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タグアーカイブ: Noise

MIXTAPE : MYSTICAL ZONE




Forget it.


– Tracklist –

 [00:00] Imachi Akira – Noise Dreams
  from “Lycoris radiata EP” [e09](2009) :: (CC) by – nc – nd 3.0 ::


 [05:42] PACIFICO CORP/国際 – ジャングルに深く
  from “アフリカへの旅” (2015)


 [09:02] Magnétophonique – Ghosts Dance
  from Les Halles / Magnétophonique – “Split II” [CR-08] (2013)


 [11:06] .onion – surfing the deepest
  from “YOU ARE LOST . . .” [LMV-110](2016)/ [ mirror


 [14:35] Un Vortice Di Bassa Pressione – to repel ghosts
  from “Anonymous said” [ioenl cdr 002](2009) :: (CC) by – nc – nd 3.0 ::


 [20:05] Friendzone – CHUCH
  from “’COLLECTION I (REMASTERED)” (2012)


 [23:24] Okkoto / / 돌로 – 420 / / 음식
  from “5F Dept. Store” (2015)


 [26:10] Karen Weatherly – Magical Passes
  from “A Separate Reality (2nd Edition)” (2015)


 [28:48] AirMosaic – Speculative Bubble
  from “Executive Horizons” (2015) / [ version


 [32:44] Mel – Un
  from “Un” [BP018] (2009) :: (CC) by – nc – nd 3.0 ::


 [35:52] Amun Dragoon – Secret Whispers From The Tamate Box
  from “Sinews of Shadows, Temple of Darkness” (2013) / [DL


 [39:12] Adam Lempel – Claire De Lune
  from “Synthetic Classical MIDI Scores” (2009)


 [44:16] iN. – Snowtrap
  from “Nowhere Here” [FQP#004](2010)


 [47:47] Foresteppe – Little Bird Cherries
  from “No Time To Hurry” (2013)



CADU TENÓRIO – Rimming Compilation [SW0164]

 CADU TENÓRIO – Rimming Compilation [SW0164] Cover

 – Tracklist –

 Liquid Sky
 01. A
 02. Cyberia (Digital Deathru)
 03. Nozsa Wars
 04. Star
 05. Pirease
 06. Death In Midsummer
 07. Enter The Void
 08. 玄野 計
 09. Mima
 10. アスカ
 11. 2300 AD
 12. Z



 - 06. Death In Midsummer


 Phantom Pain
 01. Goodness Is Only Some Kind Of Reflection Upon Evil
 02. I Am A Sinner
 03. Music For Airports (Airplanes, Hope And Sadness)
 04. LOVE (And Everything In Between)
 05. Destroying Everything (Grindcore)



 - 01. Goodness Is Only Some Kind Of Reflection Upon Evil


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 Release Page Download Free! * = pay what you wish.) :
  ≫ [ sinewave ] / [ Brava* 1 / 2 ] / [ bandcamp* 1 / 2 ] 

 Release Date : 2016.09.06
 Label : Brava / sinewave

 Keywords : Abstract, Ambient, Electronic, Noise, Sample-Based, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ Cadu Tenório on Facebook / on bandcamp


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ブラジルのアーティスト、CADU TENÓRIO。これまでにも複数の名義を用いて、多くの作品を、自身のbandcampやネットレーベルからリリースしてきています。作品の性質に合わせて名義を使い分けているようですが、わりとアブストラクトなサウンドが多く、メロディの立ったものは少ないように感じられます(すべての作品を聴いているわけではないので、反対意見もあるかもしれません)。field recordingsやtape loopsのほかに、さまざまなサウンド、効果音を用いた作風には、サウンドアーティストという呼称が似合うかもしれません。

そんな彼の作品がブラジルのネットレーベルである、sinewaveとBravaからリリースされています。“Liquid Sky”“Phantom Pain”、合わせてRimming Compilationという扱いになるようで、2作同時リリースです。表裏一体といいますか、2つ合わせて完成するということでしょう。なので、決して短い作品ではありませんが、ひとつを聴いたなら、もうひとつも聴くべきかと思いますよ。

