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タグアーカイブ: Lo-Fi

MIXTAPE : MYSTICAL ZONE




Forget it.


– Tracklist –

 [00:00] Imachi Akira – Noise Dreams
  from “Lycoris radiata EP” [e09](2009) :: (CC) by – nc – nd 3.0 ::


 [05:42] PACIFICO CORP/国際 – ジャングルに深く
  from “アフリカへの旅” (2015)


 [09:02] Magnétophonique – Ghosts Dance
  from Les Halles / Magnétophonique – “Split II” [CR-08] (2013)


 [11:06] .onion – surfing the deepest
  from “YOU ARE LOST . . .” [LMV-110](2016)/ [ mirror


 [14:35] Un Vortice Di Bassa Pressione – to repel ghosts
  from “Anonymous said” [ioenl cdr 002](2009) :: (CC) by – nc – nd 3.0 ::


 [20:05] Friendzone – CHUCH
  from “’COLLECTION I (REMASTERED)” (2012)


 [23:24] Okkoto / / 돌로 – 420 / / 음식
  from “5F Dept. Store” (2015)


 [26:10] Karen Weatherly – Magical Passes
  from “A Separate Reality (2nd Edition)” (2015)


 [28:48] AirMosaic – Speculative Bubble
  from “Executive Horizons” (2015) / [ version


 [32:44] Mel – Un
  from “Un” [BP018] (2009) :: (CC) by – nc – nd 3.0 ::


 [35:52] Amun Dragoon – Secret Whispers From The Tamate Box
  from “Sinews of Shadows, Temple of Darkness” (2013) / [DL


 [39:12] Adam Lempel – Claire De Lune
  from “Synthetic Classical MIDI Scores” (2009)


 [44:16] iN. – Snowtrap
  from “Nowhere Here” [FQP#004](2010)


 [47:47] Foresteppe – Little Bird Cherries
  from “No Time To Hurry” (2013)



•qop• – •qop• [BW017]

 •qop• - •qop• [BW017]

 – Tracklist –
 01. owiwo
 02. XöX
 03. !0!
 04. “[O]”
 05. | : |
 06. • ∆ •
 07. OIO
 08. oMo
 09. (illsap)
 10. vTv°
 11. liwil (interlude)
 12. iii (interlude)
 13. /:•:\
 14. |•ˆ•|
 15. iunui



 - 01. owiwo



 - 08. oMo


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 :: Limited Edition Cassette is SOLD OUT. ::

 Release Date : 2015.09.21
 Label : Beer Wizard

 Keywords : Ambient, ChillWave, DreamWave, Electronica, Lo-Fi, Pop.


 Related Links :
  ≫ www.nicholaszhu.com
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涅槃からコンニチハなレーベル、Beer Wizard(ビールウィザード)より。読み方分かりませんが、•qop•のアルバムがリリースされています。説明文によると、6枚のアルバムから選りすぐったトラックを収めているということです。“6枚のアルバム”というのは、SoundCloudで公開されている、“☜•_•☞”、“ViiiiiV”、“:*X*:”、“WVW”、“iMi”、“O”、“violets”のことかと思われますが、“violets”からは収録されていないような気がするなあ。細かい話だけど。

garagebandで作られているという楽曲たちは、ユルユルで淡淡でLo-FiなAmbient/Electronica。ChillWaveっぽいシンセ感やモコッとしたBeats感もあり。一言では形容が難しいサウンドです。“Dreamscape”とか“DreamWave”もいい線いってるけれど、でも十分ではない。

“violets”や“O”の公開はもう2年前になるようですが、特に前者の頃はサウンドがやや今と異なる様子。アブストラクトでボンヤリした調子は変わりませんが、やや陰りというか暗さを内包していて、その点が今とは異なっています。だから今作にもVaporWaveのタグは使われているけれど、私はそうは捉えないし(FacebookやTumblrの投稿には確かにVaporWave以降を感じる)、逆に“violets”のボンヤリとした翳り、暗さの方にこそ、それを感じるのですが。後ろめたいノスタルジアとでもいうか。

さあでは過去作から選りすぐられた今作はいかに、ということですが。M-1を聴いてPopだなあって思いました。一回聴いてメロディなぞれるとか、そういうPopさではなくて、佇まいというか、意匠というか、在り様がすごいスマートで、奇を衒った様子もなく、それでいて耳にアピールしてくる、この確かな存在感。見事なまでにヘブンリーなサウンドスケープ。羽衣をまとった天女の舞が見えるようではありませんか。

