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タグアーカイブ: Vocaloid.

Strawberry Hospital – Grave Chimera

 Strawberry Hospital - Grave Chimera Cover

 – Tracklist –
 01. Memento
 02. Canary Mane
 03. Chimera
 04. Holoparasite
 05. Cherish
 06. Arowana’s Scarlet



 - 01. Memento


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 Release Date : 2018.08.06
 Label : Not On Label

 Keywords : Alternative, Ambient, Emo, Noise, Screamo, Shoegaze, Pop, Punk, Vocaloid.


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PURE AESTHETEにも所属していたトラックメイカーStrawberry Hospital。新しい作品が2018年に出ていました(そしてこれ以外の作品は消してしまった…のか?)。

紹介文には―

Grave Chimera is a 6 track autobiographical album that emulates the complex feelings that come with issues like childhood trauma, sexual dysfunction, suicide, escapism, and gender dysphoria.

―とありますが、そこからうかがい知れるように、以前よりも内面的、内省的なアルバムになっている印象です。以前のサウンドといえば、Vocaloidが歌うPopなメロディにElectronicなバックトラック、ドリーミィな空間づくりが特徴で、それは日本人のリスナーにもアピールする心地よいものでした。対して今作はというと、少なくとも表面的にはハードでアグレッシヴな部分が目立っています。Noiseという部分でいえば、以前の作品にもShoegazeな要素はありましたが、ここではもっとハードコアな方向に振っています(何ならジャケットイメージにあるタイトルロゴもハードコア系のそれ)。

ディストーショナルなギターサウンドに加え、メロディックなパートを歌い叫ぶ(ここがVocaloidなのかは不詳)という、いわゆるEmo~Screamoに近いサウンドを鳴らしているのが今作の最大の特徴でしょう。といってもバンドサウンドではないので、リズム面でマシーナリーなエディットもあるし、フワフワしたシンセサウンドも使われている。でもこういった電子的なハードコアサウンドと親和性の高いBreakcoreな方向にはいっていないのが、ユニークに感じます(一時期のMeishi Smileなんかを彷彿とさせますね)。

精神的な鬱屈とした部分をモチーフにしているのであればもっと黄昏たサウンドになってもおかしくないと思いますが、苦しいときに強い気持ちで何かを願うような、そんな思いの強さがこのサウンドを生み出しているのでしょう。否定したい自分や、打ち消したい過去といった、誰しもが心の中に持っている影の部分に思い切って立ち向かっているが故の、焦燥感、暴力性。しかし冷静さを失わずに過去を懐かしむような目線もあり、Ambientなワンミニット・トラック‘Holoparasite’などは作中随一の郷愁。続く‘Cherish’は過去作のファンも留飲を下げるであろう、ドリーミィなVocaloidトラックになっていて、サービス精神も発揮されている。M-1のMetalっぽい耽美的雰囲気も魅力的。

Vocaloidを使用しながら、Ambient~Emo~Screamo~J-Popを股にかけたドリーミィサウンドを作り上げるこの手腕、巧みです。ラストの‘Arowana’s Scarlet’のハードコアパートとドリームパートの自由自在感とか凄いですね。しかもAmbientな哀愁で終幕させるという力技。

The ultimate goal of Grave Chimera is to serve as a form of therapeutic musical catharsis.

という言葉を見て、よくよく考えると、Strawberryというキュートでドリームなイメージと、Hospitalという(メンタル)ヘルスケアなイメージを融合させたこの名義―Strawberry Hospitalの名前に、もっともふさわしい作品なのかもしれません、今作。


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Note :

Grave Chimera is a 6 track autobiographical album that emulates the complex feelings that come with issues like childhood trauma, sexual dysfunction, suicide, escapism, and gender dysphoria.
Drawing influence from metal, j-pop, VGM, and industrial, Grave Chimera is self indulgent, nihilistic, and intimate.
Merriam-Webster defines “Chimera” as both “an illusion or fabrication of the mind; especially : an unrealizable dream” and “an imaginary she-monster compounded of incongruous parts”.
Grave Chimera explores the long term effects of psychosis, fragmenting your identity and leading you through an altered state of reality in which everything wants to destroy you.
The ultimate goal of Grave Chimera is to serve as a form of therapeutic musical catharsis. This an album for trauma survivors, for trans folk, and for anybody who can find solace in being able to relate to my experiences.
Thank you.



lexis shii – Four Heart Romance

 lexis shii - Four Heart Romance Cover

 – Tracklist –
 01. Four Heart Romance (The Passage of Each Day)
 02. Four Heart Romance (Noah Hafford Remix)



 - 01. Four Heart Romance (The Passage of Each Day)


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 Release Date : 2016.08.01
 Label : Not On Label

 Keywords : Electronic, Pop, Vocaloid.


