ABRAcaDABRA

Netaudio explorer

タグアーカイブ: Post-Pop

MEISHI SMILE LIVE 5.15.15




Meishi SmileがYouTubeにて公開したライヴ映像が過去最高のエモさで大興奮です。

VJなどの視覚的演出にはいっさい触れず、ひたすら彼のプレイをとらえ続けるカメラの視点。

彼の鋭い眼光と絶え間ないアクションが観る者に与えるのは、緊張感とライブ感。

とにかくひとつひとつの挙動が非常にエモーショナルで、その様は、まるでバンドマンが楽器を演奏しているかのよう。

破壊的なエフェクトを絡めつつも、極めてPopにトラックを鳴らし、マイクを使っての絶叫スクリームでノイズなパンクスピリットを見せつける。

たまらなくカッコいいです。

クライマックスはラストの‘PALE’‘TEARS’の流れ。

悲しみを振り払おうと全力疾走しているような、叫びだしたくなるような、あふれ出るエモーション(こんなん泣くわ・・・2.5Dで見たときもそうだったけど)。

そのあとに訪れるノイズストームは悲しみの果ての破壊願望か(この辺りのパフォーマンスもたまらなくパンク)。

いつも頭の片隅に蘇るのは、誰の言葉か忘れたけれど、Nine Inch Nailsを評した言葉で“機械を使っているのに肉体性を感じさせた初めてのバンド”というものです。Meishi Smileのトラックはもちろんマシンによって作られているのだけれど、ここ―この鬱屈した感情を爆発させるようなパフォーマンスにある肉体性は、彼の愛するLimp BizkitやKORNなどのニュー・メタルとも通じるものがあるのでしょう。そんなパンクスピリットと、VGMやJ-Popなどを経由したメロウで煌びやかでPopなメロディが、高いレベルで結実したこのライヴが、胸を打たないなんてことがあり得ようか。いや、ない。

本当に素晴らしい。

私のようなクラブミュージックのシーンに耳を向けていない人間の心を打つことを鑑みても、きっと(いわゆる)ロックファン、バンドサウンドのファンにも迫るものがあると思う。その昔The Chemical BrothersやUnderworldがスターダムにのし上がったときに、その立ち位置について“ロックとテクノの懸け橋”というようなことが言われたけれど、このMeishi Smileにも同じようなことが言えるんじゃないかな。何と何の懸け橋か、私には的確な表現ができないのだけれど、彼がこれまで結びついていなかった“何か”を、見事に“つないで”いる感覚が止まない。

にしても再生回数少なすぎだろ・・・。全人類必見というのは大げさな表現だとは分かっているけれど、そう言いたくなるくらい、私はこのライヴ映像に痺れまくりました。40分があっという間だった。

Thanks for sharing!!!!



MEISHI SMILE – Blank Ocean [shh019]

 MEISHI SMILE - Blank Ocean [shh019]

 – Tracklist –
 01. Blank Ocean





+ + +


 Release Page Download Free!

 Release Date :
 Label : Secret Songs

 Keywords : Dream, Electronic, J-Pop, Post-Pop, Shoegaze.


 Related Links :
  ≫ MEISHI SMILE on Last.fm / on Facebook / on SoundCloud
     on bandcamp / on Tumblr / on YouTube / on Twitter


+ + + + + +


ホントにこの人はハズさない人だなあ、というのが第一の感想です。実際どちらから声をかけたのか分かりませんが、MEISHI SMILEのシングルがRyan Hemsworth(ライアン・ヘムズワース)の運営するポップレーベル、Secret Songsからリリースされると知ったとき、そう思いました。レーベルのコンピレーション“shh#ffb6c1”は大きな反響を呼びましたし、広いフィールドで活躍、注目されているRyan Hemsworthと関わることで、MEISHI SMILEに対する注目度もがぜん上がることでしょう。実際たとえばSoundCloudで見ただけでも、これまでのどのトラックよりも、この“Blank Ocean”に対するリアクションは大きいように思います(公開4日ほどで再生回数は2万回を突破しているし、Likeも800を超えている)。

