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カテゴリーアーカイブ: Sleep Directory

木木 風格思 – Found Rave Cassette Vol. 1

 木木 風格思 - Found Rave Cassette Vol. 1

 – Tracklist –
 01. hexagonal
 02. moscow
 03. inari
 04. metrik
 05. surplus
 06. kargo
 07. space



 - 06. kargo


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 Release Date : 2015.09.21
 Label : Sleep Directory

 Keywords : Acid, Ambient, Cassette, IDM, Rave, Retrospective, VaporWave.


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先日紹介したばかりのレーベル/コレクティヴ、Sleep Directoryより。木木 風格思(何て読むんだ?)の作品がリリースされています。レーベル的には2番目のリリースとうたっているので、前回触れたPambuの“2019”はカウントされていないようですね。

ファウンダーと思しきPambuの作品もポロポロと聴いているのですが、Okkoto / / 돌로にしろ、この木木 風格思にしろ、やっぱり作風、ヴァイブレーションが似ているんですよねえ。Pambuの変名じゃないのかな? まあそこを勘繰ることが今作を聴く上でさして重要なわけではないのですが。

このホームビデオから抜粋されたと思しきワンシーンを使ったジャケットイメージはどうですか。何だか怖いですね。クルッと振り向いたら顔がおかしいんじゃないかという恐怖の予感よりも、私はこの子供の視線の先に何が存在しているのか考えるのが怖いです。何もないし誰もいないのに、“誰か、いる”とか言われたら、たまらなくドッキリします。

と、そんな妄想は置いておいて、今作はモコッとしたVHS/カセット感を漂わせた、ソフトレイヴな作品です。レイヴとはいってもアッパーな調子は皆無で、Okkoto / / 돌로の作品にも通じる不穏な空気を感じさせてくれます。スローモにした(Vaporizedといってもよいのかな)SynthWaveというような感じもします。

この翳りのあるノスタルジアっていうんですかね、ちょっと暗い思い出みたいな、あるいは忘れていた幼少期の凄惨な記憶というか、そういうちょっとダークなイメージが浮かんでくるサウンドで、私大好きなんですよね。スティーヴン・ギャラガーの“戯れる死者”とか思い出しちゃう(正直話は忘れてるんだけどな!イメージですよイメージ)。

妙に音量も抑え目だし、力の抜けた感じがまた、独特のドリーミィなタッチに結びついているように思います。多分感じる人はいるでしょうが、IDM/Electronicaのエッセンスというのもここにはあるんです。それがまた好ましい。ビートはフラットですが、冷たく柔らかいシンセの音色は妙に抒情的に響く瞬間があって、ハッとさせられるのです(M-4の‘inari’とか)。その弱弱しい電子の点滅は、宇宙のどこかにある深い森からひっそりと発信される信号のような。遠くとおくから離れた感傷性が地球に届くころ、時間のズレがきっとレトロに結びつく(何を書いているか自分でもよく分からない)。

Vol. 2も待ってます!


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Music curation – 木木 風格思.
Album art – 78.0 angel.



Okkoto / / 돌로 – 5F Dept. Store

 Okkoto / / 돌로 - 5F Dept. Store

 – Tracklist –
 01. Cold Sections 1224-1225
 02. 420 / / 음식
 03. :: S L E E P ::
 04. 숙취



 - 02. 420 / / 음식


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 Release Date : 2015.09.14
 Label : Sleep Directory

 Keywords : Ambient, Dreamscape, Retrospective, VaporWave.


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ニュージーランド基盤である様子のコレクティヴ/レーベル、Sleep Directoryより。詳細不明ですがOkkoto / / 돌로の作品がリリースされています。bandcamp上ではこの一作しかないように見えますが、Tumblrでは今作の前にもうひとつ、Pambuによる“2019”がリリースされていることが分かります。そして今作のミックスとマスタリングを手掛けているのが、そのPambu。

意図的なのかどうか、作風はかなりPambuに近いように感じます(変名ではないかと疑ったのですが、結局よく分かりません)。Ambientで曖昧模糊としたサウンドスケープ。レトロスペクティヴなシンセのフィーリング。ミニマルなメロディ。タグにはchiptuneが使われていて、確かにその響きもないことはなくて、聴き方によってはVGMに通じるのかもしれません。

何が良かったのかっていう話ですが、聴いていて思い出したのが、イタリアのホラー監督ダリオ・アルジェント(Dario Argento)の作品“オペラ座・血の喝采”のサウンドトラック。といってもアルジェントの作品の常連であるゴブリンは絡んでなくて、ブライアン・イーノ、ロジャー・イーノ、ビル・ワイマン&テリー・ライリーらによるシンセ・ミュージックから、マリア・カラスの歌やノーデン・ライトのへヴィ・メタルまで、幅広く収録されているという、ごった煮なサウンドトラック。

こと今作と共振しているように感じられるのが、シンセサウンドの部分で、その“オペラ座”の音楽でいえば、‘WHITE DARKNESS’や‘BLACK NOTES’なのです。“オペラ座”はホラー/サスペンスに分類されるんでしょうが、アルジェント作品の例外ではなく、独特の映像感覚なわけですが、たびたび夢か現(うつつ)か分からないシーンが出てくるんですね(確か犯人の幼少期のトラウマを描いたシーンで、でも編集されまくりで観ている方にはそれが何を意味しているかよく分からないっていう[笑])。そのシーンでかかっていたのが上記の2曲のいずれかだったと記憶しているんですが、まあその情報は脇に置いておいて・・・、あとはジョン・カーペンター監督が作るシンセ・ミュージックとか、その辺り、80年代のシンセサウンドを想起させるところが、今作の魅力なんですね。不穏でちょっとおどろおどろしいというか、恐怖までには至らなくて、そのぜんぜん手前で止まってるんだけど、夢の中でちょっと怖いものに遭遇しそうになっているような、安心しながら不安を感じているような、奇妙な感覚が、心地よいのです。

ためしに“オペラ座”のサントラと今作を交互に聴いていたらどっちかよく分からなくなってきました。そのくらい、よいです。なんか何の紹介してるんだか分からない文章でスイマセン。

M-3‘:: S L E E P ::’などはBrian Enoの影響を感じたりもするし、少ない音数と簡素なリズムで描かれる電子の夢はIDM/Electronicaにも繋がるでしょうし、角度を変えると色々と楽しめる作品だと思います。


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Composition and recording by Okkoto / / 돌로.
Mixing and mastering by Pambu.
Artwork by 78.0 angel.