各トラックのタイトルも何のこっちゃよく分かりませんが―正直よく分からないどころではないですね、まったく分かりません―、そんなことはよいのです。TrapやHip-Hopからの影響を感じさせるチキチキとしたビートも顔を出しますが、決して全体の流れはそちらにはいきません。ラフスケッチのような、危うい鼻歌のような、輪郭のおぼつかないメロディを唄うヴォーカルがいい味出してまして、これが絶妙なサッドネスとノスタルジアを醸しているのです。なかなか似た聴取感を思いつかない、つまりユニークなサウンドだと思います。ちょっとだけ、This Deep Wellなんかに近しいかもしれませんね。あちらよりもっともっと淡くてユルいけれど(メタルっぽいところもないしね)。

メロディが強くないし、入り組んだ構造でもないし、音色も似通っているので、やっぱりどうしてもトラックごとの弁別が難しいんですが、タイトルの付け方とか見ても、そういう聴き方―各トラックにしっかりキャラクターを持たせるような―は、想定されていないのかもしれません。だから私としては、まさにAmbientというか、気付いたらそこにある、けど気付かれないことも有り得るような、そんな聴き方が似合うんじゃないかなあと思います。環境的にどうしてもヘッドフォン着用で聴いてしまうんだけど、スピーカーからゆる~く流す聴き方も似合うと思うんだなあ。本望ではないかもしれないけれど、昼寝のBGMとかに似合いそうなんですよ。

今作が気になった方は、6つのアルバムのほとんどすべてのトラックが、上記SoundCloudからダウンロードできますので、是非訪れてみてください。


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qop – !0!




Eerie Summer – the way i don’t understand anything anymore

 Eerie Summer - the way i don't understand anything anymore

 – Tracklist –
 01. no big deal
 02. never good enough
 03. means nothing to you
 04. not the kind of girl to hang around
 05. i don’t need anybody else (but you)
 06. weird around you
 07. round and round
 08. it’s okay
 09. meant to be



 - 01. no big deal


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 Release Date : 2015.10.17
 Label : Not On Label

 Keywords : Indie, Lo-Fi, Pop, Post-Punk, Shoegaze.


 Related Links :
  ≫ Eerie Summer on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on VK (VKontakte)


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ロシアのポップ・デュオ(でよいのかな。アーティスト写真は二人組ですが、実際のメンバー構成はよく分かりません)、Eerie Summerの新作がドロップされました。前作との間にシングル“Snačala”は挟んでますが、まとまった作品としてはおよそ2年ぶりになりますでしょうか。

前作“Eerie Summer”は、60年代ポップスのフレーバーをふんだんに振り掛けた、スウィートなローファイ・インディ・ポップでしたが、果たして今作やいかに。ということで耳を傾けてみると、何かバンド感がアップしてました。躍動感、疾走感といってもよいかもしれません。相変わらず過去からやってきたようなサウンドを鳴らしてはいますが、前作とはちょっと変わってきたように思います。

全体的にテンポアップしてることもあるでしょうが、Post-Punkな直線的ビート、ブリブリと自己主張するベース、ディストーショナルでありながらキラキラ感のあるギター、こういったサウンドが全編を埋め尽くしていて、ちょっぴり荒々しいサウンドになったような。でもメロディは変わらずポップだし、ヴォーカルもキュートだし、そのドリーミィでサニーデイなイメージは変わりません。私の中ではザ・インディ・ポップなサウンドです。

コーラスの入れ方とかやっぱり過去からの影響がデカいように思いますが、今作のサウンドで新しく感じたのがPost-Punkのような乾いたビート感とか、何ならNew Orderのようなキラキラと揺らぐギター。上に書いたようにライヴ感がアップしていて、ライヴ活動からのフィードバックもあるんでしょうか(実際どれだけ行っていたのかは分かりませんが)。‘never good enough’のちょっグルグルしたロケンロ―な感じとか、以前は間違いなくなかった。

