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sensei40 – adventures in vHS vol​.​2 // erotica, horror & jungle edition

 sensei40 - adventures in vHS vol​.​2 // erotica, horror & jungle edition Cover

 – Tracklist –
 01. svensk dragkedja
 02. opportuni?
 03. kurrylude
 04. rupee boogie
 05. dariva
 06. moeesehs
 07. kaltakia mastoraki
 08. telepathic sea monster
 09. sioux farfalle
 10. mitaba!!



 -  01. svensk dragkedja


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 Release Date : 2016.10.21
 Label : Not On Label

 Keywords : Cinematic, Erotica, Hip-Hop, Horror, Sample-Based, VHS.


 Related Links :
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VHSの魅力というのは、どこにあるのだろう。日本で全盛を極めたのはバブル時代というのが、一般的な認識のようです。そういった背景もあるのでしょう、今では到底作品として世に出ることはないであろう代物が次々と、大量に、世に放出され、それが今もってマニアのコレクション心をくすぐっているという部分もあるようです。けれど私が言っているのは“そういうこと”ではなくて、VHSテープに収められた映像や音声に、なぜ魅せられるのかという話。前にもほかの作品について似たようなことを書いた気もするけれど、私にとってはやはり“いかがわしさ”というやつが、大きな魅力になっている。現在の再生機器によるものと比較すると、圧倒的に粗い画質と音声―必ずしもVHSのみがそこにあてはまるわけではないのだけれど、その部分は少なくとも私の中ではVHSと不可分となっています。

粗い画質と音声によって醸されるいかがわしさという点で話を進めていきますが、たとえば、そう、最近だったら“推定年齢12000歳の巨人が冷凍睡眠状態で発見される…イランの洞窟”(“Anunnaki Royals found in a sleeping stasis”)とか、逆に50年以上も昔だったらビッグフットの有名な動画(“Patterson/Gimlin Bigfoot Film – Complete Version”)とか、そういった一種オカルティックな映像であるとか、やはり音楽ファンとしてはいわゆる海賊版の存在も忘れちゃいけない、決して地上波には乗らないアンダーグラウンドで過激なミュージックビデオなどをダビングにダビングを重ねまくった劣悪な状態で観賞したりとか、70~80年代のパワー溢れるホラー映画であるとか―(別にこれを出す必要はないんだけど、たまたまですね)“OGROFF”―、その種の分けのわからなさと、不明瞭さを充満させ、しかしだからこそ知的好奇心を煽られ、そこから必然的に立ち上る浪漫の煙というヤツが、私にとってはVHSの最大の魅力(繰り返しますけど例に挙げた映像の記録媒体が実際にVHSのテープであるかどうかは問題ではないのです。私の中でVHSと結びつくイメージとしてそのようなものが在る、ということです。そして一文を長く書き過ぎだなアハハ)。

別にDVDだってBlu-ray Discだって、各種ストリーミングだって、いかがわしいものはいかがわしいんだろうけれど(エロティックなものも含み)、その点VHSの方が圧倒的強度を持っているのはなぜなのだろう。ここでやはり時代背景を取り入れざるを得なくなったけれど、VHS全盛期にはやはり観賞場所はお茶の間が基本だろう。デッキがそこにあるからだ。お茶の間でいかがわしい映像を見るとしたらどうする? 気がおけない友人と、というシチュエーションもあるだろうけれど、圧倒的に1人で、ってのが多いんじゃないかなあ。だから人目を盗んでこっそりと、一人で行うその秘密めいた行為―観賞―にあるスリルってやつは、VHSの内包するいかがわしさを何倍にも膨れ上がらせる、のではあるまいか。そう考えると、いまどきの一人に一台ってPC環境では、アレですね、そういったスリルなんて微塵も発生しないですね。そうすると逆に、その個人のPCで行われるすべての行為が、もう全ていかがわしく思えてきてしまいますよ、私は。欲望に直結しているといいますか。怖いもの見たさ、みたいな欲望は今だとLiveLeakとか(他にもあるね・・・)が引き受けてしまうのだろうし、真偽問わずとも信じられないくらいGoreなイメージがそうやってあっという間に世界を駆け巡っているその現実、空恐ろしい―