トラックの方はどこか雅な旋律が印象的なイントロからはじまる、安定のDigital Shoegaze/Popになっています。この雅ってところでは、ZOOM LENSのコンピレーション“Untitled”に収録されていた‘Seoul’や、Orchid Tapesからのコンピレーション“Boring Ecstasy”収録の‘Sincerity’に通じる聴取感もあります(ベクトルは違うように思いますが)。聴いて一発目で変化を感じたのが、冒頭で使われているBreakbeatです。少なくとも音源では、これまでほとんどこういったブレイクって使ってなかったような気がするんですが、いきなり頭でカッコよくかましてきたのが新鮮でした。初期のころから比べるとビートの作り方にだいぶ変化が感じられて、この辺りはライヴ活動からのフィードバックもあるのかもしれませんね。これまでのどのトラックよりもアッパーという言葉が似合う、勢いのあるトラックになっていると思います。

あとはウタモノに寄せてきてる気配が、前作の“STARS”あたりから漂ってきてます。“SYNTHETIC GIRL”あたりではまだヴォーカルもしっかり“ヴォーカル”として聴こえていますが、“LUST”のころは確かに声だってのは分かるし、歌詞もついてるんだけど、歌詞を聴かせるためのヴォーカルとしてはほとんど機能してませんでした(それをいったらメチャPopなウタモノ‘Pond’があるじゃないかって声もありましょうが、あれは私の中では、MEISHI SMILEというよりは彼のヴォーカル・プロジェクトだと捉えてます)。

それが“STARS”あたりから歌を歌として聴かせる方向に来てる、気がします。もっと突っ込むと、たぶん“STARS”と、今作“Blank Ocean”はミックスをどちらもRob Duffy(Cyclops Rock)が行っていると思うんですが、彼の音作りが歌を聴かせるスタイルなのかもしれません。個人的にはMEISHI SMILEはポップ・メイカー、メロディ・メイカーだと思うので、歌を入れるんであれば、ドンドン前に出してほしいですね。まだ足りないくらいだと思ってます。確かにあんまり前に出しちゃうとMEISHI SMILEっぽくないのかもしれないけど(と感じるということは、それほどに彼のサウンドスタイルが確立されてきているということかもしれません)。

ということで、ビートの作り方や歌の聴かせ方に変化が感じられるようになった今作、わずかワントラックですが、MEISHI SMILEのネクストステージを期待させるのに十分すぎる傑作シングルです。ファンはマスト(当たり前)。あと関係ないけど、このタイトルってFrank Oceanを意識してるんでしょうか? 考えすぎか。



Paradice: Revisited by Friends & Lovers [ZLEP​-​16]

 Paradice: Revisited by Friends & Lovers [ZLEP​-​16]

 – Tracklist –
 01. You (poro poro Remix)
 02. Drowned Fish (White Bikini Remix)
 03. Because of my eyes (mus.hiba snow Remix)
 04. You (Uio Loi Remix)
 05. Quietly (la pumpkin Remix)
 06. Drowned Fish (Alper Remix)
 07. You (Kosmo Kat Remix)
 08. Because of my eyes (Jesse Ruins Remix)
 09. Quietly (yotsuba lifestyle Remix)



 - 05. Quietly (la pumpkin Remix)


+ + +


 Release Page Download Free!

 Download or Purchase “Paradice” Here:
 zoomlens.bandcamp.com/album/paradice-zl-21


 Release Date : 2014.12.16
 Label : ZOOM LENS

 Keywords : Ambient, Electronic, Post-Pop, Remix, Shoegaze, Vocal, Synthesizer.


 Related Links :
  ≫ LLLL on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on Twitter


+ + + + + +


2014年中ごろにZOOM LENSよりドロップされたLLLLのアルバム“Paradice”。それまでのLLLLのサウンドにあった、硬質で冷たく、幻想的でありつつサイバーなイメージを保ちつつ、より煌びやかな、そしてPopな方面に舵を切った、新感覚のElectronic/Shoegazeになっていて、“優れた作品”というのもおこがましいほど、すばらしい作品でした。そんな“Paradice”が、2014年も終わりに差し掛かったころ、再びリスナーの前に姿を現したわけですが、今作はRemix集になっていて、リミキサー陣がまた豪華です。

