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カテゴリーアーカイブ: Pure Potentiality Records

Majin Bu – 015 [PPR #407]

 Majin Bu - 015 [PPR #407]

 – Tracklist –
 01. 015
 02. Hectagon
 03. Reedham
 04. Black Cloak
 05. AMG
 06. Spiral Galaxy
 07. Epilogue



 - 05. AMG


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 Release Page Download Free!

 Release Date : 2015.11
 Label : Pure Potentiality Records

 Keywords : Electronic, Hip-Hop, Sample-Based, Trap.


 Related Links :
  ≫ Majin Bu on SoundCloud

  ≫ BENSTEPNER.COM
  ≫ Ben Stepner on Last.fm / on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on Twitter


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アメリカのプロデューサ、Ben Stepnerがけん引するネットレーベル、Pure Potentiality Recordsより。彼とd/nyceによるユニット、Majin Buの作品です。前にも紹介しましたが、d/nyceについては相変わらずくわしいことは分からず。今回の“015”というタイトルに込められた意味も分からない。ついでに、このジャケットイメージも何じゃろかという感じ。だがそれがいい。前回紹介した“Hologram”のジャケットイメージだってよく分からなかったし。

Ben Stepner自身もそうですが、このMajin Buもけっこうな頻度で作品を公開しているので、私もすべて聴ききっているわけではないのです。前にも書きましたが、完成形なのかラフスケッチなのか、とにかく連投、Benに関しては違う名義でもまた連投なので、ほぼ自身のリリースで固められたレーベルのカタログは現時点で400番台というのも納得です。しかし粗製乱造というイメージも私の中にはなくてですね。なにがしかの引っ掛かりを感じておるので、こうやって機会があるときに聴いていくわけです。

今回もけっこう久しぶりに耳を傾けてみたのですが、はて、いかに。と、メロウなフィーリングを獲得していることに驚かされた(Hip-Hopのメロウとはちょっと違うんだと思うけど)。ミニマルなことはミニマルなんだけど、明らかに聴き心地に音楽的なものが流れていて―言い換えればMelodicに感じられて―、そこが何より私を惹きつけるのです。今作や“Ginger Candy”のジャケットイメージ、それからNinja Cyborg”もそうだけれど、なんとなくオリエンタル(ないしはアジア)的なものがイメージとしてあるのかなあと、感じます。別にサウンドとして表面化しているわけではないので、それほど強いものではないと思うんですが、ネーミングやイメージのチョイスに現れるくらいには、意識されているんだと思います(以前にも“Yoshimitsu”というタイトルがありました)。

Hio-Hop~Trapのビートと、簡素なメロディ(これはオリジナルかサンプルかは判然としない。どちらもあるのかもしれない)を組み合わせた、シンプルなミュージックなのですが、メロウというか、若干の感情性、抒情性のようなものが感じられて、心をくすぐられてしまうのです。‘AMG’などはメロディはゆるやかなのに裏でTrapビートがポコポコと回転していて、なんだか奇妙な聴き心地。面白いです。使われているメロディのせいもあるんでしょう、聴きようによっては、ちょっとVaporWaveっぽくもある。‘Spiral Galaxy’などはAmbient/Electronicaタッチのウワモノがドリーミィに響く小品。そこで一回トーンを落として、そのままラストの1分弱の‘Epilogue’へ繋げるという、作品としての流れも意識されているであろう、珍しく(?)、まとまりのある作品になっています。

全トラックではないかもしれませんが、今作に関してはサンプルに使われたと思しき曲が、タグに記載されています。せっかくだから記載しつつリンクも貼っておきましょう。どういう形で取り入れられているか、耳を傾けてみると、面白いですよね―

01. 015 ≫ Quincy Jones – The Secret Garden (1989)
02. Hectagon
03. Reedham ≫ Squarepusher – A Journey to Reedham (7AM Mix) (from “Big Loada”, 1998)
04. Black Cloak ≫ PARTYNEXTDOOR – Party At 8 (prod. TM88)
05. AMG ≫ G.Benson – Love Will Come Again (from “In Your Eyes”, 1983)
06. Spiral Galaxy ≫ Zombi – Andromeda (from “Cosmos”, 2004)
07. Epilogue ≫ Brian Eno& Robert Fripp- The Heavenly Music Corporation (from “No Pussyfooting”, 1973)



Majin Bu – Hologram [PPR#276]

 Majin Bu - Hologram [PPR#276]

 – Tracklist –
 01. Piranha
 02. Inventory
 03. Zeta Reticulae
 04. Thug Lyfe
 05. Red Drank
 06. Grapefruit
 07. Carpetrist



 - 06. Grapefruit


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 Release Page Download Free!

 Release Date : 2014.11
 Label : Pure Potentiality Records

 Keywords : Ambient, Electronic, Trap.


