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タグアーカイブ: Trap

VIRTUAL PVNDA – A.Bon.Danse

 VIRTUAL PVNDA - A.Bon.Danse Cover

 – Tracklist –
 01. Light Showers
 02. Faded Memory
 03. Her Tears
 04. Tsukiji Tuna Shop
 05. Noble Rot
 06. Weiss Endless Waltz
 07. Metro Transit Power Nap
 08. Forest Slumber Party
 09. Liquid Dream Ending Sequence



 - 02. Faded Memory


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 Release Date : 2018.06.09
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Electronica, IDM, SynthWave, Trap, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ VIRTUAL PVNDA on bandcamp


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まったくもって、素晴らしい。VIRTUAL PVNDAの作品は、いつだって私の琴線を揺さぶってくる。

とんとチェックを怠っているうちにリリースされていた最新作は“A.Bon.Danse”。全9トラック。

近作からの大きな路線変更はなく、アンビエントな空間に、スローなメロディ、ところによりトラップビートが入り込んでくる。メロディを奏でるのはシンセサイズな音色で、ディレイやリバーヴをかけられたそれはリスナーの中にノスタルジックな思いを引き起こす。今作は特にノスタルジャーな傾向が強いように思われます。“Light Showers”“Faded Memory”“Her Tears”“Liquid Dream Ending Sequence”といったタイトルも、記憶や思い出ににまつわるエトセトラを想起させ、すなわちシャイニング・メモリーなのですね。

スピリチュアルな話になるのかもしれませんが、心が帰る場所っていうのは、みんながみんな持っているものなのでしょうか。原風景、とは少し違うのかなと最近思い始めているのですが、郷愁と共に脳裏によぎるシーンとでもいうような。実際に訪れた場所というわけでもなく、いつかどこかで見た光景なのかもしれませんが、それほど具体的なものでもなく。テレビや映画でもよくあるシーンのような、川面に陽光が反射しているような、不規則なキラキラとした光の動き、光と影のコントラスト、うねり、けれどそこには8mmフィルムのような粒子の粗さがあって、ただそれが延々と、頭の中を流れ、私はそれを見つめ続けるという。そんな場所。それがなくなったからといってきっと困ることはないんだろうけれど、でもなくなるのは嫌だなあと最近思っているという、ああ、何かよく分からない展開になってきましたね。

この作品に限ったことではないんですが、そのシーンを脳裏に呼び起こす音楽作品というのが世の中にはあって、もちろん今作もそうなんですという話。M-2とかマジでたまらないのですよ。ちょっと音が割れ気味になるところもあるんだけれど、それすらもレトロ感の演出に一役買っている気がする。M-7の物憂げな休日感もいい。全編ビートがトラップ経由だけど決してそこに違和感はない。よくマッチしていると思うしそこが今様なのかなとも思う。でも前から言っているように、IDM/Electronicaの側面も相変わらず感じられるし(実際タグにも“Electronica”は使われてますね)、ビートがもっと複雑化したものだったり、あるいはノンビートのものも聴いてみたいなあ。まあそしたら、VIRTUAL PVNDAらしさは失われてしまうかもしれないけれど。

タイトルの意味をいまいち把握できていないのですが、もし“盆踊り”だとしたら、なかなか気が利いている。死者を供養するための踊りである“盆踊り”。死線を越えた向こうから現世を懐かしむかのような郷愁サウンドと、鎮魂の踊りというのは直接的でないにしろ、リンクすると思いませんか。いやそれよりも、もっと単純に、ここにあるサウンド自体が魂を鎮めるために鳴り響いている、そんな風にとらえることもできるのかもしれません―

だんだんとリリースの頻度が少なくなってきているのが気になるけれど、でも今作が素敵なのでしばらくはこれを心に沁み渡らせようと思います。


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Volca FM + Novation Circuit + PO-12 + PO-20 + PO-14



ブルックル – discography 2018

 ブルックル - discography 2018 Cover

 – Tracklist –
 01. ひばりが丘 [dvdkm]
 02. im like so desperately social
 03. i dont even say a word
 04. memory…
 05. shes so cute
 06. she controls my emotion
 07. eternity【不安と短い金髪】
 08. me and you (it never works out)
 09. ピンクパラソル
(※私が初めて目にした時よりトラックが増えているので、今後も追加されるのかもしれません)



 - 08. me and you (it never works out)


