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タグアーカイブ: Trip-Hop

Hotwax – Communicator

 Hotwax - Communicator

 – Tracklist –
 01. Aerotropolis
 02. Visionary ft. Navigateur
 03. Between the Rivers
 04. Titania
 05. Isopod
 06. Overpass
 07. Cyclical
 08. Rockaway ft. Steffaloo
 09. Gunlock Ave
 10. Skygrid
 11. Celestial
 12. Eternal



 - 01. Aerotropolis


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 Release Date : 2017.06.30
 Label : 2060 Records

 Keywords : Ambient, Chill, Downtempo, Dream, IDM, Trip-Hop.


 Related Links :
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アメリカの2060 RecordsからリリースされているのがHotwaxの“Communicator”。今作が初作ではなくて、これまでにも自身のbandcampから複数作品をリリースしていますし、またVacant Magicから“Dawn Emerges”、“Crystalline EP”のリリースがあったりしますし、SoundCloudでも多数のトラックを公開しています。

一発聴いて思ったのは、レーベルメイトでもあるLost Integrityのサウンド(最近動きがないですねえ…)。ということはさかのぼればBoards of Canadaも見えてくるということですが。白く濁ったアンビエンスと、ミドルテンポの安定したリズム、丸く柔らかいシンセのメロディ。作りとしては簡素だと思うんですが、でもそこに現れるドリームなスケープは確かに両耳を通じてリスナーを包み込んでくるし、また心地よいものなのです。エフェクトやサウンドの組み合わせの妙なのでしょうか。

サウンドは見事に統一されていて、まさに夢の中の散歩といった調子なのですが、‘Visionary’‘Rockaway’のようなヴォーカルトラック(これがまたいい)だったり、ラッシュ感のある‘Titania’を織り込むことで、その道程には絶妙に緩急がついている。先に出した“Crystalline EP”、それから自身でリリースしている“Captivate EP”などを聴くと、見せる景色は似通っているが、その耳触りは似て非なるものになっている。まずシンセのアタックが強いし攻撃的な印象もあるし、メロディも控えめで、SynthWaveというのは言い過ぎかもしれないが、ところどころ80sなサウンドを感じさせる部分もあったりする。作品によって、というよりは、自身のスタイルを模索している過程がそのまま作品に現れているような気もします。もちろんここでフィニッシュというわけではないでしょうが、確かに今までの中では完成度はもっとも高いと思います。しかし見る限りでは2011年の“Open Eyes EP”ですでにスタイルはほぼ出来上がっているので(特にWashed Out’sの‘Echoes’をサンプルにした‘Escape’がよいですね)、らせん状に上に上っている感じでしょうか。



 - ‘Escape’ (from “Open Eyes EP”)


さて、今作、全編一本調子(気味)なのはプラスに考えればそれだけひとつの夢にたゆたうことができるということ。十分Ambient的ですが、個人的にはもっとAmbientに傾いても好きですね。気に入った方は是非ほかの作品、トラックも聴いてみてくださいね。


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Guitar on “Visionary” by Nate Wagner.
Vocals on “Visionary” by Navigateur.
Vocals on “Rockaway” by Steffaloo.
Mastered by Drew Porras.



the A.W. – micro​.​Dreams III [MNMN332]

  the A.W. - micro​.​Dreams III [MNMN332]

 – Tracklist –
 01. Ⅷ
 02. Ⅸ
 03. Ⅹ
 04. Ⅹ [piano version]
 05. Ⅹ [the A.W. remix]



 - 01. Ⅷ


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 Release Date : 2015.07.29
 Label : MNMN Records

 Keywords : Drum’n’Bass, IDM, Liquid Funk, Melodic, Trip-Hop, Vocal.