で、まあコンピレーションのタイトルの意味もよく分からないんで調べちゃったりするんですが、この“Rimming”って“ア●ル舐め”って本当なのですか。いやどういうニュアンスで使ってるのか実際分かりませんが、少なくともネットの中では圧倒的多数で“Rimming”=“ア●ル舐め”。“ア●ル舐めコンピレーション”ってなかなか歌舞いてるじゃねーか!気に入った!(あんまり書くともともとない品位がさらに損なわれるのでこのワードはこれ以上使いません)。

肝心のサウンドですが、一言でいうならVaporWaveだと思います。リリース側ではその言葉は使われていないようですが、サンプルベースの編集感とモコッとした膨張感、機械的音声(Google翻訳に朗読させたような)による、たどたどしい日本語の挿入、それによる歪さ、また、玄野計、アスカといった日本の漫画、アニメから引用されたと思しき人物名を用いながら、それがサウンドに直結していない不可思議感、総じて醸し出される決して明るくはない、それでいて煙に巻くようなこの佇まいにはやはりVaporWaveという言葉がよく似合います。加えて“Cyberia (Digital Deathru)”のミュージック・ビデオは、冷めたエディットサウンドをさまざまなダンスムードに乗せて流し、そこに生まれる冷徹な視線、思考がサイコを感じさせるナイスな映像なのだけれど、一部に“PERFECT BLUE”が使用されていて、やっぱり方向性としてはVaporWaveを強く感じます。具体的に言うとOPNの“R Plus Seven”の影響があるような。狂騒と、冷たさと、不安と、宗教感。灰色の地下通路―息詰まりと内臓感覚。

というのは“Liquid Sky”の話で、“Phantom Pain”はけっこう何というか、いろんな意味で面白く、そしてシンドイかもしれません。M-1‘Goodness Is Only Some Kind Of Reflection Upon Evil’なんてエロさとエグさがまぐわったこのグロテスクかつ荘厳な音像は何でしょうか。苦悶、嘆きの声からやがて口淫の様子へとスライドしていく20分弱(!)のサウンドアート(と呼ぶべきなのか)。途中一回オーケストラルな感じといいますか、ブワッと包み込んでくるような音空間になるのが面白いですね。残りのトラックもこの流れで行くのかと思いきや、続く3トラックは静かめの荘厳Ambient、ラストはスクリームなNoiseから狂宴の終幕を示すかのようなサイレントな幕引きで締められています。

正直何回も聴けるような作品ではないかと思いますが、頭の中が混乱しているといいますか、考えることがありすぎて、でもそれは別に考えなくてもよいことで、でも考えちゃう、こいつをなんとか黙らせたい、なんてときに、聴いてみるとよいのではないのでしょうか。ぜんぜん即効性のあるサウンドではありませんが、不思議なパワーを秘めていることは間違いありません(“不思議なパワー”とかいうなんと胡散臭い表現!)。過去のサウンドに付随するビデオも見てみましたが、けっこうグロテスクな表現があったりして(映像は引用がほとんどですが)、私の好みです(とプライベートではなかなか大きな声でいえないので、ここで言っておくのです)。

にしてもsinewaveといえばPost-Rockというイメージがあったので、こんな作品も出すんだなあと少し驚きです。と、書いたところで気づいたのですが、このCadu Tenório、過去にも同レーベルからリリースしてまして、私のHDにも入ってました・・・! 失念しておりましてすいません・・・。情けない締め。


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Cadu Tenório – Procissão (from Vozes






Cadu Tenório – Cyberia (Digital Deathru)



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Credit :


 Liquid Sky

Recorded by Cadu Tenório at 503 except “Nosza Wars”, “Enter The Void” and 2300 AD recorded at centro municipal de arte Hélio Oiticica. by Emygdio
Mixing: Cadu Tenório & Emygdio
Mastering: Emygdio
Art: Lucas Pires
Photos: Fernando Teixeira

Additional screams on “Nosza Wars”, whispers on ” Enter The Void” and objects on”2300 AD”:

Gaspar Cohen Cordeiro, Mariana Miguel Khouri, Mauricio Mattos, Rafael Marinelli, Rafael Bandeira, Nicolas Espinoza, Pedro Rangel, Eduardo Mariaachi, Carlos Messina, Wisrah Villefort, Daelma Xavier and Malu Laet

