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タグアーカイブ: Nature

quietest – chime [nvr048]

 quietest - chime [nvr048] Cover

 – Tracklist –
 01. chime01
 02. chime02
 03. chime03
 04. chime04
 05. chime05
 06. chime06



 - 03. chime03


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 Release Page
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 Release Date : 2017.05.11
 Label : Noisy Vagabond

 Keywords : Ambient, Field Recordings, Meditative, Nature, Wind Chime.


 Related Links :
  ≫ Transient on SoundCloud


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Noisy Vagabondはアメリカのプロデューサー、TransientことCarl Martinが自身の作品をリリースするために設立したレーベル。90年代初期から音楽を作り始めたTransientは、これまでに世界中の沢山の(ネット)レーベルから、多くの作品をリリースしてきています。Discogsを参照すると、そのリリース数は50以上、トラック数は500以上、再生時間は40時間以上にもなるとのことです。

そしてTransientといえば、Trip-Hop, IDM, Downtempoを基軸としたElectronic musicの作り手であり、私もそのような認識しか持っていなかったわけです。その頭で今作を聴いた私はいたく驚いたのです。何故かと言えば、ここにあるのは非常にリラクシンなAmbient musicだったからです。メディテイティヴといってもいい。彼は多くの別名義を使って作品をリリースしていて、このquietestもそのひとつということになりますが、quietest名義では今作のほかに“Cold”という作品が1作あるのみ。調べてみると、このquietestという名義自体が、Transientとしてリリースしたquiet trilogy(“quiet”, “quieter”, “quietest”の3作)と同傾向の作品をリリースするための名義になっているようで、Ambient、リラクシンなサウンドが意図されているようです。知らなかったなあ。

オーケストラルでシネマティック、ときにはピアノを用いた静謐でメランコリックなサウンドスケープを作っていたquiet trilogyと比較すると、このquietestという名義で作られるサウンドは、もう少しラフなイメージがあります。コンセプト、傾向性は確かに一致しているが、サウンドの幅がそこまで限定されていない。そう感じたのは、今作がこれまでのどれとも違う、Field Recordingsによる環境音を利用した、自然(ネイチャー)な感覚にあふれているからです。それに合わせて、各トラックでミニマルな持続音が散りばめられていて、たとえばそれはウィンドチャイムにインスパイアされたという今作の成り立ちと大いに関係があるのだろうけれど、私が勝手に水琴窟Ambient/Electronicaと呼んでいる、点在する電子音をディレイ、リバーヴさせて描くサウンドタペストリーは、ときにはリスナーを無我の境地(のようなもの)へといざない、またときにはリラクシンな瞑想気分へといざなうのです。

メロディを味わうという意味では、quiet trilogyや“Cold”には、まったく歯が立ちませんが、環境音楽、Ambient musicという点では、他のどれよりも圧倒的存在感(Ambientなのに存在感とはこれいかに)。いつになくストレートなジャケットイメージも好感触。緑の中にたたずむガールはそこはかとなく幻めいていて。ノスタルジアと共に。エバーグリーン。

1トラックほぼ10分。計60分=1時間の精神的逃避行。


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An album of generative ambient inspired by wind chimes.

(CC) by – nc – sa 3.0



Wondering Albatross – birch

 Wondering Albatross - birch Cover

 – Tracklist –
 01. Norilsk
 02. Ust’-Kut
 03. Nyurba
 04. Oymyakon
 05. Aykhal
 06. Gyda



 - 02. Ust’-Kut


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 Release Date : 2017.03.24
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Beatless, Calm, Drone, Nature.


