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カテゴリーアーカイブ: AMDISCS

Shisa & Choongum – Hearts [AMDD109]

 Shisa & Choongum - Hearts [AMDD109]

 – Tracklist –
 01. Hearts
 02. Hearts (Kelle Remix)
 03. Hearts (GH Remix)
 04. Hearts (Purity Control Spirit Guide Remix)
 05. Hearts (SumguH Remix)
 06. Hearts (Krusht Remix)
 07. Hearts (Le Sphinxx Remix)
 08. Hearts (Supermarket Love Remix)
 (※トラックの順序、タイトルはレーベルからのリリースに準拠しています。)



 - 01. Hearts



 - 06. Hearts (Krusht Remix)


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 Release Date : 2012.08.24
 Label : AMDISCS

 Keywords : Ambient, House, Remix, Techno, Vocal, 2step.


 Related Links :
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グレートブリテンはロンドンと、チェコはプラハを基盤にもつレーベル、AMDISCSより。アメリカのミュージシャン、ShisaとChoongumがコラボレーションした作品が、フリーでリリースされています。

ご覧のとおり、全編が’Hearts’に対するリミックスワークになっていて、Techno/Houseを基軸にしたサウンド。両者ともに普段作っているサウンドはそこまでTechno/Houseに寄っておらず、共通項として挙げられるのは、ChillWave/Hip-Hop/IDMといった要素なので、その二人が組んだ作品が、こういった仕様になっているのは面白い。Shisaのもつ幅広いスタイル(シンセタッチのNoise/Shoegaze然としたElectronic musicを収めた”(memory)“は聴かせる作品だ)、そしてChoongumのサウンドがもつ幻想感やメロディアスな部分、これらが結実して、多数のリミックスが生み出されたのでしょう。

2step的なリズムとアトモスフィリックなAmbient空間、幻想的な女性のコーラスをミックスしたオリジナルは、もっとも気負いなく聴けるトラックでしょう。Ambient Houseという言葉でも、そのサウンドを説明できるのかもしれない。以降から始まるリミックスは、オリジナルの解体されたパーツをところどころで使ってはいるものの、ほとんど別のトラックといっても差し支えないくらいに、再構築されている。その頭に置かれている’Kelle Remix’は、鳥の鳴き声や、編集された断片的なヴォーカル、控えめな2step的リズム、丸っこい幻想的なシンセ、何かが始まりそうで始まらない、抑えた調子で、導入部にぴったりだ。続く’GH Remix’はオリジナルのヴォーカルラインを生かしたTechno/House的フラットなサウンド。’Purity Control Step Spirit Guide Remix’は、スティールパンの断片や、トライアングルの音、スローでありながらパーカシッヴなリズムと、オリジナルのアトモスフィアが組み合わさって、どこかトロピカルなテイストを醸すサウンドに。

‘SumguH Remix’は、レトロにうねるシンセのイントロから始まり、途中でリズムのドライヴと共に景色が流れ始め、ささくれ立ったエネルギッシュなヴォーカルが重なってくるという、作中でもっともPsychedelicなヴァイブを放っていて、このあたりの要素はShisaの色ではなかろうか。’Krusht Remix’は、オリジナルにあったシンセのラインを断片化してループさせることで、Ambientなタッチを生みながらも、Electronic muisicならではのエディット感があり、そのひきつり具合が心地よい。’Le Sphinxx Remix’もまた、ダビーに処理された音空間の中を、膨張してぼやけたヴォーカルや、ディレイするリズムが舞い飛び、そのバックではシンセの壁が流れていくという、なんともドラッギーな印象のトラックになっている。ラストの’Supermarket Love Remix’は、タイトルの由来がよく分かりませんが、チルアウトを誘うような、けだるいベースとまどろむようなギターフレーズ、遠くでエコーするリズムが、サンセットビーチの気配を呼ぶ。もはや目立ったオリジナルの要素はシンセのラインくらいだろうか。

全体的に、クラブミュージック的なグルーヴはない(ベッドルームという言葉が似合う)し、メロディで聴かせるというような仕上がりにもなっていないので、”オリジナルと、そこから派生したヴァージョンの集合”という括りで捉え、楽しむのが私の聴き方だ。トラック個体で楽しむよりも、それぞれの間にある差、違いの妙を楽しむ、という聴き方。オリジナルを核とした多面体。あるいはオリジナルを幹として、リミックスたちをその枝葉とする、樹木のような。そんな作品だ。ちなみにbandcampからダウンロードすると、ここには表記されていない2つのトラックがボーナスでついてくる。どちらを選ぶかはあなた次第。

Shisa、Choongumともに、複数の作品をbandcamp等からフリーでリリースしているので、興味を持った方は、上記リンクからたどってみてください。


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Model: Lux Xzymhr
Photography: Sarah Sitkin

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