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タグアーカイブ: Post-Punk

neokyoto – Zero Transition

 neokyoto - Zero Transition Cover
 – Tracklist –
 01. A Spinning Disk
 02. Circuit Drift
 03. Tastes Like Mercury
 04. Incubate Me
 05. MedBox Express
 06. Myst
 07. Zero Transition
 08. Ruined Arcade Zone



 - 05. MedBox Express


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 Release Date : 2017.03.17
 Label : Not On Label

 Keywords : Electronic, Melodic, Post-Punk, Shoegaze, SynthWave, VGM.


 Related Links :
  ≫ neokyoto.net
  ≫ neo kyoto on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp


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アメリカから現れた様子のneokyoto(ネオ東京じゃないよ!)は、Post-Punk/SyntWaveプロジェクト。というのは私が勝手に言っているだけであって、ソロなのか、ユニットなのか、バンドなのかは分かりません(おそらくソロでしょうけれど)。とりあえず現時点で公開されている作品は4つあって、今作が一番新しい。ほかには“Cobalt Cavern (demo)”と、“Rough Cuts”、“Terminal B01”があって、後者2つはSoundCloudでしか公開されていない様子。

もともとがどういうコンセプトで始まったのか分からないんですが、neokyoto(ネオ京都)っていうネーミングからしてやっぱりサイバーパンクな香りがするじゃないですか(と誰にか問いかけてみる)。実際今作は確かにVGMな向きもあるSynthWaveで、そこにはやっぱり安易かもしれないけれど未来的な都市の風景が立ち上ってくる。それは実にストレートにネオ京都というワードから感じられるフィーリングと結びつくのである。ところがどっこい、“Rough Cuts”なんかを聴いてみると、New Orderチックな、哀愁漂うメロディのPost-Punkが鳴らされているではないか(意表を突かれてグッと来たので下に張らせてください)。もちろんこの“Zero Transition”についても、分かりやすいPost-Punkの要素はあるのだけれど、それよりも電子感を前面に出したSynthWaveやVGM、そこから引いてはサウンドトラック的な意匠が強く感じられる。

はて、どこがターニングポイントだったのだろうと考えるよりも、これはneokyotoの中にもともとあった素養が披露されているのかもしれない。鍵盤のメロディや和楽器の雅な響きを利用したタイトルトラック‘Zero Transition’やSyntWave meets Post-Punkな‘MedBox Express’を聴いていても、器用なイメージがある。特に後者はいいですネ。マシーナリーなサウンドの中にあって、エモーショナルなギターが存在感を放っている。 また前述の“Terminal B01”においてもサイバーパンクなイメージ、Post-Punkなサウンドを下敷きにしつつも、オーケストラルなサウンドを作っていたりして、なかなか素敵なバランス感覚です。

きっとそのときどきで自分のモチベーションにあったサウンド、作品を作っていくのでしょうけれど、次は是非PopなPost-Punk作品でお願いします。今作もよいけど、やはり“Rough Cuts”がシビれるんですよ。





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About a boy trapped in a computer simulation.



Twinkle Park / Larksburg – Twinkle Park / Larksburg Split [PP08]

  Twinkle Park / Larksburg - Twinkle Park / Larksburg Split [PP08]

 – Tracklist –
 01. Larksburg – Make it That Way
 02. Larksburg – Something, or Rather
 03. Larksburg – Those Sheets
 04. Twinkle Park – Space Case
 05. Twinkle Park – Your Wierd
 06. Twinkle Park – In December



 - 01. Larksburg – Make it That Way



 - 04. Twinkle Park – Space Case


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 Release Page :
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 Release Date : 2016.03.05
 Label : Petal Port Music

 Keywords : Alternative, Electronica, Indie, Neo Acoustic, Post-Punk, Pop.


