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タグアーカイブ: Jazz

MAREVICK – PERSONAL PARKWAY

 MAREVICK - PERSONAL PARKWAY Cover

 – Tracklist –
 01. Spontaneous Wish
 02. Ease
 03. Borderline
 04. Painted Scene
 05. Rosario
 06. Dust In Inhibited
 07. Veins Of Light Under Downpour
 08. Accidental Effect



 - 07. Veins Of Light Under Downpour


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 Release Date : 2017.06.28 (2016.06.23)
 Label : Bestiar Netlabel

 Keywords : Acoustic, Instrumental, Jazz.


 Related Links :
  ≫ Marevick on bandcamp / on VK


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どうやら“家畜”を意味するらしい“Bestiar”(カタルーニャ語?) Netlabelから。ロシアのミュージシャンMAREVICK の作品がリリースされています。レーベルからは2017年のリリースですが、もともとは2016年にリリースされていた作品のようです。

Internet Archiveって今どうなんですかね? 音楽を発表する場としては主流ではない? ネットレーベルが盛り上がっていた(ように感じられたころ)は、フリー音源と言えばInternet Archiveって感じ、ありませんでしたか(もちろんInternet Archiveの貯蔵は音源だけではないですが)。あとsonicsquirrelとか。Free Music Archiveとか。ついでにいえば(ってのも失礼だけど)Jamendoとか、Electrobelとかにも、頻繁にお世話になってた。その界隈の音楽は、今ではbandcampに集約されている感があって、そこにはいかがわしい雰囲気など微塵もないし―つまり開かれている―、検索も容易だし、ふと振り返ると、ああ、昔みたいな掘る楽しみってのはいつの間にかなくなったのかなあなどと、手前勝手なことを思ったりもします。でもアマチュアミュージシャンの方たちはたとえばbandcampを利用することによって、経済との結びつきを獲得できたりもすると思うので、良いことなんだと思います(日本ではまだ認知度が低い気がするけれど)。

まあそんなことを思ったのもBestiar NetlabelがリリースをInternet Archiveで行ってるからですね。ちょっとした物思い。でもMarevick自身はbandcampでリリースしてるので、一応時の流れには沿ってる。

おっと作品の話。アコースティックでリラクシンなサウンド。リバーヴとかディレイとか、多少はエフェクトがあるんだろうけれど、ギターの音のみで構成されています。私自身の問題なのかもしれないけれど、アコースティックな作品って、聴いていて途中でこう、申し訳ないんですが、飽きが来てしまうことが多いんですね。誰の何とは言いませんけれど。でもこの作品はそれがない。なんでかって考えると、1曲が短いってのがまずあると思います。あとメロディが抑制的。マイルドという言葉がよく似合う。バチーンとメロディがあるのも悪くないとは思いますが、ギター一本でアルバム全編通してやられると、さすがにしんどいかなと思いませんか。この作品では、現れそうで現れないメロディが、心地よい。変な言い方だけれど。ある意味Ambientというか。

完全に即興ではないと思いますが、即興的に感じられる部分もあって、そのテンションの流れが、タグに使われている“Jazz”の部分なのかなあと思います。メロディに捉われないというのも、Jazz的なのかもしれませんね。とてもリラクシンでカフェなんかでかかっていても違和感のない音楽だと思います。やさしい陽だまりとか、緑の植物とか、そういうイメージです。でもやっぱりどこかに感情性があるんですよ。先のJazzという部分にもつながるのかもしれませんが、ルースな部分というか、人間性。その一滴が、今作のスパイスになっているのではあるまいか。ふと玉手箱あけたら、中から懐かしい思い出の幻が出てきて、でもそこにぶらさがっている一抹の悲しさ。なぜなら、それは今はもうないものだと、頭のどこかで分かっているから。のどかでありながら、ちょっと悲しい。