ZOOM LENS界隈ではおなじみのmus.hibaやKOSMO KAT、Uio Loiやla pumpkinをはじめ、Omni E​.​P.も記憶に新しいWhite Bikini、poro poroやAlper、yotsuba lifestyleといったニューフェイス、そして世界で活動する日本のインディバンド(デュオ)Jesse Ruinsが参加しているという、新旧織り交ぜつつ、バラエティ豊かな顔ぶれが並びます(mus.hibaやKOSMO KATを“旧”にくくるのも憚られますが)。このリミキサーの選択に対する審美眼というのは誰の力が発揮されているのでしょうか。ZOOM LENSのオーナーのひとりであるMEISHI SMILEも少なからず関係しているのでしょうが、このレーベルのリリースは毎度毎度、自分たちのレーベルのカラーを外さず、それでいて新しさや楽しさを求めることを忘れず、新鮮なサウンドとその作り手を我々に教えてくれます。そのアンテナの敏感さ、探究心の強さには常に恐れ入り、また感心します。すばらしいレーベルだと思います。

オリジナルではラストに入っていた“You”から始まるというのも、面白い構造ですが、このM-1はトランシーなシンセとフラットなビートを効かせたアッパーなノリが印象的。オリジナルとはガラリと変わったシャイニーな景色が面白いんですが、オリジナルからもってきたウィスパー気味のヴォーカルが挿入されていて、このおかげでちょっと相対性理論ぽくも聴こえて、LLLLの中にそれを見出すとは、個人的には新たな発見でした。M-3の“Because of my eyes (mus.hiba snow Remix)”もよいです。冒頭で作られる、ドリーミィなAmbient空間。まさにmus.hibaの真骨頂。オリジナルのコズミックな空気をトラックの出だしで霧散させ、そこから冷たく幻想的な雪景色を描きにかかる、その構成もお見事です。

一回目のクライマックスが、アルバム半ばの‘Quietly (la pumpkin Remix)’。オリジナルの中でもフェイバリットだったこのトラックが、表情を変えつつも、しかし依然としてクライマックス足り得るのは、オリジナルの力強さと、リミキサーの手腕によるものでしょう。la pumpkinらしい、ピアノが静かにゆっくりと降り積もる(それはまるで雪のように)出だしから、オリジナルでもひときわの抒情性を醸していたストリングスを全面的にフィーチャーしながら、その中でヴォーカルを響かせる、Post-Cassicalとも呼べるElectronicaに仕上がっています。その冷たく悲しい景色は、ハッと息をのむほどに美しい。

KOSMO KATによる‘You (Kosmo Kat Remix)’もさすがの仕上がりで、得意のグリッターなHouse/SynthWaveサウンドがさく裂しています。オリジナルなコズミックな空気とも共振しつつ、陽性の方向にエネルギーを向けているのは、いかにもKOSMO KATらしく感じます。続く‘Because of my eyes (Jesse Ruins Remix)’は、感触的にはもっとも“電子音楽”っぽい。細断されたヴォーカルラインと、冷徹なビートにストレンジな電子音の共演は、Acidな響きも放っていて、リスナーを感情性のない、乾いた電子の海に放り込みます。作中でも異彩を放っていて、捉えようによっては、もっともリミックスらしいリミックスかもしれません。

ラストはyotsuba lifestyleによる、またしても‘Quietly’のリミックスで、前曲との対比もあり、私を安心の海へといざないます。オリジナルのメロディを大事に使いながら、バックをよりPopに、親しみやすい意匠に近づけたトラックで、作品の締めにはとても似合います。ちょっと楽しくて、ちょっと悲しくて、そしてどこか清々しいっていうトラックで、こんなトラックを聴いてしまったら、yotsuba lifestyleに対する注目度も上がるというものです。

2014年5月に催された、ZOOM LENSの日本初のショーケース、その名も“PARADICE”で、初めてLLLLの姿とプレイを目にしましたが(といってもネットを通じてですが ≫ watch here)、そのときは、とにかくミステリアスなオーラと、あらゆるサウンドを飲み込んだハイブリッドな音像で、グロテスクともいえる圧倒的なイメージを残しました。しかしここ―今作で積極的に抽出されているメロディたちは、いかにLLLLのサウンドがPopなのかを、我々に改めて教えてくれています。そうPopだからこそ、“Paradice”はZOOM LENSからリリースされたのだろうし、また今作もPopなリミックスになっているのだと思います。機会があればもっとパンチの利いたリミックスも聴いてみたい気がしますが、このあふれ出るポップネスは歓迎せざるを得ません。まだの方はオリジナルもあわせて是非。