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まさかlexis shii(いつの間にか☆が取れていますね)が戻ってくる、というかリリースをするとは思わなかった! PURE AESTHETEから“It’s Only Goodbye ~ No, Longer”をリリースしたのが2014年、それからリリースらしいリリースはまったくなかったし(今でもSoundCloudには公開されているトラックはほとんどない)、音楽的な動きもHi-Hi-WhoopeeにMIXを提供したことくらいしか記憶にありませんでした。この界隈、じゃなくても、何も告げずにフェイドアウトしてしまうクリエイターってのは多くいますから(事情はさまざまでしょうが)、lexis shiiもさすがにこれはもう戻ってこないかなあと、残念に思っていたところ(ネット上で2年の沈黙ってけっこうですもんね)。“It’s Only Goodbye ~ No, Longer”が好きだった私は、たとえ単発であろうと、このリリースはすごくうれしいです。

lexis shiiといえばPopなメロディとVocaloidによる歌唱が特徴。というとありがちに思えるかもしれませんが、個人的にはバックトラックの混沌具合がこのlexis shiiのユニークな部分だと思っています。前作の時にも何でこのバックトラックにこのメロディ乗っけってるんだってすごく不思議に思ったことを、今でも聴くたびに思い出します。リズム面ではTrapっぽい雰囲気もあったりして、その上をさまざまなシンセフレーズが行き交い、しかもメロディは直球でPopっていう、このマジカルなバランス。一歩バランスを崩すと甘くなりすぎたり、逆にPopから外れてしまいそうなところを踏みとどまっている。

そんなlexis shiiが作ってきた今作はタイトルトラックとそのリミックスという、2トラックしか含まれていませんが、lexis shiiの真骨頂が示された快作といっていいでしょう。再生時間をみると分かりますが、タイトルトラックはなんと8分超えの長尺。ElectronicなビートにPopなメロディ、Vocaloidの歌唱と、確かにlexis shiiの特徴が変わらずにありますが、しかしこれはずいぶんとストレートな印象・・・洗練されたのか、それとも・・・と思っていると、明らかにこのトラックは前半と後半に分けられていて―もっと細かく言えば4つのパートになるのかもしれない―終盤に入って、伸びやかなヴォーカルと合わせるように、ビートは激しく、シンセは唸り始め、ここ一番のエモーショナルクライマックスが訪れて、安心のlexis shii節が堪能できるというわけです。歌詞も私はすんなり頭に入ってくるわけではありませんが、悩みに憂う背中をそっと押すようなものになっているようです。ちょっとさびしそうで悲しげで、でもそれらをやさしく照らすような光が感じられるというフィーリングは、私の中でやはり“Pop”に一致します。

そしてNoah Haffordが手がけたリミックスはビートをよりストレートに、煌びやかな電子音や、心躍るシンセフレーズを加味して、オリジナルよりさらにPopに接近させたトラックになっています。たとえばFuture BassとかBass musicに依ったスタイルになっていないのは、私としては好感触です。Noah Haffordはこのほかにも自身のbandcampなどでもPopなElectronic musicを公開しているので、気になる方は是非聴いてみてください。せっかくなので、以下に1曲(メチャメチャよい!イントロでもう胸が騒ぐ)―





今作でlexis shiiのトラックメイカーとしての健在ぶりがアピールされたわけですが、スパンは空いても良いですから、これからもときおり私たちの耳と心を刺激してほしいですね。是非とも。


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Credit :

Cover Art by: htr3ia.wix.com/memori // twitter.com/hinomemo

thx for the remix Noah!
soundcloud.com/noahhafford // twitter.com/NoahHafford



Strawberry Hospital – Halfawake EP「07」

 Strawberry Hospital - Halfawake EP「07」

 – Tracklist –
 01. I’ll Miss You, So Long
 02. Mountain
 03. Halfawake
 04. Carlights



 - 01. I’ll Miss You, So Long


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 Release Date : 2016.03.18
 Label : PURE AESTHETE

 Keywords : Ambient, Electronic, IDM, Pop, Shoegaze, Vocaloid.