空間を生かした余韻ある‘Spontaneous Wish’や、情景的な‘Veins Of Light Under Downpour‘が、よいですね。

bandcampで公開されている他作品は、ちょっとテイストが違うものもあったりるすので、興味がある方は是非―


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(CC) by – nc 3.0



MIXTAPE : AT THE BOTTOM OF NIGHT




– Tracklist –

 [00:00] 01. Elijah_Skateboard – athos
 from “everything else” (2016)

 [02:05] 02. Lost Integrity – Lulluby No. 4
 from “Interchange EP” [BPR005] (2011) / [ mirror
 :: (CC) by – nc – sa 3.0 ::

 [05:27] 03. 蜃気楼MIRAGE – 蝋燭
 from “fiction

 [06:41] 04. Yokai – kiosk
 from “Lost Waters” (2014)

 [11:02] 05. Pehoz. – Gasm [ S/O to Kaytranada ]
 from “ORA [EP]” (2015)

 [15:07] 06. Computer Gandalf – clark/wilson 1
 from “Synthetic Lapses” (2016)

 [19:02] 07. SPACE MAGIC スペース マジック – TECHNOLOGICAL SINGULARITY
 from “Cyberculture Logistics” (2015)

 [21:42] 08. eeL – ダーク pt.2
 from “bored” (2016)

 [22:38] 09. ネオンchestnut” – (not)coldspace
 from ““​(​2016​)​”” (2016)

 [25:52] 10. Mokhov – Purity
 from “Purity EP” [CAT-008] (2011)
 :: (CC) by – nc – sa 3.0 ::

 inspired : https://goo.gl/7jDK0c



Yuheht – Seasons

 Yuheht - Seasons

 – Tracklist –
 01. First Kiss
 02. Jammin’
 03. Garden
 04. Teardrop
 05. Winter Sonata



 - 04. Teardrop


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 Release Date : 2016.01.17
 Label : Not On Label

 Keywords : Chill, Hip-Hop, Jazz, Melodic.


 Related Links :
  ≫ Yuheht on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on Twitter


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フランス出身のプロデューサ、Yuhehtの作品です。今作は2枚目のリリースで、初作品はOrikami Records(パリ基盤らしいけれど日本語の文章も散見されます)からリリースされている“Modal View”。

特定のシーンに身を置くというか、すっぽりハマっていた経験というのが私にはなくて、だからいわゆるHip-Hopのシーンなんていうものにも当然疎かったりするんだけど、nujabesの影響力の大きさってのは、なんとなくですが感じておるわけで、ここで言われているnujabes beat sceneというか、影響を受けた人たちが多くいるってことは、netlabel/netaudioの界隈をさまよっていても、感じることであります(ここで取り上げた中だとSnow Fox Apprenticeなども該当しますよね)。

ジャジーでメロウなピアノフレーズ、小気味よいリズム、そこで描かれるのは、爽やかで、けれどもどこか抒情性を感じさせる、切ないシーン。1stの頃は特に、そういったピアノフレーズを多用したトラックが多かったように思うんですが、徐々にそこからは脱してきているような、そんな印象を今作、2ndを聴いていて感じました。代わりにM-1やM-3などでは、アコースティックなギターの音色が用いられいて、軽快な歩調、太陽の光、花の咲く風景といったような、どこか春めいた印象を受けます(ところでM-3のギターフレーズってどこかで聞いた記憶があるのだが、どこだったか)。

とかいっておいて、やはりピアノの響きというのは、特別な心の動きをもたらすもので、私が今作でいっとう好きなのはM-4“Teardrop”。ミニマルなピアノフレーズと、ささやかなエレクトロニクス、風景を穏やかに前進させるリズム。とってもチルでリラクシンなのだけれど、やっぱりちょっと切なかったりして、都会の街並みと去りゆく背中、言葉はないけれど、そこにある感情は推して知るべし、そんな光景。そしてこの“Teardrop”にはクリップが作られているのですが、BandaiChannel(バンダイチャンネル)の映像が含まれているとかで、著作権上の問題を理由に日本では再生できないのが非常に残念!