 Related Links :
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ロシアンネットレーベル、MNMN Recordsより。モスクワのユニット、the A.W.の3作目がドロップされています。前に1作目を紹介したときにも書きましたが、メンバーはСергеяとМариныで、おそらく変化はないものと思われます。

ヴォーカルを担っている様子のМариныですが、1作目ではその声が披露されることはなく、2作目の‘Ⅶ’でようやくそのエレガントな歌声を聴くことが出来ました。つまりこれまでほとんど歌に重点が置かれることはなかったのです。Drum’n’Bassを主軸にして、AmbienceやChillなフィーリングを取り入れた、Liquid Funkと呼ぶにふさわしいサウンドが、彼らの持ち味でした。

それが今作では歌を前面に押し出して、全編がウタモノトラックになっています。もちろんいきなり音楽性が変わるということはないので、大枠でDrum’n’Bass/Liquid Funkという部分では変わりはないのですが、印象はけっこう違うんですね。確実に歌を聴かせにきているので、歌に合わせた展開になっているし、歌を活かすような作りになっています。逆にいうとバックがあまり耳に入ってこないんですよね。M-1なんかIDMやTrip-Hopの風味もあって面白いしカッコいいのでもうちょっとバックトラックに比重を置いても素敵だったかもしれません。

Мариныの歌声はソウルフルでエレガントな芯のあるものなので、楽曲に血肉を与えていると言いますか、これまでになかった人間臭さ、熱さを与えているように思います。この辺りで、これまでにあったクールな調子が軽減されてしまっているので、好き嫌いが分かれるところかもしれません。ヴォーカル抜きのトラックなどがあれば、また全体としての印象は異なるものになったのでしょうが。でも、そういう聴き方をするものでもないのかなあ・・・。というのもこれまでの作品と同様に各トラックにはローマ数字が付されていますが(というかほとんどそれのみ)、これは通し番号になっていて、1作目の1トラック目を‘Ⅰ’として、以降は‘Ⅱ’、‘Ⅲ’・・・と続きます。そして2作目の‘Ⅴ’、‘Ⅵ’、‘Ⅶ’を経て、今作の最終トラックは見ての通り‘Ⅹ’となっています。

ということは、考えようによっては、この‘Ⅰ’から始まって(現時点では)‘Ⅹ’で終わるまでが、ひとつの作品とみなすこともできるのかなあと思うわけです。タイトルも“micro​.​Dreams”というシリーズで統一されているし。そうすると、ここにきて連発されたウタモノトラックの存在も、案外バランスのよいものなのかもしれません。私はまだやってませんが、‘Ⅰ’~‘Ⅹ’まで並べて聴いてみるのも面白いかもしれませんね(でも多分近作の方がクオリティは高いと思います)。

ラストにはヴァージョン違い、リミックスが収録されていますが、ひとつはバックをすべてピアノに挿げ替えたポストクラシカル(あるいはネオクラシカル)なヴァージョンへ、もうひとつはトランシーなシンセと変調させたヴォーカルで、本編ではなかったサイバーな宇宙感を演出。前作の‘Ⅶ’や、SoundCloudの他トラック(“micro​.​Dreams”以外)を聴いても感じますが、ストレートなDrum’n’Bass/Liquid Funk以外にも引き出しを持っているようだということです。“micro​.​Dreams”がまだ続くのかどうか分かりませんが、別の引き出しもそろそろ開けてみせてほしいですね。


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(CC) by – nc – nd 3.0



The Buddhas – Outdoor [CUNTROLL087]

 The Buddhas - Outdoor [CUNTROLL087]

 – Tracklist –
 01. Vanilla Radio
 02. Finder
 03. Picnic
 04. What
 05. Evening
 06. Breakfast
 07. City
 08. Home


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 Release Date : 2015.05.14
 Label : Cuntroll

 Keywords : Downtempo, Electronic, Hip-Hop, Melodic, Trip-Hop.


