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タグアーカイブ: Meditative

AVION – Dreamin [AS139]

 AVION - Dreamin [AS139] Cover

 – Tracklist –
 01. where are you?
 02. sky full of stars
 03. dreamin
 04. mysterious
 05. relax please
 06. natural beauty
 07. stranger
 08. under the rain
 09. bored
 10. beach
 11. hot summer
 12. chillin easy
 13. 夜club 1988
 14. 奇妙thoughts
 15. flashbacks



 - 01. where are you?


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 :: Cassette is available. ::

 Release Date : 2018.01.30
 Label : Adhesive Sounds

 Keywords : Ambient, Dream, Meditative, NewAge, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ AVION on SoundCloud / on bandcamp


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音楽作品に対する期待値っていうんですか、理想値っていうんですか、そういう線上のグラフのようなものが心の中に何とはなしにあります。頭から尻までをひとつの流れとした場合に、個々はもちろん、全体像としての理想的な流れというか展開というか。VaporWaveの作品って、いやそこに限らずですか、たとえば頭の辺りで“おぉ!”となっても、どっかどうかで“そっちに行ってしまったか…”と期待を外れること、ないですか(偉そうだナ)。

この作品は、私の中の期待値、理想値にきわめて近い流れを保っているのです。近似しているというか。

熟れきった果実から滴る果汁のような、極上の甘さ(私にとっては甘いのです)。熟じながら腐敗に向かうがゆえの、危うさ(エディットによって醸されるこの辺りの翳りがVaporWave特有のそれではあるまいか)。NewAgeに潜むノスタルジー。オリエンタルな気配。実際元ネタがあるのかもしれないが、そんなことはどうでもよくなるくらい、実によくまとまっていて、聴きやすく、そして聴いていて心地よい。

“気持ちの良い日”がいつまでも続くような。それはつまり夢のような。“Dreamin”とはよく言ったもんだ。スタンダードで、ストレートで、極めてシンプルで、だからこそ、芯が際立つ。

このAVION、どこの方かと思ったらロシアの方なんですかね。VKを眺めてるといろんなアーティストの音源が貼られているけど、小田和正があって意表を突かれた(笑)。Pop指向の人なのかな。今作が基本的にメロディを壊さないエディットスタイルなのも、頷けるような。でも“CYBERHEAD”とかは、ちょっと異形感あって、また別の顔をのぞかせている。

こういうホントにオーソドックスなVaporWaveって作るの難しいのか簡単なのか私にはよく分からないんですけれど、クオリティや評価は、もうセンスの問題なんですかね。もっとこういう作品に出会いたいですね。

 - 夜の寺院 : 久石譲的meditation。記憶のエコー。※SoundCloudから消えたけど“休暇の写真”に収録されました。



quietest – chime [nvr048]

 quietest - chime [nvr048] Cover

 – Tracklist –
 01. chime01
 02. chime02
 03. chime03
 04. chime04
 05. chime05
 06. chime06



 - 03. chime03


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 Release Date : 2017.05.11
 Label : Noisy Vagabond

 Keywords : Ambient, Field Recordings, Meditative, Nature, Wind Chime.


 Related Links :
  ≫ Transient on SoundCloud


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Noisy Vagabondはアメリカのプロデューサー、TransientことCarl Martinが自身の作品をリリースするために設立したレーベル。90年代初期から音楽を作り始めたTransientは、これまでに世界中の沢山の(ネット)レーベルから、多くの作品をリリースしてきています。Discogsを参照すると、そのリリース数は50以上、トラック数は500以上、再生時間は40時間以上にもなるとのことです。

そしてTransientといえば、Trip-Hop, IDM, Downtempoを基軸としたElectronic musicの作り手であり、私もそのような認識しか持っていなかったわけです。その頭で今作を聴いた私はいたく驚いたのです。何故かと言えば、ここにあるのは非常にリラクシンなAmbient musicだったからです。メディテイティヴといってもいい。彼は多くの別名義を使って作品をリリースしていて、このquietestもそのひとつということになりますが、quietest名義では今作のほかに“Cold”という作品が1作あるのみ。調べてみると、このquietestという名義自体が、Transientとしてリリースしたquiet trilogy(“quiet”, “quieter”, “quietest”の3作)と同傾向の作品をリリースするための名義になっているようで、Ambient、リラクシンなサウンドが意図されているようです。知らなかったなあ。

