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カテゴリーアーカイブ: NENORMALIZM

keiss / lwpss – Snowfall in spring [NrM057]

 keiss / lwpss - Snowfall in spring [NrM057]

 – Tracklist –
 01. last beacon
 02. empty miles
 03. melancholia
 04. holding breath
 05. broken air
 06. colours



 - 04. holding breath


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 Release Date : 2015.04.25
 Label : NENORMALIZM

 Keywords : Ambient, Downtempo, Electronica, Glitch, IDM, Melodic.


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ロシアンネットレーベル、NENORMALIZMより。keiss(Stas Kovalev)とlwpss(Nikita Grishanov)による合作“Snowfall in spring”がリリースされています。両者ともに同レーベルから単独でリリースも行っていて、keissは“Long Forgotten”(2014)、lwpssは“Dreams Caught”(2014)が記憶に新しいところです(ちなみに今作のM-3は“Dreams Caught”に収録ずみ)。

もともと二人ともElectronica/IDMを作っていて、ここで展開されているのが、格別そこから外れている、まったく新しいサウンドというわけではありません。どちらもメロディを聴かせる作り方ではありますが、keissはメランコリーで内的志向なサウンドを、対するlwpssは、ドリーミィで浮遊感のあるサウンドを、得意にしているように思います。そして今作で聴こえてくるのは、その二人の特徴が上手いこと配合された、ドリーミィでメランコリックなElectronica/IDMサウンドなのです。ちょうど今作には“Snowfall in spring”というタイトルがつけられていますが、春―温かさや包容力を担うのがlwpssだとすれば、雪の部分―冷たさや透明感、凛とした佇まいを担うのがkeissであるかのような、そんな捉え方もできるのではないでしょうか。

どちらが持ち込んでいる要素か分かりませんが、Post-Rockを思わせるシネマティックでスローなギターフレーズも散見されて、それはちょっとこういう景色を描くには常套手段にも思えるけれど、でも二人が普段作っているサウンドからは離れているように感じられるし、そういう意味での新鮮さはあります。基本的に性急なリズムをもったトラックはないので、ゆるやかに景色が流れていきますが、GlitchやBreakなどのマシーナリーなエディットがよいアクセントになっていて、退屈なものにはなっていません。

小粒ながら各トラックがしっかり立っている良作かと思うのですが、中でも好きなのはM-4‘holding breath’です。この冒頭からはじまって終始漂っているAmbienceが、私すごい好きでして。何の音なのかどうやって作っているのか、私は作り手でないので皆目分からないのですが、たまにこの音(ないしはこれに近い音)を使っている作品に出会うと、それだけで贔屓しちゃうところがあるような気がします。それだけ好きな音なんですね(このフィーリングを持っているのは、今思いつくところだと、Lowercase Noisesのマスターピース“Marshall”に収録されている‘Stars’)。思い出せない何かを思い出しそうになるんです。

ぜんぜん脈絡ないかもしれないけど、子供の頃、黄昏時に、家族でスーパーに買い物に行った光景とか、なんでかなあ、そんな光景が脳裏によみがえって止まないのです。駐車場に灯りはじめた電灯の灯りとか、昼と夜の間の何色なのかよく分からない空の色とか、チャリンコ漕いで家に帰る子供たちとか、通りを行きかう車の排気ガスの臭いとか、ボンヤリとして、明確な映像があるわけではないのだけれど、なぜかフワッと浮かんできて仕方がないのです(前にもちょっと似たようなこと書いてますよね。気づく方いらっしゃるか分かりませんが)。と、結局自分語りになってしまうのが、このブログ、いつも通りなのですが。

そういう意味で、なのか、この作品は私を“今”と切り離す力を持っています(私にとってElectronica/IDMは少なからずその傾向がある)。日常の悩みや、衣食住に関する思考さえとも切り離すような、つまり自分の存在を忘れさせるようなマジックがあります。物思いに耽る、という言い方もできますが、傍と我に返った時に、自分が何を物思いしていたのか分からないような、“空っぽ”、あるいは“透明”といった感覚を与えてくれた、素敵(私にとっては素敵)な作品です。音楽に取り込まれたなら理性的になることはありえませんが、しかし必ずしもアグレッシヴな本能を刺激するだけが、その働きではないということは、百も承知。それを改めて教えてくれた、思い出させてくれた、よい出会いでした。


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All Tracks Are Written And Produced by Stas Kovalev (keiss) & Nikita Grishanov (lwpss)

Original photographs and artworks by Elena Rish (vk.com/elena_rish_photo)

Mastered by Alexei Mikryukov

(CC) by – nc – sa 3.0



King Imagine – Inside [NrM022]

 King Imagine -  Inside [NrM022]

 – Tracklist –
 01. 35 ‘C
 02. Box With Four Tunes
 03. Pacer
 04. Escape
 05. Ivy
 06. Glass-Wool
 07. Julia (Trip Fantasia)
 08. Evening Hot Song



 - 01. 35 ‘C


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 Release Date : 2012.09.30
 Label : NENORMALIZM

 Keywords : Ambient, Electronica, Glitch, IDM.