 Related Links :
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ふとFacebookのタイムラインで流れ来たのが、この作品でした。ポストしてくれたのはricrdo。彼は頻繁に音楽関連の投稿をしている―日本の音楽も多く、Number Girlや横田進なんかもある―ので、これも他の人の作品、つまりレコメンドなのかなと思っていたんですが、どうやらご本人の別名義のようですね(違ったらゴメンナサイ)。そんなricrdoも日本のレーベルEasy + Niceから編集盤“Spica”を発売したばかりですが、それはここでは置いておいて―

このWondering Albatrossのサウンドが非常にいい! 言ってしまえばAmbient/Droneだし、そんなのみんな一緒じゃないかって思う人もいるんでしょうけれど、複数作品を(聴く耳をもって)聴いてくれば、そこに傾向性の違いがあるというのは感じ取れると思うんです。私の場合は手法ではなくて聴取感(聴いた感じ)で区別するしかできませんが、こういうピュアなトーンのAmbient/Droneにおいてさえも、やはり“トラック”ごとの違いというのはあるわけで。たとえばArcticology(おそらく活動終了してますね)とか、The Inventors of Aircraftとか、Kendall Stationとか、alessとか、netaudio界隈における私の好きなAmbient/Drone作家もいるわけですが、それぞれやっぱりちょっとずつ違う。そしてこのWondering Albatrossも同じく、やっぱりちょっと違う。

イメージでいうと、何にもない陽だまりっていうかね。制作者のイメージと異なるかもしれないけれど。あるいはあるがままっていうか。それは自然といってもいいのか、どうか、自分でもよく分からないのだけれど。まあ大きい目で見れば人間も自然の一部だとは思いますが、人の手が入っていない、そのままの存在というか―陽が上り、雲は流れ、木々は風にゆれ、やがて日が沈むと、空には月と星が輝き、草木も眠る―その何でもないサイクル、そこにおける思考の欠落、何者の意志も感じさせない、その在り様が、ただひたすらに、心地よい。ポジティヴな意味で空っぽなんですよ。無。into the void.

私の中で今作のイメージに非常に近しいのは、Aphex Twinの‘Rhubarb’なのですが、そちらはややドリーミィな調子があるのが違いと言えば違い。何もかもを曖昧な輪郭にして、過去へと(あるいはここではないどこかへと)押しやり、その結果、私の現在が(一時的に)空っぽになる。それは決して悪いことではなくて、その瞬間、まるで自分が自然の一部になったような、存在しながら存在していないような、不思議な錯覚に陥るのです。冷たくもやさしくもないその許容ですが、なぜだか私はとても安心するのです。

ということでせっかくなので、上に挙げた4者の、特に好きなトラックを以下に示して終わりといたします―



 - Arcticology – Polybius (from “Music For Daydreamers” [earman053])



 - The Inventors of Aircraft – A way in (from “As it is” [RB088])



 - Kendall Station – Mend (from “Mend” [tube233])



 - Aless – Like Looking Through Broken Glass (from “i’mmobile” [DIST017])


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Cover photo by Oddbjørn Kvalvik

開花 tree – Fiori di l’amuri [AM014]

 開花 tree - Fiori di l'amuri [AM014] Cover

 – Tracklist –
 01. رؤى حديقة
 02. 完璧な晴天
 03. 今まで私があれば
 04. 森の秘密
 05. 月明かりに照らされた湖
 06. Cunchiusioni



 - 02. 完璧な晴天


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 Release Date : 2016.09.05
 Label : Adv. Materials

 Keywords : Ambient, Drone, Flower, Love, Melodic, Mystic, Nature, World.


 Related Links :
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2015年設立のAdv. Materialsより。開花 treeの作品です。といっておきながら、“by TDS”というクレジットがありますね。Vaporholicな方ならいざしらず、私のようにTDS=The Downward Spiral?なんて思う人はいないかもしれませんが、まあとにかく誰ですか?ということで、いつの間にかめっきりこの界隈(だけじゃないかもしれない)の作家を網羅し始めているDiscogsを頼ってみましょう。するとTDSはTelepathic Data Storage、あるいはDefunctの名義を持っていて、さらにはsaki 夢も参加する“Aquatic Airlines 魚の平面”のメンバーでもあることが分かります。またDiscogsでも関連性は示されていませんが、TDSはDOAT―Death Of A Telepathでもあり、Pure Lightでもあるようです。複雑ですね。

