ABRAcaDABRA

Netaudio explorer

カテゴリーアーカイブ: Digital Pit

Marik – Nightwork[FRZ036]

 Marik - Nightwork[FRZ036]

 – Tracklist –
 01. La Faiseuse de Rêves
 02. I Dreamt I Was Pluto
 03. Overnight
 04. Dreamworkaz Outro



 - 01. La Faiseuse de Rêves


+ + +


 Release Page* = pay what you wish.):
  ≫ [ main ] / [ bandcamp* ] / [ Download ZIP MP3 / FLAC ] Free!

 Release Date : 2012.11.12
 Label : Digital Pit

 Keywords : Ambient, Electronica, Melodic, Trip-Hop.


 Related Links :
  ≫ Marik on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp


+ + + + + +


フランスのウェブジン、Freezeecによって運営されるネットレーベル、Digital Pitより。MarikことOlivier Grienenbergerの新しい作品がリリースされています。これまでにも同レーベルから”The Bröllin Sessions EP”や”Merci”といった作品をリリースしてきています。

Hip-Hop/Trip-Hopにジャンル分けできるであろう、MelodicなElectronic music。彼のサウンドの特徴は、エレガントなストリングスやピアノをとりいれて、オーケストラルな意匠をこらし、Trip-Hop的なメランコリックな部分もふんだんに持ちながら、シネマティックな(サウンドトラック的ともいえる)聴き心地を生み出すところにある。今作でいえば、M-1がとにかく出色で、冒頭から夜気のように妖しく優雅にただようストリングスと、ほのぐらい灯りのような、丸みのある電子音のまたたきが、一瞬で夜のイメージを生み出してくる。ミドルテンポのゆったりとしたリズムは、夜の中、夢の中の歩調と重なり、霧の濃い石畳の上をぼんやりと歩くようなそんなイメージを導きだし、そして中途で一気に表に出てくるストリングスの旋律は、夢の中のクライマックスを思わせる。街の中を歩いていたら、同行者とつないでいた手がゆっくりと離れていくような、相手がどこかに吸い込まれていくような、大きな喪失感。

SoundCloudを眺めてみると、今作はもともとは二部構成だったのではないかと、想像ができる。というのも、”Part 1: La Faiseuse de Rêves”と”Part 2: Overnight”という形で公開されており、聴いてみると前者には今作のM-1と2が、後者はM-3と4が、含まれていることが分かる。それを4トラックに分割したのがこのリリースで、だからM-1と2、M-3と4は、それぞれスムースにつながれている。ワントラックとして扱ってもまったく違和感のない形で収められていて、まるで組曲を意識したような構成だ。このあたりからも、Marikはクラシカルな作品作りを好んでいる様子がうかがえる。

M-1以降のトラックも決して悪いわけではないのだけれど、M-1の力の前で、どこかかすんでしまっているのも事実で、そこが残念といえば残念。けれど今作はこの4トラック構成で機能するように作られたわけだし、とすれば、M-1のこの在り方には何がしかの意図があるのでしょう。個人的にはもう少しトラックが多くてもよかったのではないかと思います。やや物足りない感じが残ります。

Marikのサウンドが気に入った方、そして今作に対して私のように若干の空腹感が残った方は、彼の他作品も同レーベル、あるいは上記のbandcampからダウンロードできますので、是非訪れてみてください。