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 Release Date : 2018.01.01
 Label : Not On Label

 Keywords : Beats, Hip-Hop, Indie, Lo-Fi, Trap, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ ブロックル on SoundCloud / on bandcamp / on YouTube / on Twitter


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ノスタルジアとグロテスクなイメージはこと私の中ではなぜか結びつきやすい。なぜか。そこに純粋な何かがあるからだろうか。ブルックル(あるいはブロックル)の作品にある、ノスタルジックで、でもグロテスクで(それは主に視覚的な部分による)、無垢なイメージは、私の中できれいに結びつく。そこに違和感はない。

抒情的なピアノの旋律を活かしたBeatsなトラックが主になっているようで、VaporWaveというよりはBeats/Hip-Hopに寄っているような気がします(チキチキビートはTrap経由だろうか)。でもこれまでの作品の中ではもっともVaporWaveに接近しているのかもしれない。nemuri winter系というにはちょっと煙っぽくて、memory cardsに近しいような気もするけれど、あんなにドリーミィではない。M-2なんか十分にドリーミィじゃないかって言われるかもしれないけれど、この日曜日の昼下がりに何もすることがないときの空気みたいな、ダルッとした調子、どちらかというと憂鬱ではあるまいか。M-3にあるような日本語のセリフをサンプリングしたスタイルも珍しくはないけれど、そこから醸される恋愛に関しての思い悩みは多分に思春期的で、やはりそこには無垢なイメージがよく似合う。

リノリウムの床と、ちょっと暗い体育館と、紺色のブレザーを着たあの娘と、いつも晴れない私の気持ち。頬杖ばかりつく机の上。正面玄関、下駄箱の前に植わっていたのはサルビアで、その蜜を吸っていたのは、もっと前の記憶か。懐かしいけれど、特別に楽しくはない記憶が、フワリとよみがえる―明るくもなく、ちょっぴり憂鬱な毎日。それを懐かしく感じさせてくれるのが、音楽の素敵なところ、かもしれない。いつか見ていた景色も、意味のあるものに、思わせてくれる。喜びも、悲しみも、やがて懐かしさに変わる、のか。しかしそこにあった無垢で、それゆえにグロテスクな憧憬はいずこへ――果たしてそれは、懐かしさと共に、蘇る、のか――


intentional.trauma / 君へ恋文



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 Note :

tracks i released by themselves or on compilations in 2018
please support the people who helped share my music by supporting the tapes im featured in
credits

dvdkm

Some rights reserved. Please refer to individual track pages for license info.



otro – vida

 otro - vida

 – Tracklist –
 01. vida
 02. portrait
 03. duelo
 04. y/otro
 05. sujeto
 06. siento
 07. roto
 08. resurrección
 09. accord
 10. libera


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 Release Page Deleted!

 Release Date : 2017.02.24
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Glitch, Hip-Hop, IDM, Techno, Trap, Synthesis.


 Related Links :
  ≫ otro on SoundCloud
  ≫ socratako. on bandcamp


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スペインのトラックメイカー、otro(Aaron Morris)。otroはスペイン語のようで、英語にするとother、つまり“他の”という意味になるようだ。もともとはsocratako.という名義で活動していたようで、そのときのbandcampも消されずに残っている。それを踏まえたうえで“他の”という名前になったのかは分からないけれど、明らかに差別化が図られている。IDMやIndustrial、Body music~NewWaveをブレンドした電子音楽は、この名義になって、果たしてどう変化したのか。

ディレイやリバーヴを散りばめつつも、直線的、鋭角的で、音の粒やパーツのたった、パッキリとした音像から、歪で混沌とした抽象的、曲線的で、グニャリとした粘土細工のような音像へ―それぞれのパーツは互いに絡み合い、もともとの形を変え、ひとつにまとまり、そのさまはグロテスクでもあり、同時に美しくもあり。ある種の造形美。作品の中ほどとラスト、ふいに顔を出すAmbientなトラックは 否が応にも静謐な風景を引き起こす。

彼のInstagramを眺めてみれば、何気ない日常のスナップとは別に、ノスタルジアと、性と、暴力と、都市あるいは建築物の無機質性、それらを内包した写真、そして仄暗いスケッチ、のようなものが散らばっている。作品にある音たちにも、そこからそう遠くないイメージを、私は持っている。感じている。