 Related Links :
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  ≫ Twinkle Park on Twitter


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2014年から始まったインディーレーベル、Petal Port Musicより。Twinkle ParkとLarksburgのスプリット作がリリースされています。bandcampでは販売が行われていますが、レーベルのウェブサイトからはフリーでもダウンロード可能になっています。

Twinkle Park とLarksburgというアーティストによる作品なわけですが、“Larksburg is: Brett Hanley”、“Twinkle Park is: Nik Clay”という記述もありますが、もう少し詳しく読んでみると、Larksburgというのはもともとバンド形態で活動しているようで、Twinkle ParkことNikもそのメンバーである、もしくはメンバーであったようです。最新の情報を手にしていないので分かりませんが、bandcampなどでメンバー構成を見る限りLarksburgは4人組であり、Nikもメンバーに含まれています。いずれにせよ、今作に関してはLarksburgはBrett Hanleyのソロプロジェクトとなっています。

ということで中身のお話ですが、まずLarksburgに関しては、これまでに発表している音源とカラーが違う! これまでは、鋭く、そしてザラついたヘビーなギターサウンドが印象的なAlternative/Shoegazeな、どちらかというと翳りのあるものがほとんどだったのですが、そのイメージで今作のM-1など聴くと、ひっくり返りそうになります。この瑞々しいギターやバックに流れるさわやかなコーラス、メロディを前面に押し出した音作り、紛れもなくPost-Punk~(日本で言うところの)ネオ・アコースティック・サウンド! Brettのヴォーカルはこれまでと変わった気がしないにも関わらず、このちょっと調子はずれな、飾らないスタイルがまた、どう聴いてもネオアコ。キラキラしたギターの音色と結びついたそんなヴォーカルを聴いていると私が思い出すのは、学生時代のCD屋巡りであった。インターネットや店頭の注文ですませることなく、なぜかひたすらアチコチのCD屋をさすらって、めぼしいものを見つけるという行為を行っていた、夏。手段は主にチャリンコというところがまた青春というかティーンエイジドリーム。遠方まで出たときにそんなに仲良くもないクラスメイトと出会ってしまって“お前なんでこんなところに?”って顔されたことも、思い出ですね。話逸れてるわ。そんなこんなでギターポップ、ネオアコファンには非常にお勧めのM-1~3になります。

Twinkle Parkもすでに名前がキラキラしてますが、これも前半の流れを引き継いでいるといいますか、もうちょっと打ち込み感というかマシーナリーな触感が強くはなりますが、依然としてさわやかな音像。Indietronicaという言葉が似合うかなあと、個人的には思っております。M-4, 5はダンサブルなリズムを使ったトラックになっていて、電子音楽寄りですが、ラストの‘In December’はタイトルから想像されるようなドラマチックな仕上がり。ギターやオルガン、シンセなど様々な楽器をちりばめて、哀愁漂いながらもどこか長閑な風景を演出。心が休まります。

Twinkle Parkとしての音源は同レーベルから出ている“Orange”というものがあるのですが、そちらは習作の雰囲気も漂うVocaloid作品(!)なのです。なんで今作とはまた少し傾向が違います。最新の音源はどうやら上記の“Orange”にリミックスや新曲を加えた(Reworkとあるので既発の音もいじってるのかもしれません)CD、その名も“Orange+”のようです。今のところ彼のライヴで販売されているのみのようですが、ネットでも販売をするつもりのようなので、気になる方は上記Twitterをチェックしてください。今のところ他に音源が発表されている形跡がない、というか発表の場すら設けていないようですが、ここからが始まりのようですし、今作はインストゥルメンタルですが、これからは歌を入れていくつもりのようなので、きっとこれから先にリリースを行ってくれることでしょう。期待しております。個人的にはM-6のようなバンド感も備えたトラックが好きなので、ぜひそちらの方面で。

各トラックほとんど2分台という非常に短い作品であっという間に終わってしまいますが、インディー感あふれる素敵な作品だと思います。是非。


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 Credit :

Larksburg is: Brett Hanley – vocals, lyrics, guitars, bass, drum machine.
Recorded, produced, and mixed by Nik Clay at his house in November 2015.

“Thanks for listening and supporting Larksburg! I went back to a ‘solo project’ for this split, but I still consider Nik, Dylan and Cody a part of the band. Look forward to hearing them in Eye Contact, out soon on Petal Port! (Eye Contact was recorded prior to the split)”
-Brett

Twinkle Park is: Nik Clay – synths, guitars, chord organ, samples.
Recorded, produced, and mixed by Nik Clay across two homes in 2015-2016.