スタイルは確かにHip-Hopかもしれないけど、非常にカジュアルというか、聴きやすい作品ですので、耳さびしいときに、ぜひ聴いてみてはどうでしょうか。これからさらに深みを増したサウンドを聴かせてくれるのではないかと、期待しております、Yuheht。日本のアニメのシーンにもアンテナを張っているようなので、それが今後どういった形で表れてくるかも、見どころ、聴きどころです。



 - Astral Ocean (from “Modal View”)


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Produced : Yuheht
Featuring bassist: Mathieu Tarier (First Kiss, Jammin’ )
Cover : Marth Chrom & Yuheht
Mastering: Cookie Monster Galaxy (Orikami)



ReelLife Music & Communications – 原子カフナCAFE

 ReelLife Music & Communications - 原子カフナCAFE

 – Tracklist –
 01. Ⓧⓔⓝⓞⓝ ①③⑤3D Interactive Tour
 02. /unspace virtual _MENU\\\
 03. Pizza Panic Thursday
 04. service with a smile
 05. Operation RSVP
 06. Enjoy your favorite flavor of Milk Shake in our Sci-Fi Dine-In Souvenir Glass
 07. 原子カフナCAFESignature Cobb Salad
 08. Build-Your-Own Angus Chuck Burger with Additional Toppings
 09. /plutopia\ ☢nuke-cola☢
 10. ZeroGravity Lounge
 11. Out-of-This-World Turtle Cheesecake
 12. or your money back



 - 01. Ⓧⓔⓝⓞⓝ ①③⑤3D Interactive Tour



 - 04. service with a smile


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 Release Date : 2015.10.01
 Label : (avaloneanaeon) ≫ PHAṅTom ᴀᴄᴄᴇSS haze

 Keywords : Electronic, Jazz, Lounge, Melodic, Midi, VaporWave, Virtual.


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鬱蒼と茂った森の中を歩いていくと、ふいに開けた場所へ出た。足元には赤や黄色の花が群生している。視線を先へ伸ばすと、建物が見え、その壁面には日本列島が描かれているように見える。その手前には十字架を模したような、十字に組まれた棒状のオブジェ。頭上を見ると、放射能を示すハザードシンボル(のようなもの)が、浮かんでいる。もしくは投影されているように見える! 

日本列島と放射能という組み合わせは否が応にも特定の事故を思い出させますし、タイトルも分解してみると、“原子”、“カフナ”=“ハワイ語で波の神”、“CAFE”=“カフェ”と意味を読み取ることができます。そうすると、ここにある建物はもしやカフェ・・・? どんなカフェなのかとさらに穿ってみることはしたくないのでしませんが、しかし入り口付近に見える光の玉たちは、いったい―

VaporWaveや、その流れを汲んでいると思われるMidi(あるいはMidiCore)作品において、なぜそういった特定の事件・事故をたとえイメージだけだとしても利用する事例があるのか、私にはよく分かりません(たとえば放射性Hi5とかは直球なところですし、島田市 Japan 1995の作品の一部にも当てはまるかと)。どこで結びついたのでしょうか。その結びつきを分析することをしたいわけではないので、当然ここではそういった話はしませんが、私がまず惹かれるのは、この視覚的イメージなんですよね(災害や事故を暗にモチーフのひとつにしていることは抜きにして)。薄暗い森と、その地面で相反するように咲き誇る花々(なんだったら毒々しさもある)、建物に向かい合っている人影は、生身の人間なのか(それにしては血色悪い。悪いというレベルではないが)、それともオブジェなのか、それともかつては人間だったものなのか、血肉や動きを感じさせないその様子は、不気味ですらある。足元に咲く原色系の花々と相対する、その血の通わない不気味さ。という構図が非常に私のツボに入ったのです。