一言でいってしまうと、似た感想を持つ人もいるかもしれないが、Arcaなのです。広大な宇宙空間から個人の精神世界にダイブしてくるみたいな、急激な収斂。歪にいきり立つシンセ音。孤独に瞬くそれらは、ロマンチックでもあり。ざらついたシンセティックなレイヤーの伸縮は、平面から立体へと変化するオブジェのような不可思議性―そしてそれは異形のイメージ―につながっていく。

リズム的にはだいたいにおいてHip-Hop~Trap的なものが用いられていて、このあたりが今作の分かりやすさに役立っているのではあるまいか(といっても、もちろん大衆的な音楽ではないけれど)、それはまるで文学とエンターテイメントの狭間を行くような、ともすれば中途半端にも捉えられてしまう所業かもしれないが、今作は実にうまいこと、その狭間をいっていると思う。Arcaチルドレンがどれだけいるのか分からないが、今作はその成功例といってもいいのではないか(ネガティヴな意味ではなく)。パーカッシヴな鳴りや、どことなく中近東を思わせるメロディラインも、いい具合にフックになっている。

聞けば彼otroはまだ10代だということで、音楽を続けていくのならば、そのスタイルはこれからドンドン変化していくのかもしれないし、これもその内の一つとして過去のものになってしまうのかもしれない。影響源と思しきArcaにしても(otroのSoundCloudではArcaの‘Anoche’がしっかりとリポストされている)、現時点で新作の全貌は明らかではないけれど、公開されているトラックから察するにおそらくはこれまでと同じではないだろうし、だとすれば初期Arcaとでもいうべき独特の音像を誰かが引き継ぐというのも、面白く、価値のあることなのかもしれない。


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ちなみにsocratako時代の面白いビデオ―

これって実際の映像ですかね。致死量でしょ。日本の狂気。



boxboys – C h i l d h o o d

 boxboys - C h i l d h o o d

 – Tracklist –
 01. f l o a t
 02. s a f e t y . n e t
 03. j u s t a k i d
 04. l o l
 05. p i x e l
 06. l u l l a b y



 - 03. j u s t a k i d


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 Release Date : 2016.03.09
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Hip-Hop, Juvenile, Mellow, Pop, Trap, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ AlexCavoli on SoundCloud
  ≫ boxboys on bandcamp


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ドイツのプロデューサ、boxboys(AlexCavoli)が突然生み落してきた怪作です。といっても別に気持ち悪い作品というわけではなくて。これまでにも作品は公開していますが、そちらでは即興演奏のような、ラフスケッチのような、ギターやピアノを使った風通しの良いサウンドを響かせていました。

ところがここにきて、何がどう作用しているのか分かりませんが、彼自身の言葉を借りれば、“here’s a short album of mellow, hiphopish, vapory songs, good for car rides through suburbs.”な作品をドロップしてきたのです! よりエレクトロニクスを生かしたサウンドメイクへシフト、リズムもHip-HopやTrapを貪欲に取り入れ、表面的にはガラリとカラーを変えてきたのです。確かにVaporWaveのタッチが感じられるし、それを意識しているのも分かりますが、手法的にはサンプリングの異形化(そしてそこに含まれる過去のリヴァイヴ)というよりは、スローモ、Chopped & Screwed風なエディットによって、自身の作ったサウンド、メロディを歪ませているのだと思います。それ自体は別に珍しいことではない思うんですが、今作のすごいところは、そこに彼がもともと持っていたであろう、メロウで、Popなものへの志向性が結びついて、得も言われぬマジカルなPop musicが生まれていることなのです。

どの文脈から聴くかによってだいぶ面白さが変わってしまうかと思うんですが、たとえばトイトロニカとか、インディートロニカの文脈だとあまり面白みがないのかもしれません。でもVaporWaveの側から聴いてみると、“ああ、こんな作品も出てくるようになったんだなあ”と、なんだか感心してしまうような、新しさ、新鮮さ(同じこと言ってるな)が感じられてきはしませんか。某所ではbo enを想起するというようなコメントも見られましたが、このVaporWaveも感じさせるタッチの中に、キラキラとした輝きや、フワリとした浮遊感、warmlyな体温(のようなもの)が内包されているのはとても面白い。小道具に使われているPCのクリック音やエラー音、大胆に入ってくるブラスの音にも、違和感や嫌味はなく、小奇麗にまとまっている。

すわエポックメイキングな作品かと思って鼻息荒くしてしまったわけですが、当然ながら根っからのVaporWaveな作品ではないわけで、これをVaporWaveと呼ぶことには、やはりためらいがある(おしゃれ居酒屋を居酒屋と呼ぶかどうかみたいな話だ。いや違うか)。でもVaporWaveの表面的な耳触りの部分だけを掬い取って、それをPop musicに混ぜ込んで、見事に作品として開花させたという点では、評価されるべき、とてもタイムリーな作品なのかもしれません。 優れた作品だと思います。各トラックがいかんせん短いのが玉に瑕。VaporWave vibes! 