 Related Links :
  ≫ The Buddhas on Facebook / on SoundCloud / on YouTube / on VK (VKontakte)


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ロシアンネットレーベル、Cuntrollより。The Buddhas(Anton Khabibulin)の作品が、フリーでリリースされています。

ドラムマシンに生演奏やそのルーピングを重ねた、スタイルとしては特に珍しくないし、またテクニカルなことをやっているわけでもありません。でも良いんです。8トラックでも収録時間は20分もないし、つまりトラックの尺はいずれも短いから展開もそう多くなく、ミニマルな構成がほとんどなんだけれど、それでも良いのは何故なのかという話。 つきつめると音楽を聴くのは何故なのかというところにまで話は及ぶのかもしれませんが、少なくとも今作では、私にとっての良い音楽の条件のいくつかが満たされているということです。

使われている音色の良し悪しと、メロディの有無と、そこに景色が見えるかどうかという、ひどく主観的な条件にはなりますが、今作は非常にシンプルでありながら、それらをクリアしているのです。音色の部分で印象的なのは、ほぼ全編で用いられているギターの演奏。下のスタジオライヴの動画を見ても分かるように、エレクトロニクスを活かしたサウンドメイクでありながら、聴き心地に有機的なものを感じるのは、このギター演奏によるところが大きいのではないかと思います。今作ではクリアなトーンのギターが鳴らされていて(他の作品では違う傾向もある)、メロディはいずれも柔らかく、暖かい景色を喚起するものです。トラックによっては少しの抒情性、物悲しさが覗いているのが、また良いです。

“Outdoor”というタイトルが作品のイメージになっているのでしょうが、‘Finder’‘Picnic’‘Evening’‘City’など、屋外への視点、興味・関心を思わせるトラックタイトルが並んでいます。私が一番好きなのは‘Breakfast’なのですが、これも考えようによっては、ピクニックでの朝食と、そう捉えることも出来ますし、そうするとやはり屋外=outdoorの一幕と位置付けることも出来ます。ラストの‘City’‘Home’という並びからは、屋外をグルリと経て街を通過し、我が家へ帰り着いたというような、そんなシーンを想像することも出来ます。丁度クロージングとなる‘Home’は、夜の訪れを予感させる、まどろむような調子になっており、旅の終わり、一日の終わり、それすなわち安らぎの眠りを表現しているのかもしれず、そうするとあながち私の解釈も間違っていないのかもしれません。

Hip-Hop/Downtempoのリズムとささやかなエレクトロニクス、それらに重ねられる、やさしい楽器演奏。すごくジェントルな佇まいで、好きですね。良い作品だと思います。SoundCloudにある“TheBuddhas”ではまた毛色の違うサウンドを聴くことも出来ますので、興味のある方はぜひそちらも。


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LIVE #1 – The Buddhas in the studio (27.10.2014)



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Sound: Anton Khabibulin
Photo/Design: Dmitriy Semyonushkin

(CC) by – nc – nd 3.0



Giallo – Iamaway [LimREC135]

 Giallo - Iamaway [LimREC135]

 – Tracklist –
 01. Today
 02. Winter’s soul
 03. Insomnia
 04. Yellowhead’s happy
 05. Robbie
 06. Unbearded prince
 07. Bob fine
 08. Lake
 09. Iamaway



 - 02. Winter’s soul


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 Release Date : 2013.04.20
 Label : Liminal RECS

 Keywords : Ambient, Electronic, Melodic, Trip-Hop, Vocal.


