ABRAcaDABRA

Netaudio explorer

タグアーカイブ: Rap

Ulzzang Pistol – Girlfriend [ZL​-​22]

 Ulzzang Pistol - Girlfriend [ZL​-​22]

 – Tracklist –
 01. Intro
 02. Girlfriend
 03. Secret Love (feat. Yikii)
 04. Ulzzang Pistol & No Rome – Danceforever (feat. Sarah Bonito)
 05. Ulzzang Pistol & Okapi – Bubblegum (feat. Hatsune Miku)
 06. Kawaii Pink 2 (feat. Sarah Bonito)
 07. Virtual Girl (feat. Achi from Margaret Spoon)
 08. Barrel of my Eye (feat. KOSMO KAT)
 09. Starcrossed (Prod. Similar Objects)



 - 06. Kawaii Pink 2 (feat. Sarah Bonito)


+ + +


 Release Page Download Free! / you can buy it!
 (Bandcamp Download includes special bonus cover track.)

 ≫ View official Zoom Lens album page here : zoom-lens.org/zl_22.html


 Release Date : 2014.10.07
 Label : ZOOM LENS

 Keywords : DreamWave, Electronic, J-Pop, Rap, Synth-Pop, Vocal.


 Related Links :
  ≫ ULZZANG PISTOL on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp
     on Tumblr / on Twitter

  ≫ ~SpiritOcean~オーシャンスピリット on Facebook / on SoundCloud


+ + + + + +


アメリカのネットレーベル/ミュージック・コレクティヴ、ZOOM LENSより。以前にも紹介したフィリピンはマニラのトラックメイカー、Ulzzang Pistolの作品がドロップされました。フリーでも手に入れられますが、購入も可能です(その場合はスペシャルボーナストラックがついてくる! でもリリースページをよく読むと、中身はすでに書かれちゃってる・・・笑)

前回“『HARAJUKU SUNDAY』 原宿ドンタク EP”を紹介した際に、Spazzkidやbo en、KOSMO KAT、Meishi Smileと関連付けましたが、やはり当然というべきか、その界隈に食い込んできたようで、この作品はMeishi Smileの牽引するZOOM LENSからリリースされました。しかもほとんどのトラックでコラボレーションが行われているんですが、メンツがまたハズれていない。‘HATSUKOI’でコラボしたYikiiや、Kero Kero BonitoからのSarah Bonito(!)、同郷のSimilar Objects(彼にこういうPOPなイメージはなかったので意外でした)、日本からはKOSMO KAT(!)や、以前作品に参加したMargaret Spoonからachiさんを招いていたり、同じフィールドにいながらもバラエティ豊かなメンバーがならんでいます。

夜景を眺めるような、何かがはじまりそうな、とてもドリーミィでロマンチックなイントロ。続くタイトルトラック‘Girlfriend’は、まばゆく光るバックトラックにのせて、ひとりのガールに焦がれる気持ちが、全編日本語で歌われます(今作にはpdfファイルでzineがついているんですが、そこには各トラックにまつわるストーリーと、歌詞が掲載されています)。日本語は決してよどみなく歌われているわけではありませんが、逆にそれが感情の強さを感じさせます。あえて日本語を選んで、それによって感情表現を行おうとしている―つまりある種の障壁、困難をのりこえて表現を行おうとしているわけで、そこにかけるエネルギーというのは相当なものではないかと予測できます。そのことが非常にエモーションを感じさせまして、胸を打ちます。ガールに手が届かないそのアンタッチャブルな悲しみを描いたような、思わせぶりなMVも印象的。

作品全体でみても“原宿ドンタク EP”よりグレードアップしていることは間違いないんですが、個人的にうなったのが、Sarah Bonitoを招いた二つのトラック。彼女はM-4では歌詞を共作、M-5では歌詞を提供、そして両トラックでヴォーカルをとっています。Sarahは日本人ハーフなので日本語を巧みに使うことに驚きはないわけですが、非常に印象深くて、改めて才能を感じます。特に‘Kawaii Pink 2’の“かわいいピンクに囲まれて このままここにいればいい ピンク色のピーターパンっているのかな”、“毎日毎日大人になって みんなここを去っていく でも私は演技をしてるだけ”とか、大人になることと、子供でいることの狭間でゆれる心情を、キュートなHip-Hop/Rapで表現していて、メチャメチャよいです。POPなコーティングに耳を持って行かれがちだけど、よくよく聴くと葛藤が封じ込められて、深い。Rapから歌メロにつながってくる曲構成も含めて、すごくJ-Popというか、POPです。