Majin Bu – 015 [PPR #407]

 Majin Bu - 015 [PPR #407]

 – Tracklist –
 01. 015
 02. Hectagon
 03. Reedham
 04. Black Cloak
 05. AMG
 06. Spiral Galaxy
 07. Epilogue



 - 05. AMG


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 Release Date : 2015.11
 Label : Pure Potentiality Records

 Keywords : Electronic, Hip-Hop, Sample-Based, Trap.


 Related Links :
  ≫ Majin Bu on SoundCloud

  ≫ BENSTEPNER.COM
  ≫ Ben Stepner on Last.fm / on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on Twitter


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アメリカのプロデューサ、Ben Stepnerがけん引するネットレーベル、Pure Potentiality Recordsより。彼とd/nyceによるユニット、Majin Buの作品です。前にも紹介しましたが、d/nyceについては相変わらずくわしいことは分からず。今回の“015”というタイトルに込められた意味も分からない。ついでに、このジャケットイメージも何じゃろかという感じ。だがそれがいい。前回紹介した“Hologram”のジャケットイメージだってよく分からなかったし。

Ben Stepner自身もそうですが、このMajin Buもけっこうな頻度で作品を公開しているので、私もすべて聴ききっているわけではないのです。前にも書きましたが、完成形なのかラフスケッチなのか、とにかく連投、Benに関しては違う名義でもまた連投なので、ほぼ自身のリリースで固められたレーベルのカタログは現時点で400番台というのも納得です。しかし粗製乱造というイメージも私の中にはなくてですね。なにがしかの引っ掛かりを感じておるので、こうやって機会があるときに聴いていくわけです。

今回もけっこう久しぶりに耳を傾けてみたのですが、はて、いかに。と、メロウなフィーリングを獲得していることに驚かされた(Hip-Hopのメロウとはちょっと違うんだと思うけど)。ミニマルなことはミニマルなんだけど、明らかに聴き心地に音楽的なものが流れていて―言い換えればMelodicに感じられて―、そこが何より私を惹きつけるのです。今作や“Ginger Candy”のジャケットイメージ、それからNinja Cyborg”もそうだけれど、なんとなくオリエンタル(ないしはアジア)的なものがイメージとしてあるのかなあと、感じます。別にサウンドとして表面化しているわけではないので、それほど強いものではないと思うんですが、ネーミングやイメージのチョイスに現れるくらいには、意識されているんだと思います(以前にも“Yoshimitsu”というタイトルがありました)。

Hio-Hop~Trapのビートと、簡素なメロディ(これはオリジナルかサンプルかは判然としない。どちらもあるのかもしれない)を組み合わせた、シンプルなミュージックなのですが、メロウというか、若干の感情性、抒情性のようなものが感じられて、心をくすぐられてしまうのです。‘AMG’などはメロディはゆるやかなのに裏でTrapビートがポコポコと回転していて、なんだか奇妙な聴き心地。面白いです。使われているメロディのせいもあるんでしょう、聴きようによっては、ちょっとVaporWaveっぽくもある。‘Spiral Galaxy’などはAmbient/Electronicaタッチのウワモノがドリーミィに響く小品。そこで一回トーンを落として、そのままラストの1分弱の‘Epilogue’へ繋げるという、作品としての流れも意識されているであろう、珍しく(?)、まとまりのある作品になっています。

全トラックではないかもしれませんが、今作に関してはサンプルに使われたと思しき曲が、タグに記載されています。せっかくだから記載しつつリンクも貼っておきましょう。どういう形で取り入れられているか、耳を傾けてみると、面白いですよね―

