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タグアーカイブ: Juke

DOKO – Your Best Nightmare [FLA/R004]

 DOKO - Your Best Nightmare [FLA/R004]

 – Tracklist –
 01. ARIANA GRANDE
 02. U CAN’T SEE
 03. BIRTHDAY PARTY
 04. WOW
 05. BODY DROP
 06. DIAL UP PRINCESS



 - 03. BIRTHDAY PARTY


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 Release Date : 2015.01.02
 Label : Flamebait

 Keywords : Bubblegum, Distroid, Electronic, Gender-Performance, Hip-Hop, Juke, Kawaii, SynthWave.


 Related Links :
  ≫ DOKO on SoundCloud / on Twitter


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UKから現れたトラックメイカーDOKOの作品です。自身もFright Houseというレーベルのオーナーであり、現時点での最新作はそちらからの“SO FETCH”。ですが、聴いていると私の耳には今作の方が面白かったので、こちらについて何やら書き記している次第です(ちなみに今作のM-5, 6は“SO FETCH”に再収録されてます)。

何とも不思議で面白い音楽です。根底にあるのはHip-Hopかと思うのですが、変調されたピッチの高いラップやWavyにうねるシンセサウンドなどは、(kawaiiを飲み込みつつの)PC music以降の流れを感じますし、編集によるエレクトロニックな内臓感覚や金属的な質感は、Arcaが起爆剤となったディストロイド・サウンド(実は親しんでいないのであまり使いたくないワード)を想起させる。ということで、平易に表現すると、kawaii meets distroidというイメージなんですね、私の中では。って、もはや、ぜんぜん可愛くないイメージですね、そうですね。

リリースページには今作が何を表しているかの記述があって―

Cheap imitations of Grime and Juke sub-bass, Eurodance synth blasts and bubbles, J-pop gloss and cute vocal behavior (Materialising into rhythmic high-pitched snippets, raps and squeaks to exemplify forced gender-performance) revel in post-ironic representation of consumerism, typical teen girl attentions and nostalgic attractions to fabricated pop.

―とあるのですが、ここでいう“gender-performance”って何でしょうね。聴きなれない言葉です。調べてみると、アメリカの哲学者Judith P. Butler(ジュディス・バトラー)の著作“Gender Trouble: Feminism and the Subversion of Identity”の中で、その言葉が使われている、ないしはそれについての考えが述べられているようですが、それを読まずしてここでその思想に触れるのは危険なのでやめておきます。また、そもそも今作で使われている“gender-performance”が何を指しているかも、定かではありませんし(ifを積み重ねた的外れで長大な文章も、それはそれで面白いかもしれませんが)。ただ突き詰めていけば、やはりironicを表しているのかなあ、という気はします。

重く尖ったビートとヘンテコなエフェクト、どことなくレイヴなシンセサウンド、甲高いRapと拮抗する、Chopped & Screwedなグロテスクヴォイス。まさにブラックジョーク。“Your Best Nightmare”って上手いタイトル付けるなあって思いました。ポップ・ミュージックっていえるほどスマートではありませんが、でもどのトラックにもフックがあって、それはメロディというよりも編集の手腕なのかもしれませんが、悪夢なんだけど色だけはやたらと綺麗、みたいな抜群のバランス感覚は見事です。新感覚でした。

“SO FETCH”もぜんぜん悪くないんですが、ちょっとFuture Bass/Bubblegumなイメージが強いんです(あくまでイメージ。聴いているとやっぱり異形さが際立ってくる)。でもそこからの‘LINDSAY LOHAN’は好きですし、SoundCloudで公開されている‘DIAMONDS’とかも、短いんですが、インパクトデカいです。虚飾を音像化したような、煌びやかで賑やかなくせに気持ち悪いという、ある種のグロさ・違和感がなぜかクセになる、不思議なサウンドです。個人的に注目。



– LINDSAY LOHAN



 - DIAMONDS


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Credit :

FLA/R004
Produced: DOKO
Engineered: DOKO / Assault Suits
Sleeve: Googleage



lexis✩shii – it’s only goodbye​~​no, longer [PA​~​01]

lexis✩shii -  it's only goodbye​~​no, longer [PA​~​01]

– Tracklist –
01. it’s only goodbye
02. no, longer


– 01. it’s only goodbye

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Release Date : 2014.09.03
Label : PURE AESTHETE

Keywords : Electronic, Footwork, Juke, Pop, SynthWave, Vocaloid.

