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カテゴリーアーカイブ: Dramacore

Jane van Noise – Agent of Nothing [#138]

 Jane van Noise - Agent of Nothing [#138]

 – Tracklist –
 01. JMSML
 02. Grinded Date
 03. There are Rules
 04. Selfmade Rockstar
 05. Nympholicious
 06. ToiletPartyNight
 07. How to dance Captivity
 08. 20 Bucks
 09. Spells ov You
 10. I’m in
 11. Unity & Thorns


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 Release Page Download Free!

 Release Date : 2014
 Label : Dramacore

 Keywords : Electronic, Lo-Fi, Melo-Weed-Pop, Psychedelic, Rave.


 Related Links :
  ≫ Jane van Noise on Facebook

  ≫ Christian Meth on YouTube
  ≫ Nina Tendo on YouTube

  ≫ The Captain Kirk on LSD Experience on Facebook


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アメリカのネットレーベル、Dramacoreより。久方ぶりのリリースは、ベルリンのJane van NoiseによるLo-Bit作品。彼/彼女の活動は非常に多岐にわたっていて、The Captain Kirk on LSD Experience, iampervert, Sodomize me, Cunt Fuckula, Vincent DeVine, The Un-Zen, Nina Tendo, roMeow and more…ということで多いわっ!! チェックしきれるかい! ということでThe Captain Kirk on LSD Experienceがもっとも確認しやすいプロジェクトになるわけですが、Sirona RecordsDance Corpsなどからリリースがあるので、気になる方は漁ってみるのが良いと思います。

The Captain Kirk on LSD Experienceによる‘Warpigs from outer Space’のビデオが、往年のお笑いウルトラクイズばり(あるいはFlairsの‘Truckers Delight’ばり)の猪突猛進のオ下劣バカっぷりなので、このJane van Noiseもその痛快さを期待されるわけですが、幸か不幸か、傾向は異なります。グラインド、テラー・コアな凶暴性は影をひそめていて、つまるところはMelodicなんですね。確かにディストーションかかったギターやレイブなシンセは聴こえてきますし、ダークな雰囲気もありますが、アッパーなテンションではありません。

このプロジェクトの最大の特徴はLo-Fi/Lo-bitなサウンドでしょう。32Kbps。質の悪いカセットテープみたいなモコッとした音質がサウンドにある種のまろやかさを与えているのは間違いなくて、それがリスナーの聴き心地にも多分に影響をおよぼしています。VHSで80年代の洋画を観てるみたいなレトロ感。ノスタルジーすら感じます。また、この手の音でサウンドにクリアなものを求めないというのも、面白く感じます。絶妙なチープ感、俗っぽさは、ベタなB級テイスト、アンダーグラウンドチックなフィーリングがあって、どこか微笑ましい部分もあり。その点も好ましい。Melo-Weed-Popとはよく言ったものです。

ひときわメロウさが際立っているのはM-2の‘Grinded Date’でしょうか。ミニマルなフレーズが繰り返されるだけのシンプルなトラックですが、大仰なギターもなく、淡々とした運びと、IDMタッチのメロディが心くすぐります。対して、M-7やM-11はわりと重め。巨大獣の歩みのようなリズムとブリブリしたシンセで迫るM-7、重金属なギターがうねり続けるM-11と、どちらも本領発揮な感じですが、でもやっぱりこのLo-Fiなチープ感が決め手になって、壁の向こうで鳴っているような遠い爆音は、耳の内でやがてBGMに変わっていきます。

遠くから浸食するダーティなサイケデリア。この独特の聴取感が気に入った方は、タイはバンコクのネットレーベル、TOP OF THE FLOPSからも“Bedlam Phantasies”のリリースがありますので、そちらもあわせてどうぞ。よりメロドラマチックかと思います。ちなみに名義は変わりますが近作はSirona Recordsからの“Cassandra Neurosis Complex”の模様。4組によるスプリット。


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Jane van Noise – How to dance Captivity



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(CC) by 3.0 deed.en_US

BIRDY Oo – Sea Songs [DC130]/[MNMN103]

 BIRDY Oo - Sea Songs [DC130]

 – Tracklist –
 01. DEAD TREES
 02. 海の宝
 03. SEA
 04. BIKINI
 05. DOUGHNUTS
 06. 목소리
 07. 자신 생각 없는 사람
 08. A-A-A
 09. 너 함께
 10. WALKING IN THE RAIN
 11. JAPANESE INDIE
 12. 좋은 아침



 - 03. SEA


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 Release Page :
  ≫ [ Dramacore ] / [ MNMN Records ] / [ bandcamp ] Download Free!

