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タグアーカイブ: Instrumental

rainfuture, cat mint – rainfuture / cat mint split!

 rainfuture, cat mint -  rainfuture / cat mint split! Cover

 – Tracklist –
 01. rainfuture – the voyageurs
 02. cat mint – crawling
 03. rainfuture – carried away
 04. cat mint – nebrasca/abide by northwest by 26’s way
 05. rainfuture – hcaer
 06. cat mint – down



 - 02. cat mint – crawling



 - 03. rainfuture – carried away


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 Release Date : 2020.01.12
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Instrumental, Lo-Fi, Sadcore.


 Related Links :
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ロシアより、rainfutureとcat mintによるスプリット作です。サマーノスタルジアなジャケット画像が良い感じ…。

詳細は不明なのですが、rainfutureはもともとPost-Rockを経由したような、Ambient色の強いインストゥルメンタルを作成しています(でもPost-Rockというワードは積極的に使ってはいない)。でも壮大でシネマティックな空間を作るというよりは、その一歩手前で広がりを敢えてセーブすることで描かれる風景を日常に留めているような、そんなイメージ。今作ではないけれど、ギターはPost-Rock風なのにリズムがTrapを意識したようなチキチキしたものを使っているトラックもあって、その辺りから察するに一人ユニットなんでしょうかね。でも決してそれ一辺倒というわけではなく、静的なインストゥルメンタルを作風としているようで、“Each Other”ではピアノとストリングスで以て、非常にMelodicで感傷的な風景を見せてくれます。今作でもギターは使えどもAmbient/Droneな方向に寄っているトラックが多く、cat mintの輪郭のハッキリしたトラックとのコントラストが刺激となって、リスナーを飽きさせません。

そのcat mintは一言でいえばまあSadcoreというか(このワードはいまだ有効なんでしょうか。ピンとこない人もたくさんいると思います)。自身のbandcampでも作品を公開していますが、決してアッパーには弾けない、枯れたギターの響きが印象的。ギターが抒情的に流れていく中で、ボッソリとした抑うつ的なヴォーカルが隙間風のように吹いていく。端的に、暗い(悪い意味ではないんです)。たとえば私はL’ALTRAの作品を聴いたときに、歌における感情表現について、声を張り上げるだけが手段ではないんだなあと感じましたが、このcat mintの楽曲でそのときの感覚を思い出しました。ただこのcat mintはですね、ときどき声張り上げます、その辺りで一瞬抒情派エモみたいな顔をのぞかせるのが面白いですね。今作でもラストのトラック‘down’で感情的な歌唱を見せていますが、なぜか尻切れトンボ気味にブツリと切れて終わるという…そういう演出なのかしらん。人里離れた山小屋の窓際から、屋外の紅葉を眺め耽る物思い。




MAREVICK – PERSONAL PARKWAY

 MAREVICK - PERSONAL PARKWAY Cover

 – Tracklist –
 01. Spontaneous Wish
 02. Ease
 03. Borderline
 04. Painted Scene
 05. Rosario
 06. Dust In Inhibited
 07. Veins Of Light Under Downpour
 08. Accidental Effect



 - 07. Veins Of Light Under Downpour


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 Release Date : 2017.06.28 (2016.06.23)
 Label : Bestiar Netlabel

 Keywords : Acoustic, Instrumental, Jazz.


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どうやら“家畜”を意味するらしい“Bestiar”(カタルーニャ語?) Netlabelから。ロシアのミュージシャンMAREVICK の作品がリリースされています。レーベルからは2017年のリリースですが、もともとは2016年にリリースされていた作品のようです。

Internet Archiveって今どうなんですかね? 音楽を発表する場としては主流ではない? ネットレーベルが盛り上がっていた(ように感じられたころ)は、フリー音源と言えばInternet Archiveって感じ、ありませんでしたか(もちろんInternet Archiveの貯蔵は音源だけではないですが)。あとsonicsquirrelとか。Free Music Archiveとか。ついでにいえば(ってのも失礼だけど)Jamendoとか、Electrobelとかにも、頻繁にお世話になってた。その界隈の音楽は、今ではbandcampに集約されている感があって、そこにはいかがわしい雰囲気など微塵もないし―つまり開かれている―、検索も容易だし、ふと振り返ると、ああ、昔みたいな掘る楽しみってのはいつの間にかなくなったのかなあなどと、手前勝手なことを思ったりもします。でもアマチュアミュージシャンの方たちはたとえばbandcampを利用することによって、経済との結びつきを獲得できたりもすると思うので、良いことなんだと思います(日本ではまだ認知度が低い気がするけれど)。