Additional field recordings on “Enter The Void” by Mallu Laet

Cadu Tenório: Samples, synth, voices, amplified objects, field recordings and tapes,

Released by Brava & Sinewave


 Phantom Pain

Recorded by Cadu Tenório at 503 except “Nosza Wars”, “Enter The Void” and 2300 AD recorded at centro municipal de arte Hélio Oiticica. by Emygdio
Mixing: Cadu Tenório & Emygdio
Mastering: Emygdio
Art: Lucas Pires
Photos: Fernando Teixeira

Cadu Tenório: Samples, synth, voices, amplified objects, field recordings and tapes,

Released by Brava & Sinewave



MEISHI SMILE LIVE 5.15.15




Meishi SmileがYouTubeにて公開したライヴ映像が過去最高のエモさで大興奮です。

VJなどの視覚的演出にはいっさい触れず、ひたすら彼のプレイをとらえ続けるカメラの視点。

彼の鋭い眼光と絶え間ないアクションが観る者に与えるのは、緊張感とライブ感。

とにかくひとつひとつの挙動が非常にエモーショナルで、その様は、まるでバンドマンが楽器を演奏しているかのよう。

破壊的なエフェクトを絡めつつも、極めてPopにトラックを鳴らし、マイクを使っての絶叫スクリームでノイズなパンクスピリットを見せつける。

たまらなくカッコいいです。

クライマックスはラストの‘PALE’‘TEARS’の流れ。

悲しみを振り払おうと全力疾走しているような、叫びだしたくなるような、あふれ出るエモーション(こんなん泣くわ・・・2.5Dで見たときもそうだったけど)。

そのあとに訪れるノイズストームは悲しみの果ての破壊願望か(この辺りのパフォーマンスもたまらなくパンク)。

いつも頭の片隅に蘇るのは、誰の言葉か忘れたけれど、Nine Inch Nailsを評した言葉で“機械を使っているのに肉体性を感じさせた初めてのバンド”というものです。Meishi Smileのトラックはもちろんマシンによって作られているのだけれど、ここ―この鬱屈した感情を爆発させるようなパフォーマンスにある肉体性は、彼の愛するLimp BizkitやKORNなどのニュー・メタルとも通じるものがあるのでしょう。そんなパンクスピリットと、VGMやJ-Popなどを経由したメロウで煌びやかでPopなメロディが、高いレベルで結実したこのライヴが、胸を打たないなんてことがあり得ようか。いや、ない。

本当に素晴らしい。

私のようなクラブミュージックのシーンに耳を向けていない人間の心を打つことを鑑みても、きっと(いわゆる)ロックファン、バンドサウンドのファンにも迫るものがあると思う。その昔The Chemical BrothersやUnderworldがスターダムにのし上がったときに、その立ち位置について“ロックとテクノの懸け橋”というようなことが言われたけれど、このMeishi Smileにも同じようなことが言えるんじゃないかな。何と何の懸け橋か、私には的確な表現ができないのだけれど、彼がこれまで結びついていなかった“何か”を、見事に“つないで”いる感覚が止まない。

にしても再生回数少なすぎだろ・・・。全人類必見というのは大げさな表現だとは分かっているけれど、そう言いたくなるくらい、私はこのライヴ映像に痺れまくりました。40分があっという間だった。

Thanks for sharing!!!!



C A S I N O ☆★☆★☆ M A S T E R – 勝 者 ! ! ! !★W I N N E R★ [TKX-021]

 C A S I N O ☆★☆★☆ M A S T E R - 勝 者 ! ! ! !★W I N N E R★ [TKX-021]

 – Tracklist –
 01. 勝 者 ! ! ! !★W I N N E R★
 02. ±T R Y A G A I N±



 - 01. 勝 者 ! ! ! !★W I N N E R★


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 Release Date : 2015.07.13
 Label : 東京為替

 Keywords : Casino, CAT’S♥EYE, Noise, Sample-Based, Sound Art, VaporWave.