できることは増えたように思うんですが、楽曲のバリエーションが偏っている(ように思える)ところが残念でして、前作のようなゆったりとしたテンポで、Lo-Fiかつちょっぴり長閑なノイズポップも入れてあると、作品がグッと締まったんじゃないかなあと思います。何にせよ、前作にはなかったPost-Punk~Shoegazeといった、新たなカラーの獲得には賛成です。スタイルを変えたのでなければ、次作は是非折衷なところを攻めてきて欲しいです。このまま突き進むとよくも悪くも、分かりやすい(いわゆる)“オルタナ”な感じになってしまいそうで、それは避けてほしい、とか思ったり思わなかったり。流線型もカッコいいけど、尖がってるのもまたカッコいいもんです。

ロシアのバンドやミュージシャンはまだまだ表に出てきてない気がするので、もっと注目されても良いんじゃないかと思います。



øjeRum – fraværsminder [PH019]

 øjeRum - fraværsminder [PH019]

 – Tracklist –
 01. ()
 02. sort
 03. ()
 04. Ikke For Ingenting
 05. ()
 06. Sange Til Den Sidste Sol
 07. ()
 08. Ormene Ved Himlens Port
 09. ()
 10. ()
 11. Mens Blodet Siver Fra Solens Ører
 12. ()
 13. En Sten Af Faldende Øjne
 14. ()
 15. Tilstand Uden Mørke
 16. ()
 17. Intet Ansigt
 18. ()



 - 06. Sange Til Den Sidste Sol



 - 09. ()


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 Release Page :
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  :: *Limited Edition Cassette is available. / Special Edition is also available. ::

 Release Date : 2015.02.16
 Label : Phinery

 Keywords : Acoustic, Guitar, Lo-Fi, Melancholy, Minimal, Sad, Solitude, Vocal.


 Related Links :
  ≫ øjeRum
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暗い!とにかく暗い!

でも暗闇ではない。扉の外にある思い出、のような暗さなのです。誰しもある程度の年数を生きてくればあるでしょう。臭いものには蓋をしろとばかりに、記憶のどこかに扉を設けて鍵をかけ、その中に押しやっている、思い出。それは何かの拍子に鍵が緩み、あるいは扉の立てつけが悪くなり、フッと扉の下や縁から、記憶の前面に漂い出てくる。いやあるいはこうだ、鍵をかけて閉じこもっているのは“私”であり、一切合財を外に―扉の外に、置いてきているのだ。あらゆる記憶が、何を見ても思い出される記憶が、痛みにしか繋がり得ないとしたら(ずいぶんな痛がり屋だ)、何もかもから手を引いて、自分だけの空しい王国に閉じこもりたくもなるかもしれない。だから、扉の外におびえ続けているし、閉じこもっている自分にも何もないから、だから空っぽであり、暗いのである。そんなわけで、今作は暗い。非常に暗い。だが真っ暗ではない。“私”は生きているし。外の世界も存在しているから。

ヒスノイズをたっぷり含んだLo-Fiなテクスチャーの中で、ポロポロとつまびかれるミニマルなギターフレーズ、ボソボソとつぶやくように唄うヴォーカル。悲しみよりも枯れ。涙を出し尽くしたあとの虚脱。ふと、初期のL’Altra(ラルトラ)を思い出しました。“Music of a Sinking Occasion”の頃。枯れていて、でも、そこにはそれにふさわしいエモーションが存在していて。歌における感情表現は何も声を張り上げるだけじゃないんだなということを教えてくれた、あの作品を思い出します(watch the video ≫ ‘Room Becomes Thick’)。

2014年発足、デンマークのアート&サウンドレーベル、Phineryより。ヴィジュアル・アーティストでもあるøjeRumことPaw Grabowskiの作品。これまでにも複数のリリースがありますが、基本カセットテープ、CD、デジタルデータのフォーマットです。そして過去をたどっていて驚いたのが、2007年にRain musicからリリースを行っていたこと。Rain musicはレーベルとしての活動はだいぶ前に停止しており、リリース数は多くなかったものの、いわゆるネットレーベルというシーンの拡大と発展に、少なからず貢献したレーベルだと思っています。そんなレーベルからリリースを行っていたアーティストが、2015年の今また、私の目の前に現れたということに、奇妙なめぐりあわせを感じます。