作中でもっともBPMの速い‘Bubblegum’は、初音ミクをフィーチャーしている点も含めて、どこかニコ動っぽさを感じます。派手なディストーションギターを交えた疾走感あふれる曲構成もしかり。J-Popというと語弊があるかもしれませんが、こういうストレートな曲も披露してくるあたりに、Ulzzang Pistolのレンジの広さが伺えます。

achiさんが歌詞とメロディを提供した‘Virtual Girl’は、ちょっと冷たい感じでロボティックな雰囲気。エレクトロ・ポップ。ヴァーチャル・ガール(仮想少女)の視点で、‘君’に触れられない悲しみが唄われます。このタイトルとテーマからして、エイミー・トムスンのSF小説“ヴァーチャル・ガール”を思い出します。精巧に作られたロボットの少女マギーの成長譚ですが、ひとつ今でも覚えているシーンがあって、彼女が人間と身体を重ねたときに“これが人間同士で近づける最も近い距離なんだろうか。だとしたら・・・”って思うところ。彼女は確かそこに悲しみというか物足りなさを感じていたと思うんですが、非常に似通ったものをこのトラックからは感じます。


ちょっと話が逸れますが。たとえば自分にとってのMaltine Recordsのすごさって、POPであることなんです。クラブ・ミュージックを経由したPOPという形で、私のようなクラブ・ミュージックに興味関心のない者にも耳を傾けさせる、傾けさせてしまう、そんなリリース群だけでなく、その佇まいも含めての、あらゆる意味でのPOPさ。そしてZOOM LENSも今では、ジャンルにこだわらず、Digital punk rock spiritをキーワードにして、POPであることにこだわりを見せてリリースを続けています。だから、ZOOM LENS ― Meishi Smile ― Maltineというつながりには非常に納得できるし、ZOOM LENSから今作がリリースされたことにも納得できるのです。何が言いたいかというと、この作品が、POPということです。Indie的な隙が包み隠さず現れているところが、またいかにもZOOM LNESっぽい。キラキラしてるんだけど悲しくて、とてもロマンチック。


+ + +


Ulzzang Pistol- Girlfriend [PV]




アポカリプスに備えるMC – 揉め事は出来るだけ避けたい平和主義者

 アポカリプスに備えるMC - 揉め事は出来るだけ避けたい平和主義者

 – Tracklist –
 01. 揉め事は出来るだけ避けたい平和主義者





+ + +


 Release Page Download Free! / pay what you wish.

 Release Date : 2014.05.26
 Label : Not On Label

 Keywords : Comedy, Hip-Hop, Japanese, Pop, Rap.


 Related Link :
   ≫ アポカリプスに備えるMC on bandcamp


+ + + + + +


まったくもって正体不明なんですが、アポカリプスに備えるMCによるトラックです。私の中にはぜんぜんHip-Hopが根付いていないので(じゃあ何なら根付いてるんだよという質問は受け付けませんよ)、だから情報を手にできないのかもしれませんが、とりあえず面白い作品なのでピックアップです!

このトラックと共に、“ベーシックインカムに期待する25歳”というトラックも公開されているんですが、スタイルは一緒です。PopなHip-Hopトラックに、現代の社会問題を当人目線でとらえたリリックをRapしていく。“ベーシックインカムに期待する25歳”はニートのだらけた精神によるだらけた生活をニートの目線でRapしていくわけですが、“サンクラチェック何これめちゃくちゃ良い/こいつ新しいのもう出てるし/正社員じゃない?って邪推”とか、“音楽聴き放題ってマジ?/てかそんなライフスタイルってアリ?”とか、音楽好きとしては思うところあって、クスリとさせられます。“資本主義で自由競争/でも大切なのは滋養強壮”ってライムも面白いです。焦って就活しているような節もある内容ですが、結果は果たして・・・?

自分としてはこの“揉め事は出来るだけ避けたい平和主義者”は、そのニートが就職した結果の、ブラック企業(というほどでもないかもしれない)における、過酷な毎日がつづられているのだと考えています。連作短編集的な。やっぱりトラックの手触りがPOPなところがいいですよね。“やめる?どうする?絶対もめる/だから逃げる、逃げ切る”ってフックは、思わず頭の中で唄っちゃいます。

のうのう生きてきた自分を知る/こんなに怒る人間もいる”とか、“悪魔の言葉「飲みに行こうか」/誘うか、普通さぁ?/「帰らせてよ!!」/家でいっぱいやること待ってる/だから言い訳ひねり出してる”とか、当人にとっては非常にシリアスな問題だし、実際問題こういう事態で日々悩む人悩んでる人もたくさんいるんだろうけれど、このトラックはそのシリアスをPOPに聴かせてしまうところが素晴らしいと思います。“やっと休みか 一息つけるか/昼まで思いっきり寝るか/鳴るケータイ ざわめく脳内/今から出社とかシャレでもない”とか、マジで地獄だと思うんですが、そこに提示される“やめる?どうする?絶対もめる/だから逃げる、逃げ切る”という、ひとつの決意。要するにバックれるという意味だと解釈したんですが、ケツをまくって逃げることも立派な選択なんですよ。しかし果たして、それを平和主義という言葉で揶揄しているのか、どうか。

Comedyというタグを使っているので、作り手自身はあるあるネタ的な笑いを狙っているのかもしれませんが、思いのほか私はシリアスに聴いています。生きることにはいろんなシチュエーションがありますが、そこでクソな事態に直面した時に、このアポカリプスに備えるMCのトラックたちはきっと、いくばくかの勇気を与えてくれるはず!かどうか(笑)。通勤の電車で聴いてたらちょっとマズいかもしれないな(笑)。でもタフな調子もないし歌唱もソフトだし、音作りもメロもPOPだし、すごく聴きやすいです。EPやアルバム希望!



