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カテゴリーアーカイブ: Hyperboloid Records

Various Artists – Hyperboloid 2020[HYPR080]

 Various Artists - Hyperboloid 2020[HYPR080] Cover

 – Tracklist –
 01. Summer Of Haze – Classica
 02. cadeu – happy new yeah
 03. Famitsu – Bowser
 04. A.Fruit – Promises
 05. Pixelord – Amen
 06. zarya – Voice Unit
 07. Bad Zu – GET DAT
 08. tropical interface – nitrogen enrichment
 09. Raumskaya – tv252
 10. Max Dahlhaus – AntiLog
 11. Nphonix – Dirty MF
 12. data drain – Time Warp Device
 13. new sylveon – Zwarovski Monolith (Britney’s Cocaina Nightmare)
 14. BOGUE – Deep Deep Down
 15. wac© – Ruins Around Us
 16. Fisky – Millenial Loop
 17. ZAKLADKI – COSMOGRAMMA
 18. Sangam – Arose Into



 - 1. Summer Of Haze – Classica



 - 6. zarya – Voice Unit



 - 8. tropical interface – nitrogen enrichment


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 Release Date : 2020.01.01
 Label : Hyperboloid Records

 Keywords : Bass, Compilation, Electronic, Future, IDM, Russia.


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このご時世にどれだけの人がアルバム単位でnetaudio界隈の音楽を聴いているのかという疑問はありますが、私はといえばやっぱり作品単位で聴いてしまうのですね。アーティスト側が1曲で聴いてくれってなら別ですけれど、何曲かコンパイルして公開しているなら、じゃあそのまま聴きましょうか―いや聴かせていただきます、と。そういう聴き方をしている人間にとってアルバムの冒頭曲というのは非常に重要な意味合いを持っています。その1曲で作品に引き込まれるかどうか、その先を聴くのかどうかが決定すると言っても過言ではない。そういう意味では、この作品は私の耳とハートを、見事に冒頭のトラックでキャッチした。

Hyperboloidはロシアンレーベル(初めは私がHyperboiledと誤読していたのはちょっと内緒)。私が不勉強なだけですでに一定の人気は獲得しているし、少なくない数の作品がリリースされてきています。Bass musicよりのElectronic musicという認識でよいのでしょうかね。アタックの強い電子なリズムをボトムに据えた作品が多いように思います。

今作は2020年1発目にリリースされたレーベルコンピレーションですが、ここでも私の不勉強さがさく裂して、ほとんどのトラックメイカーを存じ上げません…。PixelordやSangamあたりがかろうじて…という感じでしょうか。まあ知ってるか知らないかで聴いてたらこんなブログやってませんから、気にせず聴いていったわけですが、先にも書いたように1曲目がよいですね。妖しげに瞬くシンセとひたひたと歩むリズムは徐々にビルドアップされていく中で近未来都市のようなサイバーな空気も醸しており、実にクール。幻想的なシンセのラインと足早なドラムの対比で陶酔感を生み出すM-3や、リズムの音色変化で翻弄し続けるユニークなM-7、メタリックな収縮と解放を繰り返すM-8(M-7からこのM-8の流れは好きですねぇ)。

不穏な空気ながら、どこかにOutrun的なニュアンスも感じられるM-10も面白い聴き心地だし、いきなりシンフォニックなメタルミュージックのようなヴォーカルが聴こえ始めるM-14は意表を突かれますが、ColdWaveやIndustrialの流れを汲んだ、きちんとしたウタモノです。こうしてかいつまんで書いていてもなかなか聞き逃せない作品だなあと改めて思うわけですが、特に一組、超絶に気になったアーティストがいまして、M-6を手がけたzaryaです。全編通して聴くとよく分かりますが、作中でダントツにPopなフィーリングを放っています。変調されたエフェクティヴなヴォーカルに小刻みなリズムやシンセで作り上げられた冷たく美しい世界が私を魅了してやみません。方向性は異なるんでしょうが、この組み合わせは個人的にlexis shiiを思い出しました。

とここからZaryaの話になりますが、彼らは2018年に始まったシベリアのエレクトロニック・デュオ。HyperboloidのサブレーベルであるINTERNETGHETTOからも“Synthetic World”をリリースしてますし、何気にSIDECHAINSからも“18 y​/​o”をリリースしていて、今作収録曲とはまた趣の異なる彼らの楽曲に触れることができます。アタックの強い、エフェクトの効いたバックトラックでダイナミックに攻めながらもヴォーカルのメロディラインでしっかり聴かせるという見事にPop指向。好きですねぇ、イイですねえ。長く続いてほしいなあと思いますが、どうでしょうか。

とこういうように、存じ上げないアーティストばかりだからといって聴かずに終わらすのではなくて、一歩踏み込んだらお気に入りのアーティストが見つかる、というケースもあるのでね、やっぱりコンピレーションってのは(初見の人に)レーベルに興味を持たせるには最適だし、だからこそ冒頭一発目の曲はより一層重要になってくる、と思わされた作品でした。マル。散々電子なリズムで圧力かけておいて、ラストのSangamがしっとりAmbientで耳をいたわってくれる気遣いやよし。


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 Credit :

Mastering by Pixelord
Artwork by gsm_garden


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zarya – Холодный металл (Cold Мetal)