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今作を聴いていて、誰か思い出すトラックメイカー、いませんか。同じレーベルからリリースのあった。私はひとり、思い出しましたよ。以前のこのブログでも紹介し、その作品に賛辞を送らせてもらいました。その名は、そう、lexis shii。個人的には傑作だと思っている“It’s Only Goodbye ~ No, Longer”をリリース後、Hi-Hi-WhoopeeでもMIXを公開するなどしており、非常に注目をしていたのですが、以降リリースもないし、トラックが公開されることもなく、ほとんど音楽的な活動は見られなくなってしまいました。

それに関して、ああ残念だなあと思ってもう久しいのですが、今回Strawberry Hospitalの作品を聴いて、このVocaloidの使い方とか、lexis shiiをすごく感じたのだけれど、でもリズムの組み立て方や、音の重ね方にはlexis shiiのような複雑な調子がなくて、だからまさかlexis shii本人じゃあないよなあとは思っているのですが、少なからず影響は受けているのでしょうか、果たして…。

と、他の作品についてばかり触れているのも申し訳ありませんので、今作の話に。ElectronicなバックトラックにVocaloidの歌声を乗せるというのが、主なスタイルになっています。Vocaloidの詳細は不明ですが、このスタイルが盛んなシーンというと、やはりニコニコ動画かなと思うんですが、今ではホントにいろんなスタイルの曲が公開はされているんでしょうが、ちょっとそことは距離があるのかなあという気がします(私自身あまりVocaloidを使ったトラックに触れてきていないので強気なことは言えませんが)。あまり歌謡曲というかJ-Popなフィーリングはないし、リズムがミニマルな部分はやはりElectronic music寄りかと思いますし、ヴォーカル抜きのトラック‘Carlights’はDroningなレイヤーを利用した、Ambientなトラックになっています。歌詞が英語だから直接的に私の耳に入ってこないことも関係あるとは思いますが、そういった部分からは、トラックの作り自体がかなり空間的といいますか、Ambient的に感じられます。

Tranceチックなシンセを生かしたRush感あふれるM-1‘I’ll Miss You, So Long’や、Jungleのリズムと、やがて遠くで立ち上がるノイジーな壁が印象的なM-2‘Mountain’(個人的にはもっとエクストリームな音作りでもよかったです)、Shoegazingな背後の壁と透き通ったヴォーカルのコントラストがホーリーな空間を演出するM-3‘Halfawake’(前半のGlitchを交えたIDMっぽさも好み)、そして先述の通りAmbientでChillな‘Carlights’。ElectronicなShoegazing感と、Popなフィーリングが通底はしていますが、トラックごとにキャラクターがあって、それは引き出しの数にもつながってくるわけで、今後どんなトラックを作ってくるか、楽しみでもあります。とりあえずM-1のオープニング、ヴォーカルが入ってくるところはすごくワクワクしました。グッと引き込まれました。

ちなみに、SoundCloudでは今作収録の4トラックしか公開されていないのですが、なぜにすでにフォロワーが3000以上もいるのでしょうか。どこから流れてきたのだろう。


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All songs were mixed & mastered by Strawberry Hospital.



Sob Story – EICV7″ No. 106

 Sob Story - EICV7

 – Tracklist –
 01. Miss Fuyutsuki
 02. Hikikomori
 03. Aspartame
 04. Fan Mail





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 Release Date : 2015.07.07
 Label : EverythingIsChemical

 Keywords : Ambient, Dream pop, Shoegaze, Vocaloid.