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依然多くが明かされないミステリアスネットレーベル、東京為替より。C A S I N O ☆★☆★☆ M A S T E Rの新作が登場です。このC A S I N O ☆★☆★☆ M A S T E Rについても詳細は不明。前作の“☆★☆ ボーナススピン幸運 !!!”についても書きましたが、そちらはパチスロ・パチンコのナレーションやホール音をサンプリングしたと思しき、ひたすらにカジノな環境音が詰め込まれたなかなかにエネルギッシュな作品でした。

まさか2作目があるとは思ってなかったし、やるなら思い切り方向を変えてくるかとも思ったんですが、そこはC A S I N O ☆★☆★☆ M A S T E Rを名乗るだけのことはあって、見事に前作の延長線上であり、そして前作を超える作品を投げつけてきました。まあ聴く前にどんなんなってるかなあとか一瞬考えたりするわけですが、これはもうBOOGIE MANの“PACHINCO MAN”(パチンコマン)でもサンプリングしてくるんじゃないかとか安易なことを考えていましたが、全然違いました(余談ですが、PACHINCO MANってホントにパチンコ屋でかかってたんですかね? ≫ “国内最大の自主規制とは?” 皮肉だ)。

この“勝 者 ! ! ! !★W I N N E R★”で使われているのは、アニメ“キャッツ・アイ”の主題歌であった“CAT’S EYE”。はじめは単純に歌を使っているだけかと思ったんですが、よくよく聴いたらさに非ず。パチンコ・パチスロのキャッツ・アイからサンプリングしている様子ではないか!!  しかしこの曲はセルフカヴァーも含めて多くのヴァージョンが存在するので、使われているのがどのヴァージョンなのかは不明。またパチンコ・パチスロ用に独自のものが使われている可能性もあるし、そこまでは調べきれませんでした。

前作には音楽的要素が皆無で、また音響的なエフェクトもほとんど使われていない様子で、ホントにパチンコ・パチスロの環境音(ナレーション含め)をそのまま使用したような作品だったので、音楽が途切れた空間にスロットを押すパチパチとした音が響くだけといったシュールな瞬間もあったのですが、それを考えると今作はかなり音楽的な方向に寄せてきています。しかもどちらかというと歌の方を前面に出してきているし、歌とナレーションと環境音のすべてにエフェクトをかけてきているので、前作のフラットなサウンドイメージとは打って変わって、歪み、膨張し、痙攣するカジノ空間という、特異な空間がここに生まれています。私が以前冗談めかして書いたパチンコゲイズという呼称もあながち似合わない感じではなくなってきています(カジノイズでもいいな)。カジノの環境音にエフェクトをかけまくるという、この枠組みで音を作ってる人はそうそういないでしょう。まさにC A S I N O ☆★☆★☆ M A S T E Rの名に恥じないオリジネイターっぷりです。

加えて、見逃せないのが、曲としては1983年にリリースされた“CAT’S EYE”をチョイスしているところです。ちょっと考えれば分かりますけど、別にこの曲でなくても、このスタイルは成り立つわけです。それこそ歌がなくたって。でも(パチンコ・パチスロという前作からの枠組みを崩さずに)、あえてこの80年代リリースの“CAT’S EYE”を選んでいるというところが、センスを感じます。なぜってやっぱりこの80年代のジャパニーズ・ソングを引用したエフェクティヴなトラック作りはVaporWaveへのアクセスを感じさせますし(でもChopped & Screwedな調子はない)、この感覚は少なくとも前作にはなかったものです。前作と今作、どちらが音楽的に興味深いかというのは、意見が割れるところかもしれませんが、私はただのカジノ環境音でなく、そこにVaporWaveのエッセンスを注入し(しかもそれはカジノ方面と見事にリンクしているわけだ)、新たな一歩を踏み出してきたという点で、今作にはチャレンジ精神・意欲を感じますし、それを踏まえて、やっぱり今作の方が上を行ってると思うわけです。

これによってサウンドスタイルを確立してしまうのか、それともまた別の一手を繰り出してくるのか。次のサウンドにも期待します。果たして次があるのかどうかってところがやはり疑問ですが・・・。



City Developer – Foundation [TKX-014]

 City Developer - Foundation [TKX-014]

 – Tracklist –
 01. Foundation





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 Release Date : 2015.05.07
 Label : 東京為替

 Keywords : Ambient, Cyberpunk, Drone, Noise, Sound Art, Soundscape.