 Related Links :
  ≫ giallo
  ≫ Giallo on SoundCloud / on PROMODJ / on VK (VKontakte)


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ロシアンネットレーベル、Liminal RECSより。5人組バンドGialloの作品がフリーでリリースされています。オフィシャルサイトを見る限り、メンバーはKAMILLA(vocal), ALIYA(vocal/keyboards), VASIL(bass), IVAN(drum), VLADIMIR(guitar/percussion/sampler)の5名であるようです。ちなみにバンド名のgiallo(ジャッロ)というのは、“イタリアの20世紀の文学ジャンル、映画のジャンル”です(wikipediaより抜粋)。もともとは、フーダニットの構造をもつミステリー小説を出所にしているようですが、私にはDario Argento(ダリオ・アルジェント)の映画に使われているワードとしての方が、なじみが深い。“過度の流血をフィーチャーした引き伸ばされた殺人シーンを特徴とし、スタイリッシュなカメラワークと異常な音楽のアレンジをともなう”(同上)という特徴は、まさに彼の映画に当てはまります。

でも彼らGialloの音楽が、ある部分でスプラッターともリンクする芸術ジャンルとしての“giallo”と結びつくかといえば、そうはなっていない。Gialloの音楽は一言でいえばTrip-Hopであり、そこにある気品は、アルジェントの映画がもつ極彩色で大仰なイメージとは切り離されている。確かにシネマティックな音作りは特徴的で、たとえばディストーショナルなギターが聴けるトラックもあるのだけれど、それは感情表現というよりも、トラック/空間を形作るひとつの要素として機能していて、いわばパーツ。トラックの中にピタリとはめ込まれていて、過剰に飛び出しては来ない。だから、音像は非常に落ち着いている。Ambient、空間的な音作りが目立つ作風だ。冒頭のGlitchyなテクスチャーが印象的な‘Yellowhead’s happy’においては、ピアノや鍵盤に陽性の響きがあって、Lounge musicのような味わいがあり、これもユニークだ。

歌声にしてもそうだ。ヴォーカリストは2人いるようだけど、いずれも女性。Trip-Hopにあるような湿った調子は、強くない。のびやかで、絶妙の丸みをもった歌声は、ときにエモーショナルで、ときにドリーミィで、とても美しい。ほんの少しだけ、なんだけど、奥の方に甘さを秘めていて、Ambient色の強いM-2などにおいては、Cocteau TwinsのElizabeth Fraserを感じたりする場面もあった。

“giallo”との関連は強くないと書いたけれど、作中でもっとも“giallo”につながるものを感じたのが‘Bob fine’だ。このトラックの冒頭にあるシネマティックなフィーリングは、スリラー映画のそれに通じる。白いシーツをかぶった人影が、スローに揺れているような、幻想的でミステリアスなシーンが浮かんでくる。霧の立ち込める石畳の街角で、誰かが皮手袋をはめるシーンでもいい(なんかステレオタイプなイメージだけどな)。ショッキングなシーンへの前兆のような、緊張感が心地よい。

ラストのトラックがまたね、それまでと一風変わって、ライヴ感を打ち出していてインパクトあり。ジャジーなピアノとリズムを軸にして、情感のある深い歌声が響き渡る。螺旋的なストリングスの音色が脳裏に映像をひらめかせ、まるで映画のエンドロールのような、余韻が訪れる。4月に行われたライヴは、ストリングス・カルテットを招いて行われたそうだけど、是非そのときの音を聴きたいものですね(写真はVKで見れます)。きっと素敵だったでしょう。


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Giallo – Yellowhead’s happy



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(CC) by - nc - nd 3.0



Lone Electrone – Feelings

 Lone Electrone - Feelings

 – Tracklist –
 01. I don’t know
 02. Doubt
 03. Pure feelin’
 04. Love is pain



 - 01. I don’t know


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 Release Page no longer available.
 (※今作は、アルバム“eymsli LP”にすべて収録されました。ダウンロードはコチラ。直です)

 Release Date : 2013
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, Electronica, Glitch, Melodic, Trip-Hop, Vocal.