しかし今TDSのものと思しきbandcampを訪れても上記の名義による作品は一つとしてなく、Soceco(社会経済学:Hantasi & Seoul?)へのリンクがあったりして、頭を整理するはずが逆に混乱をしてしまいました。どこかにミッシングリンクがあるのかもしれませんが(偏執的にディグれば関連がありそうな他の名義も出てくる)、それを探すことがこの投稿の本願ではないので、追及はここまで(しかしVaporな音楽のこういったディグり甲斐―サンプルの元ネタも含め―というやつも、その魅力の一つではありましょう)。

DOATの“Wolrd 1”ではストレートなChip music、“Deep Into The Rave”ではRaveでありつつもストレンジなElectronic musicを、pure lightの“ߣ≠©«¡ø≈¥αåø”ではささくれ立ったHardvapour、defunctの“aquatic sketchbook”では、ミニマルでfish dreamなAmbient musicと、名義、作品ごとにスタイルを変え、その芯を見せることをしない不思議な作家さんです。本当に一人なのか、複数人ではないのかと疑問も浮かびますが、“aquatic sketchbook”について“defunct (known for her work as DOAT) ~”という記述があるところを見るに、どうやらソロのよう。何にせよ、気になる方は深く掘ってみてください。

肝心の本作はといえば、Ambient/Droneサウンド。無味無臭、ピュアなトーンのそれとはまた違っていて、ゆるやかでミニマルなフレーズがリフレインすることで、淡いメロディが形作られている。虫の声や風の音にも聴こえる効果音や、ウィスパーヴォイス、エスニックな音色も散りばめられていて、知らず、私の脳裏には、霧に包まれた山々とでもいったような、神秘的で幽玄な景色が浮かんでくる。

他の作品についても決してVaporWaveに正面からアプローチしたサウンドではないけれど、それは今作も例外ではなく。Adv. Materialsのカタログには排水溝ヴォイスを活かしたVaporWaveサウンドが多いけれど、そのような背景、文脈を無視すれば、およそ今作はVaporWaveとは関連性を見いだせない。ラストのトラック‘cunchiusioni’に至っては、Piano、ストリングスの感傷的なメロディにDowntempoなリズムを持ち込んだ、ちょっと涙腺が緩むくらいの抒情的なものになっていて、それはこれまでのTDSに絡む作品とも違うし、開花 tree名義の前作“ドリーミング桜”とも違うし、また今作収録のほかトラックとも違うし、これには素直に驚かされた。

タイトルの“Fiori di l’amuri”は直訳すれば“花の愛”という意味になるようです。使用されているイメージやトラックタイトルもロマンチックなものになっていますが、作中の視点は自然の神秘性から始まり、それは徐々にミクロに向かい、花の持つ美しさとそれゆえの儚さに収斂し、そして幕を閉じるような。

トラックによってはTranceやShoegazeのエッセンスも感じられるし、開花 treeが真に上に示したような複数名義を持つならば、まったくもってその音楽的な引き出しの数と、そこにある深さは杳として知れない。


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by TDS

(CC) by – nc 3.0



TREEREFLECTION – OVERCAST [BLCR – 0028]

 TREEREFLECTION - OVERCAST [BLCR - 0028]

 – Tracklist –
 01. MORNING
 02. AWAKE IN THE SLEEP
 03. WET
 04. BODY WITHOUT A SOUL
 05. ESSENCE
 06. LAST BLOOM
 07. I AM (FEAT. PLAYA DEL ANKH)



 - 03. WET


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 Release Date : 2016.02.25
 Label : Bloody Carpet

 Keywords : Ambient, Beats, Dark, Drone, Nature, Shoegaze.