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2008年から続くミュージックブログ/インターネットレーベル、EverythingIsChemicalより。アメリカはミシガン州アナーバー出身というトラックメイカー、Sob Storyの作品がフリーでリリースされています。“All music by Jacob Mervyn”という文言があるので、 Sob Story = Jacob Mervynという認識でよいのかなと思います。

Sob Storyは、自身と同じ活動基盤になるHacktivism Recordsとの関連が強いようですが、ファウンダーとかそういう関係性かともにらんでいるのですが、詳しくは分からず。現在のところ、レーベルのコンピレーション“Bedroomcore Vol. 1”に、今作にも収録されている‘Aspartame’を提供しています。

初めて聴いたときにはまったく意識しなかったのですが、周辺をたどっていくと、ひとつの発見がありました。それはヴォーカルにおそらくVocaloidを使用しているという点です。今作では何故か明言はされていませんが、bandcampで公開されている‘Aspartame’には、“Vocal by Megpoid”という表記があるのです。聴いてみると、なるほど確かにこの音声にはVocaloidの響きがある。

Sob Storyが作るサウンドはAmbientな向きが強いShoegaze/Dream Popです。もっと言えばShoegazeっぽさというのは、あまり強くなくて、M-3くらいしか該当していません。実際ShoegazeのフォーマットでVocaloidを使ったトラックというのは、世の中には多くあることと思います(その辺りのシーンには私は疎いので断言できない)。Vocaloid特有の感情性を持たない歌唱は、Shoegazeのドリーミィで浮世離れしたサウンドによく合うことでしょう。

対してこのSob Storyの作る音というのは、オブスキュアな調子が強くて、“Shoegaze”というとすぐイメージされるようなフィードバックギターはまず使われていませんし、ウォール・オブ・サウンドというような厚い音の壁もありません。フワフワ、モヤモヤとした幻想的なサウンドスケープの中に、断片的なVocaloidの声を挿入することで、独特なAmbient/Shoegazeを作り上げています。

なぜあえて人声ではなくてVocaloidを使っているのかは語られていません。唄ってくれる人が身近にいないというのは、すぐ思いつく理由ですが、ここにあるのは歌というよりもコーラスなので、それこそサンプリングなどでもことは足りたのではないかと、素人は考えてしまうのです。あえてVocaloidを使うことで、神秘的な音空間に独特の電気的な響きがスパイスとして加わわり、それがある種の違和感、不思議さに結びつき、あまり類を見ない聴き心地が発生しているように思うので、そこがもしかしたら狙いなのかもしれません。

白濁した意識を音像化したようなパキッとしない曖昧模糊なサウンドは、晴れない気分にマッチして、これはこれで非常に魅力的ですが、もっとメロディに寄って、歌に傾いたトラックも聴いてみたいですね。‘Miss fuyutsuki’(GTO?)とか、‘Hikikomori’とか、日本語が散見されますが、この謎めいた感じも魅力のひとつでしょうか。


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All songs written and produced by Jacob Mervyn

Tracks 1,3, and 4 Co-Produced and Mastered by Theodore Schafer.

Track 4 Co-Produced by Dominic Coppola



わたしのココ – 落穂拾い2010​-​2013

 わたしのココ - 落穂拾い2010​-​2013

 – Tracklist –
 01. わたしと歩いていると恥ずかしいの(別mix)
 02. わたしのうんちをたべてください
 03. 恋愛の神様
 04. おやすみ、マイ・コメディアン
 05. ロンリーホーム
 06. 変なおばさん
 ※2016年のリイシューに際してM-7‘こうでなくっちゃね!’が付け加えられています。


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 Release Date : 2014.03.30
 Label : Not On Label

 Keywords : Alternative, Electronic, J-Pop, Vocaloid.


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もっときちんとコレクトしておくんだったなあと、ちょっと後悔しました。たとえばUGUから出ていたセルフタイトル作“わたしのココ”とか、bandcampでセルフリリースしていた“きせつのうたのアルバム”とか。UGUはなくなってしまったし、“きせつのうたのアルバム”はいつの間にか消えてしまった(※2016年にトラック追加でリイシューされました!)。この“落穂拾い”をしっかり聴いた私は今、そんな後悔の念にさらされています(追記:でもUGUからのリリースは現在bandcampで公開されているものと同一。ジャケットは違うけど)。

“2010-2013”というワードがあるので、ニュアンスとしては音源集、コンピレーションのような感じなのでしょう。“愛してるって言われたいの”や“まごころを君に”と同じラインに位置しているのかもしれません。でも内容的にはその2作とは大きく異なっていると思います。今は販売作品としてリリースされている”カラダは正直”(人間大學レコード)や“Zombie Magic”と比較してどうなのかというところは、きちんと聴いていないので正直ハッキリ分かりませんが、しかし評判から察するに、おそらくそれらは今作につながる作風なのではないかと。

