、そして仄暗いスケッチ、のようなものが散らばっている。作品にある音たちにも、そこからそう遠くないイメージを、私は持っている。感じている。

一言でいってしまうと、似た感想を持つ人もいるかもしれないが、Arcaなのです。広大な宇宙空間から個人の精神世界にダイブしてくるみたいな、急激な収斂。歪にいきり立つシンセ音。孤独に瞬くそれらは、ロマンチックでもあり。ざらついたシンセティックなレイヤーの伸縮は、平面から立体へと変化するオブジェのような不可思議性―そしてそれは異形のイメージ―につながっていく。

リズム的にはだいたいにおいてHip-Hop~Trap的なものが用いられていて、このあたりが今作の分かりやすさに役立っているのではあるまいか(といっても、もちろん大衆的な音楽ではないけれど)、それはまるで文学とエンターテイメントの狭間を行くような、ともすれば中途半端にも捉えられてしまう所業かもしれないが、今作は実にうまいこと、その狭間をいっていると思う。Arcaチルドレンがどれだけいるのか分からないが、今作はその成功例といってもいいのではないか(ネガティヴな意味ではなく)。パーカッシヴな鳴りや、どことなく中近東を思わせるメロディラインも、いい具合にフックになっている。

聞けば彼otroはまだ10代だということで、音楽を続けていくのならば、そのスタイルはこれからドンドン変化していくのかもしれないし、これもその内の一つとして過去のものになってしまうのかもしれない。影響源と思しきArcaにしても(otroのSoundCloudではArcaの‘Anoche’がしっかりとリポストされている)、現時点で新作の全貌は明らかではないけれど、公開されているトラックから察するにおそらくはこれまでと同じではないだろうし、だとすれば初期Arcaとでもいうべき独特の音像を誰かが引き継ぐというのも、面白く、価値のあることなのかもしれない。


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ちなみにsocratako時代の面白いビデオ―

これって実際の映像ですかね。致死量でしょ。日本の狂気。



PLAYLIST : 2017.02



 I’ll be back…



PLAYLIST : 2017.01






 You don’t need any brains to listen to music.



sensei40 – adventures in vHS vol​.​2 // erotica, horror & jungle edition

 sensei40 - adventures in vHS vol​.​2 // erotica, horror & jungle edition Cover

 – Tracklist –
 01. svensk dragkedja
 02. opportuni?
 03. kurrylude
 04. rupee boogie
 05. dariva
 06. moeesehs
 07. kaltakia mastoraki
 08. telepathic sea monster
 09. sioux farfalle
 10. mitaba!!



 -  01. svensk dragkedja


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 Release Date : 2016.10.21
 Label : Not On Label

 Keywords : Cinematic, Erotica, Hip-Hop, Horror, Sample-Based, VHS.


 Related Links :
  ≫ sensei40 on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp


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VHSの魅力というのは、どこにあるのだろう。日本で全盛を極めたのはバブル時代というのが、一般的な認識のようです。そういった背景もあるのでしょう、今では到底作品として世に出ることはないであろう代物が次々と、大量に、世に放出され、それが今もってマニアのコレクション心をくすぐっているという部分もあるようです。けれど私が言っているのは“そういうこと”ではなくて、VHSテープに収められた映像や音声に、なぜ魅せられるのかという話。前にもほかの作品について似たようなことを書いた気もするけれど、私にとってはやはり“いかがわしさ”というやつが、大きな魅力になっている。現在の再生機器によるものと比較すると、圧倒的に粗い画質と音声―必ずしもVHSのみがそこにあてはまるわけではないのだけれど、その部分は少なくとも私の中ではVHSと不可分となっています。

粗い画質と音声によって醸されるいかがわしさという点で話を進めていきますが、たとえば、そう、最近だったら“推定年齢12000歳の巨人が冷凍睡眠状態で発見される…イランの洞窟”(“Anunnaki Royals found in a sleeping stasis”)とか、逆に50年以上も昔だったらビッグフットの有名な動画(“Patterson/Gimlin Bigfoot Film – Complete Version”)とか、そういった一種オカルティックな映像であるとか、やはり音楽ファンとしてはいわゆる海賊版の存在も忘れちゃいけない、決して地上波には乗らないアンダーグラウンドで過激なミュージックビデオなどをダビングにダビングを重ねまくった劣悪な状態で観賞したりとか、70~80年代のパワー溢れるホラー映画であるとか―(別にこれを出す必要はないんだけど、たまたまですね)“OGROFF”―、その種の分けのわからなさと、不明瞭さを充満させ、しかしだからこそ知的好奇心を煽られ、そこから必然的に立ち上る浪漫の煙というヤツが、私にとってはVHSの最大の魅力(繰り返しますけど例に挙げた映像の記録媒体が実際にVHSのテープであるかどうかは問題ではないのです。私の中でVHSと結びつくイメージとしてそのようなものが在る、ということです。そして一文を長く書き過ぎだなアハハ)。