+ + +


PHOTOGRAPHY:

Tetsushi Tsuruki »
www.flickr.com/photos/zuru1024/
zuru1024.tumblr.com



Meishi Smile – LUST [ATK-0002] / [ZL-18]

 Meishi Smile - LUST [ATK-0002] / [ZL-18]

 – Tracklist –
 01. AJS
 02. PALE
 03. STILL
 04. SUMMER BLUE
 05. AI
 06. HONEY
 07. HEART
 08. TEARS
 09. HEART (Uio Loi Remix)
 10. PALE (mus.hiba Remix)
 11. SUMMER BLUE (KOSMO KAT Remix)
 12. HEART (la pumpkin Remix)
 13. HONEY (gigandect Remix)
 14. HONEY (Yoshino Yoshikawa Remix)



 - 02. PALE



 - 13. HONEY (gigandect Remix)


+ + +


 Release page :
  ■ Purchase
    ≫ [ digital album / compact disc* / limited edition 12″ vinyl**
        (* = Professionally pressed CD with full color printing and double sided obi.)
        (** = Sold Out!

    ≫ [ iTunes

  ■ Download Page
    ≫ [ main ] / [ mirror ] Free!


 Release Date : 2014.01.28
 Label : Attack The Music / ZOOM LENS

 Keywords : Electronic, J-Pop, Post-Pop, Remix, Shoegaze, Tears.


 Related Links :
  ≫ MEISHI SMILE on Last.fm / on Facebook / on SoundCloud
     on bandcamp / on Tumblr / on YouTube / on Twitter


+ + + + + +


アメリカの若きトラックメイカーMeishi Smile。彼の1stアルバム“LUST”がリリースされました。2012年にリリースされた作品と同タイトルですが、今作はそれをブラッシュアップしたもの。アメリカはカリフォルニアのレーベル、AttackTheMusicから、デジタル・アルバム、CD、そして12インチ・アナログ盤としてリリースされました(アナログはすでに完売しています)。それぞれの特典もユニークで、CDには日本盤ではおなじみの帯がついてきたり、アナログ盤購入者と、CDの先行予約者(あるいは先着50名までの購入者)には、収録トラックのいずれかに対応したイラスト付きメッセージカードがついてきたり(イラスト自体はこちら、魔法少(女)☆ゴーストさんのTumblrで見れます)。そしてお金がない人のために、あるいはフィジカルなリリースの在庫が少ないこともあるんでしょうか、自身のレーベルZOOM LENSからは、フリーでダウンロード可能にしてくれています(これは本当にありがとうございますと言いたい)。

リリースにあたって、旧ヴァージョンに対しての言及はほとんどされていませんが、Tumblrでは“The release is newly mixed and mastered. At this point, I don’t consider this a re-release and I consider the original to be almost a sort of demo.”と書いています(http://meishismile.tumblr.com/post/70139665338/meishi-smile-news)。このテキストから考えても、今作こそを正式な1stアルバムとみなすべきなのだと思います(もちろんだからといってオリジナルが貶められるべきではないけれど)。

そう、今作は新たなマスタリングとミックスが行われているわけですが、このマスタリングを手掛けたのが、日本のUltrapopマイスターYoshino Yoshikawa氏ってんだから、これはどうしたって心が昂ります。しかも、リミックスが6トラックも収録されているという部分も今作の大きな特徴でありうれしいところなんですが、このリミキサー陣がまた豪華メンツです(名前だけ見ても“おぉ”と心がどよめきます)。しかもしかも、日ごろからジャパニーズ・カルチャーへの関心・愛情を示しているMeishi Smileのコネクション、嗅覚がいかんなく発揮された結果、6名中4名が日本のトラックメイカーという、日本人リスナーとしてはうれしい悲鳴。


さて、ブラッシュアップされた今作、骨格はもちろん変わらないんだけど、細かいエフェクトや、これまでは聴こえてこなかった音(あるいは入っていなかった音)が加味されて、多層感、重厚感のある仕上がりになっています。随所に流れるメロディがよりクリアになり、さらにポップスに接近したような印象を受けました。そして、ハウスなビートとShoegaze的なラッシュ感が結びついて生まれる疾走感・高揚感と、さらには、エレクトロな響きが生み出す、喪失感(つまりは手の届かない輝き)、この相反するような二面性が“LUST”の魅力だったわけですが、これも段違いに強くなっています。‘PALE’なんてホント、体が動き出すくらい、すごい気持ち良いのに、同時に泣きそうになります。でもPOPなんです! いやそれこそがPOPなのか? 