タイトルが‘()’だけのトラックがありますが、これは基本インストゥルメンタルになっていて、対して、タイトルがつけられているものは歌が入っています。こんなのいつどのタイミングで聴くんだよ?という声も聞こえてきそうですが、“休日はどこへも行かない”という選択もあるんですよみなさん。外に出て人と触れ合うだけがメンタルヘルスを健全に保つ方法とは限りません。適度な遮断(あるいは取捨選択)というものが必要な時もあるのです。エイミー・トムスンの“ヴァーチャル・ガール”という小説の中で、主人公の少女(彼女はロボットだ)マギーが、初めて外の世界に出たときに、あまりにも情報量が多すぎて回路がショートしてしまうという描写がありましたが、それと同じように(というのは強引ですが)情報・刺激などいらないというときもあるでしょう。そんなときには、この作品を聴きながら閉じこもるのです。暗い。いやいいんです。暗いんだから。光あるところには必ず闇があるのです。

ちなみに先述した2007年の“There Is A Flaw In My Iris”では、“枯れ”とは違うイメージを感じるものもあったりして、興味深いです。‘il y a’とか、とってもヘヴンリー―



 - il y a (from “There Is A Flaw In My Iris”)


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All sounds and art by øjeRum



Oceania LTD – big ol’ brain

 Oceania LTD - big ol' brain

 – Tracklist –
 01. Troma
 02. I’m in love with Jesse Starr
 03. Carl Gustav Junglist
 04. wax doll
 05. New India
 06. BL
 07. Berlin 1993
 08. Coffee Break
 09. E
 10. Thank you for your call



 - 04. wax doll


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 Release Date : 2015.03.18
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Electronic, Industrial, Jazz, Jungle, Lo-Fi, Noise, World music.


 Related Links :
  ≫ Oceania LTD on bandcamp


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ゴーイングマイウェイなスウェーデンの音楽プロデューサ、Oceania LTD。以前に“Tokyo Mall”を紹介した時は、こんなに作品を連投するとは思ってもいませんでした。前から作っていたものを小出しにしている可能性もありますが、“Tokyo Mall”を2014年の11月に公開後、今作以外に4作品(“Silicon Dreams”, “Hotel Anhedonia”, “911 Calls”, “Visor från urskogens avskilda ödeshemman”)が公開されていることは、少なくとも事実です。

おそらく彼/彼女は複数の名義を使い分けていて、今作もその内のひとつにすぎないのでは、というのが私の見立てです。探ってみれば、このOceania LTDが関わっていると思しきプロジェクトは見つけられますが、中でもこのOceania LTDがもっともメロディからは離れているように思います。“Tokyo Mall”こそ、Mallsoftと呼ばれるサウンドを踏襲していましたが、以降はアブストラクトなElectronic musicを貫いています。ちょっと簡単に振り返ってみましょう―

“Silicon Dreams”は長尺でジャンクなIndustrial/Jazz~Improvization風味のサウンドで、引き伸ばされたスローモなエディットはVaporWaveに通じなくもないですが、これをそこに当てはめるのはやや無理があるような・・・。5トラックで1時間以上はある一大絵巻は、音楽的快楽というよりは疲労をもたらしそうな気さえします。“Hotel Anhedonia”は逆にピッチを速めたような部分も感じられますし、エディットしたミニマルなフレーズをリピートさせているだけのラフなトラックが多数詰め込まれています(23トラックという数は、やはりトゥー・マッチなイメージ)。後半からはサンプルなのか演奏しているのかは分かりませんが、Metal musicやJazzといった、後発の作品にも通じる要素を垣間見ることができます。どこか習作のような雰囲気もあり。

“911 Calls”はNoiseな冒頭部から、Doomの気配も感じさせる重量感のあるDark Ambientに転じていく、不安感・緊張感が保たれているシリアスな作品ですが、中盤の2トラックが15分を超えるなどしていて、やはりロングな作りになっています。“Visor från urskogens avskilda ödeshemman”では、ハッキリとHeavy Metal/Doomに舵を切っていて、Lo-Fiでノイズな音作りの中で、ときにエモーショナル、ときにシネマティックな、重金属サウンドがさく裂しています。