音楽的にもさぞかし・・・と思うじゃないですか。思いますよね。でもこれがVaporWaveやMidi(あるいはMidiCore)のスタイルを利用した、JazzやLounge musicといってもよいであろう、実に軽やかで、Melodicなサウンド! いったいどうなってるんだ・・・。ジャケットイメージのせいで非常にひねくれた印象の作品になっています(それも狙いなのかもしれませんが)。こんなに不気味というかある種の恐怖さえ感じさせるイメージを使っておきながら、なんでこんなにイージーでさわやかな音を鳴らしているんだっていう。それも今作のひとつの特徴です。笑顔でナイフ持ってるみたいな、ちょっとした狂気すら感じるではありませんか。

そういった謎のMidi的サウンドによって展開されるVaporWaveな佇まいは、セカンドライフ的バーチャル感にキッチュな感覚をプラスしてプラスチックコーティングしたみたいな、感情性は現実世界に置いてきましたといわんばかりの、ある意味、異国風(エキゾチック)Lounge music。このまったく感情の読めない、たとえばホラー映画でいったらレザーフェイスとかブギーマンみたいな、表情のなさ、がたまらなくゾクゾクするのです。音楽的にはまったく怖くないですよ。むしろ明るいし、楽しい雰囲気があるんですが・・・。

作った方がぜんぜん意図してなかったら申し訳ないんですが、ここには私の思う“恐怖”のひとつの形がありますね。だから惹かれるんだと思います。

あと“☩”って、勝手にレーベル/コレクティヴ扱いしてますが、実際成り立ちがよく分かってません私。読み方はavaloneanaeonで良いと思うんですが・・・。他にも作品リリースされてますんで、気になる方は訪れて、そして掘ってみてくださいませ。

※現在はどうやらPHAṅTom ᴀᴄᴄᴇSS hazeというレーベル名になっているようで、それに伴いbandcampもアカウント変更しています。またリマスター版“原子カフナCAFE (a moderately enhanced audiophonic experience)”のリリースに合わせて、アーティスト名もThe Learning Company ®と変更されています。



マーブルHi-Fi – Beachside EP

 マーブルHi-Fi - Beachside EP

 – Tracklist –
 01. Beach View
 02. ペプシ 1988
 03. 海の♪調和
 04. Palm Tree Sunset



 - 01. Beach View


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 Release Date : 2015.10.07
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Beach, Jazz, NewAge, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ マーブルHi-Fi on SoundCloud / on bandcamp / on Twitter

  ≫ Project F15 on bandcamp / on Twitter


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何とも不思議なサウンドです。マーブルHi-Fiというのは、どうやらProject F15の別名義であるようですが、そのマーブルHi-Fiのファーストリリースがこちらの“Beachside EP”。

どの辺がVaporWaveなんだろうという疑問が聴いているとフツフツと湧き上がってくるわけですが、これはおそらくいくつかのトラックで冒頭に設けられているラジオ然としたざらついたサウンドの挿入を指しているのでしょう。リリースページにあるように―

The year is 1988. You are driving down a coastal freeway in your convertible, sipping on some Pepsi, watching people play on the beach, and relax on the sand.

―というのが今作に対するイメージなら、そのような構成もなるほどと納得できます。コンバーチブルでフリーウェイを下りながら、ビーチを眺め、カーステレオからは雑音交じりのコマーシャルが流れてくる、そんな爽やかな一コマが目に浮かぶじゃあありませんか。でもそのイントロに続いてやってくる展開があまりの脱力・脱臼ぶりで、よい意味でズッコケました。

私はJazzの何たるかを分かっていないので、偉そうなこと言えませんが、おそらくはJazz経由のベース、ギター、ドラム、それにキーボードでしょうか、鍵盤と思しき電子的な響きあるいはシンセのレイヤーという、なんでこのイントロからこの展開なんだろうという、VaporWaveにインスパイアされた作品でもあんまり聴いたことない作りなのです! しかしJazz的なテンション、グルーヴというやつはここにはなくて、非常にダルな空間が形成されているのです。M-2なんてベースの音しかしないスカスカな時間とかあるし、このままスローに突っ走るのかと思ったらさすがにそれは回避されますが、でも少なくともM-2はVaporWaveではありません。テンションをなくしたJazzにNewAge様のシンセを薄く被せてきたような、やっぱりヘンテコな様子。