思えば“Yuko Imada”という、決してポジティヴには響かない名前でノイズ・ミュージックを作っていた彼が、こんなにPOPなトラックを生み出してくるということ自体が、すでに彼の中にある二面性を象徴していたのかもしれません。そうだ、それと関連した話。今作のリリースパーティがタイニーチャットを利用したSPF420で行われたんですが、私もMeishi Smileのプレイを終盤から見ることができたんです。ラストにやったのがおそらく‘TEARS’だったかと思うんですが、そこでマイクをにぎった彼が何をしたかというと、シャウト! エフェクトをかけているんでしょうが、彼の口から放たれた声はノイズとなってトラックの上を暴れまわりました(彼自身も)。トラックを聴いているときは気付かなかったんですが(改めて聴くと分かります)、この‘TEARS’にあるのはShoegaze/Noiseだったんですね。プレイ中のコメント欄にも“Yuko Imada”の文字が多数流れましたが、彼の中には今も“Yuko Imada”が生きていることを、ライヴを見て実感しました。


彼Meishi Smileが、netlabel/netaudioのシーンの中でも、ある潮流(うまく説明はできないけど)の一端を担っていることは間違いないでしょう。確実にインターネット以降の世代でありながら、オリジナル作品においては、雑食性(サンプリングを含む)をあまり感じさせないところも、以前から印象的でした。Hip-Hopを経由したビートもなく、VaporWaveなタッチもなく、とても普遍性のある、リピートに耐え得る、タフなポップスを鳴らしていて、これは日本の歌謡曲やVGMからの影響なのかなあと思ったりもします。コンピレーション“ZOOM LENS V.A.”で聴ける、女性ヴォーカルの‘Pond’や、私の大好きな‘KISS (-BGM MIX-)’なんか聴いても分かりますが、メロディメイカーなんですよね。今後どこに向かうかは分かりませんが(たぶんPOPな方だと思うけれど)、もはやディグられる存在ではないでしょう。彼の挙動は自然に拡散されていく、そう思います。世間的な目では、ポジションはまだアンダーグラウンドかもしれませんが、今作へのリアクションを見ていると、何かの拍子にオーバーグラウンドに浮き上がりそうで、ドキドキします。果たしてこれから何が起こるか。向井秀徳の言葉をかりれば、“開戦前夜のこのカンジ”とでもいいますか。

女性ヴォーカルを招いてのプロジェクトも進行中だと思いますし、また新たなトラックなり、作品なりも、これから先に出てくるはず。本当に楽しみです。リアルタイムでこの才能に出会えたことに、幸せを感じます。

最後になりますが、一連のリミックスも抜群によいです。原曲をぶっ壊しているものはほとんどないんですが、みんなもともとのメロディを生かした上で、巧みに自身のカラーに染めています。特に好きなのは‘HEART (Uio Loi Remix)’と、‘HONEY (Yoshino Yoshikawa Remix)’です。前者は一見すると原曲を感じさせないビートと、ピアノの連打、シンセチックなレイヤーの中に、メロディの面影が埋め込まれていて、原曲とはまた違った聴き心地、違う景色(冷たく、人のいない街のような)が広がります。後者は、オリジナルのサッドな空気をファニーなものに塗り替えるように、弾んだリズムと可愛らしい電子音が温かく響きます。後半はJ-Popフィーリングなシンセのラインが突き抜けて、一気にYoshino Yoshikawa色に。やっぱりよいですネ! 

ということで、言うまでもなく傑作(結局言う)。もう聴いた人はさらに聴きましょう、そしてまだ聴いたことない人は騙されたと思って聴いてみましょう! あまりにも圧倒的なポップネスが放たれているもんだから、他の作品を聴いていても、頭のどこかで今作が鳴っているような錯覚すらしてしまうほどの、力強さ(いやいや冗談じゃないんですヨ)。いやー、もう、DAIKOUFUN☆(←思わずなつかしい表現が飛び出す始末)。今作に関わったみなさま、ありがとうございます!