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VaporWaveというタグは似合わないかもしれません。過去から見た想像上の未来を演出している(ように思える)部分で、相通じる部分があるのかもしれませんが、表面的な部分ではVaporWaveらしさは感じられません。cyberpunkというタグを使っているところからも、そういったサイエンス・フィクションな世界をイメージしているのでしょうが、聴いているとどうにも違う景色が見えてきます。

環境音が乱反射する、膨張してゆがんだ音響空間。神秘的なコーラスのようにも聴こえるレイヤー。痙攣・振動する電子雑音―ノイズは、前面に浮き上がったり、また背景に沈んで行ったりと、聴き手の頭の中で、さりげなくヒット&アウェイ。ノイズと表裏一体になって、リバーヴ・ディレイする電子音は、浮遊感と眩惑感を合わせ持った、寝覚めの悪い悪夢のような。

得体のしれない工場の配管から吹き出すスチームのようにも聴こえるシューシューという白濁音もまた、steampunk的な世界観を演出はしていますし、ほぼ全編で聴こえてくる列車の走行音も、その世界観をさらに強いものにしています。と、ここまで文字で説明していると、欲望と絶望が入り混じった鈍色の未来都市がイメージされ(電飾的なイメージはない)、“なんだcyberpunk”じゃんって思うかもしれません。私もそう思いますもん。でも私のイメージを決定的にそこから逸らしている要素が、ここにはあるのです。

それは何かと言われれば、山手線内の発車メロディ(他の路線もあるかもしれない)や、列車の発車・到着のアナウンスなのです。確かに、多くの人に知られているサイバーパンクな作品である、映画“Blade Runner”では、日本というイメージはその世界観において重要な役割を果たしています。しかしどうだろう、実際都心部で暮らす人々の身近にある山手線にまつわる環境音というのは、どうしたって、それを聴く者の頭に、日常につながるイメージを抱かせてしまう。ホームの光景が目に浮かぶ人もいるでしょう。人によってはそれは憂鬱にもつながり得る。サイバーパンクにはつながらない。

と、こう書くと批判的な物言いに思われてしまうかもしれませんが、そうではなくて、私はこの作品に違うイメージを持ったんですよ、という冒頭の話につなげたいだけです。確かに一定のリスナーには日常を感じさせはするのですが、先にも書いたように、今作の中では、それは巧妙に異形化されているのです。ゆがみ、ノイズにまみれている。ここにある、異形化された日常、というのは何でしょう。

そう、ホラーなのです。話が一気にトビますが、そうですね、こんなように電車が絡んだ、日常が異形化していくホラーとは何でしょうか。みなさん思い浮かべるのはそれぞれでしょうが・・・Clive Barkerの“The Midnight Meat Train”なんてのもありますが・・・しかし私の頭にすぐに浮かんだのはもっと俗っぽいところで、ネット発の都市伝説“きさらぎ駅”だったのです。寝過ごした電車で異界に迷い込んでしまうというのが大筋ですが、巨大掲示板を通じてリアルタイムで実況がされたり、その後の伝聞が行われているというのが、ネットならではといったところでしょうか。もちろん信じるか信じないかはあなた次第(by セキルバーグ)なのですが、日常につながる電車にまつわるエトセトラがこうして異形化された今作から、“きさらぎ駅”のイメージが浮かび上がってきたのが、私です。あとはPSソフト“ムーンライトシンドローム”の一篇“開扉”も遠くない(あの電光掲示板が乱れるシーンとか)。

なんか話が脱線しているような気がしなくもないですが、今のところの目標は、今作を山手線に乗りながら聴くというものです。面白そうじゃないですか。サイケデリックなパラレルワールドを垣間見れそうです。しかし私は日常的に山手線を利用するものではないので、なかなか実現は遠いかもしれません。しかも言い忘れたけど今作は約36分のワントラック、つまり一周60分超といわれる山手線に半周以上乗らないと今作を完聴することはできないということです。そんなに長々乗る用事もねえな、ってことで、パーフェクトな目標達成はできそうにないので、代わりに誰かお願いします。

東京為替にはどうしてもVaporWaveを標榜しているイメージがありますが、そんなこと特にうたってませんし(タグには使ってるけど)、実質的にはエクスペリメンタル系のレーベルだと思います。



Oceania LTD – big ol’ brain

 Oceania LTD - big ol' brain

 – Tracklist –
 01. Troma
 02. I’m in love with Jesse Starr
 03. Carl Gustav Junglist
 04. wax doll
 05. New India
 06. BL
 07. Berlin 1993
 08. Coffee Break
 09. E
 10. Thank you for your call



 - 04. wax doll


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 Release Date : 2015.03.18
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Electronic, Industrial, Jazz, Jungle, Lo-Fi, Noise, World music.