まあそんなことを思ったのもBestiar NetlabelがリリースをInternet Archiveで行ってるからですね。ちょっとした物思い。でもMarevick自身はbandcampでリリースしてるので、一応時の流れには沿ってる。

おっと作品の話。アコースティックでリラクシンなサウンド。リバーヴとかディレイとか、多少はエフェクトがあるんだろうけれど、ギターの音のみで構成されています。私自身の問題なのかもしれないけれど、アコースティックな作品って、聴いていて途中でこう、申し訳ないんですが、飽きが来てしまうことが多いんですね。誰の何とは言いませんけれど。でもこの作品はそれがない。なんでかって考えると、1曲が短いってのがまずあると思います。あとメロディが抑制的。マイルドという言葉がよく似合う。バチーンとメロディがあるのも悪くないとは思いますが、ギター一本でアルバム全編通してやられると、さすがにしんどいかなと思いませんか。この作品では、現れそうで現れないメロディが、心地よい。変な言い方だけれど。ある意味Ambientというか。

完全に即興ではないと思いますが、即興的に感じられる部分もあって、そのテンションの流れが、タグに使われている“Jazz”の部分なのかなあと思います。メロディに捉われないというのも、Jazz的なのかもしれませんね。とてもリラクシンでカフェなんかでかかっていても違和感のない音楽だと思います。やさしい陽だまりとか、緑の植物とか、そういうイメージです。でもやっぱりどこかに感情性があるんですよ。先のJazzという部分にもつながるのかもしれませんが、ルースな部分というか、人間性。その一滴が、今作のスパイスになっているのではあるまいか。ふと玉手箱あけたら、中から懐かしい思い出の幻が出てきて、でもそこにぶらさがっている一抹の悲しさ。なぜなら、それは今はもうないものだと、頭のどこかで分かっているから。のどかでありながら、ちょっと悲しい。

空間を生かした余韻ある‘Spontaneous Wish’や、情景的な‘Veins Of Light Under Downpour‘が、よいですね。

bandcampで公開されている他作品は、ちょっとテイストが違うものもあったりるすので、興味がある方は是非―


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(CC) by – nc 3.0



Snow Fox Apprentice – The Sun & Moon

 Snow Fox Apprentice - The Sun & Moon

 – Tracklist –
 01. 「太陽」
 02. 「月」



 - 01. 「太陽」


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 Release Date : 2014.11.30
 Label : Not On Label

 Keywords : Hip-Hop, Instrumental, Jazzy, Lounge, Melodic.


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けっこう前にHi-Hi-Whoopeeさんでも触れられていた、フィリピンのコンポーザー/ビートメイカー、Snow Fox Apprentice(なぜかスルーしてた私・・・)。彼の新しい作品がbandcampで配信されています。もともとはSoundCloudで公開されていたトラックですが、好評を博したことから、今回、ふたつをコンパイルしてリリースしてくれたようです。ありがとうございます。彼自身は、フィリピンのミュージック・コレクティヴBuwanBuwan Collectiveの一員であり(かのSpazzkidも名を連ねている)、そこからいくつも作品を出してきていますが、今回そこを通してはいないようです。

ピアノを生かしたJazzyなアレンジとHip-Hop経由のビートによって描かれる流麗で軽快な景色は、確かに彼自身がフェイバリットに挙げているNujabesを想起させます。しかし私が一番にイメージしたのは違うアーティストで、これも彼のFacebookプロフィールに名が挙がっているんですが、DJ Okawariでした。ちょっとさびしげな感じなんだけど、でも美しくて、あたたくて、そして落ち着かせてくれる。とても安らげる場所がここにはあります。特にM-1は、雑踏の中の孤独のようなものが感じられて胸がしめつけられます。冬の商店街のような。凛とした空気、あたたかな陽の光、緑の葉、周りを行きかう人々は冬の装いで、街はにぎわい、それはとてもピースフルな光景なんだけど、自分の隣には誰もいない。冷たい空気の中、にぎわいを眺めている。そんな孤独。軽快さの中に滲むちょっとした寂しさが、たまりません。