別にDVDだってBlu-ray Discだって、各種ストリーミングだって、いかがわしいものはいかがわしいんだろうけれど(エロティックなものも含み)、その点VHSの方が圧倒的強度を持っているのはなぜなのだろう。ここでやはり時代背景を取り入れざるを得なくなったけれど、VHS全盛期にはやはり観賞場所はお茶の間が基本だろう。デッキがそこにあるからだ。お茶の間でいかがわしい映像を見るとしたらどうする? 気がおけない友人と、というシチュエーションもあるだろうけれど、圧倒的に1人で、ってのが多いんじゃないかなあ。だから人目を盗んでこっそりと、一人で行うその秘密めいた行為―観賞―にあるスリルってやつは、VHSの内包するいかがわしさを何倍にも膨れ上がらせる、のではあるまいか。そう考えると、いまどきの一人に一台ってPC環境では、アレですね、そういったスリルなんて微塵も発生しないですね。そうすると逆に、その個人のPCで行われるすべての行為が、もう全ていかがわしく思えてきてしまいますよ、私は。欲望に直結しているといいますか。怖いもの見たさ、みたいな欲望は今だとLiveLeakとか(他にもあるね・・・)が引き受けてしまうのだろうし、真偽問わずとも信じられないくらいGoreなイメージがそうやってあっという間に世界を駆け巡っているその現実、空恐ろしい―

はて。いったい何の話をしている、のか。

sensei40って何か不思議な名前ですけど、プロフィールを信じるなら、ギリシャのトラックメイカーのようです。作品に付された記述を読むと、今回は“swedish and hindi erotica, cult horror, and italian spy & jungle virgin movies”の類からサンプリングを行っているようです(西部劇も含まれるよう)。そしてそれらを編集加工したのが本作ということになるようですが、冒頭からたまりませんね、このVHS感、もとい、いかがわしさ。まぶたの裏に浮かぶ、Lo-Fi ヴィジョン。なにがしかのイメージのもとに作られているとは思いますし、やはり映画からのサンプリングということで、自然シネマティックな作品になっています。ジャングル探検隊が暴いた古代の墓からゾンビウィルスが世界に蔓延する!みたいな(なんかイメージが“ブレインデッド”に引っ張られてる気がする。あとそこまでホラーチックではない今作)。eroticaということでその路線の喘ぎ声なんかも使われているけれど(思えばジャケットイメージもその方向なのか?)、どこかコメディタッチなんですよね全体的に。深刻さだとか過激さだとかはまったくなくて、ちょっと矛盾するかもしれないけれど、長閑な雰囲気があるんですよ。タグに使われているようなブードゥーのおどろおどろしさも醸されていますが、すべてをジャングルが包み込んでいるような、フラットな視線で見守っているような、奇妙なぬくもりが感ぜられます。ズバリちょうどよい。VHS感、いかがわしさは確実にありつつも、入れてるビートはHip-Hopだし、不思議に心地よい。そうかここにあるのはきっとエキゾチックだ。

ひとつ前にカンフー映画をサンプリングした“adventures in vHS vol​.​1 // martial arts edition”もありますが、これを聴いててふと思い出したのが、昔Last.fmで出会ったHwang Jang Lee。めっちゃ近しいサウンド。でも関係ないか。・・・今回特にまとまりがない文章・・・。


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Note :

This time sampling flicks like swedish and hindi erotica, cult horror, and italian spy & jungle virgin movies. Also, felt obliged to sample a western so here’s a second bunch of noisy nuggets. MITABA!!!!



MIXTAPE : AT THE BOTTOM OF NIGHT




– Tracklist –

 [00:00] 01. Elijah_Skateboard – athos
 from “everything else” (2016)

 [02:05] 02. Lost Integrity – Lulluby No. 4
 from “Interchange EP” [BPR005] (2011) / [ mirror
 :: (CC) by – nc – sa 3.0 ::

 [05:27] 03. 蜃気楼MIRAGE – 蝋燭
 from “fiction

 [06:41] 04. Yokai – kiosk
 from “Lost Waters” (2014)

 [11:02] 05. Pehoz. – Gasm [ S/O to Kaytranada ]
 from “ORA [EP]” (2015)

 [15:07] 06. Computer Gandalf – clark/wilson 1
 from “Synthetic Lapses” (2016)