 Related Links :
  ≫ Oceania LTD on bandcamp


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ゴーイングマイウェイなスウェーデンの音楽プロデューサ、Oceania LTD。以前に“Tokyo Mall”を紹介した時は、こんなに作品を連投するとは思ってもいませんでした。前から作っていたものを小出しにしている可能性もありますが、“Tokyo Mall”を2014年の11月に公開後、今作以外に4作品(“Silicon Dreams”, “Hotel Anhedonia”, “911 Calls”, “Visor från urskogens avskilda ödeshemman”)が公開されていることは、少なくとも事実です。

おそらく彼/彼女は複数の名義を使い分けていて、今作もその内のひとつにすぎないのでは、というのが私の見立てです。探ってみれば、このOceania LTDが関わっていると思しきプロジェクトは見つけられますが、中でもこのOceania LTDがもっともメロディからは離れているように思います。“Tokyo Mall”こそ、Mallsoftと呼ばれるサウンドを踏襲していましたが、以降はアブストラクトなElectronic musicを貫いています。ちょっと簡単に振り返ってみましょう―

“Silicon Dreams”は長尺でジャンクなIndustrial/Jazz~Improvization風味のサウンドで、引き伸ばされたスローモなエディットはVaporWaveに通じなくもないですが、これをそこに当てはめるのはやや無理があるような・・・。5トラックで1時間以上はある一大絵巻は、音楽的快楽というよりは疲労をもたらしそうな気さえします。“Hotel Anhedonia”は逆にピッチを速めたような部分も感じられますし、エディットしたミニマルなフレーズをリピートさせているだけのラフなトラックが多数詰め込まれています(23トラックという数は、やはりトゥー・マッチなイメージ)。後半からはサンプルなのか演奏しているのかは分かりませんが、Metal musicやJazzといった、後発の作品にも通じる要素を垣間見ることができます。どこか習作のような雰囲気もあり。

“911 Calls”はNoiseな冒頭部から、Doomの気配も感じさせる重量感のあるDark Ambientに転じていく、不安感・緊張感が保たれているシリアスな作品ですが、中盤の2トラックが15分を超えるなどしていて、やはりロングな作りになっています。“Visor från urskogens avskilda ödeshemman”では、ハッキリとHeavy Metal/Doomに舵を切っていて、Lo-Fiでノイズな音作りの中で、ときにエモーショナル、ときにシネマティックな、重金属サウンドがさく裂しています。

というように、作品によって、ちょっとずつ作風が変わっているように感じるのですが、 軸にあるのはAmbient/Noiseという、ふたつの要素ではないかと思います。今作のM-1を聴いて、久しぶりにVaporWaveに通じるサウンドが帰ってきたかと思ったんですが(ブンブンと振動するNoiseの彼方で、PCの効果音のような、何かが瞬いている)、以降を聴いてみると、一周、いや一周半回って、また別のところに着地している気配。ちなみにこのM-1は10分近いんですが、いきなり曲がプログレッシヴに切り替わります―レトロなシンセ/ディスコサウンド~TVからの引用BGM~そして不穏なAmbientへ。M-2はミニマルなリズムにインドのシタールを取り入れたような、World musicなノリ、かと思えば次のM-3は急にJungleなリズムで攻めてくる。この辺りのイージーな調子は“Hotel Anhedonia”に近しい気もします。