 Related Links :
  ≫ Lone Electrone on Last.fm / on SoundCloud / on VK (VKontakte)


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2006年結成、ロシアの音楽デュオ、Lone Electrone(Valentina Antonova & Alexander Greenevsky)。彼らの4トラック入りEP“Feelings”がフリーでリリースされています。現時点ではRuTrackerからのみ、ダウンロード可能(公式のtorrentファイルです。ご心配なく)。torrent自体よく分からん!という方は、上記SoundCloudやVKでストリーミング再生が可能ですので、そちらでお楽しみください。

Electronica/IDMを経由したTrip-Hopか。M-1などを聴いていると、そういった形容が浮かぶ。包容力のある空間と、Glitchなどの細かいエフェクトを散りばめた、コズミックな印象のバックトラック。Valentina Antonovaのヴォーカルは、ジャズやソウルなどのブラック・ミュージックからの影響を感じさせる。彼女の歌声は艶っぽく、メランコリックでありながら、強い感情を秘めていて、トラックの主役になっている。つまり今作はウタモノであって、ダビーな要素は薄いものの、ミドルテンポのリズム、浮遊感のある空間、愁いある女性ヴォーカルとくれば、やはりスタイルとしてはTrip-Hopだろう。

バックトラックに注意を向けてみると、アブストラクトなイメージがある。あるいはコンプリケイテッド。歌のメロディがしっかりしていて、かつ真ん中に来てるから、トラック全体としてはPopな印象なんだけど、その背景は意外にヘンテコリンで面白い。M-3にあるBleepyな電子音は、特に挑戦的に響く。本来なら重めのベース入れるところを敢えて、このレーザービームみたいな、ブザー音みたいな、痙攣気味の電子音入れてみました、みたいな、意表を突いた音作り。一筋縄ではない気配。

M-2にしても、さまざまな音とエフェクトを埋め込んだ複雑なテクスチャーに、アップテンポの歌唱を合わせつつ、深部でほのかにジャズのフィーリングを漂わせるという、エキセントリックなトラックを聴かせてくれる。このあたりのトラックは歌だけでなくて、その後ろにも耳を傾けると、がぜん魅力が増してくると思われます。

結果、今作の中ではM-1がもっともオーソドックスなElectronica/IDM/Trip-Hopになっていて、安心して聴ける。SoundCloudでは他のトラックも聴くことができるんですが、それぞれ良いんですよ。Trip-Hopの気品と、Electronica/IDMの冷たい編集感覚がブレンドされて生まれる、近未来のメランコリア。ロシアってやっぱりすごいなあ。VKのディスコグラフィ見ると、他にもリリースがあるようなんですが、どこで流通してるんですかね。フォーマットやパッケージはどうあれ、きちんとリリース(あるいはアナウンス)しないのかな。もったいない。

ということで、今作収録曲以外で、印象的だったトラックを以下に。今回は二つあります―



 - Eclipse : エディットされた声がひたすらループされる脅迫的編集感覚を秘めたバックトラックがインパクト大。



 - Old video tapes : 角ばった電子音の醸すチャイルディッシュなイメージと、ノスタルジックな響きでコズミックに広がるシンセだけで、何回でも聴ける。


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source is MOTHER LAND. thanks.



VANDAAM – VANDAAM

 VANDAAM - VANDAAM

 – Tracklist –
 01. Electron Oceans
 02. Fashion Week
 03. LEARNtoSIGN
 04. Tumbling Down
 05. God
 06. Loop2
 07. Push Pull
 08. Hallways
 09. Make Meaning



 - 07. Push Pull


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 Release Date : 2013.04.20
 Label : Not On Label

 Keywords : Ambient, ChillWave, Electronic, Melodic, Trip-Hop, Vocal.