Related Links :
≫ lexis✩shii on SoundCloud / on Tumblr / on Twitter

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2014年8月始動の新興レーベル、PURE AESTHETEより。lexis✩shiiの両A面シングル(古臭い言い方をしてしまった! ダブルシングルだ)が実質フリーでリリースされています。現時点ではbandcamp上で今作しかリリースがないように見えますが、SoundCloudではシングルが複数リリースされていますので、気になる方は各種SNSでレーベルの動きをフォローしておきましょう。

海外のネットレーベル/ミュージック・コレクティヴに目を向けた場合、J-Pop経由のElectronic musicにフォーカスを当てているものって、どこでしょう。すぐに思いつくのって、まあZOOM LENS(すでに大御所の風格!)、Magic Yume Records、あとは先日のMECHA YURI・・・、サウンドの幅を絞れば、もっとあるのかな、まあでもそれ以外のレーベルに比べれば数は少ないのかなあと思います(作り手さん自体は相当数いると思いますが)。そのレーベルたちに、このPURE AESTHETEも仲間入りすることは間違いないでしょう(いやむしろ、して欲しい、という願望を込めて)。

私は根っこの部分ではPopなものが好きで、だからアニメは熱心に見ないくせにアニメネタのサウンドにときたま反応するわけですが、それはそこにあるPopなフィーリングが琴線を刺激するからなのですね。小難しいこと考えさせずに、人をハッピーにできる力ってホントすごいと思うわけですよ(もちろん作る側は小難しいこと考えてるだろうけれど)。そういう幸せな力がこの作品にも流れていると思っていて、今のところ同レーベルからのリリースの中ではだんとつでPopなんじゃないですかね。

M-1‘it’s only goodbye’、メロディ自体はスムースな流れで非常にPop(歌唱はボーカロイド担当)なんだけど、バックが個人的には面白くて、手数の多いJuke/Footworkを経由したようなリズムに、SynthWaveのようなきらびやかなシンセが幾重にも重ねられていて、さらにそこに日本のアニメのセリフ(よく聞き取れない)が乱れ飛び、ラストは同フレーズのひたすら反復でドリーミィな陶酔感を与えてくれるという、一筋縄ではない作り。歌の部分がオリジナルなのかどうかがよく分からないんですが(歌詞は英語だ)、オリジナルだと仮定すると、この歌とメロディにこのバックをつけてくるってのは、かなりのハイセンスぶり。どんな頭してんだろうか。

M-2‘no, longer’、きらびやかにして雄々しいシンセを活かして、ダイナミックな幕開け。そこからいきなりSpoken Wordのような流れにもっていき、違和感なく歌に繋げつつ(この軽やかさ!)、知らぬ間にリズムが走り始めるという、緩急織り交ぜた目まぐるしい曲展開に、さらにさまざまな音色が鳴らされていく様子はとても賑やかで、遊園地のよう。しかし最終的には分厚いシンセがノイジーに空間を埋めていくという、その様は、まさにElectro Shoegaze! なんだこのトラックは! 好きすぎる! Popの裏に見え隠れする破壊への憧憬はPunkを感じさせるし、そこんとこも好みだ。今までどこに潜んでたのか分かりませんが、このlexis✩shii、まさに新星と呼ぶにふさわしい、突然にして衝撃の登場っぷり。

この勢いでアルバム作ってくれないですかねえ、そしたら傑作間違いなしですよ。すげえ期待しちゃう。レーベル自体も要注目。

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Artwork by 聖君
http://www.pixiv.net/member.php?id=5632759

Tmmrw – Space EP

 Diver Audio - Tmmrw - Space EP - cover

 – Tracklist –
 01. Clear
 02. Space
 03. Hope
 04. Vertical Complex


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 Release Page (※現在ページは削除されています※)

 Release Date : 2013.03.27
 Label : Diver Audio

 Keywords : Ambient, Electronic, Footwork, Juke.


