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タグアーカイブ: Minimal

Grant Summer – Music made out of music [ILU-003]

 Grant Summer - Music made out of music [ILU-003] Cover

 – Tracklist –
 01. The seagull
 02. The palm tree
 03. Boxes of water
 04. That house on the hill
 05. The bees
 06. Boxes of mirrors
 07. That house on the hill reprise
 08. Surfaced



 - 02. The palm tree


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 Release Page Download Free! / pay what you wish.

 Release Date : 2016.04.20
 Label : I Low You Records

 Keywords : Ambient, Electronica, Minimal, Patterns.


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日本のレーベル、コレクティヴであるような記述もありますが、どうなんでしょうか。詳しいことは分かりませんが、I Low You RecordsからのGrant Summerの作品。このGrant Summerというのはどうやら名義の一つであるようで、レーベルからのリリースを見るとOlivia Summerという名前で“Simply”という作品のリリースがあります。さらには“”Simply” is the second album from the “Summer’s project” by E. Summer.”という記述もあるので、リアルネームはE.Summerであるのかもしれません。いずれにせよ、やはり詳細は不明。

ということでこのGrant Summerの作品ですが、現時点での最新作、ではありません。2016年10月には“Rotation”という作品をリリースしていますが、 私はこちらの“Music made out of music”の方が断然好きなのです。2016年の4月に東京フォーラム(東京国際フォーラムですかね)で行われたビデオ・インスタレーションを基に製作されているそうです(ビデオは以下に掲載しております。是非ご覧ください)。

Ambient/Electronicaといいますか、最近あまりこういったサウンドは聴いていなかったのですが、今作で“あーやっぱり好きだわあ”と思わされたのです。もちろんそういったAmbient musicのシーンというのは連綿と続いていることかと思いますが、決してトレンドではないわけで。意識的に追っていないと耳にする機会はガクンと減ります。最近眠る前にリラックスしたいなあなんて思ってYouTubeなどでそれらしい動画(というか音楽/音が目的ですが)を探してみたりするのですが、どうもイマイチ、ピンとこない。何か違う。いくつか好ましいものもあるのですが、往々にして違和感がある。何だろうなあと思ったら直接的すぎるんですよね。メロディがばっちり使われていたり、アタックが強すぎたり、主張が激しいのです(ネガティヴな物言いでスイマセンが!)。

その点でどうですか、この“Music made out of music”は。根底にビデオ・インスタレーションというものがあるせいでしょうか、音が主張していないのです。添え物というと語弊があるでしょうか、空間を引き立ててくれる、あるいは空間を形成する役割を果たしてくれるのです(私にとっては)。何か特定の景色が鮮明に浮かんでくるわけではないのです。乳白色の曖昧模糊としたような、何か薄い柔らかな布をクシュクシュと丸めて広げ、それを透かして世界を見ているような、ドリーミィなイメージ。そう、ヴェールで包まれたような。ゆるやかに上下するシンセの波、しずかに湧き出る音の粒。なんら意図を感じさせない、自然の湧水や山々を渡る風のような、さりげない、けれど確かな動き。とても心地よく、安心します。

気になった方は、ぜひほかの作品もどうぞ!


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Grant Summer – Music made out of music




øjeRum – fraværsminder [PH019]

 øjeRum - fraværsminder [PH019]

 – Tracklist –
 01. ()
 02. sort
 03. ()
 04. Ikke For Ingenting
 05. ()
 06. Sange Til Den Sidste Sol
 07. ()
 08. Ormene Ved Himlens Port
 09. ()
 10. ()
 11. Mens Blodet Siver Fra Solens Ører
 12. ()
 13. En Sten Af Faldende Øjne
 14. ()
 15. Tilstand Uden Mørke
 16. ()
 17. Intet Ansigt
 18. ()



 - 06. Sange Til Den Sidste Sol



 - 09. ()


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  :: *Limited Edition Cassette is available. / Special Edition is also available. ::

 Release Date : 2015.02.16
 Label : Phinery

 Keywords : Acoustic, Guitar, Lo-Fi, Melancholy, Minimal, Sad, Solitude, Vocal.