 Related Links :
  ≫ TREEREFLECTION (a.k.a. 木の反射) on SoundCloud / on bandcamp

  ≫ PEGA (a.k.a. PEGA速力) on SoundCloud / on bandcamp


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苔むした樹木の表面を映したこのジャケットイメージに惹かれたわけですが、よくアーティスト名を見てみると、TREEREFLECTIONとある。TREEREFLECTION? 直訳すればTREE = 木、REFLECTION = 反射。どこかで見た名前ではないかと思って、リリースページにあるSoundCloudへのリンクをたどると、その先でたどり着いたのは、やはり“木の反射”のbandcampであった。そして彼―木の反射が2015年末に2作目にあたる“Body [Disc II]”をリリースしていたことも知ったわけですが(ついでにいえば、同時期にNo Problema Tapesから、1作目と2作目を合わせた“Body [Disc I] + [Disc II]”を、カセットテープでリリースしている。デジタルフォーマットでも入手可能) 、そちらは前作を踏襲したNewAge~Orientalなフィーリングを持ったmeditativeなAmbient/VaporWaveになっていました。

おそらくそのあとに名義を“木の反射”から“TREEREFLECTION”に変更したのではないかと思うのですが、もしかしたら今後も使い分けていくのかもしれません。木の反射はもともと“PEGA速力”(現在は“PEGA”)として、Smooth JazzやLounge、AORの要素が強い、ストレートなMallsoft/VaporWave作品を作り続けていましたが(今も続けてます)、その一方で木の反射名義で、VaporWaveの手法を利用したAmbient作品を作ってきたわけで、ここにきて名前を変えるということが、果たして何らかの意味を持っているのだろうかと、考えてしまったわけですが、とりあえず聴いてみると、これがまたPEGAとも木の反射とも違っていたのです。おそらく何の手がかりもなければ、同じ人物が作ったとは見抜けなかったでしょう私。

Dark Ambient~Beats musicを感じさせる、非常に暗い作風になっています。ジャケットイメージやタグからもおそらくは自然をイメージしていると思われますが―森でしょう―、なるほど確かに、鬱蒼と樹木が茂る暗い森を音像化したような聴き心地。厳かな雰囲気も持った、Droningされたレイヤーは、森に立ち込める白いミストのよう。M-2‘AWAKE IN THE SLEEP’などは、あるかなしかの人声(ささやくような)がミストの向こうから聴こえてくるような、絶妙なエフェクトがほどこされていて、ミスティックなイメージを描くことに成功しています。

そんなダークなイメージを持つ流れの中で、異彩を放つのが、M-3‘WET’やM-7‘I AM (FEAT. PLAYA DEL ANKH)’、前者はAphex Twinの“Selected Ambient Works Volume II”にも通じるような涅槃を見せるAmbient/Drone、後者はDeepでコズミックなレイヤーの立ち上がりから、やがてエモーショナルなギターが鳴きはじめ、けれどそれはVaporWaveの音作りとはどうやら違うように感じられるという、意表を突くトラック。

M-4‘BODY WITHOUT A SOUL’にしても雨音と振動するビートの合体であったり、M-5‘ESSENCE’やM-6‘LAST BLOOM’も、変調するシンセレイヤーの滞留が神秘的でありながらも仄暗いシーンを演出するなどしていて、これまでの作品では見せていなかった部分を如実に感じることができます。そう考えると、名義の変更というのがやはり作風の変化と結びついていると捉えることもできますが、果たしてこれから先も今作のような作風で通すのか否か、気になるところですが、そこは要注目ということで。



Jaime Munarriz – the Contemporary Mountain

 Jaime Munarriz - the Contemporary Mountain

 – Tracklist –
 01. forst
 02. swarm
 03. haze
 04. mdow
 05. scrttts
 06. nort



 - 01. forst


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 Release Date : 2016.02 (2004)
 Label : Exp-net

 Keywords : Ambient, Electronic, Forest, IDM, Nature, Mountain.