というように、作品によって、ちょっとずつ作風が変わっているように感じるのですが、 軸にあるのはAmbient/Noiseという、ふたつの要素ではないかと思います。今作のM-1を聴いて、久しぶりにVaporWaveに通じるサウンドが帰ってきたかと思ったんですが(ブンブンと振動するNoiseの彼方で、PCの効果音のような、何かが瞬いている)、以降を聴いてみると、一周、いや一周半回って、また別のところに着地している気配。ちなみにこのM-1は10分近いんですが、いきなり曲がプログレッシヴに切り替わります―レトロなシンセ/ディスコサウンド~TVからの引用BGM~そして不穏なAmbientへ。M-2はミニマルなリズムにインドのシタールを取り入れたような、World musicなノリ、かと思えば次のM-3は急にJungleなリズムで攻めてくる。この辺りのイージーな調子は“Hotel Anhedonia”に近しい気もします。

はたしてM-4‘wax doll’が、プチプチ(ときにキュルキュル)としたノイズの中で、ブラスが煙のようにたなびき、人声のような奇妙なエフェクトがポツポツと滴る、オブスキュアながら面白い小品なのですが、サスペンスフルな電子音楽‘New India’を通過して、ノイズまみれのオールディーズ‘BL’、そして不気味に振動するNoise/Industrialな‘Berlin 1993’、ファストでミニマルなリズムにルーズなブラスを絡めた‘Coffee Break’と、Noiseに傾きつつも独特のノスタルジアを漂わせるような、ひとつの特徴性を感じさせる展開に。乾いたドラムパターンと玩具的音声、対するスローなベースが、軌道を外れたDrum ‘n’ Bassを思わせる‘E’のあとに続くラスト・トラックがいきなりMelodicな‘Thank you for your call’で、カオスを抜け出たあとの安心感、あるいは爽快感のようなものを感じてしまう始末。なんだかひと昔前のビデオゲーム、そのスタッフロールとかにありそうな曲調でもあり、レトロなフィーリングが喚起されます。

とこのように見てくると、決して革新的とか度を越して複雑怪奇とか、メロディが芳醇とか、リピート必至とか、そんなことはないのですが、何だかよく分からないけど突っ走ってる感じがして、気になってしまう存在なのです。NoiseやJazzの要素を感じさせながらも、一貫性が見えないところからして、やはり格納庫的なニュアンスで、多数のトラックを公開しているのかもしれません。タイトルの“big ol’ brain”というのは、“大きな年老いた脳”という意味合いなのか、それをもって何を示そうとしているのか、それを探るべく今作をリピートしてみるのも、一興、かもしれません。今後もリリースを重ねる可能性は十分にありますが、きっと何だかんだいいながら、私はまた聴いてしまうのでしょう。VaporWave/Mallsoftは戯れだったのか、それとも―



жёлтый мегамэн – у меня есть шариковая ручка [DOPEFISH034]

 жёлтый мегамэн - у меня есть шариковая ручка [DOPEFISH034]

 – Tracklist –
 01. у меня есть шариковая ручка
 02. у меня есть шариковая ручка feat. skoda the cat



 - 01. у меня есть шариковая ручка


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 Release Date : 2014.08.05
 Label : Dopefish Family

 Keywords : Bedroom, Cat, Kids, Lo-Fi, Punk, Strange.


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ジャケットイメージからあふれ出るPunkな精神がたまりません。“恐竜戦隊ジュウレンジャー”から招聘されたタイガーレンジャー。と、その下に無造作に配置された、Bicのオレンジファインぽいけど実は違う、どこぞのボールペン。インターネット感、あるいはTumblrやVaporWaveのフィールドに付随するアート、とは確実に切り離された、ストレンジなフィーリング。匂いたつ挑戦性。

ロシアン・ウェブレーベルのDopefish Familyからリリースされているжёлтый мегамэнの作品は、佇まいからして、実に奇妙です。説明らしい説明もなく、“2004”という言葉しか付されていないので、おそらくは2004年にレコーディングされたか、どこかでリリースされていた作品なのでしょう。惹きつけられるままに、耳を傾けてみたら、思わずフッと、鼻と口から空気が漏れました。つまり笑ってしまったということです。Lo-Fiな音の中でスコスコと始まるドラム(リズムマシンか?)、ベンベンと鳴るベース、それとユニゾンするように、ベロロンと力なく響くギター、突如空間に割って入る、シンセのようなメロディカのような、甲高い電子音、これらが2分半続くだけ。ただそれだけ・・・。電子音がちょっとVGMっぽい響きを醸しますが、それによってこの脱力感が消えるわけではありません。そう、この全編に満ちる脱力感がたまらなく強烈で、まるで白紙に描かれた“へのへのもへじ”のような、シュールさが漂います。何の文脈もなく、ただそこにある脱力。