オーケストラルでシネマティック、ときにはピアノを用いた静謐でメランコリックなサウンドスケープを作っていたquiet trilogyと比較すると、このquietestという名義で作られるサウンドは、もう少しラフなイメージがあります。コンセプト、傾向性は確かに一致しているが、サウンドの幅がそこまで限定されていない。そう感じたのは、今作がこれまでのどれとも違う、Field Recordingsによる環境音を利用した、自然(ネイチャー)な感覚にあふれているからです。それに合わせて、各トラックでミニマルな持続音が散りばめられていて、たとえばそれはウィンドチャイムにインスパイアされたという今作の成り立ちと大いに関係があるのだろうけれど、私が勝手に水琴窟Ambient/Electronicaと呼んでいる、点在する電子音をディレイ、リバーヴさせて描くサウンドタペストリーは、ときにはリスナーを無我の境地(のようなもの)へといざない、またときにはリラクシンな瞑想気分へといざなうのです。

メロディを味わうという意味では、quiet trilogyや“Cold”には、まったく歯が立ちませんが、環境音楽、Ambient musicという点では、他のどれよりも圧倒的存在感(Ambientなのに存在感とはこれいかに)。いつになくストレートなジャケットイメージも好感触。緑の中にたたずむガールはそこはかとなく幻めいていて。ノスタルジアと共に。エバーグリーン。

1トラックほぼ10分。計60分=1時間の精神的逃避行。


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An album of generative ambient inspired by wind chimes.

(CC) by – nc – sa 3.0



BLACK LABEL – HOMEWORD ALTERNATIVE

 BLACK LABEL - HOMEWORD ALTERNATIVE

 – Tracklist –
 01. ANGELS WELCOME
 02. NEVER ALONE
 03. FORGETFUL TIME
 04. MERCY EMERGE
 05. HEAVEN EMERGE
 06. LIVING AGAINST
 07. FOR NOW



 - 05. HEAVEN EMERGE


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 Release Date :
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Cold, Drone, Meditative, Cinematic.


 Related Links :
  ≫ toby alden
  ≫ toby alden on Twitter
  ≫ EMBASSY on SoundCloud
  ≫ brlka on bandcamp


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アメリカのプロデューサ、BLACK LABELの作品です。bandcampのアカウントはbrlkaとなっていて、複数名義の作品がリリースされているので、てっきりレーベルかコレクティヴかと思っていたのですが、どうやら個人で作成したものを公開しているだけだったようです(おそらく)。でもすべての作品がここに集約されているわけでもなくて、別名義のbandcampへもリンクが張られていまして、その先にはここで公開されているよりも多くの作品があったりします。たとえばSapphire ShoresDREAM CORPなんかも彼の名義のひとつということになるわけですが、こういう一人で複数名義を使って作品を公開しているプロデューサってままいますが、どういう生活を送ってるのかとたまに不思議に思いますよ。“そんなに?”って思うとき、ないですか。私はあるんです。って、まあいいか。

名義によって確かに作風が異なっているようですが、共通しているのは、モコッとしたカセットタイプのAmbienceでしょうか。あとはそこに加わるリズムパターンだったり、Noiseの強度だったり、エディットの具合だったりで、スタイルが変わってくるように思います。そのザラついたAmbienceというところで、彼の作るサウンドはVaporWaveとの親和性も高いわけですが、そして実際そちらに傾いた作品もあるわけですが、今作についてはVaporWaveの影響はそれほど色濃く反映されているわけでもなく。サンプルを引き延ばしているのかどうか判然としませんが、スローモなレイヤーがたなびくAmbient/Droneサウンドになっています。

寄せては返す霧のような(そんな霧ないかもしれませんが)。それは密林の奥にある神秘的な秘境を覆い隠すような。どこか冷気を感じさせるのは、リバーヴやディレイといったエフェクトによって生まれるエコーが、まるで洞窟内のようなイメージをもたらすからでしょう(どの程度凝っているのかは分かりませんが、私としてはこのサウンドの角のなさというか、輪郭の淡さが絶妙なのです)。何かから(いったい何だろう)守られているような安心感と、白く濁った(決してネガティヴでない)景色が合わさることで、何も心配をせずに眠りにつくことを許されているような、夢見心地なときが流れます。そしてまた、レイヤーの中に確かに存在しているメロディが、音楽的快楽にも結びつくのです。厳かで、神妙に、リスナーを現実から隔離する、シネマティックなAmbient/Drone。