はたしてM-4‘wax doll’が、プチプチ(ときにキュルキュル)としたノイズの中で、ブラスが煙のようにたなびき、人声のような奇妙なエフェクトがポツポツと滴る、オブスキュアながら面白い小品なのですが、サスペンスフルな電子音楽‘New India’を通過して、ノイズまみれのオールディーズ‘BL’、そして不気味に振動するNoise/Industrialな‘Berlin 1993’、ファストでミニマルなリズムにルーズなブラスを絡めた‘Coffee Break’と、Noiseに傾きつつも独特のノスタルジアを漂わせるような、ひとつの特徴性を感じさせる展開に。乾いたドラムパターンと玩具的音声、対するスローなベースが、軌道を外れたDrum ‘n’ Bassを思わせる‘E’のあとに続くラスト・トラックがいきなりMelodicな‘Thank you for your call’で、カオスを抜け出たあとの安心感、あるいは爽快感のようなものを感じてしまう始末。なんだかひと昔前のビデオゲーム、そのスタッフロールとかにありそうな曲調でもあり、レトロなフィーリングが喚起されます。

とこのように見てくると、決して革新的とか度を越して複雑怪奇とか、メロディが芳醇とか、リピート必至とか、そんなことはないのですが、何だかよく分からないけど突っ走ってる感じがして、気になってしまう存在なのです。NoiseやJazzの要素を感じさせながらも、一貫性が見えないところからして、やはり格納庫的なニュアンスで、多数のトラックを公開しているのかもしれません。タイトルの“big ol’ brain”というのは、“大きな年老いた脳”という意味合いなのか、それをもって何を示そうとしているのか、それを探るべく今作をリピートしてみるのも、一興、かもしれません。今後もリリースを重ねる可能性は十分にありますが、きっと何だかんだいいながら、私はまた聴いてしまうのでしょう。VaporWave/Mallsoftは戯れだったのか、それとも―



メアリーさん – Tight Pants II

 メアリーさん - Tight Pants II

 – Tracklist –
 01. Intro
 02. 科学は著しく進歩した
 03. Juicy Juicy Sweetie
 04. You Disturbed the Man
 05. ボクは左足です
 06. The Mutton was Provided to Me
 07. Tight Pants II: Jon is Sad
 08. 気にならない
 09. It Comes as the Place



 - 02. 科学は著しく進歩した



 - 07. Tight Pants II: Jon is Sad


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 Release Date : 2015.01.04
 Label : Not On Label

 Keywords : Avant-garde, Electronic, J-Pop, Noise, Rubin’s vase.


 Related Links :
  ≫ メアリーさん aka スェーッグロード on SoundCloud
  ≫ メアリーさん on bandcamp


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New Zealand? Bulgaria? いや、やっぱり日本かなあ。謎のトラックメイカー、メアリーさんの作品です。カタログ番号らしきものも付されていますが、詳しくは謎。

サンプルをベースにしつつ、そのサンプルをエディットかつノイズまみれにするというのが、基本的なスタイルとしてあるようです。私はふだんジャンルとしてのNoiseに親しんでいないので、こういったスタイルがユニークなのかそうでないのかは、よく分かりません。しかしながら、確実に胸に訴えるものがあったので、こうして何やら書き記しています。この作品の音の在り方に非常に面白いものを感じたのです。

ルビンの壺(Rubin’s vase)と呼ばれる図形があります(いきなり何書いてんだコイツって思われても仕方ありませんが、ここからつながっていくのです。壮大な前フリをご了承ください)。詳しくはWikipedia、その他諸々を参照してほしいのですが、みなさん一度は目にしたことがあるのではないでしょうか、この図形。多義図形というもので、読んで字のごとく、ひとつの図形に2つの見方ができるというものです。ルビンの壺の場合は、向き合った2つの顔と、壺(杯)、2つの見方ができます。面白いですよね。この多義図形はルビンの壺以外にも数多く存在するので、興味のある方は調べてみてください。

大事なのはこのルビンの壺―多義図形というものが、われわれに何を教えてくれているのかということです。てっとり早くWikipediaより引用してみましょう―

感覚や知覚、記憶といった人間の情報処理過程を解明する認知心理学においては、知覚システムについて様々な研究成果が生み出されてきた。

その内の1つに「図と地の分化(分離)」というものがある。1つのまとまりのある形として認識される部分を「図」、図の周囲にある背景を「地」と呼び、図と地の分化によって初めて形を知覚する、というものである。

この事について、ルビンは『視覚的図形』の中で次のように論理を展開した。
“ 共通の境界線を持つ2つの領域があり、一方を図、他方を地として見るとする。その結果、直接的知覚的経験は両領域の共通の境界線から生じ、1つの領域のみか、一方が他方よりも強く作用する行動形成効果に特徴付けられる。”