はて。いったい何の話をしている、のか。

sensei40って何か不思議な名前ですけど、プロフィールを信じるなら、ギリシャのトラックメイカーのようです。作品に付された記述を読むと、今回は“swedish and hindi erotica, cult horror, and italian spy & jungle virgin movies”の類からサンプリングを行っているようです(西部劇も含まれるよう)。そしてそれらを編集加工したのが本作ということになるようですが、冒頭からたまりませんね、このVHS感、もとい、いかがわしさ。まぶたの裏に浮かぶ、Lo-Fi ヴィジョン。なにがしかのイメージのもとに作られているとは思いますし、やはり映画からのサンプリングということで、自然シネマティックな作品になっています。ジャングル探検隊が暴いた古代の墓からゾンビウィルスが世界に蔓延する!みたいな(なんかイメージが“ブレインデッド”に引っ張られてる気がする。あとそこまでホラーチックではない今作)。eroticaということでその路線の喘ぎ声なんかも使われているけれど(思えばジャケットイメージもその方向なのか?)、どこかコメディタッチなんですよね全体的に。深刻さだとか過激さだとかはまったくなくて、ちょっと矛盾するかもしれないけれど、長閑な雰囲気があるんですよ。タグに使われているようなブードゥーのおどろおどろしさも醸されていますが、すべてをジャングルが包み込んでいるような、フラットな視線で見守っているような、奇妙なぬくもりが感ぜられます。ズバリちょうどよい。VHS感、いかがわしさは確実にありつつも、入れてるビートはHip-Hopだし、不思議に心地よい。そうかここにあるのはきっとエキゾチックだ。

ひとつ前にカンフー映画をサンプリングした“adventures in vHS vol​.​1 // martial arts edition”もありますが、これを聴いててふと思い出したのが、昔Last.fmで出会ったHwang Jang Lee。めっちゃ近しいサウンド。でも関係ないか。・・・今回特にまとまりがない文章・・・。


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Note :

This time sampling flicks like swedish and hindi erotica, cult horror, and italian spy & jungle virgin movies. Also, felt obliged to sample a western so here’s a second bunch of noisy nuggets. MITABA!!!!



MIXTAPE : THEY’RE COMING


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scene from “Hellbound: Hellraiser II” (1988)


listen on 8tracks
8tracks will no longer stream from their servers to listeners outside the US and Canada.
learn more…



– Tracklist –

 01. AGHARTA – Kalachakra Lion
 from “VAATICAN RECORDS – Sampler N°24” (2012) :: (CC) by – nc – nd 2. fr ::

 02. Masske – Red Mercury
 from “Masske” (2009) [OWL-063] [ ZIP / mirror

 03. Step-Father – _devil
 from “goodbye.exe” (2013)

 04. Cannibal Rector – Shake Your Spear
 from “Shakespeare The Ripper!” [hm13] (2010) :: (CC) by – nc- nd 3.0 ::

 05. Bouwakanja​ – Paranormal Music Maker
 from “The Strange Boy” [P36-069] (2012) :: (CC) by – nc- nd 3.0 ::

 06. Space Vorobey – LSD trip
 from “Trip Inside” [UMPAKO-33] (2009) :: (CC) by – nc – nd 4.0 ::

 07. Kreyk – Walking …
 from “Red ep [Nyb 017] (2010) :: (CC) by- nc – sa 3.0 it ::

 08. Clathrus – Balaklava
 from “Balaklava Boating” (2011)

 09. Próżnia – The Toy
 from “Wegetacja (2009)

 10. Alesaparanoid – Block Rockin Beats
 from “Dead People” (2012)

 11. BEAT – Suicidal Thoughts
 from “Stale Air” [PICPACK031] (2010) :: (CC) by – nc – nd 2.0 ::



Sons Of Dagon – A Tribute To The Dreamer [[AB]-153]

 Sons Of Dagon - A Tribute To The Dreamer [[AB]-153]

 – Tracklist –
 01. Dagon
 02. The Rats In The Walls
 03. The Colour Out Of Space
 04. The Whisperer In The Darkness
 05. The Dreams In The Witch House



 - 03. The Colour Out Of Space


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 Release Page :
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 Release Date : 2012.10.29
 Label : Abandonment label

 Keywords : Ambient, Drone, Electronic, Horror, H.P. Lovecraft, Noise.