上記SoundCloudでもいろいろなタイプのトラックが聴けますが、やはり私が好きなのは、“cassette”のタグがついているもので、そこにある得体のしれない安心感は一体何にたとえたらいいのだろうと考えあぐねているのですが、いつか物語の中で行った懐かしい景色のような、自分とは切り離された郷愁(自分とは切り離されているから心配事はないのです。過去から責められることもない)。meditative、なんでしょうね、私にとっては。脳内の特定の領域が反応しているに違いない。



 - ETERNAL



Three Wishes – Restoration EP [GT008]

 Three Wishes - Restoration EP [GT008]

 – Tracklist –
 01. Dream
 02. Wake
 03. Simple Drawings
 04. Lionheart
 05. Water Treasure
 06. Sand Burial (Genie Theme)
 07. Dream Pt. II



 - 01. Dream


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 Release Date : 2015.07.25
 Label : GEM TONES

 Keywords : Ambient, Edit, Meditative, Melodic, New Age, Trap, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ PRINCE PROZAC on SoundCloud / on bandcamp


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2015年発足の新興レーベル、GEM TONESより。Three Wishesの作品がフリーでリリースされています。

Three Wishesというのは、どうやら3人で作られた共同プロジェクトのようで、リリースページにメンバーらしき表記があります。それによると、K△R△ 、K8E 、PRINCE PROZACがThree Wishesの構成員ということになりますが、残念ながら私の気合が足りず、PRINCE PROZAC以外の情報には、たどり着けませんでした。

PRINCE PROZAC自身もbandcampで“CAPSULE 1”という面白い作品をリリースしています。New Age/MeditativeなAmbienceとTrapビートを組み合わせた、Meditative Trapとでもいえる、類似サウンドの少ないユニークな作風です。当然彼/彼女がメンバーにいる、このThree Wishesにおいても、その作風は反映されていて、随所でユニークなサウンドを聴くことができます。

M-1がもういきなりクラシカルなNew Age調のサウンドで始まりますが、シンプルにそのまま流していくのかと思ったら途中で編集感はなはだしくて、強引に脱臼させられたような感じです。M-2においてはさらにその傾向を顕著にして、1分にも満たない中で、ひたすらに同じフレーズを反復して最後はGlitchしたままM-3になだれ込んでいくという、投げっぱなしぶりが潔い。

M-3は流れを一気に変えて、Trapなビートとドラマティックなメロディを組み合わせて、ラッシュ感のある風景を演出。なんだか教材映像のBGMようなシンプル&イージーなトラックですが、この走った調子は作中でここにしかなく、これははPRINCE PROZAC以外のメンバーが持ち込んだものなのかもしれません。M-4がまた、どこかエスニックな雰囲気もあるMeditative/Editなトラックになっていて、ここまで聴いて頭によぎったのが、以前にも紹介した木の反射の作品“Body [Disc I]”なのですね。まあアッチはもっと直球でAmbient/Meditative/New Ageでしたけども。共振する部分が感じられて、いろいろ勘繰りたくなります(というか今気づいたんですが、木の反射って、もしやPEGA 速力なのか? bandcampからリンクが貼られてるわ・・・)

さて、M-6‘Sand Burial (Genie Theme)’はいきなりアラビックなフレーズが全開で鳴り響き、終始それで貫かれるという、まったくもって意図が読み取れないのですが、もしかして今作はアレかな、宝探しか何かの道程をイメージしてるのかしらん。夢から覚めて(‘Wake’)、空を飛び(‘Simple Drawings’)、広大な砂漠を彷徨い(‘Lionheart’)、オアシスで暗くさびしい一夜を明し(‘Water Treasure’)、お宝―それは魔法のランプか。“Three Wishes”という名前は無関係ではあるまい―にたどり着いた(‘Sand Burial (Genie Theme)’)、と思ったら夢だった(‘Dream Pt. II’)、みたいな。

ということでもはやVaporWaveなのか何なのか、何と呼称すれば適当なのかも分からない不思議ミュージックでした(聴いててニヤニヤしちゃったり)。いやしかしNew Ageを経由したMeditativeとTrapが結びついている、その部分が大きいので、New Trapとか呼んじゃおうかと思いましたが新しいTrapみたいで紛らわしいので、やはりMeditative Trapか!(結局適当)。メロディがあるのでそんなに聴き難いことはないし、一度聴いてみるのも良いと思います! 判断はそれからで。