 Related Links :
  ≫ Jaime Munárriz on Facebook / on SoundCloud


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Jaime Munárrizとjavier piñangoによるエクスペリメンタル系ネットレーベル、Exp-netより。Jaime Munarrizの作品です。2004年に作成あるいは公開されていたようですが、今回2016年に改めてリリースされた様子。

Jaime Munárriznの活動自体も多岐にわたっているようで、私把握できておりませんが、活動歴は長く、いくつかのグループにも所属してきたようです。Discogsなどを見ても、全活動が網羅されているようには思えないので、気になる方は自力で調べてください。今作に関しても今のところレーベルのカタログにも含まれていないようなんですが、どういう扱いなんでしょうね。手が行き届いていないだけかも知れませんが。

同レーベルから複数作品をリリースしてきていますが、もともとがアブストラクトなElectronic musicを作る人のようなので、今作も決して聴きやすい作品ではありません。私も正直、申し訳ない話ですが、期待して聴いたわけではないのです! “ambient”, “nature”, “forest”, “mountain”という、今作に付されたワードを見て、どんな作品かと、ミステリアスなものを感じたわけです。Field Recordingsかな?とか、予想はしたんですが、ちょっと違いました。まずは何はなくともこのM-1‘forst’のインパクトですわ。ベロベロした即興的な、弦楽器か何かわかりませんが、奇妙な楽器音が若干の水っぽいエフェクトとともに流れてくる冒頭。やがてはじまる獣たちの咆哮、鳥のさえずり、バックの音はゆがみ、夜の山のような、厳かでありながらカオスな気配。Dark AmbientやDoomのフィーリングもあるんですが、踏込はしない。その混沌具合、これだけでもけっこうなインパクトなんですが、そこに何ら奇をてらった様子もない、ノーマルなリズムをまるで気まぐれのように挿入してくるという、なんでここにこのリズムなんだ?と、ビックリついでに笑いそうになりました。そんなM-1が断然ハイライトなのですが、そうなると続きも気になりますよね。

M-2‘swarm’はハエの羽音とやはり即興的な弦の音が鳴る小品、M-3‘haze’は波か風の音のような自然音と、テロテロした浮遊感のある音色が交錯する白昼夢サウンド、M-4‘mdow’はもっともストレートなトラックでスリリングな森林探索シーンを演出、M-5‘scrttts’は今の耳で聴くと何だかNewAge調にも聴こえるシンセレイヤーと細やかな電子エフェクト、やはり遠くで聴こえる弦楽器の爪弾きがよいスパイスになって、Psychedelicなサウンドスケープ、M-6‘nort’は水の上で乾いた木片がぶつかり合うような、コロコロした効果音が始終鳴り響く中で、弦楽器が錯綜しつつ、終了。

即興演奏(決してそれが主ではないけれど)と自然のイメージってのは相性がよろしいようで、留まることをせず絶えず変化し続ける自然(この場合は“山”ですね)のありさまにアプローチする音楽的手法としては有効なんだなあと、何となくですが思いました。先にも書いたように決して聴きやすいサウンドではないんですが、テンションの感じられる、面白い作品だと思います。


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(CC) by – nc – sa 3.0



Aokigahara Online – Aokigahara Online

 Aokigahara Online - Aokigahara Online

 – Tracklist –
 01. Birds
 02. Rain
 03. Wind
 04. Forest



 - 04. Forest


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 Release Date : 2015.11.12
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Aokigahara, Melodic, Nature, Nostalgia, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ Aokigahara Online on SoundCloud / on bandcamp

  ≫ Dan Mason ダン·メイソン on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp


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以前にしれっとMIXTAPEにも入れさせてもらった、Aokigahara Onlineの作品が、しれっとリリースされていました。てっきりSoundCloudで完結してるかと思ってしまった。すべて現時点でSoundCloudで公開されていて、この4トラックしか公開されていないので、これで終わりなのかなあ、どうなのかなあと心配していたりもしますが、まずは聴いてみましょう―と、その前に。

ネーミングセンスって重要ですよね。ネット上で音楽を探す場合って、やっぱり聴く前にヴィジュアルイメージだったり、トラックのタイトルだったり、アーティスト名だったりが目に付くわけで。極端な話、そこで目を引かせれば、まずは成功ということにもなるかと思うんです。それを踏まえないと、聴くという行為にまで至らない、なんてことは多くの方が経験しているのではないかと思います。そういう意味でこの“Aokigahara Online”て絶妙だと思いませんか。少なくとも私はこの名前を目にして、“あ、聴こう”って思いました。“センチメンタル過剰”とか、“無罪モラトリアム”とか、その辺りと似た感覚(もちろん他にもそういうのは沢山ありますけど。今思いつくところだと“純愛ラプソディ”とか“サイケデリック後遺症”とか。ああ、わりとどうでもいいね!)。