+ + +


credit :

Produced by » Meishi Smile (meishismile.tumblr.com)
Mastered by » Yoshino Yoshikawa (yosshibox.com)
Artwork by » Kazami Suzuki (yohuka.tumblr.com)

Bonus Remixes by »
Uio Loi (soundcloud.com/uioloi)
mus.hiba (soundcloud.com/mushiba)
gigandect (soundcloud.com/gigandect)
la pumpkin (soundcloud.com/la-pumpkin)
Yoshino Yoshikawa (soundcloud.com/yosshibox)
KOSMO KAT (soundcloud.com/kosmo-kat)

Published in cooperation with » Zoom Lens (zoom-lens.org)

SageVideōs – /​/​/​/​/​/​/​/​/​/​dreams

 SageVideōs  - /​/​/​/​/​/​/​/​/​/​dreams

 – Tracklist –
 01. 開始(start)
 02. 海の景色(seaviews)
 03. あなたに破砕(CrushingOnYou)
 04. 海岸(beaches)
 05. 間奏(interlude)
 06. プロムの夜(promnight)
 07. ゾーン(zone)
 08. 私はあなたが欲しいんだよ(i want you)
 09. ただあなた(just you)



 - 03. あなたに破砕(CrushingOnYou)


+ + +


 Release Page * = pay what you wish.) :
  ≫ [ bandcamp* ] / [ mediafire ] Download Free!

 Release Date : 2014.01.01
 Label : Not On Label

 Keywords : ChillWave, Electronic, Melodic, New Wave, Post-Pop, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ Sage Hitomi on SoundCloud
     on bandcamp / on Tumblr / on Twitter


+ + + + + +


南アフリカはケープタウンのトラックメイカー、SageVideōs(Malik Buthelezi)。彼の1st EPがbandcampなどを通じて実質フリーという形でリリースされています。AMDISCSが発信した“Playstation Girl”の情報でSageVideōsを知った私は、そこにある“さがびでお”, “プレイ捨て書んしょじょ”というVapor感丸だしなワードを記したアイキャッチ的画像に惹かれました。加えて当時は、日本の女優、栗山千明の画像をプロフィールに用いていたこともあり、そこにあるotakuなフィーリングに、さらに引き込まれ、2014年にリリース予定とされていたこのEPを、密かに楽しみにしていました。

VaporWaveを自身のサウンドスタイルに当てはめている節がありますが、今作を聴けば、それは必ずしも正しくないことが分かります。Vaporマナーに沿っているのは‘間奏(interlude)’(Freddie Jacksonの‘Nice´N´Slow’をエディットしてるみたいだけど、個人的にはココ、日本の歌をサンプルにして欲しかった…!)くらいで、しかも意図的にその意匠にしているのは明らかです。他のトラックではそもそも音楽的なサンプリングの形跡自体が見られませんし、このことから、彼が用いているワード“VaporWave”は、リスナーとしては、もはや感覚的な部分にしか見出せません。80sなシンセサウンドや、VHSのアナログ感、旬や現在(いま)というよりは過去(ノスタルジアを含む)からの引用など。過去からの引用という部分では、SageVideōsの場合、‘開始(start)’におけるPlaystationの起動音(この音はSEGA SATURNではなかったと思う)や、‘あなたに破砕(CrushingOnYou)’, ‘プロムの夜(promnight)’におけるセリフのサンプリング(編集されているため出所はよく分からない)が該当します。

音楽的にはNew Wave/Post Punk~ChillWaveの流れにある、Sythを基調にしたElctronic musicです。上にも書いたように、ハッキリとした引用・編集というのはないので、ここにあるメロディはおそらく彼の手によるものだと判断できるわけですが、以前から思っていたように、やはりPOP志向である様子。‘海の景色(seaviews)’‘あなたに破砕(CrushingOnYou)’、そして‘海岸(beaches)’までが前半部になりますが、これらはPost-Punk/EBMをスローダウンしたみたいな、乾いたビートに電子感あふれるSynthが泳ぐというスタイル(共通するイメージは海ですね)。

