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カテゴリーアーカイブ: The Studio Stereo

Nukua – Effection

 Nukua - Effection

 – Tracklist –
 01. Quarare
 02. Scalers thesis
 03. Quonex
 04. Plemre
 05. Pol-P-Mute
 06. Ororo



 - 03. Quonex


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 Release Page :
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 Release Date : 2014.9.28
 Label : The Studio Stereo

 Keywords : Ambient, Electronica, Glitch, IDM.


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2008年に発足したベルリン基盤のレーベル、The Studio Stereoより。以前にも紹介したNukuaの新しい作品が実質フリーでリリースされています。このNukua、ウェブ上にスペースもほとんど持っていないし、そこでの活動自体もさかんなわけではないのですが、リリースだけはコンスタントに行っていて、なかなかミステリアスなプロデューサー/トラックメイカーです。

どちからといえば抽象的な、メロディは極めて薄い味つけの、GlitchyなIDMです。私がはじめて聴いたときからこのスタイルですし、そう考えると、すでに完成されたスタイルを持っていたのかもしれません。メカニカルに振動するビートに、ゆるやかにサーフするシンセのレイヤーが組み合わさり、描かれるのは仄暗い夢のような景色。派手に弾ける箇所は皆無ですが、その抑えた筆致はクールという他なく、剃刀の刃や、青い炎のような、ある種の秘めた狂気を感じさせ、これも彼のサウンドの個性になっています。

これまではちょっとグロテスクなことが多かったジャケットイメージですが(“No, Seriously”はかなり直接的に気持ち悪い)、今回はマクロっぽい植物のような画像が使われています。そのせいもあるでしょうか、今回はどことなく静かな、動きの少ない景色―たとえば深海のような―をイメージさせます。この感覚は(やはり)Autechreの“Incunabula”にちょっと近いかもしれません。光の届かない空間での微細な生物たちの動き、ゆったりというよりはねっとりとした、水の流れ。忘れられた記憶のようなわびしさ。誰も見たことのない景色に対する(ちょっとした)畏怖。

リズムで引っ張るようなイメージが強いかもしれませんが、なかなかどうして、このリズムを構成する電子音自体がメロディとしても機能しているから面白いですね。抑制されているとはいえ、(いわゆる)メロディもきちんと流れているので、私のようにPOP志向の耳も刺激するのかもしれません。深いシンセにはDeep Technoの側面もあり、自分の中のいろいろな嗜好を認識させる、多面的な作品でもありますね。

興味のある方は、BrainstormlabEnvizagaeAntisocialといったレーベルをたどってみるのが良いと思います。


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