ボーカロイドユニットであるわたしのココは、音声合成ソフトLaLaVoiceを使って、一貫して少女対世界の関係性、そこにある悲哀を描き続けてきました。歌詞に現れる少女はときに二次元のそれであり、LaLaという名前で表記されているメンバーと、自然イメージが重なってゆきます。自己嫌悪と自己破壊願望に染まった、息苦しい音像と歌詞世界。メロディをたずさえながらも、Noiseにまみれたダークなサウンド。頻繁に用いられるNoiseは、攻撃は最大の防御とばかりに触れられたくない部分を隠しながら、同時にその鬱屈した気持ちが持つ、ベクトルの強さを示していたようにも思います。

ちょうど今作でいえば、前半の2曲“わたしと歩いていると恥ずかしいの(別mix) ”、“わたしのうんちをたべてください”(強烈なタイトル。Coccoがかつて自分の創作物をウンコ呼ばわりしていたことを思い出す)は、これまでの作風と大きく変わるところはありません。でも3曲目以降を聴いて、慌ててしまいました私。J-Pop感がスゴい。こんなだったっけ!?ってビックリして、過去作を聴きなおそうと思って、HDをひっくり返したんですが、ウソ持ってないじゃんオレっていう・・・、そして冒頭の言葉へと至ったわけです。

思春期的な肥大した自意識や、一事を万事と捉える狭く(そして重い)世界観が、どこにも見られない。目の前に落ちている重いハンマーを何とか持ち上げないと自分は幸せになれないと信じ込んで、でも重くて持ち上げられないって悩んで、これじゃ幸せになれないって自暴自棄になっていた人物が、別にこれじゃなくてもいいんだって、潔くハンマーをあきらめて、他の落し物を探しに出かけたような、新たな視点の存在が、とても頼もしいのです。何かを得るときは何かを失うときと言いますが(だから何かを手に入れるために何かを断つ、という考え方があるのでしょう)、ここにはある種のあきらめがあって、でもそれ後ろ向きではなくて、視線は前を向いている。自分を客観視して、嘲笑うことができている。決して明るさ全開とかそういう感じではないのですが、とてもストレートに希望の光が感じられて、胸を打ちます。

衒いのない歌詞がすごくスキです。

また一人戦線離脱した 笑顔が眩しい報告ハガキ まんざら楽しいアラサー女子会 それも今年で終わりかなあ / またひとつ歳を喰っていく TVバラエティーとハッピーバースデー 子供の頃のわたしが見たなら 卒倒するかも なんてねw  “恋愛の神様”

誰かがいて生きていけて 足りないもの 大切なもの 今だから分かるけど 結局うまくやれなかったのは 故障じゃなくて もはや仕様なんだって 諦めてもいるんです / でも観客席のどこかで 君はきっと 笑ってくれてたよね? / そういうことにしてる “おやすみ、マイ・コメディアン”

ロンリーホーム 帰りたくないな ロンリーホーム 飲みに行きたいな ロンリーホーム 何か淋しいな ロンリーホーム 誘う人などなくて ちょっぴり涙 あれ、変だな、笑えるな、たぶんわたしも歳なんだな “ロンリーホーム”

そうなの コンプレックスは今もあるけど 他人の数だけあるたくさんの鏡の中 可愛く見える角度もあると気づいたとき わたしの苦しみと青春は終わった / 憧れてたわたしには永遠になれなくても 無駄じゃなかったって いま 言い切れます 買い物帰りの夕焼けキレイで泣いてます そうよわたしが変なおばさんです 幸せなコメディアンです “変なおばさん”

歌詞だけ読んで涙出てきたのなんて、いつ以来だろう。たぶん私も歳なんだな。

見晴らしの良い、小高い丘の上。眼下には長閑な線路。走る列車を眺めながら、微笑んでいる。過ぎていく列車の中には、いつかの私。過去にお別れ。列車が去った後に吹く風は、どこか爽やかで―。クルリと背を向けて、後は二度と振り返らない。

