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カテゴリーアーカイブ: Ubiktune

aivi & surasshu – The Black Box [UBI060]

 aivi & surasshu - The Black Box[UBI060]

 – Tracklist –
 01. Nucleus
 02. Shapeshifter
 03. Lonely Rolling Star (Missing You)
 04. Diamond Dove
 05. Here’s How!
 06. Mika
 07. 38
 08. Distance (Bicycle Trip)
 09. Pocket Universe
 10. Exosphere
 11. Mabe Village (Bonus Track)



 - 04. Diamond Dove



 - 09. Pocket Universe


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 Release Date : 2013.03.08
 Label : Ubiktune

 Keywords : Chiptune, Comic, Electronic, Jazz, Piano, Pop, VGM.


 Related Links :
  ≫ aivi & surasshu

  ≫ Aivi Tran
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  ≫ Surasshu Sound
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ロシアン・チップチューン・ネットレーベル、Ubiktuneより。アメリカ在住のピアニスト/コンポーザー、Aivi Tranと、スウェーデンのチップチューン・アーティスト、surasshuことSteven Velmaのコラボレーション作品が、フリーでリリースされています。二人はサンフランシスコのホテルのバーで出会ったとかいう、ロマンチックな話がホームページには書かれていたりしますが、それだけではこの共作に至るまいて。二人に共通するのは、どちらもクラシックなビデオゲームのファンであり、またゲームやアニメに関連した音作りをこれまでに行ってきているという点。そういったカルチャーへの志向の部分で相通じるものがあったからこそ、今回のこの幸せなコンビネーションが実現したのでしょう。

Ubiktuneというレーベルは、確かにChiptuneを扱ってはいれど、リリースされている作品はストレートなものではなく、どちからというと変化球的、ひねりを効かせたものが多いというイメージがある。そういった目でみるとこの作品は、表面的にはストレートだ。全編でChiptuneとピアノが、がっぷり四つに組みあっている。なにせピアニストとChiptuneの作り手が組んでいるのだ、それぞれの力が否応なしに発揮されている。こんな作風は、ありそうでなかったものかもしれないし、こんな作品を待っていたというリスナーも多くいるだろう。もともと、ピアノとChiptuneの相性というのは、悪くない。surasshuの生み出す電子感ある背景に、Aiviの奏でる躍動感のある、軽快なメロディが、実に見事に溶け込んでいる。ところどころでジャジーなフィーリングも感じられて、それはグルーヴというようなものではないのだけれど、心地よいノリを生み出すと同時に、お洒落フレイバーも漂わせている。

ビデオゲームのファンは気付く人が多いとも思うんだけど、そしてクレジットにも書かれているんだけど、今作の中で、M-3, 8, 10はカバー曲になっている。矢野義人による‘Lonely Rolling Star’は“塊魂”より、大山曜を核としたユニットAcoustic Asturiasによる‘Distance’は2004年作の“Bird Eyes View”から、ラストの“メーベの村”は戸高一生、濱野美奈子、石川こずえによる曲で、“ゼルダの伝説 夢を見る島”より、それぞれチョイスされている。これはトリビュート精神を表していると思うし、こういったチョイス―特に大山曜~Acoustic Asturiasに至る流れは、彼らのアンテナの張り具合が、おざなりなものではないことを、示している。

そして今作の最大の特徴は、そのサウンドの裏にある世界が持っている浪漫だろう。ジャケット画像を見て分かるように、今作にはコミック調のイラストが用いられている(Diana Jakobssonの手によるもの)。これはそのままこの作品の世界観になっていて、なんと音源をダウンロードすると、同じくDiana Jakobssonによる、14頁分のコミックに相当する、フルカラーの画像が同梱されている! なんて素敵! 少女が砂漠で黒い箱(Black Box)を拾うところから、その箱から現れた不思議な生命体との出会いまでが描かれていて、あたかも先に続くかのような、憎らしい演出がされている。そう、その先に用意されているまだ見ぬストーリー、胸躍る冒険をイメージさせるトラックが、ここに詰まっている。だから今作は一言でいうと、“ワクワク”(だって下のトレイラー観ただけでワクワクしません?)、そして“Pop”。少女と不思議な生命体が異国の地で繰り広げる、冒険譚―。いいですねえ。誰か続きの漫画、描いてくれないかな…。

なにはともあれ良作。私がいつも好むような感傷的なフィーリングはここにはないんだけど、このフィクショナブルなPop感とでもいうか、やはりアニメや漫画、ビデオゲームの世界に類似する、イマジネイティヴな世界は、魅力的。どこかルパン三世チックでもある。

aivi、surasshuともに、まとまったリリースはこれまでにほとんど行っていないようですが、いろいろと細かい活動を行っていますので、興味が沸いた方は上記リンク先を訪れるなどして、チェックしてみてください。ちなみに“surasshu”は“スラッシュ”と読んでいいみたいです。


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aivi & surasshu – THE BLACK BOX (Album Trailer)



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All songs composed by Aivi Tran & Steven “surasshu” Velema,
except for tracks 3, 8, and 11
“Lonely Rolling Star” composed by Yoshihito Yano
“Distance” composed by Yoh Ohyama
“Mabe Village” composed by Kazumi Totaka, Minako Hamano, and Kozue Ishikawa

Artwork by Diana Jakobsson
studiostrawberri.com

aivi & surasshu
aivisura.com

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