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ロシアのネットレーベル(というよりは、ロシアとヨーロッパのミュージシャンによる、ミュージック・コレクティヴという方が相応しいのかもしれない)、NENORMALIZMより。ウクライナのミュージシャン、King ImagineことAlexey Mikryukovの作品がフリーでリリースされています。もともとはパンク・ミュージックのギタリストとして音楽のキャリアをスタートしたようですが、Noise/IndustrialからReggae/Dubへと変遷。特にDubは彼の中でひとつの軸となっているようで、Bass Assassinという名義を使って、ベース・ギタリストのRoots Controlla(Kirill Machinski)とダブ・プロジェクトDub Compressorsを組んでいます。2000年代後半になってからはKing Imagine名義が定着しているようで、2011年にはウクライナはキエフのSKP Recordsから“Dawntempo V1”, “Dawntempo V2”を、また2012年頭には、今作と同じNENORMALIZMからも“Stand Alone Complex”(由来は攻殻機動隊か?)を、それぞれリリースしています。

作品ごとに音の傾向が異なっている印象です。SKP Recordsからの2作は、Reggae/Dubを通過してきたことをまったく隠さない、ベース、リズムのラインが印象的。けれど今様のエレクトロなBass music/Beat musicを経由したDubstep/Post-Dubstepサウンドではなくて、あくまでもRaggaeやDubの側からDubstepに接近したサウンドになっていて、そこが逆に新鮮に響く。特に“Dawntempo V2”に収録されている“Theoretical Dub”などは、2stepなリズムとラッシュ感のあるシンセ、ダビーなベースが組み合わさった、クールなトラックだ。“Stand Alone Complex”はどうかといえば、あくまでも比較の上でだけれど、Reggae/Dubの要素は退き、IDM/Electronicaに接近しつつも、Noise/Industrialからの影響だろうか、ノイジーでアブストラクト、不定型なサウンドがスパイス(あくまでスパイスだ)としてまぶされている。その中でキラリと光るメロディが出てきていて、ときにそれはリスナーをハッとさせる―どことなく感傷的な‘Has Not Yet Begun’や、‘Maple Leaf’が、これにあたる。

そして今作はというと、さらにIDM/Electronicaに寄った音作りになっていて、言われなければDubを軸にもっているミュージシャンだとは分からないだろう。全編で使われている音色がほとんど一定に保たれているところも大きな特徴。ミスティックで丸みがあり、ディレイやリバーヴを効かせた幻想感のあるサウンドスケープ。ときにクリスタルライクな音色でゆるやかにうねるメロディは、私に深海をイメージさせる。小刻みなリズムと、微細なGlitch、ささやかな振動。独特のアンビエンスとマイクロスコピックなリズムの融合は、トラックによっては“Incunabula”や“LP5”といった、まだ音楽的側面を強く持っていたころのAutechreを彷彿とさせたりもする。

“Inside”というタイトルがこの作品を象徴しているとも考えられる。なるほど、たしかに落ち着いたサウンドで、リスナーに内側へと深くもぐることを許すような、言い換えればChillなサウンドでもある。全編を覆う霧のようなヴェールが、リスナーをひとつの世界にとらえて、よそに逃がさない。またたく電子音たちは、ときにファニーな響きをもっていて、ノスタルジック/チャイルディッシュな記憶をくすぐる。幻想世界の水辺に映る幼い日の記憶。いつか見た夢のような淡い記憶。硬質な冷たいリズムは、理性だけでなく感情を鎮め、いつしか眠りが訪れる。

核があるような、ないような、フレキシブルなサウンドでありながら、それでいて作品ごとにきちんと聴かせるという、まだまだポテンシャルが計り知れない、気になるミュージシャンです。他の作品もおススメですが、どれかと問われたら、”Stand Alone Complex”を推したい。もちろん今作も。


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(С) & (P) 2012 Nenormalizm Records



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