これ以降、どんな方向に舵を切るのか分かりませんが、私個人としてはこの路線が続くとうれしいなあって、素直にそう思います。これまでと違ってイラストを一切使わないジャケットイメージにも何らかの意思を感じます。

でも過去作にもとても好きな曲があるので、すいません貼らせてください―



 - まごころを君に (from “まごころを君に”):こんなはずじゃなかった



 - walk to death (Live)  (from “愛してるって言われたいの”):めちゃめちゃカッコいい。パンク。


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わたしのココ – 君のように (2008) (from “わたしのココ”)




Timid Soul – Bubblefunk EP

 Timid Soul - Bubblefunk EP

 – Tracklist –
 01. Bubblefunk
 02. Sunset Kiss Infinity
 03. In My Heart Forever
 04. Melodie
 05. Veronica
 06. Yankee Rose
 07. Melodie (Reprise)



 - 05. Veronica


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 Release Date : 2014.12.15
 Label : KEATS//COLLECTIVE

 Keywords : Chiptune, Edit, Electronic, J-Pop, Vocaloid.


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  ≫ Timid Soul on SoundCloud


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KEATS//COLLECTIVEっていったら、みなさんFuture Funkっていう認識でしょう? そうでしょう。私もそうでした。この作品を聴くまでは。とかもったいぶった出だしはいいか。アメリカのトラックメイカー/プロデューサ、Timid Soul(Joey Ginther)がリリースした作品は、少なくともここにおいては、Future Funkの匂いは嗅ぎ取れません。KEATS//COLLECTIVEからのリリースとしては異色なのではないかと思います。

キラキラとしたシンセフレーズと、Chipsoudもちりばめた、かわいらしいサウンド。Vocaloid(初音ミク)の声も聴こえますが、これはオンライン上で集めたものを断片化して使っているそうで、ときおり明確な言葉として聞き取れますが、ほとんど意味は成していません。あくまで雰囲気、フィーリングを作るのに利用されているということですね―何のフィーリングって、もちろんJ-Pop。サウンド自体もエディット、断片化されている部分が多くて、ひとつのメロディ/フレーズがトラックの中で柱を作っているというよりは、さまざまなサウンドの断片が組み合わさり、結果として、そのトラックの佇まいが形成されているという感じです。

こういったトラックの在り方をみて、頭によぎる作品がありますね。私はありました。Tomgggの“Popteen”です。めまぐるしく動きながらも、キラキラとキュートな音像、意味をなしていない、しかし可愛らしさを湛えたマシーナリーな音声。Post-Shibuyakeiという形容も似合ったあの作品にあったものと、非常に似たフィーリングがこの作品にはあります。リリースページにあるメッセージを読むと―“The Bubblefunk EP is a little collection of tunes I created. I made an effort to truly push myself as a producer; inspired by the melodic, masterful music of Tomggg, bo en, Avec Avec, and Yasutaka Nakata.”という記述があります。Tomgggに限らず、bo enやAvec Avec、中田ヤスタカといった、やはりコンテンポラリーなPop musicの作り手に対するリスペクト、シンパシーの念が、この作品に込められていることは間違いないようです。

ではなぜこの作品がKEATS//COLLECTIVEからリリースされているのかということですが、Timid SoulのSoundCloudを探ってみると、なんとなくその理由が見えてきます。彼のサウンドスタイルは今作のような編集的Popに限っていないのです。Hip-HopやSoul, Funkといったブラック・ミュージックのエッセンスを惜しみなく注入したトラックもありますし、Two One EPにおいては、Funk meets ChillWaveな、まさにKEATS//COLLECTIVEのカラーといえるFuture Funkを披露しているのです。そういった作品、作風が、今作のKEATS//COLLECTIVEからのリリースに結びついているのでしょう(他にもAmbient/Post-Rockを感じさせるトラックもあります)

Post-Popな先人たちの影響を如実に感じさせる今作においてはFuture Funkは確かに感じ取れません。彼が弟のVice Point(Lucas Ginther)と組んだParadiceの方が、80sのフィーリングがあるという意味でも、まだFuture Funkっぽさが聴き取れるかもしれません。今作との間に横たわるその隔たりを、どうにかして失くすことができれば―上手いこと融合できれば、そのときにはまた新しいPopが生まれるのではないかと思います。Chipsoundの使い方もけっこうキーになる気がします。