上に示したフェイバリット・アーティストや、またTotorowaveTotorowave Pt​.​Ⅱといった作品で明白なように、日本の音楽(というよりもカルチャー全体)に興味・関心を持ち、実際好んでいる様子がうかがえるSnow Fox Apprenticeですが、音作りにもそれは散見されていて、トラックによってはオリエンタルな楽器、フレーズを持ち込んだりと、非常に日本人リスナーと親和性が高い作り手さんです。Monogatari EP‘Wanderlust’とかすごい好きなので、下に貼らせてください。

今回は現時点での最新作ということでこの“The Sun & Moon”を取り上げていますが、これまでの作品も負けず劣らず素敵なので、ぜひ手に入れて聴いてみてください。Melodicなピアノが主体なのでとても聴きやすいです。あとSoundCloudにある記述―“通り過がりの仮面ライダーだ。。。”は、仮面ライダーディケイドからの引用なのでしょうか、匿名性の漂わせ方としてはユニークです。



 - Wanderlust (from “Monogatari EP”



DeliVanDiko – Torus EP [MNMN193]

 DeliVanDiko - Torus EP [MNMN193]

 – Tracklist –
 01. Indeterminacy
 02. Torus
 03. Vita
 04. ObeyYrMom



  - 01. Indeterminacy


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 Release Date : 2013.01.29
 Label : MNMN Records

 Keywords : Alternative, Electronica, Glitch, Guitar, Indie, Instrumental.


 Related Links :
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ロシアン・ネットレーベル、MNMN Recordsより。ロシア出身、イギリス在住のミュージシャン、DeliVanDikoの新しい作品がフリーでリリースされています。詳しいプロフィールはありませんが、クレジットにあるMikhail Nesterovというのが、おそらく彼のリアルネームでしょう。

ロシアらしい、といってよいのかどうか、なんとも形容のむつかしいサウンドです。ギターを中心にしたInstrumentalなのは間違いないんですが、たとえばありがちなPost-Rock調のサウンド、スローでシネマティックなサウンドスケープに嵌り込んではいない。たとえば今作のM-1などは、リズム面で2step/Hip-Hopを感じさせる部分が少なからずある。ギターのフレーズにしても、どこかオリエンタルな情緒性のようなものを感じさせ、それは軽やかに弾むリズムとあいまって、淡い景色の流れを、眼前に浮かび上がらせる。このトラックを聴かせて、日本のインストバンドの曲だよって言っても、信じる人いそうなくらい。

M-2にしても、リズム面にGlitchyなものがある(あくまでGlitchyであってGlitchではない)し、ギターはさらにその存在感を増してリスナーに迫り、なかばShoegazeのような様相を見せつつも、ソロで聴かせる部分が設けられていて、そのあたりはInstrumental Rockの在り方に近いような気がする。2step meets Shoegazeという形容も浮かんだが、少し違うような気もする(余談だけど、このトラックを聴いていて思い出したのが、“Massive Attack meets My Bloody Valentine”と評されたMasske[a.k.a. Last Romantic]のサウンドだ。私の知っている中では、そこが一番近いかもしれない。彼の作品も素晴らしいんですが、とりいそぎ入手はコチラコチラから)。

M-3などはBass musicの影響を受けていると思しき、ダビーでBleepyな低音部が印象的だ。このトラックはひときわElectronicかつダークで、作中でも異色。ラストはアグレッシヴなギターサウンドに乗せて、ここにきていきなりヴォーカル(というか投げやりなシャウト)を入れてくるという手法で、Rock/Punk/Hardcoreな精神を見せつける。そこまでのサウンドではクールな佇まいの裏に封じ込められていた熱量が、ラストで一気に放出されてくる。こういった部分からも、本来的にはラップトップの人ではないんだろうなと推察。フックのあるシンセと跳ねたリズムに、エキサイティングなギターを絶妙なバランス感覚でもって加えることで、ユニークなInstrumental Rockを鳴らしている。