近年だいぶ払拭されてきたとはいえ、いまだに後ろ暗い(そしてミステリアスな)イメージを持つ青木ヶ原という地名をVaporWave作家の名義として用いるという、このセンス。すごい好きです。アウトサイダー的な傾向を持ったある種のVaporWaveのイメージと見事に重なる。ハマりすぎ。そのあとに付くのが“Online”ですからね。青木ヶ原とインターネットっていう私の頭の中ではまるで結びついていなかった二つのワード、イメージが、結びついたときの、この気持ち良い違和感。そこにあるインターネット上における仄暗い異界感、アウトサイダー感は、ますますVaporWaveと合致する。

てっきりドロドロしてるサウンドかと思ったら、ぜんぜん違ってて、むしろ積極的な聴取を促すに十分なほどのメロディが流れていて、非常に聴きやすい作風になっています。ウタモノのヴォーカルラインや自然音などを過剰な編集なしに取り入れていて、その響きはときにスピリチュアルで、NewAgeにも通じるかと思います。M-2‘Rain’などは、どこかOrientalで、失った何かとそれに対する郷愁を感じさせる、今作のハイライトのひとつ。ちょっとチャイルディッシュな調子のコーラスとも結びついてのことなのか、私の中では、その郷愁とロスト感(喪失感)が、夏(夏休みとはちょっと違う)に結びついていくのです。

サウンドのバリエーションも4トラックで異なっていて、M-3などは、Ambient/Drone~Noise/Shoegazeにまたがりながら、エコーイックでスピリチュアル(底の方に讃美歌のようなコーラスが流れている気がする)を作り上げ、作中でもっとも荘厳な一瞬に。そのあとのM-4‘Forest’はちょっとビックリするくらいメロディに寄せた作りになっていて、シンセチックなサウンドとこれまたコーラスを組み合わせて、得も言われぬノスタルジア、私恍惚としてしまいました。見せ方を変えればおそらくLuxuryな方向にもできたと思うんですが、Aokigahara Onlineという名前でやるならこっちが正解だと思います。

というわけでホントに素直に聴きやすい、よい作品だと思います。MelodicなVaporWave作家として―いやそうでなくとも、今後もトラックを作り続けてほしいです。期待してます。

※Aokigahara Online is Dan Mason ダン·メイソン.



XZICD – Rotodyne [BSL058]

 XZICD - Rotodyne [BSL058]

 – Tracklist –
 01. Endless Forms Most Beautiful
 02. Preferential Blue
 03. Magliabechiano
 04. Demimonde
 05. Tsifteteli
 06. Transient Leviathans
 07. Facixtil
 08. Brísingamen
 09. Heracleion
 10. UVB-76
 11. Quetzalcoatl (with IQbit)
 12. Demeter
 13. Xenophon’s Exile
 14. Cladonota Inflatus
 15. Runes Of Apocrypha



 - 01. Endless Forms Most Beautiful


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 Release Date : 2015.11
 Label : BRAINSTORM LAB

 Keywords : Ambient, Electronic, Field Recordings, Glitch, IDM, Nature, Sea.