“This split signifies the last of a lot of Twinkle Park trends, and the beginning of a lot for me as an artist. For one, its the last time I’m going to release a fully instrumental album (my songs are, at least). From here on out I’m going to sing (more accurately: yell) on my Twinkle Park material. This was also a transition between two DAWs, from Reaper to Logic. There was a lot of change and growth over the course of these songs being written and being finished, actually, and I hope that the music reflects that growth.”
-Nik

Album art by Nik Clay

Mastered by Tim Lindsay

Brett and Nik thank: Spencer Jordan, for letting us borrow his bass, Brett’s Dad, for driving him and his equipment to Nik’s house to record, Nik’s stepmom and sister, for putting up with the constant noise from across the hall through 5 albums, Nik’s Mom, for teaching him how to use her scanner to scan the album art, Alyssa Dalangin, for listening to these demos and working mixes a thousand times, and Tim Lindsay for mastering literally everything Brett and Nik have ever worked on.



Eerie Summer – the way i don’t understand anything anymore

 Eerie Summer - the way i don't understand anything anymore

 – Tracklist –
 01. no big deal
 02. never good enough
 03. means nothing to you
 04. not the kind of girl to hang around
 05. i don’t need anybody else (but you)
 06. weird around you
 07. round and round
 08. it’s okay
 09. meant to be



 - 01. no big deal


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 Release Date : 2015.10.17
 Label : Not On Label

 Keywords : Indie, Lo-Fi, Pop, Post-Punk, Shoegaze.


 Related Links :
  ≫ Eerie Summer on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on VK (VKontakte)


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ロシアのポップ・デュオ(でよいのかな。アーティスト写真は二人組ですが、実際のメンバー構成はよく分かりません)、Eerie Summerの新作がドロップされました。前作との間にシングル“Snačala”は挟んでますが、まとまった作品としてはおよそ2年ぶりになりますでしょうか。

前作“Eerie Summer”は、60年代ポップスのフレーバーをふんだんに振り掛けた、スウィートなローファイ・インディ・ポップでしたが、果たして今作やいかに。ということで耳を傾けてみると、何かバンド感がアップしてました。躍動感、疾走感といってもよいかもしれません。相変わらず過去からやってきたようなサウンドを鳴らしてはいますが、前作とはちょっと変わってきたように思います。

全体的にテンポアップしてることもあるでしょうが、Post-Punkな直線的ビート、ブリブリと自己主張するベース、ディストーショナルでありながらキラキラ感のあるギター、こういったサウンドが全編を埋め尽くしていて、ちょっぴり荒々しいサウンドになったような。でもメロディは変わらずポップだし、ヴォーカルもキュートだし、そのドリーミィでサニーデイなイメージは変わりません。私の中ではザ・インディ・ポップなサウンドです。

コーラスの入れ方とかやっぱり過去からの影響がデカいように思いますが、今作のサウンドで新しく感じたのがPost-Punkのような乾いたビート感とか、何ならNew Orderのようなキラキラと揺らぐギター。上に書いたようにライヴ感がアップしていて、ライヴ活動からのフィードバックもあるんでしょうか(実際どれだけ行っていたのかは分かりませんが)。‘never good enough’のちょっグルグルしたロケンロ―な感じとか、以前は間違いなくなかった。

できることは増えたように思うんですが、楽曲のバリエーションが偏っている(ように思える)ところが残念でして、前作のようなゆったりとしたテンポで、Lo-Fiかつちょっぴり長閑なノイズポップも入れてあると、作品がグッと締まったんじゃないかなあと思います。何にせよ、前作にはなかったPost-Punk~Shoegazeといった、新たなカラーの獲得には賛成です。スタイルを変えたのでなければ、次作は是非折衷なところを攻めてきて欲しいです。このまま突き進むとよくも悪くも、分かりやすい(いわゆる)“オルタナ”な感じになってしまいそうで、それは避けてほしい、とか思ったり思わなかったり。流線型もカッコいいけど、尖がってるのもまたカッコいいもんです。