 Related Links :
  ≫ øjeRum
  ≫ øjeRum on SoundCloud / on bandcamp


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暗い!とにかく暗い!

でも暗闇ではない。扉の外にある思い出、のような暗さなのです。誰しもある程度の年数を生きてくればあるでしょう。臭いものには蓋をしろとばかりに、記憶のどこかに扉を設けて鍵をかけ、その中に押しやっている、思い出。それは何かの拍子に鍵が緩み、あるいは扉の立てつけが悪くなり、フッと扉の下や縁から、記憶の前面に漂い出てくる。いやあるいはこうだ、鍵をかけて閉じこもっているのは“私”であり、一切合財を外に―扉の外に、置いてきているのだ。あらゆる記憶が、何を見ても思い出される記憶が、痛みにしか繋がり得ないとしたら(ずいぶんな痛がり屋だ)、何もかもから手を引いて、自分だけの空しい王国に閉じこもりたくもなるかもしれない。だから、扉の外におびえ続けているし、閉じこもっている自分にも何もないから、だから空っぽであり、暗いのである。そんなわけで、今作は暗い。非常に暗い。だが真っ暗ではない。“私”は生きているし。外の世界も存在しているから。

ヒスノイズをたっぷり含んだLo-Fiなテクスチャーの中で、ポロポロとつまびかれるミニマルなギターフレーズ、ボソボソとつぶやくように唄うヴォーカル。悲しみよりも枯れ。涙を出し尽くしたあとの虚脱。ふと、初期のL’Altra(ラルトラ)を思い出しました。“Music of a Sinking Occasion”の頃。枯れていて、でも、そこにはそれにふさわしいエモーションが存在していて。歌における感情表現は何も声を張り上げるだけじゃないんだなということを教えてくれた、あの作品を思い出します(watch the video ≫ ‘Room Becomes Thick’)。

2014年発足、デンマークのアート&サウンドレーベル、Phineryより。ヴィジュアル・アーティストでもあるøjeRumことPaw Grabowskiの作品。これまでにも複数のリリースがありますが、基本カセットテープ、CD、デジタルデータのフォーマットです。そして過去をたどっていて驚いたのが、2007年にRain musicからリリースを行っていたこと。Rain musicはレーベルとしての活動はだいぶ前に停止しており、リリース数は多くなかったものの、いわゆるネットレーベルというシーンの拡大と発展に、少なからず貢献したレーベルだと思っています。そんなレーベルからリリースを行っていたアーティストが、2015年の今また、私の目の前に現れたということに、奇妙なめぐりあわせを感じます。

タイトルが‘()’だけのトラックがありますが、これは基本インストゥルメンタルになっていて、対して、タイトルがつけられているものは歌が入っています。こんなのいつどのタイミングで聴くんだよ?という声も聞こえてきそうですが、“休日はどこへも行かない”という選択もあるんですよみなさん。外に出て人と触れ合うだけがメンタルヘルスを健全に保つ方法とは限りません。適度な遮断(あるいは取捨選択)というものが必要な時もあるのです。エイミー・トムスンの“ヴァーチャル・ガール”という小説の中で、主人公の少女(彼女はロボットだ)マギーが、初めて外の世界に出たときに、あまりにも情報量が多すぎて回路がショートしてしまうという描写がありましたが、それと同じように(というのは強引ですが)情報・刺激などいらないというときもあるでしょう。そんなときには、この作品を聴きながら閉じこもるのです。暗い。いやいいんです。暗いんだから。光あるところには必ず闇があるのです。

ちなみに先述した2007年の“There Is A Flaw In My Iris”では、“枯れ”とは違うイメージを感じるものもあったりして、興味深いです。‘il y a’とか、とってもヘヴンリー―



 - il y a (from “There Is A Flaw In My Iris”)


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