過去の作品もbandcamp上で実質フリーという形で公開されているんですが、聴いてみると初期の方がHip-Hopに接近している気がしますね。ギターの鳴りは控えめ。電子感のある断片的なシンセフレーズとブレイク気味の生っぽいリズムが組み合わさっている“EP”とか、メチャメチャかっこいいです(だったらそっち紹介しろよっていう野暮なツッコミは無しだぜよ)。特にその中でもやはりオリエンタル・フレーバーでインパクトを残すトラック‘Submissiveness’を以下に貼らせていただきます。すげえクールだ。こういう出会いがあるから、netlabel/netaudio探索の手は止められない。ワクワクしますね。



 - Submissiveness


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Produced by Mikhail Nesterov
Recorded by Mikhail Nesterov and Cameron Hollis at London School of Sound
Mixed and Mastered by Mikhail Nesterov
Artwork by Kornei Salamatov


(CC) by – nc – nd 3.0 deed.ru



Rooms Delayed – so I can feel through the trees [oz068]

 Rooms Delayed - so I can feel through the trees [oz068]

 – Tracklist –
 01. Some ambience (part1)
 02. Some ambience for winter (part2)
 03. Above the trees
 04. Untitled
 05. Dancing slowly
 06. I’m just thinking about melancholy



 - 01. Some ambience (part1)


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 Release Date : 2013.02.26
 Label : ozky e-sound

 Keywords : Ambient, Drone, Instrumental, Loop.


 Related Links :
  ≫ Rooms Delayed on Facebook / on SoundCloud


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イタリアのネットレーベル、ozky e-soundより。Rooms DelayedことVincenzo Nazzaroのアルバムがフリーでリリースされています。ちなみに彼にはMassimiliano Nazzaroという兄弟がいるようで、MassimilianoもまたGlobalという名義でミュージシャンとして活動しています。そしてそのGlobalとRooms Delayed、つまり兄弟で組んだユニット―Sonumも存在します。同じ方向性をもちながらも少しずつ異なったサウンドを鳴らしているので、興味のある方は、それぞれ聴き比べてみるのも、面白いかもしれません。

この作品には、エフェクトをかけたギター(あるいはE-bow)をルーピングさせることによって作られた、とても美しいAmbient/Droneサウンドが詰まっている。この手のサウンドを作る人は少なくないと思うんだけど、私がすぐに思い浮かぶのは、Lowercase Noisesだ(彼はたとえばこの手のサウンドの生成プロセスをYouTubeで披露もしている。普段音作りに関わらない私のような人には新鮮だと思うので、是非ご覧ください)。

引き伸ばされ、ゆるやかな起伏をもちながら、反復しながら、幾重にも重なっていくギターのレイヤーは、ひたすらにまどろみを誘う。そのジワリジワリとした浸食のイメージと、気持ちの高ぶりを鎮め、睡眠を呼ぶようなリラクシンな働きは、さながら太陽の光のようだ。季節はきっと春だろう。ここにある光は、夏のような強烈にギラついたヤツではない。ふと気が付いたらそこにあった温もり、とでもいうような、非常にAmbientな佇まい。その在り方は非常にやさしい。

目を閉じて、呼吸を音の起伏にあわせるように、じっくり聴いてみるといい。頭の中で、何かが音もなく解けていくような、視界がどこか脳裏に転げていくような、つまり精神が日常のあれやこれや(悩みや心配事といったネガティヴの種)から切り離されていくような、不思議な解放感を味わえることだろう。

この作品に限らず、私が好むAmbient/Droneサウンドには特徴があって、あくまでイメージの話なのだけれど、頭の中を透明な輪が通過していくような、そしてその輪に思考が引っ張られて共にどこかに消え去っていくような、そんなイメージがある。そして思考が引っ張られるときに、記憶のどこかが刺激されるのだろうか、ノスタルジックな風景が頭の中に立ち上がってくる。この作品だったらそう、幼少時代、春の日の夕暮れ、我が実家の近所にあった通称“草むら”(それはもう無くなったが)で寝転がる私と何人かの友人たち、たっぷり遊んだせいで汗をかいた私たちの頭皮を撫でていく、ゆるやかな風の気持ち良さ、みたいなやつを私は思い出すのだ。ああノスタルジア。明日への不安なんてまったくなかったあの頃。そんな、心の中のいつかのシーンに、私は帰ることができるのだ。