 Related Links :
  ≫ Sons Of Dagon on SoundCloud

  ≫ attila777 on SoundCloud
  ≫ Pioggia d’ambra(E.F) on bandcamp
  ≫ Tommaso Busatto on SoundCloud


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ブルガリア基盤のエクスペリメンタル系ネットレーベル、Abandonment labelより。Sons Of Dagonの作品がフリーでリリースされています。直訳すれば”ダゴンの息子たち”という意味になる、この奇妙な名前のミュージシャンは果たして誰なのか。そんな疑問が出てくるけれど、リリースページで早々に答えが用意されている。Sons Of Dagonはattila777、E.F、Tommaso Busattoという3人から成るプロジェクトで、いずれもイタリアのミュージシャン。

ジャケット画像にあるこの面長のフェイスが誰なのか、ピンとくる人は、”ダゴン”という言葉と合わせて今作の趣旨が分かるでしょう。嶋田久作さんじゃないですよ。帝都大戦とか帝都物語は関係ないです。ここにある肖像は、Howard Phillips Lovecraft(ハワード・フィリップス・ラブクラフト)。非常に著名な、アメリカの怪奇・幻想文学の作家(余談だけど、嶋田久作さんの芸名候補として当初”ラヴクラフト嶋田”というものがあったという。そのくらい二人の顔は似ている)。ラブクラフトといえば、クトゥルフ神話(Cthulhu Mythos)。その提唱者は、ラブクラフトの死後に彼の作品を体系化したオーガスト・ダーレスなので、”クトゥルフ神話”という言葉自体はラブクラフトが生んだわけではないようだし、生粋のラブクラフト・ファンはその辺りにきっちり線を引くようだが、今はそこを掘り下げるのが主眼ではないので、深くは踏み込みません。

さまざまなアイテムをちりばめながら、現実世界の中で異形の神々の存在を示唆し、ときにはその登場を描く、独特の世界観、恐怖的演出のファンは、世界中に存在する。別の作家がその枠組みを応用した作品も数多く存在するし、特に日本ではアニメや漫画にクトゥルフ神話の要素を持ち込んだものも、少なくない。もちろん、音楽においても、彼の作品からインスパイアされたものが、いくつも存在する。そして、この作品もまた、そのひとつだ。ラブクラフトの実質的デビュー作である”Dagon”(1919)をプロジェクト名に用いている、この直接的すぎるトリビュート精神。さらには各トラックのタイトルも、すべてラブクラフトの著作、そのままなのだから、もうストレート中のストレート、ど真ん中ではないか! ちなみに各トラックに対応した邦題は次のとおり―”Dagon”は”ダゴン/デイゴン”、”The Rats in the Walls”は”壁のなかの鼠”、”The Colour Out Of Space”は”異次元の色彩/宇宙からの色”、”The Whisperer In The Darkness”は”闇に囁くもの”、”The Dreams In The Witch House”は”魔女の家の夢/魔女屋敷で見た夢”。

気が付いたら、ここまでまったく音について書いてないですね。さて、”we aren’t musicians, so…enjoy the atmosphere we created, instead of our non-musical skills.”という、謙虚な言葉もありますが、そこまで非音楽的ではないです。ダークな音空間に即興演奏的グルーミィなギター、レトロなホラー映画のような尖がったシンセ、ときにノイズ、そしてときにはフルートやストリングスといったクラシカルなサウンドを持ち込んで、暗く湿った太古的なイメージを生み出している。廃墟となった神殿や、地底深くに埋もれた禁断の都市といったような、荒涼としていながらも、浪漫を秘めたフィーリングがあるのは、こちらにいくらかの予備知識があるからだろうか。サンプリングされた環境音やスピーチ/スポークン・ワードのような人声もちりばめて、リスナーのイマジネイションを掻き立てる部分もある。残念ながらラブクラフトの熱心なファンではない私は(兄は熱心なファンだが)、数えるほどしか短編を読んでいないので、直接的に作品の内容と結びつけることができない。でも逆に、今作を聴いてから、物語の方に触れてみるのもアリだと思うし、そういった誘導も、この作品が生む効果のひとつだろう。

ちなみにSons Of Dagonのプロフィールには、出身地、活動地域として”R’Lyeh”という記述がある。これはラブクラフトの作品に登場する架空の地名だ(”Cthulhu”と同じく”R’Lyeh”も、人間には発音不可能な音を便宜的に表記したものだが、日本語では”ルルイエ”、”ル・リエー”と表記されるようだ)。ルルイエは、Wikipediaに依ると、”太平洋、南緯47度9分 西経126度43分の海底に位置し、ニュージーランド・南米大陸・南極大陸の中間付近、現実には太平洋到達不能極に程近い絶海の海域である”。こういった、アーティスト、作品の裏にある細かな情報をかき集めていくと、どんどんとイメージが肥大していき、頭の中には不明瞭ながらひとつの世界が浮かび上がってくる。それを楽しむのも、また一興ではなかろうか。決して斬新ではないけれど、面白い作品だと思います。


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Attila777 : piano/strings/rhythms
E.F. : guitar/drones
Tommaso Busatto : noises/drones/flute
H.P.L. : all


(CC) by nc 2.5 bg