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なかなかに印象的な作品です。Deep Sea IDM/Electronica、ないしはCold Sea IDM/Eletronica。XZICDの作品は全部聴いているわけではないのですが(むしろ申し訳ないことに聴いている作品の方が少ないです)、少なくともいつもいつもこの作風ではないと思います。

作品の後ろに何があるのか語られている様子がないので、こちらで勝手に考えるしかありませんが(それも楽しいです)、この作品と結び付けられそうなNetlabel/Netaudio作品がふたつ、私の頭に浮かびました。ひとつはロシアのAmbient/Drone/DoomプロジェクトであるNubiferousが生み出した傑作Dark Ambient“Behind The Megalithic Walls”(2010)、もうひとつは北ウェールズのAmbient Electronicプロジェクト、Mank(Ben Powell)が2008年にリリースした“isbjorn”。 どちらもキーワードは“海”です。前者は深海の深さや暗さといった、重い側面をDark Ambientで巧みに描き、また後者はその広大さや包容力、そして厳しさが、美しく冷たいサウンドによって描かれていました(特に“isbjorn”は極地研究のロシア探査船上で作られたという異色の出自です)。

私としてはその並び―海を音像化したElectronic music―に今作を加え、そして良作として認定したいのです。このジャケットイメージがもうスゴイ好きで。シロイルカみたいな(ハッキリはしない)生物が身体を波打たせて、暗い水中を泳いでいるような、神秘的でちょっと怖くもある、そんなイメージが、見事に今作のサウンドを象徴しているのです。海に対するイメージって人によって全然違うでしょう? 簡単にいえば好きな人と嫌いな人がいて。たとえばダイビング大好きな人もいれば、そんなの冗談じゃないって人もいるし。その広大さは怖さにも、安心感にも結びつくのです。私はどっちかっていうと神秘性を感じる方で、やっぱりそれは好きという感情とはちょっと違うんです。嫌いというよりは畏怖の対象。

この作品は海に対するそんな感情性を打ち破ったような、不思議な聴き心地なのですね。フォーマットが硬質なIDM/Electronicaということも関係しているのでしょう、冷たくクールな音像なのですが、それは決して拒絶的ではなくて、むしろフラットなのです。手を広げてもいないし、かといって背中を向けているわけでもない。ただそこにあるもの。とでもいうような。M-1の‘Endless Forms Most Beautiful’がスゴく好きなのですが、なんでしょうこのネイチャー感、イルカの鳴き声なのかな?キューキューとしたロングトーンの音がフィーチャーされていて、なおかつ水中における音のくぐもりやその動きを音像化したような絶妙なサウンドエフェクト、さらにはシュゴーッ、ゴワァァァンとした重力空間、もうたまらなくElectronicネイチャー(電子音によって自然が描かれているという意味です)。それでもリズムにはGlitchなんかも入ってるし、やっぱりフォーマット、スタイルとしてはIDMなんですよ。そこが面白いなあと。AmbientやDroningなサウンドではないというところが。M-14‘Cladonota Inflatus’なんかはちょっとDroneっぽい響きもあるけれど、でも奇妙なリズムとエフェクトで上手いこと回避されている。M-6‘Transient Leviathans’の断片化したアコースティックな響きを雑音的に散りばめたサウンドメイクもユニーク。映画のスコアっぽい。IQbitを招いた‘Quetzalcoatl’ も、軋むような水音をリズムにしつつ、別のリズムでトライバル感のぞかせてネイチャーに寄せつつも、何ならちょっとSF臭が漂う重金属感があって、これは作中でも異彩を放っています。

全編で上のElectronicネイチャー感が遺憾なく発揮されていれば傑作間違いなしだったのですが、若干のトーンダウンが見られるのと、最近私が長尺な作品を聴くのがしんどいということもあって(完全に個人的事情!)、いわゆる満点にはいたらず。でも最近聴いたこの手の音の中では非常に印象的でした。面白い。イマジネイティヴ。


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Credit :

Written and Produced by Francisco Godinho

Rotodyne Collaborations with:

IQbit – Main Synth on ‘Quetzalcoatl’ (soundcloud.com/iqbit)
Nina Kardec – Vox Samples on ‘Heracleion’ (soundcloud.com/ninakardec)

Mastering: Sonic Bat (facebook.com/sonicbat)
Cover Photography: Francisco Godinho
Cover Design and Layout: GeeOhDee (geeohdee.com)
Released by: Brainstormlab (brainstormlab.org)

(CC) by – nc – nd 3.0