 [19:02] 07. SPACE MAGIC スペース マジック – TECHNOLOGICAL SINGULARITY
 from “Cyberculture Logistics” (2015)

 [21:42] 08. eeL – ダーク pt.2
 from “bored” (2016)

 [22:38] 09. ネオンchestnut” – (not)coldspace
 from ““​(​2016​)​”” (2016)

 [25:52] 10. Mokhov – Purity
 from “Purity EP” [CAT-008] (2011)
 :: (CC) by – nc – sa 3.0 ::

 inspired : https://goo.gl/7jDK0c



Lil Samba – Romantic Dreams

 Lil Samba - Romantic Dreams Cover

 – Tracklist –
 01. Halogen
 02. Dewprism
 03. F Minus
 04. Vitriol
 05. Talktalk
 06. December
 07. Aspirin USA
 08. King Of Tongues
 09. When Girls Telephone Boys
 10. Eight
 11. Bubblegum Rosy
 12. Upset
 13. Soft
 14. Grown Up Solitary Living



 - 01. Halogen



 - 09. When Girls Telephone Boys


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 Release Date : 2016.12.19
 Label : Not On Label

 Keywords : Alternative, Cloud Rap, Hip-Hop, Melodic, Romantic Dreams.


 Related Links :
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Cloud Rap集団、Kelpboyzのリーダー、Lil Sambaさんの新作です。前回紹介したのはちょうど一年前くらいの“Dear Calamity”ですが、今作までの間にも“Take Me To See God In Roswell”や“Mercury Yawned”、“Eternal Broadcast: Extra Love From Your Creator”を出しているので、コンスタントなリリースですね。それらを聴いていないわけではないのですが、なぜに紹介してこなかったのか。何かにうつつを抜かしていたのでしょう。

今作は彼にとっては非常に重要な作品であるようです。生まれ育った町を(理由はさだかではありませんが)離れることになったようで、そこに至るまでの5~6ヵ月間に経験したこと、感じたことのすべてが詰め込まれているとのこと。一見するとこのタイトルは非常にドリーミィ、ハッピーなイメージを持たれるかもしれませんが、どうやらそのままの意味ではないようで、彼が離れてしまったものや思い出をいかに美化しているかを、彼自身に教える、そんな残酷な作品でもあるようです(解釈が違ったらごめんなさい)。たとえ“Mercury Yawned”や“Dear Calamity”に劣ったとしても、ここでは多くの感情や経験が放出されているのだと述べられていますが、そういわれるとそういう風に聴いてしまうから、書かない方がイイよ!(確かにどちらもPopでよい作品だけれど)。

どこかのバンドのように“ただのノスタルジー 生ゴミ持ち歩いてんじゃねえ”とまではいきませんが、自身が(過ぎ去ったもの、ことに対して)ロマンチストであることを突き付けられるのは、それが唐突であるほどに衝撃的、ヘビーなことかもしれません。彼Lil Sambaの場合は、重要ではあれども、そこまでヘビーな受け取り方はしていないのではないか、そんなふうにも思えます。それはいざサウンドを聴いてみると、少なくとも表面的な重さとは切り離されているからです。たとえば‘ETERNAL DEATH’に部分的にあったような抽象的で難解なイメージは感じられませんでした。

サウンドとしては彼のメインのスタイルである、Melodicなサンプルを使ったHip-Hop/Cloud Rapなんですよね。浮遊感のある電子音やヴォーカルラインを巧みに使って抒情的な空間を作り出す手腕は相変わらずです。M-1からして安定のあるLil Samba節ではありませんか。ストリングスとディレイするヴォーカルの混合によって描かれる優美かつ感傷的なイメージにはまさに“思い出”というワードがあてはまり、そんな思考を促される私も立派にロマンチストであることを教えられているような、不思議な気もします。M-2も風通しの良いギターストロークとブレイク、ヴォーカルを使った、いつか見たさわやかな夢のような、淡い景色。

中盤から翳りのあるサウンドも出てくるけれど、中間地点のM-6ではセガサターン用のゲームソフト“ナイツ NiGHTS into Dreams…”から引用を行っており、インタールード的な役目はもちろんのこと、作品の世界観も損なっておらず、見事なチョイスだなあと思います(私がナイツ好きだってのも多分にあるだろうけれど)。濁った物思いを音像化したようなAmbientなトラック‘When Girls Telephone Boys’や、アラビックな旋律を使った‘Eight’も面白い。サマーなヴァイブを持った‘Soft’から、ラストのはウタモノトラック‘Grown Up Solitary Living’(このタイトルは今作のコンセプトを象徴している気もする)で締め。