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 - Lush (from “Two One EP”)



 - JungleFunkVibration



 - Love Around You



 - So What Angel

これらのトラックをパッと聴いて、同じ人が作ってるとは思えません・・・。このポテンシャルがどういった形で弾けるのか、期待してます。

lexis✩shii – it’s only goodbye​~​no, longer [PA​~​01]

lexis✩shii -  it's only goodbye​~​no, longer [PA​~​01]

– Tracklist –
01. it’s only goodbye
02. no, longer


– 01. it’s only goodbye

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Release Date : 2014.09.03
Label : PURE AESTHETE

Keywords : Electronic, Footwork, Juke, Pop, SynthWave, Vocaloid.

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2014年8月始動の新興レーベル、PURE AESTHETEより。lexis✩shiiの両A面シングル(古臭い言い方をしてしまった! ダブルシングルだ)が実質フリーでリリースされています。現時点ではbandcamp上で今作しかリリースがないように見えますが、SoundCloudではシングルが複数リリースされていますので、気になる方は各種SNSでレーベルの動きをフォローしておきましょう。

海外のネットレーベル/ミュージック・コレクティヴに目を向けた場合、J-Pop経由のElectronic musicにフォーカスを当てているものって、どこでしょう。すぐに思いつくのって、まあZOOM LENS(すでに大御所の風格!)、Magic Yume Records、あとは先日のMECHA YURI・・・、サウンドの幅を絞れば、もっとあるのかな、まあでもそれ以外のレーベルに比べれば数は少ないのかなあと思います(作り手さん自体は相当数いると思いますが)。そのレーベルたちに、このPURE AESTHETEも仲間入りすることは間違いないでしょう(いやむしろ、して欲しい、という願望を込めて)。

私は根っこの部分ではPopなものが好きで、だからアニメは熱心に見ないくせにアニメネタのサウンドにときたま反応するわけですが、それはそこにあるPopなフィーリングが琴線を刺激するからなのですね。小難しいこと考えさせずに、人をハッピーにできる力ってホントすごいと思うわけですよ(もちろん作る側は小難しいこと考えてるだろうけれど)。そういう幸せな力がこの作品にも流れていると思っていて、今のところ同レーベルからのリリースの中ではだんとつでPopなんじゃないですかね。

M-1‘it’s only goodbye’、メロディ自体はスムースな流れで非常にPop(歌唱はボーカロイド担当)なんだけど、バックが個人的には面白くて、手数の多いJuke/Footworkを経由したようなリズムに、SynthWaveのようなきらびやかなシンセが幾重にも重ねられていて、さらにそこに日本のアニメのセリフ(よく聞き取れない)が乱れ飛び、ラストは同フレーズのひたすら反復でドリーミィな陶酔感を与えてくれるという、一筋縄ではない作り。歌の部分がオリジナルなのかどうかがよく分からないんですが(歌詞は英語だ)、オリジナルだと仮定すると、この歌とメロディにこのバックをつけてくるってのは、かなりのハイセンスぶり。どんな頭してんだろうか。

M-2‘no, longer’、きらびやかにして雄々しいシンセを活かして、ダイナミックな幕開け。そこからいきなりSpoken Wordのような流れにもっていき、違和感なく歌に繋げつつ(この軽やかさ!)、知らぬ間にリズムが走り始めるという、緩急織り交ぜた目まぐるしい曲展開に、さらにさまざまな音色が鳴らされていく様子はとても賑やかで、遊園地のよう。しかし最終的には分厚いシンセがノイジーに空間を埋めていくという、その様は、まさにElectro Shoegaze! なんだこのトラックは! 好きすぎる! Popの裏に見え隠れする破壊への憧憬はPunkを感じさせるし、そこんとこも好みだ。今までどこに潜んでたのか分かりませんが、このlexis✩shii、まさに新星と呼ぶにふさわしい、突然にして衝撃の登場っぷり。

この勢いでアルバム作ってくれないですかねえ、そしたら傑作間違いなしですよ。すげえ期待しちゃう。レーベル自体も要注目。

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Artwork by 聖君
http://www.pixiv.net/member.php?id=5632759