収縮するSynthと振動するビートによって組み立てられたアブストラクトな‘プロムの夜(promnight)’から始まる後半は、作中でもひときわシンプルな‘ゾーン(zone)’が印象的。ミニマルなビートにミニマルなシンセが乗っているだけなんだけど、気持ちよいんです(しかしなぜか音量がやや小さい)。どこかノスタルジックなたたずまい。やはりメロディ、というか、聴かせようという意志が感じられます。‘私はあなたが欲しいんだよ(i want you)’でスピードをあげて、まばゆくきらめく、ラッシュ感のあるSynthで陶酔感をあおったあとは、再び前半部に立ち戻るような、Synthなトラック‘ただあなた(just you)’で締め。

ちょっと単調すぎるかなあ、とは思いますが、気になるトラックメイカーさんです。音楽的にみると、POPという点ではぜんぜん弱いかもしれませんが、逆にもっと弾けることができたならば、たとえばMeishi Smileや、SpazzkidBo enのような、netlabel/netaudio界隈におけるPost-Popな存在になりそうな予感がして仕方がありません(私だけかもしれませんが)。気になるのは、今作に“stage one”という言葉が付されていること。じゃあstage twoはどうなんの?って期待しちゃいますよね。期待してますよ!


+ + +


note :

stage one
//////////
y o u / a r e / i n / m y / d r e a m s


credits :

Símí Nomore, //YEVRS//, Banele Mjaji (bvsixsage), Tj Ndwandwe (Mahalichi), to the guys at AMDISCS(abstract + Rado), KC93.RR and Midnight KIds,

To everyone that has helped me through everything, i thank you and i appreciate your love





MEISHI SMILE – HONEY! -8 BIT MIX-

 MEISHI SMILE - HONEY! -8 BIT MIX-
 (this jacket image is not official.)

 – Tracklist –
 01. HONEY! -8 BIT MIX-


+ + +


 Release Page Run Out! ≫ [ Streaming

 Release Date : 2013.07
 Label : Not On Label [on SoundCloud

 Keywords : Chiptune, Electronic, Post-Pop, Techno-Pop.


  ≫ MEISHI SMILE on Last.fm / on Facebook / on SoundCloud
     on bandcamp / on Tumblr / on YouTube / on Twitter


+ + + + + +


アメリカのミュージック・コレクティヴ、Zoom Lensを牽引する若きプロデューサ、Meishi Smile。彼が2012年にリリースした“LUST”から、‘HONEY’が8BIT MIX、Chipstyleになって公開されました。少し前から彼のTumblrで公開はされていましたが、今回SoundCloudで改めて公開、なおかつフリーダウンロード可能となったので、ピックアップしました。

“LUST”は本当に好きな作品で、たぶん再生回数はいろんな作品含めても、ダントツで1位だと思う。“禍福は糾える縄の如し”という言葉があるけれど、あの作品はそんなイメージなんです。厳密には“禍福”じゃなくて、喜びと悲しみというか、高揚感とセンチメンタルというか、それがひとつの作品の中に見事にフィックスされていて、“ちょっぴり悲しいのに気持ち良い”っていう、おそろしい中毒性をもった作品なんです。Popなのはいわずもがな。

その“LUST”の中でも私が特に好きなのは、‘AJS’, ‘PALE’, そしてこの‘HONEY’なんだけど、その‘HONEY’が8BITなヴァージョンになったってなら、これは聴かないわけにはいかない。で、聴いてみたら、これがヤバい。もしかしたらオリジナル以上によいかもしれない。デフォルメされたシンプルなサウンドの中に封じ込められた、キラメキとメロディだけで、このトラックの魅力は十分に発揮されているということだろうか。だから、シンプルだからこそ、飽きがこないということだろう、何回リピートしても、ここにある輝くセンチメンタルは、私をいつまでも、いつまでも魅了し続ける。まるで魔法のように。

Maltine Recordsからリリースしたり、アニメ・エキスポ 2013でプレイしたり(ちなみにこのLIVE SETもダウンロード可能)、日本にもファンは増えてきているように思うし、どんどんその存在は大きくなってきてるMeishi Smile。次の作品が本当に待ち遠しい。今がピークだなんて思わないので、もっともっとスゴいやつを、“LUST”を超えるやつを、ドロップしてほしい。あ、でも新しい作品の前に、“LUST”全編8BIT MIXってのも作ってくれないかなあ。そう期待しちゃうくらい、このトラックはよい。



i-fls – Residential town loneliness [ZL​-​13]

 i-fls - Residential town loneliness [ZL​-​13]

 – Tracklist –
 01. soundcloud3
 02. monorail
 03. youth culture
 04. hypermarket
 05. dry riverbed
 06. Asako in whispering in district park
 07. used bookstore chains
 08. local line at twilight
 09. after school
 10. fence
 11. collar
 12. Elly (veranda)
 13. collar (sketch demo)
 14. forever
 15. love me tender



 - 03. youth culture



 - 11. collar


+ + +


 Release Page :
  ≫ [ main ] / [ mediafire ] Download Free!