 Related Links :
  ≫ VANDAAM on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp

  ≫ sloslylove on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on Twitter


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ミネアポリスのミュージシャン、sloslylove。彼と、Lady Midnight、そしてAdeptから成るユニット“VANDAAM”のセルフタイトル作が、実質フリーという形でリリースされています。sloslyloveは、ChillWave/Hip-Hopなサウンドを得意にするミュージシャンで、こちらで取り上げたこともありますし、クオリティの高い作品をコンスタントにリリースしています。Lady MidnightとAdeptに関しては、プロフィール不詳なので、気になる方は自力でお調べください。

そして今作ですが、当初はsloslyloveのサウンドと遜色ないものではないかと予想したんですが、よい意味で違いました。まず女性ヴォーカルを全編にとりいれた(しかもコーラスやエフェクトといった使い方ではなくて、“歌”を唄っている)ウタモノになっていて、しかもサウンドは80sなシンセ感を残したChillWaveと、Trip-Hopを融合させたような、新感覚。

Trip-Hopのフィーリングはヴォーカルによるところが大きいと思います。メランコリックでありながら、ソウルフルで、気品のあるエレガントな歌声。芯があり、しっかりと歌を聴かせる一方で、夜の底を流れる霧のように漂い、アトモスフィリックな空間を作り出す。ミドルテンポで、ときにダビーなリズムと絡み合うその様は、まさにTrip-Hop。ChillWaveなサウンドにこういった歌声を合わせた作品というのは、あまりないような気がします。

シンセによるAmbientな空間と、簡素なリズム、そして歌声だけで前半を聴かせる‘God’は、今作にある歌の力を特に感じさせるトラックで、非常に印象的。静かな祈りのような前半から、感情を表に出したような中盤へ、そしてまた静寂へと戻っていく構成も、耳を惹きつける。その流れでいえば、‘Push Pull’も、今作を象徴するトラックだと思う。ぼやけた輪郭の幻想的なシンセと、レトロタッチのリズム面が漂わせるChillWaveなフレイバー、その上を泳ぐ、空間に溶け込みそうな、アトモスフィリックな歌声。漂う夜の気配。都市の冷めた灯り。多くのChillWaveサウンドが持っているヘブンリーな幻想感とはまた異なって、より直接的にメランコリーを感じさせる。ChillWave meets Trip-Hopといいたくなる、特異な聴取感。

ラスト間際の‘Hallways’などは少しだけタッチが異なっていて、リズムの一部になっているエフェクトもユニークだし、男性コーラスだろうか、後ろで重なってくる声部がもっているファンクなイメージも、他のトラックにはない。この作品にあるコズミックなシンセサウンドとメランコリックな歌声を聴いていて、How To Destroy Angelsのサウンドを想起したのは私だけだろうか。もちろん目指しているところは違うのだろうけれど、どこかに通底するものを感じる。まあ、それは置いておくにしても、今作は非常に(いやホントに)よい作品です。雨の日の休日。窓の外を、ぼんやりと、眺めながら。また眠りに落ちていくような。心地よい空白。今作だけで終わってほしくないですね。次作も期待。


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VANDAAM – Loop2




IG88 – Breathing Suit [NF119D]

 IG88 - Breathing Suit [NF119D]

 – Tracklist –
 01. Drowning in Pinwheels (feat. Bed of Stars)
 02. Oxen Free
 03. A Subtle Separation (feat. Jenni Potts)
 04. Writing Your Name On Foggy Windows
 05. Patiently Waiting
 06. Breathing Suit (feat. Michael Harris)
 07. Trail of Bread Crumbs
 08. Less Than 3
 09. Lethargic Swans Trumpeting Yawns
 10. Fedora the Explorer
 11. Amoeba in Reverse (feat. Michael Harris)
 12. Dot to Dot



 - 03. A Subtle Separation (feat Jenni Potts)



 - 07. Trail of Bread Crumbs


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 Release Date : 2013.04.02
 Label : Nueva Forma™

 Keywords : Ambient, ChillWave, Dubstep, Electronica, IDM, Melodic, Trip-Hop, Vocal.