M-4が一番まともに音楽してるような気がするんですが、あえて不協を生み出すような、不安定なシンセの被せ方するもんだから、やっぱりどこか違和感があるというか、サイケデリックともいえるし、ドリーミィともいえる、不思議な時間が流れます。明らかに現実が離れていきます。なんかジャケットイメージとかトラックタイトルとか、この佇まいだったらVHS感とか80sなバイブとかバリバリに使ってきそうなのに、そういう方向からじゃなくて、ダルなJazz、そしてちょっぴりNewAgeという、まさかの手段が新鮮です。

いったいどんな出自というか経歴なんだろうかと思ったりするわけですが、Project F15のセルフタイトル作を聴いてみると、どこかBasic Channelなどを感じさせるような、ミニマルテクノ・デトロイトテクノとでもいうか、シンプルで反復的な音作りにVaporWaveやTrapのエッセンスを持ち込んだようなサウンドを鳴らしていて、この音数を削ぎ落としながら空間を作り上げるようなスタイルは“Beachside EP”にも共通していて、なるほどこれが彼/彼女のスタイルなのだなと認識しました。ただProject F15には緊張感があるような気がしますが、マーブルHi-Fiには隙があるように感じられるのが、大きな違いでしょうか。

過剰なディレイやエコーイックな空間とは無縁な、しかし確かにVaporWaveの影響を受けているであろう、なかなかユニークな作品かと思います。


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Note :

The year is 1988. You are driving down a coastal freeway in your convertible, sipping on some Pepsi, watching people play on the beach, and relax on the sand.

“Radio Special! New Hi-Fi music to make you wanna dance!”

The EP starts playing as you drive down the freeway…



Iwant – false sense of familiarity

 Iwant - false sense of familiarity

 – Tracklist –
 01. SECT02
 02. The Code
 03. A run through the forest
 04. Mountainpunk (is not dead)
 05. 80mph
 06. GLADIO作戦


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 Release Page Deleted! ≫ 一部はSoundCloudから入手可能です。

 Release Date : 2013.04.22
 Label : Not On Label [on bandcamp

 Keywords : Breakbeat, Electronic, Industrial, J-Pop, Jazz, Sample-Based, Trance.


 Related Links :
  ≫ Iwant on SoundCloud / on bandcamp

  ≫ ArtCore Kirbies


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ベルギーのトラックメイカー、Iwant。彼の作品“false sense of familiarity”が面白かったので、こうして何やら書き記しています。近作は2013年6月の“sudden paradigm shift”ですが、そちらはアブストラクト、ダークな方向に寄っていて、今作と比べるとPopなテイストが薄れています(パルス・サウンドを感じさせる冒頭の‘the taste of glass’や、Sample-House/Nu-Discoなラストのトラック‘The New Japanese Disco?!’は面白いです)。

作風としては、サンプルをベースにしたマッドでクラッシュなものが主になっています。時流でいえばアニメやビデオゲームからの引用も含めた、VaporWaveのようなWavyなサウンドが期待されますが、彼の場合はその定型を意図的かどうか、見事に破っているところが面白く感じます。今作の1曲目からしてスコア/サウンドトラック風の、ゴシックテイストなストリングスの遊泳から始まっている。やがてElectronicなBreakbeatが入り始め、奇妙なコーラスも重なり、まるで古びた洋館の中を彷徨っているような、Psychedelicな空気が充満します。