と、いくらか話が脱線しているので、もとに戻しましょう(ノスタルジアがすぎるぜ! でもそれもこの作品の力!)。今作、全編が同じ調子で変化に乏しいという点はあるけれど、このWarmlyなAmbient/Droneサウンドは、非常に好みですね。この手の音にしては珍しく、コンパクトにまとまっているので、もっと長尺でも良かったくらいです。次の作品も気になります。ちなみに今作、気に入った方はCD-Rでの購入も可能なので、上記リンク先を訪れてみてください。


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Video Above the trees (CC by – nc – nd 3.0



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pictures of the cover: Sarah Maria Raun
Artwork: ernesto cesario

helping on mastering: Drama Vinile


(CC) by – nc – nd 3.0



ForeverLive – Brightness of the sky

 ForeverLive - Brightness of the sky

 – Tracklist –
 01. The brightness of the sky
 02. Camp in the fog
 03. November
 04. White windows
 05. Life-giving breath
 06. Snow on the dog’s nose
 07. New life of the old tree
 08. Cold air
 09. Warm



 - 02. Camp in the fog



 - 07. New life of the old tree


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 Release Date : 2012.01.26
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Instrumental, Piano, Post-Rock.


 Related Links :
  ≫ ForeverLive on Last.fm / on bandcamp / on VK (VKontakte) / on Kroogi


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1991年生まれ、ウクライナのミュージシャン、ForeverLiveことDmitry Cholovsky。彼の現時点での最新作”Brightness of the sky”が、bandcampを通じてフリーでリリースされています。ネットレーベルでいえば、これまでにもmimonotAVENTUÉLからリリースがありましたが、”Accident”以降は販売に重きを置いている様子で、フリーでの配布というのは明確な形では行われていませんでした。それが今回、bandcamp開設と共に、フリー(”name your price”も含む)という形で4作品が公開されています。

ネット上で音楽を公開し始めた初期のころ(丁度mimonotから”Мертвые фрукты”を出したころ)は、Indieタッチのギターサウンドも鳴らしていた彼ですが、徐々にピアノを主にしたスタイルに移行。一時は完全にピアノ・インストゥルメンタルの方向にシフトチェンジしたように思えましたが、作品を重ねるにつれて、ElectronicaやPost-Rock的なサウンドメイキングが再び顔を出すようになってきました。今作の前にある”Live trees”では、冒頭から大胆にPost-Rock的な音作りを披露しているので、驚きと同時に、その一所に安住しないチャレンジ精神、意欲に感心させられたりもしました。

今作についても、ピアノ・インストゥルメンタルを柱として、そこにPost-Rock、あるいはElectronicaといった、似て非なるジャンルの音を持ち込んで、見事に装飾をほどこしている。メインにあるのはあくまでもピアノの音、メロディ、フレーズなので、Post-Classicalや、ピアノを取り入れたPost-Rockとはやはり印象が異なる。ピアノ・ミュージックの側から、ElectronicaやPost-Rockにアプローチしている、というイメージが強い。もちろんトラックごとに必要があれば、という形だと思うし、大げさにピアノ以外の要素を持ち込んでいるわけではない。だから、全編を聴けば、作品としてはピアノ・インストゥルメンタル。けれど、それだけで成り立ってはいない。その”ピアノ+α”といった聴取感を生み出す、バランス感覚が非常に特殊に思う。

フェイバリットはM-2の’Camp in the fog’。短い尺の中で、ピアノからギターへ、そしてまたピアノへと、サウンドの主軸が移行していく。鍵盤の転がりから始まり、バックでたなびくギターがスムースに空間を広げ。やがて全面でメロディを奏でだすギターが、リスナーの中で景色をドラマチックに塗り替えていく。そしてギターが途切れ、ラストでフッと浮き上がるピアノのメロディ。たまらない。タイトル通り、霧(あるいは霞)の中でのキャンプというイメージもたしかにある。自然の中で、朝、立ち込める霞(ひんやりとした冷気も共に)、それが晴れて、太陽の光が差し込む、その過程。そこにある清々しさ、美しさ。それを称え、表現したトラックというのも、まったくもってオーケーだが。私の中では、このトラックには、映画の幕切れというイメージがあるのだ。それには私がそのとき目にしていた読み物が関係しているだろう。