ロシアのバンドやミュージシャンはまだまだ表に出てきてない気がするので、もっと注目されても良いんじゃないかと思います。



Spirits of Leo – Anastasia

 Spirits of Leo - Anastasia

 – Tracklist –
 01. Woodland (Intro)
 02. The Pendant You Wear
 03. Dead Limbs of Winter
 04. Ghost Story
 05. Raccoon
 06. The Fog (Angels)
 07. Idle Talk
 08. Elysian Fields
 09. Anastasia
 10. Spirits of Leo



 - 05. Raccoon


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 :: cassette tapes also available. ::

 Release Date : 2013.04.28
 Label : Not On Lbael

 Keywords : Ambient, Indie, Pop, Post-Punk, Shoegaze, 80s.


 Related Links :
  ≫ Spirits of Leo on Facebook / on bandcamp / on Tumblr

  ≫ TheSantosConnect


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カリフォルニア州出身、Ryan Santos Phillipsによるソロ・プロジェクト、Spirits of Leo。彼の新しい作品“Anastasia”が実質フリーという形でリリースされています。これまでにもいくつか作品をリリースしていますし、また異なる名義で活動をしてきたようです。興味のある方は探ってみてください。

アトモスフィリックな音作りが印象的な、Indie/Shoegaze。特に作品への導入部であるM-1から、続くM-2, M-3あたりを聴いていると、その印象を強く感じる。深いリバーブのかけられた、みずみずしいギターサウンド。歌声も同様に、その空間的広がりに溶け込むようなエフェクトがかけられていて、どちらかといえば、言葉を聴かせる調子ではない。透明感のある、ゆるやかな、サウンドスケープ。とてもドリーミィだ。このあたりの聴き心地からは、やはりbandcampでリリースを行っているmy cats a stargazerのサウンドを想起した(彼らも最近“restore”という久方ぶりの作品をリリースしている)。

けれども、徐々に、それだけがこのSpirits of Leoの特徴ではないことに気付く。‘Ghost Story’はアップテンポのリズムで突っ走り、いわゆる“ギターポップ”に通じるサウンドを披露。それまでの流れを打ち破る。続く“Raccoon”で、これまた流れを微妙に変えてくる。日本でいうところの“ネオアコ”―たとえばアズテック・カメラあたりを思わせる、パーカッシヴかつビッグなドラム、軽快なカッティングギター、ロマンティックでドリーミィなコーラス。匂いたつ80sへの憧憬。これだけ聴いたらとても2013年の音には思えないくらいだ。

M-7‘Idle Talk’やM-8‘Elysian Fields’は、ビート感のあるリズムと、スパイスになっているキーボードが、Post-Punk/New Waveからの影響を感じさせる。特に後者にある、重みをもったドラムとシンセの絡みからは、ちょっぴりChillWaveを感じさせる部分もあったりして、なるほどネオアコとChillWaveの間にあるリンクというやつに、初めて思いが及んだ次第。タイトルトラックでもある“Anastasia”で、歌へのシフトをみせたあとは、ラストの“Spirits of Leo”。打って変わって、生々しいギターの音と、わずかにエフェクトをかけたヴォーカルのみで、しっとりと歌を聴かせ、しめくくられる。

Shoegazeとネオアコを巧みにかけあわせ、その中からときにはChillWaveを浮かび上がらせる。そこにあるノスタルジアは、悲しみとは切り離されていて、ただそこで、その場所で、ひたすらに輝いている。その様は、大事な箱に閉じ込めた思い出のよう。初夏の季節、さっそうと流れる景色のBGMに、とても似合う。


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Written, produced and performed by Ryan Santos Phillips.
Vocals, guitar, synth, bass, drum programming, recording and mixing by Ryan.
Mastered by Leoncio Santos – the Audio Titan – in San Francisco, California.
Album art and design by Aston Grieco.
All songs written and recorded between December 21st, 2012 – March 29th, 2013.



Hospital – When The Trees Were Higher

 Hospital - When The Trees Were Higher

 – Tracklist –
 01. Time Will Tell
 02. Secret Place
 03. Spellbound
 04. Falling
 05. Safe
 06. Made of Sand
 07. Hard’n’Heavy



 - 07. Hard’n’Heavy


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 Release Page :
  ≫ [ bandcamp ] / [ iTunes ] Purchase Only.