 Related Links (all links are dead.) :
  ≫ Tmmrw on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp


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おそらくはアメリカのミュージシャン、Tmmrwによってひっそりと運営されるネットレーベル、Diver Audioより。自身の作品、“Space EP”がフリーでリリースされています。以前にEndless Plains Recordsからの“Vision EP”を紹介したこともありますが、あちらがAmbient作品だったのに対して、こちらはやや趣が異なっています。

少し前から、クラブミュージックに敏感な方々の間でJuke/Footworkという言葉が頻繁に使われ始めました。私自身はクラブミュージックには関心が薄いので、さほど気にせずにいたのですが、どうやらJuke/Footworkの勢いはクラブミュージック内にとどまらず、リスニング志向の音楽にもその手を伸ばし始めているようです。

Juke/Footworkが何なのかという話ですが、厳密にはこの二つは傾向の違いによって分けられるようですが、大枠では同じものと捉えて構わないと思います。シカゴから生まれたダンスミュージック、ないしはそのダンスミュージックにあわせて踊られるダンスそのものを指して、Footwork(Juke)と呼んでいるようです。まず高速のブレイクビーツというのがJuke/Footworkの大きな音楽的特徴。そして、あわせて踊られるダンスがどんなものかといえば、Footworkという言葉にまさに表されているのですが、足技を中心にしたハイスピードなもの。実際どんな様子かは、YouTubeなどで今は簡単に見られますが、こちらの動画が分かりやすいかもしれません。ある程度聴いたり見たりしてみると分かりますが、高速のブレイクビーツということで思い出されるであろう、Jungle/Drum’n’Bassとは、また異なっている。高速という部分では共通するけれど、Juke/Footworkの方が規則性が感じられず、より複雑なイメージがある。

ということでそのJuke/Footworkに刺激を受けたDJの方々が、日々切磋琢磨を続け、そのシーンを活性化させてきたわけですが、元来が高速で踊るための音楽ということで、やはり聴かせるための音楽ではなかったわけです。しかしながら、刺激を受けたトラックメイカーすべてが、本来の方向性でJuke/Footworkの地平を開拓していくかといえば、答えはノーなわけで。今や(むしろこれからかもしれませんが)Juke/Footworkは、他ジャンルとのクロスオーバー化が進んでいる(たとえばDubstepがそうであったように)。

そういった中で今回Tmmrwがドロップしたこの作品は、Ambient Jukeと呼ぶべきサウンドになっている(おそらくAmbient Jukeという呼称はすで存在している)。リズム面が強調されがちなJuke/Footworkだけれど、この作品ではどちらかといえばシンセの方が表に出ている。もちろんリズム面の在り方もJuke/Footworkのそれなんだけれど、それすらも飲み込んでいるAmbientな包容力が、今作の大きな特徴だ。リズムの鳴りにもDubstepのようなこもった感覚があって、それはディレイやリバーヴを効かせたシンセとあいまって、非常に幻想的なラッシュ感を放っている。

確かにメロディが立っているわけではないので、音楽的な快楽は少ないかもしれないけれど、この大きな包容力はやはりリスニング志向のJuke/Footworkを目指した結果だと思う。ハイスピードな小刻みのリズムと、クリスタルライクなシンセのレイヤーのドッキングは、水面を乱反射する光のような、透明感と同時にサイケデリックな幻覚性も感じさせる。面白い作品です。

ところでこのラッシュ感、聴いていて思い出したのが、やはりアメリカのミュージシャン、Ice Cream Socialのサウンドです。彼のサウンドも私は非常に好きだったのですが、acrxssと名義を改めて以降、ほとんど動きがありません。また素敵な作品を聴かせてほしいものです。