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カテゴリーアーカイブ: Fluorescent Records

Gloom – Summoning Sickness

 Gloom - Summoning Sickness

 – Tracklist –
 01. Tonz
 02. Astral
 03. Manhood
 04. Please Go
 05. You and Me



 - 02. Astral


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 Release Date : 2013.06.09
 Label : Fluorescent Records

 Keywords : Ambient, Electronic, Future Garage, Melancholy, Post-Dubstep.


 Related Links :
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アメリカはフロリダ基盤のミュージック・コレクティヴ、Fluorescent Recordsより。GloomことBritt Thomas Bradyの作品がフリーでリリースされています。これ以前にはBroken BubbleからSubliminal Fortressのリリースもありますし、自身のbandcampでも複数の作品をフリーで公開しています。

彼のサウンドには、どういった形容が相応しいんでしょう。Future Garage/2stepや、Dubstepといった、Beats系のサウンドに影響を受けていることは間違いない。けれど直系ではない。今作に関していえば、その聴き心地は、かなりAmbientな方向に傾いている。そこにあるのは攻撃性や扇情的なムードではない。暗さというよりもむしろ、浮遊感をもったドリーミィな空間が広がっている。

Multi-instrumentalistという言葉を自ら用いているけれど、実際多くの音色がトラックの中に持ち込まれている。下に掲載した動画はGloomの音楽的プロフィールを示しているようだけれど、これを見ると、彼が髭面の優男であることだけでなく、実にさまざまな“音”(環境音含む)に興味をもって、それを自身のサウンドに持ち込もうとしていることが分かる。この映像を見てから、改めてトラックたちに耳を澄ましてみると、より音にこだわった聴き方ができる。それはまるで森の中を歩きながら、小さな動物や珍しい昆虫を探し、観察するような、面白み、楽しさがある。

そういった音の一つひとつに、“この音は何の音だろう?”と想像を膨らませながら聴くのも楽しいのだけれど、今作の優れた点は、音楽的にも十二分に楽しめるという部分だ。全編を覆うアトモスフィリックな空気は日々の喧騒をしりぞけ、リスナーを物思いにふけらせる。その中にピアノや弦楽器や金属的な音色、あるいは声、さまざまなフレーズを散りばめて、ゆるやかに、音楽的盛り上がりを作っていく。M-2なんて、かなりストレンジな作りだと思うんです。リズムは何だか引っかかりがあるし、バックには断片的な声部がループしているし、やはり何の音だか分からない音がリズムに重なってくるし、でもそこに加えられる、ある種チャイルディッシュな澄んだ音色だったり、エフェクティヴな電子音だったりが、不思議とノスタルジックなフィーリングを醸していたりして。とても不思議な聴き心地。

M-3なんかもうAmbient musicですよ。この浮遊感と、スローでミニマルな展開。やっぱり変な音が底部で痙攣していたり、銅鑼のような鳴りが遠くで聴こえるんだけれど、このファジーな音像も含めて、Ambientな佇まいを強烈に感じる。M-4でちょっと歌に接近して、ラストのM-5で、ピアノや弦楽器の爪弾きに、断片的な歌声を響かせた、音楽的クライマックスが訪れる。

他の作品を聴いていると、ここまでAmbientを感じるトラックはほとんどないように思います(およそ30分のShantiだけは別だけど)。 何なんですかね、この上品さというか、メランコリーなんだけど、それがソフィスティケイトされているというか、インテリジェンスという言葉が適当かは分からないんだけど、すごく凝った意思を感じます。そういった点でも、気になる、興味深い作品です。今後もこの作風でいって欲しいなあ、などと思います。あと、このジャケット画像は何でちょっとグロテスクなんだろう。


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source is Broken Bubble. thanks.