ちなみにGEM TONESですが、PEGA 速力の作品もリリースしてるし、何気にsweet peaのカムバックシングルもあるし(見事にザ・VaporWave)、幽霊, T O G E T H E R!の作品もこれから控えているらしいので、個人的には要チェックです。≫ ※2016年9月現在、レーベルは休止中のようです。


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(CC) by – nc 3.0



木の反射 – Body [Disc I]

 木の反射 - Body [Disc I]

 – Tracklist –
 01. 肺
 02. 顔
 03. 男
 04. 心
 05. 息
 06. 唇
 07. 手
 08. 脚
 09. 足
 10. 目
 11. 水
 12. 耳
 13. 口
 14. 筋
 15. 波
 16. 先



 - 05. 息



 - 13. 口


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 Release Date : 2015.05.27
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Drone, Meditative, New Age, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ 木の反射 on bandcamp

  ≫ 木の反射 is PEGA 速力


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アメリカはカリフォルニア州ロサンゼルス発、という触れ込みのミステリアス・トラックメイカー、その名も“木の反射”の作品が、bandcampで公開されています。“木の反射”って、どこからどんなイメージでネーミングしたんでしょうか。アカウントには“treereflection”というワードが用いられていますが、木々が陽光を反射する様子をイメージしているのでしょうか。謎ですねー。惹かれますねー。

トラックタイトルもなかなかユニークで、すべて漢字一文字。“Body”というタイトル通りに、人体の一部で統一されている、と思いきやそうでもない。‘男’‘水’‘波’‘先’といった、およそ人体とは結びつかないワードも散見されます。

この“木の反射”による、“人体”が果たしてどんなサウンドなのか、気になりますね。さっそく聴いてみましょう―と、耳を傾けてみると、これが何ともメディテイティヴなAmbientミュージック。アジアンなNewAgeミュージックのフィーリングも感じられて、私好みではありませんか。M-2においては、Brian EnoのAmbient作品のような調子もあり、VaporWaveというワードを掲げてはいるものの、かなりAmbientに寄った作風です。

おそらくはサンプルをベースにして作られているとは思いますが、朝もやのような深遠な空気と、朝露のようなピュアな透明感、そしてNewAgeのスピリチュアルなバイブがほどよいバランスで混じり合っています。俗世間とは切り離された、霞を食べて生きている存在が現れそうな、浮世離れな音空間。サンプルベースのNewAge的音世界ということで、VaporWaveに関連付けられるのかもしれませんが、特に前半部では、実際ほとんどその言葉が頭に上ってくることはないですね。

ちょうど中間点の‘脚’(環境音とブラスとハープ?が歪にエディットされた、VaporWaveらしいサウンド)あたりを境にして、微妙にNewAgeから距離を取りつつ、しかしメディテイティヴであり続けるのですが、私はこの後半が好みだったりします。インタールード的な‘水’(まさに水音)から地続きで‘耳’に入り込んだり、‘筋’ではDroningなレイヤーと感傷的なメロディが映画のラストシーンのような厳かなイメージを見せ、‘波’ではパッヘルベル(Pachelbel)のカノン(Canon in D Major)をシンセタッチのサウンドでスローモ・エディットするなど、小技をキメてきます。ラストは8分超えの長大な‘先’で締め。引き伸ばされたコーラスと浮き沈みする鍵盤のメロディが編集・ループされ、メディテイティヴ・クライマックス。アジアンなタッチと相俟って、水墨画の山景色が浮かんでくるではありませんか。

近しいところだと、最近東京為替からトラック追加で再発された泰合志恒の“神秘的情人”がありますね(これも良作です。あと泰合志恒ってt e l e p a t h テレパシー能力者の別名義って知らんかったよ・・・)。興味のある方は是非。

あとは余談ですが、この“Body [Disc I]”、 M-1‘肺’とM-6‘唇’がまったく同じトラックに思えるのは、仕様なのか、手違いなのか。とりあえず、DiscⅡにも期待しておきます。あるとしたら、まったく作風を変えてくるような気もしますが、アブストラクトな方向にはいって欲しくないです。と書いておきます。


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(CC) by – nc 3.0



人以上VANQUISH組み込ま利益 – 精神衛生

 人以上VANQUISH組み込ま利益 - 精神衛生

 – Tracklist –
 01. 不安
 02. うつ病
 03. 恐怖症
 04. 慌てる
 05. 妄想
 06. 神経症
 07. 失敗



 - 02. うつ病


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 Release Date : 2015.01.28
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Eccojams, Meditative, Melodic, Nostalgia, Shoegaze, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ 人以上VANQUISH組み込ま利益 on SoundCloud / on bandcamp