2曲目はなんじゃい、どんなんじゃいと思って耳を傾けると、そしてタイトルを見ると、”feat. skoda the cat”とあるように、ただ猫の声が足されただけ!! なんだけど、1曲目にかぶせただけではなくて、どうやらテイクが違うようなのがまだ救い?なのですが、この猫の声もしっかり鳴いてなくて、のどをグルグル鳴らしてるあの感じの声が挿入されているっていう・・・、ここでも脱力だわ! 猫の声ぐらいしっかり入れればいいのによ!! 作り込み感ゼロの、あらゆる意味づけを拒否する、まさに音だけがそこにあれば他には何もいらないと言わんばかりの、往復ビンタ食らってるんだけどアレぜんぜん痛くないみたいな(ちょっと何言ってるか自分でも分からないけれど)、つまり痛みはなく往復ビンタを食らったという衝撃だけがそこにはあるとでもたとえましょうか(まあホントはこんな言葉もいらないんだけど)、柔道の技的にいわせてもらえばツバメ返しのような(キメにいった足払いをスカされて足払いで返される)。

にしてもこの音をこのタイガーレンジャー見ながら聴いてると、どうしてもニヤニヤしてきちゃうんですよねえ(笑)。何が面白いんだろう。緊張と緩和なんだろうか。で、なんでペンなんだろう、なんでタイガーレンジャーなんだろうって思うじゃないですか。調べるわけですよ。なんなんだろうって。アーティスト名の“жёлтый мегамэн”は、どうやら“イエロー・メガマン”という意味になるようで、メガマンってのはカプコンのビデオゲーム“ロックマン”の海外での名称ですから、この言葉は、黄色いロックマン、あるいはイエローデビル(ロックマンに出てくる黄色くて巨大なモンスター)を指しているんでしょう。それを象徴しているのがタイガーレンジャーだと考えることができます。じゃあペンは? ってなりますが、これは作品タイトルにヒント(あるいは答えか)がありました。Google翻訳―“у меня есть шариковая ручка” ≒ “私はボールペンを持っている”。ノーゥ!! 日本のバンドが作品タイトルに“This is a pen.”ってつけるようなもんじゃないか!! 大した意味なんてなかったんだ・・・。いや、捉えようによっては、やはりPunkなのか・・・。

いったい誰なんだ!?って、気になりますよね。こんな、あらゆる意味で力抜きまくった作品だしてきたのは!って。ここまできたら後には引かないぞって、力入りますよね(もしかして、もうみなさんは興味を失くしているでしょうか)。で、どうやらkakashtlaさんが事情を知っているようで、なぜなら、このжёлтый мегамэнのトラックをSoundCloudで公開しているんです。そこにある記述を読んでみると、このжёлтый мегамэнは、どうやら彼が学生時代にもっていたバンドのようです。なるほど・・・。今は音楽を作っている節がなさそうですが、リンク先をのサイトやブログを訪れてみると、ロシア語・キリル文字でさっぱり理解できませんで、人となりは雰囲気でしか分かりませんが、アーティスティック、アカデミックな思考の持ち主なのかもしれません。

と、ここまでくると、このトラックも何やらシリアスに聴こえなくもないから不思議です。最初の衝撃はどこへやら。笑うこともためらわれるではありませんか。音楽というのは何がしかの文脈が与えられれば、それによって評価は如何様にも変わりうるということですね(“評価”というのは、すべてそうかもしれません。現代アートなんて顕著ですね)。

ということで、今回の投稿では、音楽を聴く上で、アーティストの背景を知るのが良いのか悪いのかっていうことを、考えさせられたような気がします。そんな唐突な締めで終わりますが。

ちなみにDopefish Familyはこういうリリースばっかりではないし、そんなイメージもなかったんですが、今回フラッとサイトを眺めていたら、動画に“こんにちは!焼きうどんが登場しましたよ。是非お試しください!”と、説明をつけていたりして(まったく謎)、自分の中でレーベルのイメージが塗り替えられていきそうです。

※風邪薬で非常にフワフワした頭で記事を書いたものだから、なんかタッチが違いますが、大丈夫、自覚的です。




Dead – Sad [GIR150]

Dead - Sad [GIR150]

– Tracklist –
01. Air Canister (Fuzzed Out Version)
02. Casiocean
03. Do You Even Bro, Bro?
04. Trumpette
05. GRRRF
06. The God Damn Bat Man
07. Key Bored
08. Wat
09. Mth Clss


– 02. Casiocean

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Release Date : 2014.10.31
Label : Galactic Intolerance Records

Keywords : Avant-garde, Electronic, Lo-Fi, Noise.