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オレゴン州はポートランドのレーベル、Nueva Forma™より。シアトルのミュージシャン、IG88ことBranden Clarkeの新しい作品が実質フリーという形でリリースされています。私が彼を知ったのは、2009年にIDMf Labelからリリースされた“Mutual Mastication”でした。2010年にはSummer Rain Recordingsから“EP”をリリース(現在レーベルはクローズ。作品は上記IG88のbandcampから入手可能です)、2011年には“Blackberry Light”をセルフリリースと、コンスタントにリリースを行ってきています。近年は活動のペースがあがっているようで、2012年には今作と同じレーベルから“A Loom And Not Me”のリリースがありますし、またJesus Chris WIllisと組んだNever Beenとしても、Heaven Noise Recordingsから“Fever”のリリースもあります。さらには、リミックス・ワークも広く行っていて、いずれも高いクオリティを保っていることから、シーンにおけるその知名度・評価は、決して低いものではありません。

以前と比べても、今作のクオリティはさらに高いものになっていると思います。音の厚みや複雑さが増し、音に立体感、一体感が生まれている。それぞれの音が独立して響きながらも、複雑に絡まり合い、ひとつのトラックを形成している。結果として、とても空間的な音楽ができあがっている。確かに以前の作品もAmbient、空間的な要素は多分にあったけれど、今作の方がフラットなサウンドイメージが払拭され、包容力では上を行っている。

また彼のサウンドの特徴として、ヴォーカルを取り入れたウタモノがある。作中のいくつかのトラックにヴォーカリストを招いて、メロディを唄わせるという、これまでにもあったスタイルが、今作においても披露されている。これがまた素晴らしい。冒頭の‘Drowning in Pinwheels’だけで、もう惹きつけられる。唄っているのはBed of Starsというオルタナティヴ・バンドのEvan Konradのようですが、このさびしげで伸びやかな歌声。弦楽器の音色と、丸みのあるリズム、Electroacoustic/Trip-Hopテイストのサウンドと結びついて、とてもエレガントな(そして少し物憂げな)空間を作り出す。これまでにも協演したことのある女性シンガーソングライターJenni Pottsを招いたM-3、‘A Subtle Separation’もよい。ノスタルジックな天上のきらめきを思わせるハープのような音色、対するダビーなベースラインと煙ったリズム、その真ん中で浮遊する、甘く美しいヴォーカル。ふとBowsの“Cassidy”を思い出したりした(Bows – Luftsang on YouTube)。Michael Harrisを招いたトラックは、重厚なリズムと、ソウルフル、エモーショナルなヴォカールが印象的な、ある意味まっとうなウタモノになっている。タイトルトラック‘Breathing Suit’の、美しさの中にある力強さなどは、Massive Attackを彷彿させる。

ウタモノがTrip-HopやDowntempeoであるとするなら、対してそれ以外のトラックには、ChillWave/IDMを感じさせる部分があって、その対比具合が作品にメリハリを与え、リスナーを飽きさせない役目を果たしている。Ambientな音空間と、ドリーミィなシンセのメロディ、アナログタッチのリズムが導き出す、スローな景色の流れは、とても甘美だ。ときたま挿入されるアコースティックな楽器の音色―ピアノや弦楽器などの響きが、いくらかの感情性、人間性を生み出していて、いわゆるストレートなChillWave/IDMサウンドとは一線を画している。

DubstepやHip-Hop、Trip-Hopといったブラックなエッセンスをもちながらも、決してそちらには傾きすぎず、ChillWave/IDM的なドリーミィ、幻想的な空間作りが行われている。さらには、Electroacousticな、フラジャイルな一面もあるんだけど、すべてがバランスよく配合されていて、全編聴いても、リスナーの中で作品のイメージは一定に保たれる。凸凹とした歪さがないのだ(この辺がすごい)。ややもすると類型的なサウンドに落ち込んでしまいそうなんだけど、どこにもハマっていない。まさにハイブリッドな作品。すばらしい! なので紹介せざるを得なかった。気になった方は是非ぜひ、他の作品も軒並みチェックしてみてくださいね。


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Artist(s) featured: IG88