Suètar – Putes al despatx

 Suètar - Putes al despatx

 – Tracklist –
 01. Bruta
 02. Putes al despatx
 03. Tenteres
 04. Empilles
 05. “Com?” El meu flow és impecable. Muacs.
 06. Sip
 07. 梶木 ~Kajiki~
 08. A Fia De La Gosda Weh
 09. Refrà
 10. Broda (hit freestyle 2013)
 11. Objectius a la vida



 - 01. Bruta


+ + +


 Release Page Download Free!

 Release Date : 2013.12.03
 Label : Not On Label [on bandcamp

 Keywords : Electronica, Hip-Hop, Rap, Soft, Strange, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ Passadís Gúsca
  ≫ Suètar on bandcamp / on YouTube (as Gabriel Tija)

  ≫ This Deep Well on Last.fm / on Facebook / on SoundCloud / on Tumblr


+ + + + + +


ZOOM LENSからリリースを行っているThis Deep Well。彼のサイド・プロジェクトであるSuètarのアルバム“Putes al despatx”がフリーでリリースされています。

このSuètar、ソロなのか複数人によるユニットなのかは不明ですが、個性派ぞろいのZOOM LENS勢の中でも異彩を放っていた“From”を作り上げた彼のこと、一筋縄ではいくまいと、まずはリリースページを訪れて、ジャケット画像を一目見た私、時節柄のせいも多分にあるでしょう、“もしやVaporWaveか?”と鼻息荒くしたわけですが、聴いてみて今度は口から“フフッ”と息が漏れました。見事に予想の斜め上をいくサウンドでした。

Hip-Hop/Rapが基本にあるんでしょうけれど、まーゆるい! “ゆるふわ”どころか“ゆるゆる”ですよ。実際VaporWaveは無関係ではないと思うんです(上記のブログでも何かしら関係したことを書いているようなんですが、いかんせん言葉が分からないので、彼のVaporWaveに対するスタンスは分からないままです)。冒頭のM-1やM-2からして、このチープなシンセサウンドと、レトロなコマーシャル・ミュージックのようなムードの広がりは、やはりそこからの影響を感じざるを得ない。しかしそこに乗っかってくるのが、まさかのRap!っていう。面白いじゃないですか。しかもこれはリズムに乗っているのかいないのか(なぜだかLou Reedの歌唱を思い出させるような)、絶妙なノリ。迫りくるDIY感がたまらない。アドリブなのかどうか、途中で笑い声とか聴こえてきます。

加えて彼独特のソフトな発声・歌唱があるので、ややもするとThis Deep Wellもそうであったように、Shibuya-Keiを感じさせたりするものだから、さらに奇妙で面白い。トラックによっては、まるでお洒落なボサノバに似合いそうな雰囲気がある、ジェントルな声質。プロフィールによれば、彼はスペインはバルセロナ出身のようで、そうすると使われている公用語はカタルーニャ語、ということになるかと思うんだけど、普段聴きなれない、その滑らかな響きは、奇妙さを助長するとともに、今作の味わいをさらに独特なものにしている。

隙間の多い、ゆるゆるなHip-Hop/Rapに終始するだけではなくて、ところどころでThis Deep Wellの片鱗を感じさせてくれます。M-3, 9の脅迫的なシンセサウンドや、M-4, 11にある、浮遊感と疾走感が混じり合った、不思議な味わいなどは、“From”とも共通する部分があります。M-5はひときわPOPなんですが、このメロディ、どこかで聴き覚えがある気がして…、どこだったろう…、カヴァーかなあとも思ったんですが、結局分かりませんでした。下に動画を貼りつけておきますので、この奇妙な絵面(えづら)と共にお楽しみください。ついでに“梶木 ~Kajiki~”もどうぞ! まんま梶木だった(笑)!

VaporWaveを彷彿させるVHSなシンセサウンドと、ソフトヴォイスのRapという組み合わせはとてもユニークで、しかもそこに、こなれた様子のないDIYなフラフラした調子がスパイスになって、唯一無二のサウンドができあがっています。特にメロディに富んでいるわけではないのに、繰り返し聴きたくなるこの中毒性。それはきっと、闇に目を凝らすような感覚だと思うんです。よく分からないもんだから、必死になって正体を知ろうとするような。気が付いたときは、この奇妙なサウンドが耳に染みついて、折に触れ、頭に上ってくるようになるのです。お、恐るべし! このどこにも組しない、孤高のストレンジャー感。大好きです。ちなみにタイトルの“Putes al despatx”、翻訳にかけたら、ポンッとこんな言葉が出てきました―“オフィスでみだら”。あわててジャケット画像を見直しましたが、大丈夫、女性の顔から突き出ているのは、みだらなものではなかったようです!


+ + +


“Com?” El meu flow és impecable. Muacs.






梶木 ~Kajiki~