 Release Date : 2013.01.19
 Label : ZOOM LENS

 Keywords : Ambient, ChillWave, Electronica, Loneliness, Post-Pop, VGM.


 Related Links :
  ≫ LISTENING SUICIDAL
  ≫ i-fls on SoundCloud / on bandcamp / on Tumblr


+ + + + + +


Meishi Smile(= Yūko Imada)によって運営される、アメリカのネットレーベル/ミュージック・コレクティヴ、ZOOM LENSより。以前よりアナウンスされていた、i-flsの作品がフリーでリリースされました。i-flsは日本のミュージシャン。普段はイラストを描いているそうです。ジャケットに用いられている画像は、自身の手によるものでしょう。

特徴的なのは、音数の少なさと、使われている音色の一貫性(Garagebandで作られているそうです)。去年半ばあたりから、bandcamp上で頻繁に音源の公開が行われていますが、すべての作品に耳を傾ければ、ほとんどのトラックが、この特徴に当てはまることが分かります。

やわらかく、冷たい電子のメロディは、デジタル(つまり、生身ではない、人間同士のつながり)の悲しみを宿しているようで。チャイルディッシュでドリーミィな気配は、ノスタルジアを誘う。この作品には明確なコンセプト、イメージがあるようで(ちなみにだけれど、ラストの3曲はボーナス・トラックだ)、それはそのままタイトルに表されています。“Residential town loneliness”。住宅都市の孤独。

そうかといって、ここにあるサウンドが、怖いとか、暗いとか、そういうことではありません。むしろその逆。短い持続時間の中で反復的に描かれる、いくつものシーンたちは、とても美しい。けれど、それは風景的な美しさだ。そこには血の通った、肉体的、物理的なつながりはない。群衆の中に独り佇み、周囲の人間が、ただの他人、対象物として通り過ぎていく、都市空間。集団化と画一化の中で個を失くし、失われていく人間関係。ここにあるサウンドには、その喪失感というヤツが、非常に色濃くある。描かれているどの景色にも、喪失感が滲んでいる。そして、加速する喪失感と共存するような形で、刹那的な情景美が存在している。

そこにあるのは客観的な視点だ。決して“私”自身が主人公ではない。夕暮れ時に独り自転車を漕いで帰宅する女子高生だったり、電車の窓、流れる景色を透かして、そこに映る自分の顔をぼんやり眺めているサラリーマンだったり、電気を消した部屋で独り、PCに向かう少年だったり、都市の中にある“孤独”のシーンを、リスナーは目にするだろう。失くしてしまった何かを強くイメージさせられる(言葉が用いられていないのにも関わらず、だ)サウンドは、とてもノスタルジックで、ときには輝きすらもっていて、今作を聴いて初めて、自分が何かを失くしていることに、気付く人もいるかもしれません。きっとそれは、美しいもの。そのアンタッチャブル感(手が届かない感覚)は、理想郷的でもある。

かつてナンバーガールは、バンドサウンドでもって、都市生活におけるディスコミュニケーションや殺伐とした空気、孤独感を情景的に描いていました。このi-flsも、表面的な部分は違えど、通底しているものがあるのではないかと思います(どこかにある少女への憧憬のようなものも、その気持ちを強くさせます)。また、ミニマルなリズムや少ない音数に見られるようなシンプルな構成と、淡い電子感をもったドリーミィなサウンドは、ChillWave meets VGMとでも言えそうで、矛盾した表現だけれど、匿名的でありながら、とてもユニークです。ユニークなんだけど、でもこれをリリースするレーベルは、やっぱりZOOM LENSがピッタリだと思います。見事にレーベルのカラーにマッチしています。