 Release Date : 2013.01.20
 Label : Not On Label

 Keywords : Brit-Pop, Indie, Pop, Post-Punk, Shoegaze.


 Related Links :
  ≫ Hospital on Last.fm / on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on VK (VKontakte)


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2011年に結成されたロシアの4人組バンド、Hosipital。メンバーは、Egor Berdnikov(vocal, guitar)、Aleksej Shorin(bass)、Andrej Cvetkov(guitar)、Vladimir Balovnev(drums)。彼らのアルバムが、フリーでリリースされています。今作の前にも、シングル“Falling”を、やはりフリーでリリースしています。

非常に安定感のある、よくできた作品です。まず初めて聴いて、ロシアのバンドだと言い当てられる人はいないでしょう。歌詞も英語だし、およそロシアを感じさせる部分がない(というか私はロシアの音楽の文脈自体知らないのだけれど)。アメリカ、というよりは、やはりイギリスか。影響源にも“Brit-Pop”の文字がみてとれる。エモーショナルでありながらも甘さを秘めたヴォーカルや、みずみずしいギターサウンドには、確かにそれらしさがある。リズムにときおり出てくるビート感と、薄いシュガーコーティングのようなシンセサイザーからはPost-Punkの影響も感じるし、M-5のような、ノイジーな重さの中に甘さを封じ込めたスタイルは、往年のグランジ~オルタナティヴの流れを感じさせる。

どこか懐古的なフィーリングをもった(90年代的なストリングスのせいだろうか)ポップ・ソング、‘Made of Sand’は、Dodgyの‘Good Enough’を彷彿させる(彼らもBrit-Popの枝葉に位置付けられるだろう)。その他にも、Shoegaze的なギターサウンドとPost-Punkのスタイルの合わせ技で、Power-Popのような爽快感、開放感を生み出すドライヴィンな‘Hard’n’Heavy’もある。

そういったように、自分たちが好んで聴いてきたサウンドのエッセンスを、バランスよく、各トラックの中に落とし込んでいる(あるいは混ぜ合わせている)。まさに“いいとこどり”だ(ポジティヴな意味で)。ドライヴ感のある曲やグルーヴィーな曲から、しんみりした曲、朗らかなポップ・ソングまで、バリエーションも豊かだ。そしてどの曲も間違いなくPop。

新しいもの、これまでに見たこと聴いたことのないものは、確かに探究されるべきだ。そこにはインテリジェンスな、学問的な魅力と価値がある。対して、この作品には、目新しいことは何もなく。ただ単純に、よい曲が詰まっている。それだけなんだけれど、それだけのことで、われわれはドキドキワクワクできる。リスナーが楽しむために必要なものは、実はシンプルなのだ。そんな、音楽のシンプルな魅力が、ここにある。よい作品ですよ。そしてロシアはやっぱり侮れない。言語の問題は大きくあるけれど、積極的に開拓されるべきだと思う。

話は少し変わって、その昔、ジャイアント馬場さんが「プロレスはプロレスだ」という深い言葉を仰ったそうだ。それと同じように(と言ってよいかは疑問だが)、「バンドはバンド」だ。新しいことをやろうとして、その形を変えたり、捨て去ることは簡単だ。でも世の中には、バンドというものが、それこそ星の数ほど存在している。なぜか。バンドであることはある意味では呪縛でもあると思うんだけど、そこでしかできないこと、生まれないものが、絶対にある。それが、バンドというものが存在し続ける所以なんだろう。そんなことを、ふと思った。



Hello Gonzo! – Некрасиво

 Hello Gonzo! - Некрасиво

 – Tracklist –
 01. Радость
 02. Сны
 03. Детская
 04. Некуда спешить
 05. Скрытные
 06. Некрасиво
 07. Время
 08. Открыто
 09. Готов
 10. Привет, Гонзо
 11. Мир



 - 04. Некуда спешить


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 Release Page :
  ≫ [ ifolder ] / [ narod ] / [ mediafire ] Download Free!
    (※ifolderからのダウンロードについてはこちらを参照)

 Release Date : 2012.02.10
 Label : Not On Label

 Keywords : Electronica, Indie, New Wave, Pop, Post-Punk, Vocal.