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まさにミステリー。たいがいにしろよって名前ですよね、“人以上VANQUISH組み込ま利益”。何を言わんとしているのか、まったくもって分かりません。VANQUISHが何なのかも、明言はされていません。しかしおそらくは、2010年にSEGAから発売されたTPS(Third Person shooter)ゲーム“VANQUISH(ヴァンキッシュ)”のことかと思われます。なぜそうなるのかというと、bandcampで彼がプロフィール画像に使用しているのが、おそらくは当該ゲームからの抜粋だからです。初作の冬季大会 WINTER GAMESも、ハッキリとSEGAのソニック・ザ・ヘッジホッグをイメージに使用していますし、SoundCloudで公開している‘冬の夜は WINTER NIGHTS’もNiGHTSの曲をサンプルにしていたりと、ビデオゲームに寄った傾向があることが分かります。

それはそうと、このジャケットイメージ、たまらないです。柳瀬茂(やなせ・しげる)の絵を彷彿させる、劇画タッチの、しかし3次元の人物。肌は白く、髪は黒く、唇は赤く、妙に作り物めいていて、人形のよう。決して平均的な今を反映していない妙な古めかしさといい、これまた映像化された江戸川乱歩作品“江戸川乱歩の美女シリーズ”なんかを彷彿させる。今にもベッド脇のカーテンの裏から、天知茂演じる明智小五郎が、眉間にしわを寄せながら登場しそうじゃないか(そんなことないか・・・)。まずこの意匠でグッと引き込まれます。ミステリーの予感。

でもこんな奇を衒ったようなネーミングのくせして(っていう言い方もナンですが)、この作品は実にコンセプチュアルなのです。タイトルは“精神衛生”ですが、各トラックのタイトルにも目を向けてみてください、見事に精神状態、その在り方を表すものになっています。VaporWaveの典型例として挙げられる、意味の通らない、ノーマルを外れた、ヘンテコな日本語というヤツにはなっていないのです。トラックの内容も、どちらかといえば、シリアスに受け止めることができます。サンプルを異形化して、VaporWaveらしさを出すことに主眼が置かれている様子は、どうやらありません。確かにVaporWaveっぽい演出を使ってはいますが、あくまで世界観が重視されているようで、さながら、この作り物めいた人物の心の動きを音像化していると、そう、考えることも出来るでしょうか。

不安な心に一滴ずつ水滴が落ち、それが波紋を広げていくような(だがなぜか眠りに誘うような安心感もある。一定の反復的なリズムのせいだろうか)‘うつ病’、実際に慌てている様子というよりは、慌てていたことを回想しているような(つまり過去からの攻撃)、ノスタルジックな‘慌てる’、M-6‘神経症’は確かに作中でもっとも脅迫的な音像で、飛び交う電子音と風のように吹き流れるバックの空間は、焦りと不安を醸します。ラストの‘失敗’―なぜここにきて“失敗”という言葉がチョイスされるのか、はなはだ遺憾ですが、瞑想的でノスタルジックで、どこか神々しさも含んだヘブンリーな空間からは、甘美な死線の向こうからのまなざしを思わせる、浮世を越えたノスタルジアが不気味に響きます。と、いろいろ考えると、聴き方によってはちょっと怖いですね。

音自体は非常にメディテイティヴ、瞑想的で、リラクシンなものなのですが、ここにある(もしかしたらないかもしれない)コンセプトを考えると、がぜん受け取り方が変わってきて、面白いです。ヘンに考えなければ、精神衛生には非常に良いように作用する、機能的な音楽なんじゃないでしょうか。睡眠導入にも使えると思います。タイトル、トラックタイトル、ジャケットイメージ、サウンド、すべてが一点に向かっているような、非常に意思(あるいは意図)を感じる作品です。好きです。そして面白い。

他の作品ではここまで静かではないので、やはりこの作品の作りは意図的なのでしょう。他作品でもコンセプチュアルかつPop志向な節がうかがえるので、MelodicなVaporWaveが好きな方は、是非聴いてみてください。下にいくつか―



 - アメリカの特権 (from “スペースコロニー SPACE COLONY”)



 - 絶望的に恋に HOPELESSLY IN LOVE