 Release Date : 2013 / 2012
 Label : Dramacore / MNMN Records

 Keywords : Alternative, Indie, Lo-Fi, Number Girl, Punk, Surf music.


 Related Links :
  ≫ BIRDY Oo on MySpace / on Last.fm / on Facebook
     on SoundCloud / on bandcamp / on VK (VKontakte) / on YouTube


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BIRDY Ooはモスクワのトリオバンド。2010年にArseny (guitar, vocals)、Aigul (drums) 、Ivan (bass)の3名によって結成されています(VANYA – BASS、GULYA – DRUMSという表記も見かけるが、メンバーチェンジがあったのか、同一人物なのかは分からない)。今作は彼らの1stアルバムで、オリジナル・リリースは2012年2月。同時期にロシアのネットレーベルMNMN Recordsからもリリースされていましたが、今回アメリカのネットレーベルDramacoreからも、改めてリリースされました。

Dramacoreのリリースページを読むと “The main influences are Mukai Shutoku, Steve Albini and UhUhBoo Project.”という言葉がある。向井秀徳にスティーヴ・アルビニ(あるいはShellac)とくれば、“鋼”という言葉が似合う、シャープにしてソリッドなインディ・ギターロック、パンク、ハードコアなサウンドが想像できる。かくしてその期待は、裏切られない。

金属的な鋭さと、シャリシャリとしたサンドペーパーのようなザラつきを合わせ持った、Lo-Fiな仕上がり。これはきっと、意図的なものだろう。ちょうどNumbre Girlのメジャー1stアルバム“SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT”あたりを彷彿させる。歌唱スタイルにしても、ところどころにある予定調和を無視したシャウトや語尾のしゃくりあげは、確かに向井秀徳だし、メロディを唄うというよりは語りのような淡々とした調子は、Shellacのそれに通じる。

でもたとえばShellacのような地下室的窒息感や、Number Girlのような居合抜き的緊張感というヤツは濃厚ではなくて、正座して聴くようなかしこまった空気はない(これは単に私の捉え方の問題なんだけれど)。であるからして、そういったものがないのであれば、ここに何がほしいかというと、メロディがほしい。でもそれをやると“SCHOOL GIRL BYE BYE”(私がNumber Girlの中でいっとう好きなアルバムだ)に接近してしまうような気もするし、それはそれでツマラナイのかもしれない。

即興っぽい鋼の振動や、夏の日差しを思わせるギラついたギターなどは私の琴線に触れまくりなんだけれど、それをBIRDY Ooの個性とするには、あと何歩か足りないというのが、つまるところ。ロシア発なのに歌詞が英語と韓国語というのは、おもしろいし(‘海の宝’に関しては日本語だ)、‘BIKINI’におけるサーフ調の疾走は、作中で異色のヴァイブレーションを放っている。そういったところに突破口があるような気もする。でも思えば当のNumber Girlだって“SCHOOL GIRL BYE BYE”のころはPixiesだの何だのってヤイヤイ言われたもんな。だからこういうやっかみは、影響源がデカ過ぎるバンドが一回は通る道、なのかもしれない。ということで日本の雄であったNumber Girlを最もストレートに思い出させたトラック‘SEA’を貼りつけておきます。冒頭のこの感じ、中盤~後半に登場する夏ギターったら。よいなあ。透明雑誌が台湾版Number Girlといわれたなら、このBIRDY Ooはロシア版Number Girlといってもよいだろう(前者の方が多分にPopだけどな。抽出してるエッセンスが違うんだろう)。

ちなみに影響源にあるUhUhBoo Projectというのは韓国の音楽ユニットのようですが、コミカルな曲調とコブシを効かせた歌唱が印象的な、ユニークなサウンドを鳴らしています(今作のM-8あたりにその影響が見える気がする)。興味のある方はYouTubeなどを散策してみてください。あとDramacoreってこんな作品リリースするんだな。侮れねーな。


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