 Related Links :
  ≫ Hello Gonzo! on Last.fm / on SoundCloud / on bandcamp / on VK (VKontakte) / on Kroogi

  ≫ Hello Gonzo! on Far From Moscow (FFM)


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ロシア発の3人組バンド、Hello Gonzo!の作品がフリーでリリースされています。メンバーはNastya Nechaeva (vocals/keyboards)、Zhenya Tomilov (guitar)、Daniil Rumyantsev (drums)。“Gonzo”って言葉自体はよく目にしますが、いかんせん意味をわかってなかったので、調べてみたら、“風変わりな”とか“変わった”という意味があるようですね。どちらかというと偏向的な思考をもった、変わり者というか。名詞としては、“いかれたやつ”、“ばか”、“狂気”という意味合いをもつようです(ニュアンスが分かりませんが)。

そんないかれた名前のバンドであるわけですが、サウンド自体は明るくPopなものです。シンセとギターとドラムにPopなメロディ。ギターよりもシンセを前面に押し出した音作りはNew Wave、リズムはビート感がありながらも躍動感もあって、シャープなギターとの組み合わせはPost-Punk、女性ボーカルが伸びやかに、そしてサイケなヴァイブを発しながら歌うメロディはPop music。歌詞が何語なのかよくわからないのですが、その聴き心地は“風変わり”だ。アンサンブルからはテクニカルなものを感じるけれど、Nastyaの声、そしてヴォーカルスタイルのせいだろうか、キュートなイメージもあって、聴きやすさがさらに増している。

特徴的なのは、シンセやギターの螺旋的なフレーズにある、オリエンタルなフィーリング。アラビック、東洋的なものを感じさせて、ちょっとばかり日本のバンド相対性理論を想起したりも。前半は軽快に突っ走っているイメージがありますが、後半に入るとややスローダウン。よりディープなサウンドで、リスナーをさらに深くに引き込んでいくような作りになっている。どのトラックも何かしらフックをもっていて、耳が惹きつけられる。日本人の琴線も十分に刺激するサウンドだと思います。

ちなみに彼らのデモ音源が、上記Last.fmから入手可能です。興味のある方はどうぞ。また今作収録曲のリミックスも、上記VKで聴くことができます。バンドでありながら、こういったリミックスに意欲的に取り組んでいくあたり、やはりラップトップミュージックへの関心がうかがえる。今作丸ごとリミックスなんてのも、やってくれれば、面白そうだ。



Astrocowboys – Olympic

 Astrocowboys - Olympic

 – Tracklist –
 01. Today
 02. Daniel
 03. We Give Blood
 04. Low Abilities
 05. Call the Police
 06. Athletic
 07. Olympic
 08. Mayumi
 09. Girls with Preferences
 10. My Body is My Enemy



 - 02. Daniel


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 Release Page * = pay what you wish.) :
  ≫ [ main* ] / [ Motherland* ] / [ Last.fm ] / [ SoundCloud ] / [ bandcamp* ]  Download Free!

 Release Date : 2012.12.01
 Label : Scratchrec

 Keywords : ChillWave, New Order, New Wave, Pop, Post-Punk, Shoegaze, Synthesizer.


 Related Links :
  ≫ Astrocowboys on MySpace / on Last.fm / on SoundCloud / on bandcamp / on VK (VKontakte)


  ≫ Always Looking Up: Veins, Knhbtz, Tineidae, and Astrocowboys (on Far From Moscow


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ロシアのインディペンデントなレーベル、Scratchrecより。サンクトペテルブルクのバンド、Astrocowboysの作品が実質フリーでリリースされています。気にった方はカセットテープという形で購入も可能なので、上記のレーベルページを訪れてみてください。Scratchrecに加えて、やはりロシアのインディレーベル、Motherlandからも入手が可能になっていますが、これは彼らのシングル”we give blood”がリリースされていた関係かと思います。