01. 015 ≫ Quincy Jones – The Secret Garden (1989)
02. Hectagon
03. Reedham ≫ Squarepusher – A Journey to Reedham (7AM Mix) (from “Big Loada”, 1998)
04. Black Cloak ≫ PARTYNEXTDOOR – Party At 8 (prod. TM88)
05. AMG ≫ G.Benson – Love Will Come Again (from “In Your Eyes”, 1983)
06. Spiral Galaxy ≫ Zombi – Andromeda (from “Cosmos”, 2004)
07. Epilogue ≫ Brian Eno& Robert Fripp- The Heavenly Music Corporation (from “No Pussyfooting”, 1973)



memory cards – Everglades

 memory cards - Everglades

 – Tracklist –
 01. canal st.
 02. postcards
 03. iridescent
 04. crevices



 - 03. iridescent


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 Release Date : 2015.08.22
 Label : Not On Label

 Keywords : ChillWave, Cloud Rap, Electronic, Melodic, Nostalgia, Trap.


 Related Links :
  ≫ memory cards on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on T R A K T R A I N / on Twitter


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私の中ではCloud Rapの御大として光り輝く、アメリカのプロデューサmemory cards。2015年春にはダブルアルバム“save points”をドロップして喜ばせてくれましたが、その数か月後の夏にも今作を出してたんですねえ。気づいていなかった自分が恥ずかしい。

内容はSoundCloudで公開していたトラックが中心です(以前のSlotシリーズみたいなニュアンスですね)。しかしM1~3までは確かに私のHDにも保存されているのが確認できるのですが、M-4だけは記憶にないです。気づかない内にSoundCloudから消えてしまったのか、それともここが初出なのか。いずれにせよ、4トラック収録の小作品。

もはや本人自体も“Cloud Rap”とか“TrillWave”とか、狭義のタグは用いていません。そこにとらわれたくないという意思の表れかもしれませんし、リスナーをタグで導くことを必要としなくなった―つまり彼がリリースすれば自然に注目があつまるような、幸福な環境にある、ということかもしれません。実際SoundCloudの再生回数は少ないトラックでも1万は超えているので、十分な人気を獲得しているといっても、よいでしょう。

全編で10分にも満たない今作ですが、安定のmemory cards節。Hip-Hop/Downtempoのリズムに、キラキラ、コロコロした電子音やアコースティックな楽器音(ピアノやギター)、サンプルベースと思われるコーラスなどを巧みに織り交ぜ、思い出の場所で吹く懐かしい風のようなノスタルジアを感じさせてくれるのです。前作あたりからどんどん音作りがやさしくなってきている印象がありますが、今作も例外ではなく、音の圧力は強くありません。それと相まってなのか、決してメロディが依然とくらべて弱いとかいうこともないんですが、なんとなくSadなイメージが薄れてきている印象もあります。Blissといってしまうと言い過ぎなんですが、どことなく温かいものを感じるのですね。だから、悲しみよりも、ノスタルジア―過ぎ去った時を悲しむというよりは、薄く笑みを浮かべて懐かしんでいるような、そんなイメージが浮かぶ聴き心地なのです。

SoundCloudを訪れるとわかりますが、今作収録のトラックには、それぞれジブリ映画のイメージが付されています(まあこれはmemory cardsに限ったことではないけれど)。今作のジャケットイメージもそうです。これが実にハマっている。懐かしい何か。悲しみではなくて。かつてあった何かを懐かしむような。けれどそこには後ろ向きな気持ちはなくて、むしろ清々しさ、爽やかさの類があって。私の頭に浮かぶのは、卒業後に数年経ってから久しぶりに訪れた母校(小学校でも中学校でも高校でも大学でも何でもいい)を、グラウンドを取り囲む金網の外から眺めているような、そんなイメージなのです。昼間。誰もいないグラウンド。もう自分はそこにはいないし、手が届くこともないけれど、かつてあった何かがそこにはあるような。それは思い出と呼ぶべきものなのかも、しれません。そんな音楽を鳴らすのがmemory cardsだなんて、ちょっと出来過ぎじゃあないですか。やっぱり好きだなあと、改めて実感。

Facebookでは新作を匂わすような投稿をしている彼、期待して待ってます。せっかくなので、過去の作品からもいくつか―



 - Fragile (from “Slot 5”)



 - Fantasia Arc (from “Slot 3”)



 - Travel [memory cards + bansheebeat] / [ mediafire


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memory cards – All the Things You Saw in Me
(from “Dreamcast Aways Collection”) / [Video by AcidKarma




Three Wishes – Restoration EP [GT008]

 Three Wishes - Restoration EP [GT008]

 – Tracklist –
 01. Dream
 02. Wake
 03. Simple Drawings
 04. Lionheart
 05. Water Treasure
 06. Sand Burial (Genie Theme)
 07. Dream Pt. II



 - 01. Dream


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 Release Date : 2015.07.25
 Label : GEM TONES

 Keywords : Ambient, Edit, Meditative, Melodic, New Age, Trap, VaporWave.