聴いてくると思い出の美化(romanticize)に関して彼自身がどういう心持ちなのか、それほど否定的ではないのではないかと、思ったりもしましたが、今作に付されているメッセージを読むと、それは“Stop having romantic dreams.”という言葉で結ばれている―


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Note :

This album is the most significant and important, personally, than any other album that I’ve made so far. It documents my coping with moving five hours away from home (my first alternate living area), with no family or friends to accompany me. Working as a concept album, it starts before the move, translating my worries and anxieties and last few weekend escapes with my friends into sound; only to end with where I am now. The title should not be taken literally. “Romantic Dreams” really represents me romanticizing the life I’d moved away from and how I daydream of the fleeting memories.

I won’t give away everything and go track by track, explaining why I chose this title or that overall tone for this song, etc. Even if it’s inferior to Dear Calamity or Mercury Yawned, I just wanted to let everyone know that I made this as an outlet for everything I’ve been feeling and experiencing within the past 5-6 months.

To all my dear friends and family, I love you all, and I’ll never find a home that feels as cozy as the shithole I was born and raised in.

Work on living alone.

Work on staying afloat.

Work on sustaining myself.

Stop the guilt.

Stop having romantic dreams.



3zvm – ヒヤシンス Hiyashinsu (demos)

 3zvm - ヒヤシンス Hiyashinsu (demos) Cover

 – Tracklist –
 01. 乙女座 Virgo (demo)
 02. オーディション Casting (ft. Sofachips) (demo)
 03. チャイニーズ・キッド chinito (demo)
 04. 識別 id (demo Instrumental)



 - 02. オーディション Casting (ft. Sofachips) (demo)


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 Release Date : 2016.10.25
 Label : Not On Label

 Keywords : Hip-Hop, IDM, NewWave, SynthPop, VaporWave, Vocal.


 Related Links :
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ウルグアイのトラックメイカー、3zgmの作品です。

初期の“ラテンチャット バージン latinchat virgen”はNoiseに分類されるかもしれない、アブストラクトでささくれ立った作風でしたが、途中からヴォーカルを使ったスタイルが目立ち始めます。といってもPop全開というわけではなくて、リズムマシンとホワホワしたシンセにアンニュイなラップ調ヴォーカルをかぶせた、ゆるふわなHip-Hop、みたいな。

音楽性を指し示すであろう言葉にも関わらず、結局的を射れない言葉というのが時代時代にありますが、ひとむかし前ならAlternativeとか、ふたむかし前ならNewWaveとかでしょうか、今ならVaporWave(とか言っても、前の二つと同じ土俵には上がれないですね)なんてのもありますが、この作品は私的にはNewWaveだと思うわけですよ。もっと言うと、自分が90年代以降に多感な時期を過ごしたせいも多分にあるでしょう、その頃の(日本の)インディーシーンに見られたDIYかつPopなフィーリングに相通じるものを感じたりしてしまって、どうにも気になってしまったというのが、ここでとりあげた動機といえば動機。

特にM-2が抜群に良い。色あせた記憶を刺激するような、このレトロスペクティヴなシンセの音色がもうたまらん。チキチキ、ポスポスとしたチープなドラムに、デケデケした電子なベースと、バックトラックはシンプルなんだけど、そこに乗っかるサンプルなんだか実際の歌唱なのか分からないけれど、例のアンニュイな歌声が乗ることで、とたんに不思議な空気を持ったウタモノとして機能し始めるのです。リリース元ではIDMのタグを使っていたりもするんだけど、なるほど確かに聴きようによっては、IDMっぽいところも出てくるかもしれない。この電子的でドリーミィな感覚というか(強引に言えばBoards of Canadaとか?)。ミニマルな中にもちゃんと展開があって、デモ扱いはされているけれど、すでに形としては出来上がっているようにも受け取れます。

他の3トラックは、ちょっと輪郭が不明瞭な上にタッチもゆるいので、やはりインパクトは弱く感じられてしまいます。たとえば前作“偽の若者 AY”にあった‘素敵ビーツ suteki beats’とか、今作のM-2のような、Popなフィーリングを持ったトラックでコンパクトにまとめてくれば、がぜん私のお気に入りの作品になるかと思います! そういう作風が望むところでないと言われればそれまでですが。

bandcampにはきちんと歌詞が掲載されているので、気になる方は読んでみてください。反復性の強い歌詞作りは、ディレイ、リバーヴするヴォーカルと相まって、聴き心地をよりドリーミィに―あるいは眩惑的に―していると思います。



 - 素敵ビーツ suteki beats