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エクスペリメンタル系netlabel、Galactic Intolerance Recordsより。正体不明のDeadなるアーティストの作品がフリーでリリースされています。名義はDeadだし、作品名はSadだし、簡潔にして深い言葉が多用されていますが、ふとジャケットイメージを見ると、どこかで見た感じです。もしかして、adidas(アディダス)とnike(ナイキ)じゃね、コレ?っていう(ちなみにこのアディダスのロゴは“パフォーマンスロゴ”というらしいです)。さらによく見ると、この“sad”ってフォント、アディダスのそれと同じように見えてきます。つまり、この“sad”ってadidasのロゴをエディットしただけなのか・・・と考えると、深みとか何とかよりも、、シニカルな精神が見え隠れしてきます。サーモグラフィチックな粗い画像は、どこかVaporWaveを彷彿とさせますし、どこかしら影響を受けているのかもしれません。

そんな得体のしれない深みを意匠から感じることができる今作ですが、サウンド自体も負けず劣らずDeepです。M-1を聴いていると、Lo-Fiなシンセサイザー・ミュージックがスタイルなのかなとか騙されそうになりますが、M-2でいきなり変態的なサウンドを披露してくれます。全編聴いてもこれがフェイバリット。‘Casiocean’というタイトルのダジャレ感も人を食ってますね(‘Key Bored’もそうですが)。ビリビリとした電気ノイズをバックに、奇妙なエフェクト―ハト時計の声や、ドアが軋むような音(あるいは電気的信号)、野太い咆哮などが飛び交います。下を固めるのはLo-Fiなディスコなビートで、速度が上がったり下がったり、つんのめったりしますが、これのおかげでストレンジなサウンドがノリがよく感じられるのだから不思議です。チープなサウンドもあいまってでしょうか、四畳半でラジカセもってバリバリのノイズにまじって雄たけび上げてるようなマッドなイメージ、バイブレーションがさく裂しています。面白い。

スラムの淀んだ路地裏をイメージさせる、M-4‘Trumpette’も好きですね。Dark Ambientなゆがんだ空間に流れる感情的な音声(何言っているのか分からないけど)が、行き場のない感情のたまり場を演出します。延々と渦を巻くグレイカラーのシーンは、思考の渦にリンク。答えのない悩み事にシンクロ。終わらないリフレイン。ちょっと悲しくてちょっと怖い。

サスペンスフルなシンセサウンド‘GRRRF’(作中で一番まともかもしれない)、厚いヴェールの向こうでおぼろげにサウンドがちらつく6分半のひたすら感がIndustrialな‘The God Damn Bat Man’、いきなり視界が開けてチープなサウンドをジャンクに差し出す‘Key Bored’(確かにキーボードが主役だ)、このあとがエディット感あふれる2トラックの連打。

まずは、物体がポロポロと粒状になって分解していくような、グロテスクなドット感を約9分、ひたすらに続ける‘Wat’。動いたり止まったり雷の音が聴こえたり、刻まれたリズムが銃声のように響いたりと、何気にシネマティック。灰色の空と機関銃。ひきつった悪夢。ラストはスローかつダビーに明滅する電子音がパラライズな‘Mth Clss’。作品の最後を飾る雰囲気はありません。締めるというよりも投げっぱなし。全部キレイに片づけるぜ!というよりも、ここまで頑張ったからあとやっといて感。私としては最後に一発かまして欲しかったです。M-2みたいなやつを。

全編通して何回も聴くのはちょっとマッドが過ぎるけれど、でも‘Casiocean’のテンションはすごい好きです。自分でもなんでこういうの聴きたくなるのかすごい不思議。“オレこんなの聴いてるんだぜスゲーだろ、フフン”的な優越感に還元されるものではない気がするのです。つまりはエキサイティングなんだと思います(まあ、聴きたいもの聴けばよいんですよ、ええ。音楽は自分のために聴くものです)。

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Album Art: Bucko Crooks
Production: Bucko Crooks

(CC) by – nc – nd 3.0

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