Drum’n’Bassも彼の得意とするスタイルかと思いますが、M-2ではRapを織り交ぜた、やはりシアトリカルなスピード感あるトラックを披露。M-1とは趣が異なっていて、この時点ですでに彼の作風が固定的でないことがうかがえます。続くM-3は、アブストラクトなビートにJazz的なブラスを絡め、なおかつIndustrial/Noiseなレイヤーをバックに垂れ流し、クレイジーなテンションをさく裂させています(Industrial/Jazzという部分ではFoetusことJ. G. Thirlwellを思い出したりもしました)。

上に示したArtCore Kirbiesでは、彼はビデオゲームについてのレビューを投稿しているようですが、その辺りとも無関係ではないでしょう、J-Popやアニメへの愛情もうかがわせるのが、次の‘Mountainpunk (is not dead)’。Techno的なフラットなリズムに突如乗っかってくるのが、アニメ“ハイジ”の主題歌‘おしえて’のイントロにながれるヨーデル! かと思ったら、終盤では“ルージュの伝言”をいきなりサンプリング! 圧倒的にご陽気でPopなテンションで駆け抜けます。そして次の‘80mph’が、アコギをフィーチャーした、落ち着いたDrum’n’Bass/Liquid Funkな出だしになっていて、狙っているとしか思えないオトしっぷり。

ラストはシリアスなショートトラックで締めくくられますが、全編に満ちる、このクラッシュなバイブ、テンションはなかなか魅力的です。ひとつ前の作品“intriguing attempts at communication”では、アニメネタを使ったBreakcore/Lolicoreを披露していて、やはりアニメへの愛情・関心をうかがわせますし、2012年作“unusual circadian rhythms”の中では、Hi-Posiのトラックをエディットすることで、ネオアコ/Shibuya-Keiへの関心もうかがわせるなど、音楽的守備範囲の広さが垣間見れます。繰り返しになりますが、その守備範囲の中からピックアップしたマテリアルをぶっ込んで仕上がってくるトラックたちが、(netlabel/netaudio界隈における)同時代性を微妙に回避しているような気がして、すごくクールに感じてしまうのです。面白い!

そんなIwantはSoundCloudでもフリーで音源を公開しているのです。日の目を見ていなさそうなトラックたちを以下にピックアップさせていただきますので、是非ぜひ、ご聴取くださいませ―



 - The Future of Miniskirts : “Persona 4”からED曲‘Never More’をサンプリング。



 - ABOLISH THE AGE OF CONSENT!! : Perfume!


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(CC) by – nc – sa 3.0



aivi & surasshu – The Black Box [UBI060]

 aivi & surasshu - The Black Box[UBI060]

 – Tracklist –
 01. Nucleus
 02. Shapeshifter
 03. Lonely Rolling Star (Missing You)
 04. Diamond Dove
 05. Here’s How!
 06. Mika
 07. 38
 08. Distance (Bicycle Trip)
 09. Pocket Universe
 10. Exosphere
 11. Mabe Village (Bonus Track)



 - 04. Diamond Dove



 - 09. Pocket Universe


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 Release Date : 2013.03.08
 Label : Ubiktune

 Keywords : Chiptune, Comic, Electronic, Jazz, Piano, Pop, VGM.


 Related Links :
  ≫ aivi & surasshu

  ≫ Aivi Tran
  ≫ Aivi Tran on SoundCloud / on YouTube / on Twitter

  ≫ Surasshu Sound
  ≫ Surasshu on SoundCloud / on Tumblr / on Twitter


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ロシアン・チップチューン・ネットレーベル、Ubiktuneより。アメリカ在住のピアニスト/コンポーザー、Aivi Tranと、スウェーデンのチップチューン・アーティスト、surasshuことSteven Velmaのコラボレーション作品が、フリーでリリースされています。二人はサンフランシスコのホテルのバーで出会ったとかいう、ロマンチックな話がホームページには書かれていたりしますが、それだけではこの共作に至るまいて。二人に共通するのは、どちらもクラシックなビデオゲームのファンであり、またゲームやアニメに関連した音作りをこれまでに行ってきているという点。そういったカルチャーへの志向の部分で相通じるものがあったからこそ、今回のこの幸せなコンビネーションが実現したのでしょう。

