ABRAcaDABRA

Netaudio explorer

カテゴリーアーカイブ: Close To Modern

Beach Season – ‘Internet Evening’ EP [CM015]

 Beach Season - 'Internet Evening' EP  [CM015]

 – Tracklist –
 01. Evenings
 02. Say It
 03. Situations
 04. The Internet
 05. Paris
 06. Good Boy



 - 04. The Internet


+ + +


 Release Page Download Free! / pay what you wish.

 Release Date : 2014.01.01
 Label : Close To Modern

 Keywords : ChillWave, Electronica, Hip-Hop, Pop, Vocal.


 Related Links :
  ≫ Beach Season on Facebook / on SoundCloud


+ + + + + +


カナダの音楽にフォーカスしたレーベル/ミュージック・コレクティヴ、Close To Modernより。カナダはカルガリーのプロデューサ、Beach Season(Samuel Avant)の作品が実質フリーという形でリリースされています。

最終曲のM-6を聴いていると、やはりChillWave/SynthWaveの影響が強いのかなあと思いますが、そこに至るまでのトラックでは、それらの要素がスパイスとして滲み出ているだけで、特定のジャンルが強く打ち出されているサウンドではありません。印象的なのはボーカルで、ほぼすべてのトラックがウタモノになっています。気だるげでアトモスフィリックなボーカルは、ともすれば背景になってしまいそうですが、音作りが声を中心に据えたものになっているので、電子的なトラックの中でも、リスナーの耳にはボーカルとそのメロディが心地よく届いてきます。このあたりからも、今作はPOPSだと思いますし、彼もPOP志向な様子がうかがえます。

ひとつひとつの音の輪郭がハッキリしている、あるいは音数が少ないんでしょうか、必要最小限の音で組み立てられているような、スマートな印象を受けるトラックが多くあります。もっともにぎやかに感じるのはM-5の‘Paris’、前半は、フリーハンドで描かれた曲線のようにうねるシンセと、ゆるやかなリズム、ボーカルだけで進みますが、途中からパーカッシヴな音色や電子的エフェクトが飛び出してきます。フワリとした、午睡のようなゆるやかな空気の中、リスナーの眼前には、パリが現れるんでしょうか。私などは、どこかビーチ的な感覚がありましたけれど。

タイトルにも使われている“Internet”というワードはM-4‘The Internet’に登場しますが、なるほどこのトラックはそのイメージを裏切りません。ちょいとアタックの強いWavyなシンセにHip-Hopマナーのリズム、そこにハイトーンのボーカルを巧みにかけ合わせた、クールなトラック。この手の音楽で“Internet”というワードを持ち出すと、もうVaporWaveから派生したようなものしかイメージできていなかった自分が情けない。

たとえばChillWaveやVaporWaveのようなPost-Internet的な音楽が、散らかった“片づけられない部屋”だとすれば、その部屋をきれいに掃除してしまったような、そんなイメージです(あるいは、地下をずうっと掘り続けていたら、反対側の地表に出てしまったような)。POPS特有の甘さやスマートさ、洗練されたイメージがにじみ出ているように思います。すべてのトラックがコンパクトで、長くても3分半しかないあたりも、そのイメージに無関係ではないでしょう。

Facebookを読んでみると、‘Evenings’の続編である‘Midnights’が近々にリリース予定らしいので、そちらも楽しみです。それまでは、今作を聴くなり、下に掲載した‘Evenings’のビデオを見るなりして、楽しみましょう。

追記 : 上記の“Midnights”、無事に公開されました。コチラ。Henry Actesonによるビデオはコチラ


+ + +