話が逸れてしまうが、そのとき、たまたま私が目にしていた読み物は、こんなシーンをむかえていた。旧知の友人が犯した重罪を、主人公は第三者を経由して知るのだが、そのときに彼は、こういうのだ―”あいつはいいやつだから”と。その友人のせいで失ったものは二度と(もう二度と)返ってこないのに、そんな言葉をいえる、その裏にある思いの強さ。美しさ。それが、見事にこの’Camp in the fog’とリンクして、私は落涙寸前であった。今にも。一瞬にして、このトラックは大事な存在になってしまった。

もちろん他のどのトラックも粒ぞろいで素敵です。一時期はメロディが抽象に流れていた、あるいは抑制されていた傾向があったけれど、少なくとも今作については、その傾向は弱まっているように思う。メロディは冷たくもあり、温かくもあり、抒情的だ。いつどういう形で公開が終わるか分かりませんので、少しでも気になった方は、今のうちに入手しておくことをおススメします。今作以外も。



Like a Paperplane – Light

 Like a Paperplane - Light

 – Tracklist –
 01. #8
 02. Light, now
 03. Basement
 04. Memories



 - 01. #8


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 Release Date : 2012.04.14
 Label : Not On Label

 Keywords : Alternative, Instrumental, Post-Rock.


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イタリアはフィレンチェの4人組バンド、Like a Paperplaneの作品が、bandcampを通じてリリースされています。発表当時のメンバーは、Mattia Nocentini(Drums)、Francesco Nocentini(Bass)、Samuele Arena(Guitar/Synthesizer)、Lorenzo Lotti(Guitar/Synthesizer)の4人(※現在はメンバーチェンジが行われています)。

歌はなくて、全編Instrumental。そしてメンバーの担当楽器をみるとSynthesizerが二人もいる。その辺りから、わりとElectronicに寄ったサウンドを出すんじゃないかと想像したりもしたんですが、違いました。重厚なリズムとバーストするギターが印象的な、とってもバンドなサウンドを鳴らしている。典型的なPost-Rock然とした、スローでシネマティックな部分はあまりない。抽象的で抒情性のあるサウンドスケープで魅了するというよりは、ギターによるメロディを生かしたバンドサウンドが印象的で、エッジのたった、輪郭がはっきりしたその様子には、Alternative Rockという言葉を思い出させる部分もある。M-1においては、そのギターサウンドの中にシンセの音だろうか、少しばかり異質な鳴りで挿入されるノスタルジックなフレーズがあり、ハードなサウンドの中でリフレインするこれによって生み出される独特の聴取感は面白い。変わったシンセの生かし方だ。

と同時に、Post-Rock特有といってもいいだろうか、あの高みに上り詰めていくカタルシス、これもしっかり作品の中に落とし込まれている。M-2がそれにあたる。星々の瞬きのような、あるいは舞いおりる雪のような、ミニマルな鍵盤のフレーズと、淡々と鳴らされるリズム、そしてその中で徐々に階段をのぼっていくギターフレーズはやがてバーストし、重く、広がりのある空間となってリスナーの上に降り注ぐ。その中でさらに飛翔するギターの音は一筋の光。ザ・ポストロックなサウンドがさく裂している。

作中でひときわハードでエキサイティングな’Basement’を通過した後は、ラストの’Memories’。ドラマチックに、黄昏た景色が描かれる。シンセの響きをスパイスにして幻想感を醸しながら進み、やがて浮き上がるシンセの中でギターソロをさく裂させたかと思ったら、そこからハードに展開を切り替える。プログレッシヴ。最終的にはまた元の位置に戻ってきて、しっとりと締めくくられるのだけれど、これをわずか5分強の中でやるという心意気。もっと長く引っ張ってもよいのではないかと思う。

シンセを使っていながら、Ambientな方向に傾いていかず、バンドサウンドでくっきりと輪郭を描き、ギターのメロディでトラックを牽引する。なおかつセンチな曇天的景色を見せようとしていない点が好感度大だ。アグレッシヴな攻めるスタイルを好んでいる様子が、随所で垣間見れて、その辺が頼もしい(そして気持ち良い)。”Lights”というタイトルはこの音にぴったりだ。もしこれから先、活動を続けていく中で、一皮むけるとしたら、シンセの使い方において、なんだろうと思う。先が気になるバンドだ。今作のクオリティは決して低くない。あいさつ代わりには十分だ。Paperplanes are flying to reach you!