Ubiktuneというレーベルは、確かにChiptuneを扱ってはいれど、リリースされている作品はストレートなものではなく、どちからというと変化球的、ひねりを効かせたものが多いというイメージがある。そういった目でみるとこの作品は、表面的にはストレートだ。全編でChiptuneとピアノが、がっぷり四つに組みあっている。なにせピアニストとChiptuneの作り手が組んでいるのだ、それぞれの力が否応なしに発揮されている。こんな作風は、ありそうでなかったものかもしれないし、こんな作品を待っていたというリスナーも多くいるだろう。もともと、ピアノとChiptuneの相性というのは、悪くない。surasshuの生み出す電子感ある背景に、Aiviの奏でる躍動感のある、軽快なメロディが、実に見事に溶け込んでいる。ところどころでジャジーなフィーリングも感じられて、それはグルーヴというようなものではないのだけれど、心地よいノリを生み出すと同時に、お洒落フレイバーも漂わせている。

ビデオゲームのファンは気付く人が多いとも思うんだけど、そしてクレジットにも書かれているんだけど、今作の中で、M-3, 8, 10はカバー曲になっている。矢野義人による‘Lonely Rolling Star’は“塊魂”より、大山曜を核としたユニットAcoustic Asturiasによる‘Distance’は2004年作の“Bird Eyes View”から、ラストの“メーベの村”は戸高一生、濱野美奈子、石川こずえによる曲で、“ゼルダの伝説 夢を見る島”より、それぞれチョイスされている。これはトリビュート精神を表していると思うし、こういったチョイス―特に大山曜~Acoustic Asturiasに至る流れは、彼らのアンテナの張り具合が、おざなりなものではないことを、示している。

そして今作の最大の特徴は、そのサウンドの裏にある世界が持っている浪漫だろう。ジャケット画像を見て分かるように、今作にはコミック調のイラストが用いられている(Diana Jakobssonの手によるもの)。これはそのままこの作品の世界観になっていて、なんと音源をダウンロードすると、同じくDiana Jakobssonによる、14頁分のコミックに相当する、フルカラーの画像が同梱されている! なんて素敵! 少女が砂漠で黒い箱(Black Box)を拾うところから、その箱から現れた不思議な生命体との出会いまでが描かれていて、あたかも先に続くかのような、憎らしい演出がされている。そう、その先に用意されているまだ見ぬストーリー、胸躍る冒険をイメージさせるトラックが、ここに詰まっている。だから今作は一言でいうと、“ワクワク”(だって下のトレイラー観ただけでワクワクしません?)、そして“Pop”。少女と不思議な生命体が異国の地で繰り広げる、冒険譚―。いいですねえ。誰か続きの漫画、描いてくれないかな…。

なにはともあれ良作。私がいつも好むような感傷的なフィーリングはここにはないんだけど、このフィクショナブルなPop感とでもいうか、やはりアニメや漫画、ビデオゲームの世界に類似する、イマジネイティヴな世界は、魅力的。どこかルパン三世チックでもある。

aivi、surasshuともに、まとまったリリースはこれまでにほとんど行っていないようですが、いろいろと細かい活動を行っていますので、興味が沸いた方は上記リンク先を訪れるなどして、チェックしてみてください。ちなみに“surasshu”は“スラッシュ”と読んでいいみたいです。


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aivi & surasshu – THE BLACK BOX (Album Trailer)



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All songs composed by Aivi Tran & Steven “surasshu” Velema,
except for tracks 3, 8, and 11
“Lonely Rolling Star” composed by Yoshihito Yano
“Distance” composed by Yoh Ohyama
“Mabe Village” composed by Kazumi Totaka, Minako Hamano, and Kozue Ishikawa

Artwork by Diana Jakobsson
studiostrawberri.com

aivi & surasshu
aivisura.com

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