 Related Links :
  ≫ PRINCE PROZAC on SoundCloud / on bandcamp


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2015年発足の新興レーベル、GEM TONESより。Three Wishesの作品がフリーでリリースされています。

Three Wishesというのは、どうやら3人で作られた共同プロジェクトのようで、リリースページにメンバーらしき表記があります。それによると、K△R△ 、K8E 、PRINCE PROZACがThree Wishesの構成員ということになりますが、残念ながら私の気合が足りず、PRINCE PROZAC以外の情報には、たどり着けませんでした。

PRINCE PROZAC自身もbandcampで“CAPSULE 1”という面白い作品をリリースしています。New Age/MeditativeなAmbienceとTrapビートを組み合わせた、Meditative Trapとでもいえる、類似サウンドの少ないユニークな作風です。当然彼/彼女がメンバーにいる、このThree Wishesにおいても、その作風は反映されていて、随所でユニークなサウンドを聴くことができます。

M-1がもういきなりクラシカルなNew Age調のサウンドで始まりますが、シンプルにそのまま流していくのかと思ったら途中で編集感はなはだしくて、強引に脱臼させられたような感じです。M-2においてはさらにその傾向を顕著にして、1分にも満たない中で、ひたすらに同じフレーズを反復して最後はGlitchしたままM-3になだれ込んでいくという、投げっぱなしぶりが潔い。

M-3は流れを一気に変えて、Trapなビートとドラマティックなメロディを組み合わせて、ラッシュ感のある風景を演出。なんだか教材映像のBGMようなシンプル&イージーなトラックですが、この走った調子は作中でここにしかなく、これははPRINCE PROZAC以外のメンバーが持ち込んだものなのかもしれません。M-4がまた、どこかエスニックな雰囲気もあるMeditative/Editなトラックになっていて、ここまで聴いて頭によぎったのが、以前にも紹介した木の反射の作品“Body [Disc I]”なのですね。まあアッチはもっと直球でAmbient/Meditative/New Ageでしたけども。共振する部分が感じられて、いろいろ勘繰りたくなります(というか今気づいたんですが、木の反射って、もしやPEGA 速力なのか? bandcampからリンクが貼られてるわ・・・)

さて、M-6‘Sand Burial (Genie Theme)’はいきなりアラビックなフレーズが全開で鳴り響き、終始それで貫かれるという、まったくもって意図が読み取れないのですが、もしかして今作はアレかな、宝探しか何かの道程をイメージしてるのかしらん。夢から覚めて(‘Wake’)、空を飛び(‘Simple Drawings’)、広大な砂漠を彷徨い(‘Lionheart’)、オアシスで暗くさびしい一夜を明し(‘Water Treasure’)、お宝―それは魔法のランプか。“Three Wishes”という名前は無関係ではあるまい―にたどり着いた(‘Sand Burial (Genie Theme)’)、と思ったら夢だった(‘Dream Pt. II’)、みたいな。

ということでもはやVaporWaveなのか何なのか、何と呼称すれば適当なのかも分からない不思議ミュージックでした(聴いててニヤニヤしちゃったり)。いやしかしNew Ageを経由したMeditativeとTrapが結びついている、その部分が大きいので、New Trapとか呼んじゃおうかと思いましたが新しいTrapみたいで紛らわしいので、やはりMeditative Trapか!(結局適当)。メロディがあるのでそんなに聴き難いことはないし、一度聴いてみるのも良いと思います! 判断はそれからで。

ちなみにGEM TONESですが、PEGA 速力の作品もリリースしてるし、何気にsweet peaのカムバックシングルもあるし(見事にザ・VaporWave)、幽霊, T O G E T H E R!の作品もこれから控えているらしいので、個人的には要チェックです。≫ ※2016年9月現在、レーベルは休止中のようです。


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(CC) by – nc 3.0