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ULCERIUM – Gorji7a [NKS prod 106]

 ULCERIUM – Gorji7a [NKS prod 106]

 – Tracklist –
 01. Eat My Bazdukom
 02. Failure 2.0
 03. Nightgap
 04. Nightlap
 05. Nightsend
 06. D-vour
 07. Dysfunction (feat. Michael Jackson)
 08. Slimemask Ritual
 09. Gorji7a
 10. Na3nbouk (feat. Cheb Lahbitri)
 11. Frik Frik
 12. N’demt
 13. Sunsetsurf



 - 06. D-vour



 - 09. Gorji7a


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 Release Date : 2012.12.15
 Label : NKS International

 Keywords : Breakcore, Electronic, Glitch, IDM, Industrial, Jungle.


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フランスのネットレーベル、NKS Internationalより。現在はナンシー在住のミュージシャン、ULCERIUMことMahdi Riahiの作品がフリーでリリースされています。Infinite Pandemicからの前作EP“The baz-du-kom syndrome”も以前、こちらで取り上げましたが、今作は初アルバム。13トラック入り。

Breakcore/Jungleのリズムを生かした、ブロークンでノイジーでダークなElectronic music。その点は相変わらず。そしてジャケット画像になぜか馬の顔が登場している点も相変わらず。でっぷりした腹の馬人間が、椅子に埋もれて、くつろぎながら眺めているのは、首を吊った者たちが回る、メリーゴーラウンドか。その様は、さながら地獄の遊園地(まるで80年代B級ホラー映画のタイトルのようだ)。とっても暗さを秘めた画で、ちょっと不謹慎な気もしてしまうくらいなんだけれど、サウンドの方はファニーな調子も残されていて(Michael Jacksonがフィーチャーされているくらいなのだ。意図は分からないけどね)、救いは残されているように感じる。

ブロークンなビートで突っ走るサウンドはそれだけでもカタルシスを得られるのだけれど、やはりそれだけでは飽きが来る。彼の場合はその上にMetal musicのような派手なギターを持ち込んだり、ノイジーな電子音を入れたり、またはちょっぴりキラキラしたメロディを流したりする。また、今作のM-4やM-8ではシアトリカルでゴシックな調子もあって、ダークでありながらエンターテイメントへの志向も感じさせる。

ハードなリズムとギターで聴かせるM-6やM-7からはIndustrial(Rock)からの影響も感じたりもする。前者では中途で浮上してくる電子音がElectronica/IDMな空気を醸しているし、後者にしてもちょっとだけReggae/Skaのようなリズムが顔を出してきたりと、やはり硬質なサウンドの中にあって、遊び心のようなものがキラリと光っている。そういったように、Breakcore/Jungleを基盤としたハードなサウンドと、他要素のブレンドによって、不思議な聴きやすさ(とカタルシス)を生み出すのが、彼のサウンドのキャラクターなのだろう。

フェイバリットはタイトルトラックでもある‘Gorji7a’だ。Electronicaチックな冒頭から、徐々に加速していくエモーション。遠くで聴こえるシャウトを合図に展開されるノイジーな電子音たちの絡み、その矢継ぎ早に繰り出されるさまざまな音たちの絡まり具合は、聴き手の思考をも加速させ、暴力への陶酔のような危うい(そして気持ちの良い)、精神状態を導き出す。最後は馬のいななきのような、奇妙な電子音で幕を閉じるのだが、これはまるで目覚まし時計のアラームのように、私は感じる。そこでリスナーは酔いから覚めるのだ。このトラックは、是非大音量で聴いてほしい。


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