彼らが2010年に発表したデモ音源は上記のLast.fmから、あるいは直リンクでダウンロードができますが(DL)、聴いてみると、まだフォーカスが定まっていなかった印象がある。Post-Rockか、気だるいShoegazeといった調子で、メロディにキラリと光る部分はあるものの、とても今作とは比べるものではない。彼らの現在のカラーが決定づけられたのは、おそらく”we give blood”からだろう。何の気なしに聴いた私の耳に流れ込んできたのは、New Orderの影響も明らかなNew Wave/Post-PunkなPop soundだった。マシーナリーなリズムときらびやかなシンセで作られる、美しく冷たい空間。そこに入り込むロマンチックなギターフレーズ、愁いをおびたヴォーカルが唄う、Popでセンチメンタルなメロディ。チープで自己主張の強いシンセと、Lo-Fiなくせにビッグな鳴りのリズム、これらが否が応にも醸すのは、レトロスペクティヴなサウンドイメージだ。ところどころにあるパーカシッヴなリズムも、Rock以降の、Punk/New Waveといった、決して新しくないサウンドからの影響を感じさせる。

彼らの影響源のひとつに、New Orderがあるのは間違いない。シンセとギターのフレーズにある独特の疾走感、抒情性は、まさにNew Orderのそれ。特にM-2, 3, 5あたりは、そのMelodicでセンチメンタルなシンセを活かした飛び抜けてPopなサウンドになっていて、その破壊力たるや凄まじいものがある。そこにあるドリーミィで悲しいフィーリングは、悲しいくせに、なぜか中毒性が高い。不思議だ。私のフェイバリットはM-5’Call the Police’なのだけれど、シンセとギターの絡みから生まれる、Sadなフィーリングの加速に、聴くたびに心がザワザワして、涙が出そうになる。鳥肌が立ちそうになる。そしてなぜかリピートする。悲しいくせに。音楽の魔法的な力が、そこにある。

そういった先人たちの影響も顕著なPop soundも彼らの魅力なのだけれど、決してそれに終始しているわけではない。M-8やM-9では、そこから一歩踏み込んで(今様になってという言い方もできるか)、ChillWave、シンセによるShoegaze的なサウンドも披露している。M-1においては、脱力したヴォーカルの後ろに’Todaaaay’というパッションあるコーラスが重なっていて、その弾けた感覚、陽性の空気は、今作の中でも異質なものだ。そこから間髪おかずにM-2になだれこんでいくことで、リスナーの目の前の景色を鮮やかに塗りかえるという演出も、見事にキまっている。

メンバー構成やプロフィールが不詳なのが残念なのだけれど、ジャケットイメージやライヴ写真にあるように、フロントマンはウサギのマスクをかぶった姿が多い。そういった部分からも、どこか隠匿的なイメージがある。他のメンバーも、部族の首長のような羽飾りをかぶっていたり、サウンドのイメージとはやや異なった外見をもっているバンドだ。またYouTubeではライヴ映像もみれるけれど、録音環境のせいもあるかもしれないが、音源よりもPost-Punk色が強く感じられて、New Orderから遡って、Joy Divisionの影もちらついていた。

Lo-Fi, Synth, ChillWave, Pop, Shoegaze, etc. こういった要素をあわせもったミュージシャンの源流にNew Orderがいるのだと思うと、彼らの存在の大きさに改めて思い至る。そして個人的に、今後の拡大を予感しているのが、そこにVGM(Video game music)ライクなセンスを注入したサウンドだ。よりシンプルで、ミニマルで、音楽としての機能性が高いもの(この場合の機能は、’BGMとしての機能’と考える)。すでにこのブログでも取り上げたアメリカのMeishi Smileがその流れにいると思うし、日本からも、Meishi Smileにインスパイアされたトラック’F/o/r/e/v/e/r’をつい最近公開したi-flsが、そこに位置付けられはしまいか。 このフィーリングを持ったサウンドは、今後まだまだ現れる。そんな気がする。

話が逸れましたが、今作は良作です。ダウンロードして損になることはありません。とりあえず聴いてみることをおススメします。次作も楽しみだ(と書きましたが、おそらく活動は停止している様子・・・)。


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(CC) by – nc – sa 3.0