要は一方が図になるとその形が知覚され、残りは地としてしか知覚されないという事を、図地反転図形の1つであるルビンの壺を例に採り説明したのである。

ルビンの壺では白地(つまり壺のように見える部分)を図として認識すると、黒地(つまり2人の横顔のように見える部分)は地としてしか認識されず(逆もまた真である)、決して2つが同時には見えない。

この最後の部分、“決して2つが同時には見えない。”、ここです。われわれがルビンの壺に、どちらか一方の図形を見ているとき、もう一方は決して知覚されないのです。“2つの顔”“壺”が同時に知覚されることはないのです。学問というのは当たり前のことを小難しく(客観的に)言うので、何をいまさらと思うかもしれませんが、そんな当たり前のことがこの図形によって裏付けられているわけです。

さて、“Tight Pants II”は、Noiseとしての側面が非常に強い作品です。音楽作品としてのNoiseには、“聴いているうちにNoiseではなくなってしまう”という宿命がつきまといます。不快な雑音や騒音とは感じられずに、単なる音としてしか認識されなくなるということです(人間の耳というのはおそろしいものです)。ところでこの“Tight Pants II”には、大きく2つの要素があります。J-PopとNoiseです。J-Popの部分は、中田ヤスタカ経由のPerfumeやきゃりーぱみゅぱみゅが分かりやすいんですが、M-2やM-5においては、非常に分かりやすい形で、これらJ-PopとNoiseを拮抗させています(M-2に関してはラジオ番組?のトークも含まれる)。さあ、ここで上の話とそろそろ近づいてきました。“2つの要素”“どちらか一方しか認識できない”という部分がリンクしてくるのです。つまりこの作品において、われわれの耳が“J-Pop”の側を聴くとき、“Noise”はまさにNoiseとして機能しているのです―もちろんどちらも耳には入っていますが、それらを同時に“聴く”ことはできないのです。Noiseを単独で放つことを避け、J-Popと併せて提示することで、逆にNoiseとしての側面を強めているという、なんとも音楽的にユニークな在り方です―だから純粋なNoiseではありませんし、かなりPopな作品ではあります。

そんな音楽的ルビンの壺な今作ですが、バランスに優れたJ-PopとNoiseの拮抗だけではなく、むしろ本領発揮?なのはM-7やM-9のような長尺なアバンギャルド・トラックにあるような気がします。M-7は英会話教材から抜き出したような男女の日常会話(だがどこか違和感があるので、単なる引用ではないかもしれない)を流しつつ、バックでElectronicなギターノイズがとぐろを巻き、その内に会話もディレイ、リバーヴで膨張し、めくるめくノイズサイケデリアの渦が広がります。‘Jon is sad’のタイトル通り、序盤2分でメアリーにフラれるジョン(笑)。そこから精神の螺旋的下降が幕を開けるような、そんな曲展開、構造も面白いです。でも最終的にはレストランで食事をしているようで(“うどんは600円です”、“じゃあ私はうどん!”、“じゃあ私も”)、Noiseまみれながらハッピーエンドといったところでしょうか。あと“すき焼きはなんですか”、“肉です”、“いいですね”のやり取りにちょっと笑った(このシュールな感じはちょっとポエムコアっぽい)。英語のテキストの杓子定規っぷりを逆手に取ったようなシニカルなセンスが光ります。今こういうことをやって、まったくVaporWaveを感じさせるトラックにならないところがカッコいいですね。

そんなアバンギャルドなM-7を踏まえた上で誕生したようなM-9は、スローなメロディと震えるノイズ、ビート、悲しみと怒りを込めた電気シャウトがさく裂する、作中でもっともシリアスなトラックかもしれません―といっても頭に“じゃあ私はうどん”とか、最後に“じゃあ私も”が使われていてちょっと脱力。M-3やM-6, M-8においても、J-Popを引用しつつ、巧みに編集することで、独自のサイケデリアをふりまいていて、単なるJ-Pop経由のNoise作品では終わらせていません。お見事。気になる方は、前作“Tight Pants”も。bandcampで公開中です。ジャケットに“大丈夫”ってあるけど、何が大丈夫なのかまったくわからないデスよ・・・(笑)。



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