 Related Links :
  ≫ Majin Bu on SoundCloud

  ≫ BENSTEPNER.COM
  ≫ Ben Stepner on Last.fm / on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on Twitter


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みんな大好き魔人ブウだよ! Ben Stepnerが運営するアメリカのPure Potentiality Recordsからリリースだ! 邪悪な魔導師、ビビディが造り出したと言われている魔人ブウ、ってもこの魔人ブウは実はBen Stepnerとd/nyceのフュージョンってなもんで、いやそんなことは隠しごとでもなんでもなくて、プロフィールに普通に書いてあるんだけど、ああ、このノリを押し通すのは疲れるんで、そうそうに止めておきますが、このMajin Buは今書いたようにBen Stepnerとd/nyceのユニットです。どちらがどういう役割とか、詳しいことは分かりませんが、Pure Potentiality Recordsを通じて多くの作品をリリースしてきています。

d/nyceについてはよく分からないんですが、ここでBen Stepnerについて触れておきましょう。私が彼を知ったのは、Treetrunkからリリースされていたsky(2009)というAmbient作品です。ワン・トラックで12分のそのピュアなトーンのAmbientは、まさに秋晴れの空を流れる雲の眺めを音像化したようなすばらしさで、すぐさま私は魅了されましたし、これまでにも何度も聴いています。しかしそれ以降Ambientな作品はリリースされず、自身のレーベルPure Potentiality Recordsを通じて発表されるのは、JazzやHip-Hopに傾倒したものばかりで(少なくとも私はそう判断してしまった)、そちらにアンテナが強くない私は、気にはすれども、追いかけてはいなかったわけです。リリースが異常にハイペースなこともあり(複数のプロジェクトで複数作立て続けにリリースするものだから、全部聴いてる方がスゴイかもしれません)、ツマミ聴き程度で終わってしまっていました。

で、ある日レーベルのリリースページを眺めていたら(リリースのジャケットイメージが全部貼りつけてあるので微妙に重いんですな、コレが)、このMajin BuのYoshimitsuが目に留まったわけです。名義も面白いし、気になってちょっと耳を傾けてみたら、あるトラックでPerfumeがサンプリングされててすごくビックリしたんですよ。もちろんトラックのエディットネタにおいてPerfumeを使うってのはまったく珍しくないし、国内外問わず多くのトラックメイカーが素材として使っていますが、Ben Stepnerがそんないわばメインストリームに感化されたようなことをするとは露ほども思ってなかったんです。これは意外だなと思って、最近の動向をうかがってみると、これまでのようにHip-Hopもひとつの軸としてありながら、そこからの興味の派生でもあるのか、VaporWaveやTrapに接近したようなサウンドも披露していて(特に80’SVideodromeあたり)、いわゆる“置きに行った”のとは違う、シーンへの共振を感じたりして、がぜん興味がぶり返してきたわけです。Bstep vs Joe Hisaishi(!)なんて作品もあって、やっぱりこの人隅におけないなって思ったり。

リリースペースから考えても、サウンドを追及して煮詰めるというよりは、興味あるサウンドをラフスケッチのようにバンバンと形にしているんだと思います。だからワンフレーズを生かしたミニマルなトラックが多いんだと思います。このMajin Buの場合は特にTrapに焦点を当てているように思いますが、“Yoshimitsu”あたりから何となく聴きやすさを意識しているような節が感じられて、これから聴く方は是非“Yoshimitsu”以降をおススメしたいです。近作のCityも、冒頭のラッシュ感や、‘Stratego’にある80sなフィーリングは新鮮に響きますし、サウンドのフォーカスが定まってだいぶ聴きやすくなっている印象です。当初はその“City”をピックアップしようと思っていたんですが、ではなぜ今作を取り上げてしまったのか。

それはM-6の‘Grapefruit’、このトラックのメロウでノスタルジックな空気にヤラれてしまったからです。Trap風のチキチキしたビートと、フワフワと雲のように浮かぶシンセ、遠くでエコーする断片的な人声。Cloud RapやTrillWaveの範疇にも入るであろう、非常にAmbientな聴き心地で、他のトラックとは一線を画しています。木々の間から日差しが漏れてくる遊歩道を思い出と共に歩く、ロンリーだけど、その思い出はそんなに悪いものじゃない、そんな、温かくてサニーな光景が目に浮かぶ、ファンタジックなトラックです。こんなトラックをふいに放り投げられたら、すごく気になってしまう。ということで、これからもBen Stepnerの動向には気を配ります。ただ、彼のペースについていく自信は、ない(断言)。

なんだか、作品の紹介というよりは、Ben Stepnerを振り返る、みたいになってしまいましたが、たまにはこんな投稿もよくはないでしょうか。せっかくなので、“Bstep vs Joe Hisaishi”から1曲、‘Mononoke’を貼らせてください。ところでこの“Hologram”のジャケットイメージは“エイリアン・ネイション”? 違うかな。



 - Mononoke (from “Bstep vs Joe Hisaishi”)