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カテゴリーアーカイブ: Tokage Studio

平野宏太 – DUSTBOX

 平野宏太 - DUSTBOX

 – Tracklist –
 01. アンチドンカマ
 02. 東京バター
 03. ソラテツ
 04. オベトラベル
 05. 夕凪 
 06. 曲できた
 07. ドリルリル
 08. マ○クのポテト


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 Release Page Run Out!

 Release Date : 2012
 Label : Tokage Studio 
 (※現在はSumika Recordsになっています)

 Keywords : Indie, Pop, Rock, Singer-Songwriter.


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前から何度も紹介しようと思ってたんだけど、どう書いていいか分からなくて、ずっと心に引っかかってた作品です。別に私になんかあったわけではないんですが、今このタイミングでなら書けそうな気がするんで、今書いています。

今ではホントにたまに見るくらいになったんだけど、学生の頃ですか、audioleafをよく利用していました。インディーの知らないバンドさんがわんさか登録しているし、一日中彷徨ってても飽きない感じでした。細かいことは省きますが、そこで色糸ステラってバンドがいたんです。CD買ったりとかライヴ行ったりとかはスイマセンなかったんですが、でも好きでして、よくaudioleaf上で聴いていました。‘カルケミッシュ’とか、シンセも使ったPopなRockサウンドに、ナイーヴな歌詞で、GOING UNDER GROUNDにも通じる普遍的なポップスってやつが感じられて、特によく聴きました。‘僕と月うさぎ’も淡々と、切なくて、よかった。でも彼らは2009年に解散。

その色糸ステラの中心人物が、平野宏太さんだったわけです。解散後もずうっと引っかかってて、色糸ステラのことを定期的に思い返しては、今でも存在するaudioleaf上のページで聴いたりしてたんです。で、今からどのくらい前か忘れましたが、ふとネットの力で検索してみたんですよ。平野宏太さんを。そしたらまだ音楽を作っていることが分かったんです。しかもトカゲスタジオっていうスタジオ持って。‘おー!’と思って、うれしかったですね。

でも平野さん、プロフィールにも書いてますが、音楽とはぜんぜん関係ない会社に就職したみたいで、仕事の合間に音楽を作っているみたいなんですね。で、2010年ごろからスタジオ始めたのかな?、そこで自身が関わったと思われる作品のほとんどを、フリーで提供してくれているんです。平野宏太名義では3枚のアルバムが公開されていますが、今作は最も新しいもので2012年作。

聴いてて思うのは、やっぱりPopだし、私のすごい好きなものがここにあるなあってことです。彼はスピッツをフェイバリットに上げていると思うんですが、そこに通じる、少年性や思春期的な感情、ノスタルジア、ちょっとした遊び心、そして何より流行り廃りに左右されない普遍的なメロディの力ってのが、強くあって、これはもう絶対に才能だと。人によっては歌詞にみられる思春期的な一途な物思いが苦手に感じるかもしれませんが、でもメロディの力と合わせて構え無しに受け入れれば、きっとすんなり飲み込めるはず。

色糸ステラと比べると、等身大になっているように思います。歌詞や唄い方の部分で特にそう感じます。‘曲できた’‘マ○クのポテト’は面白いですね。前者は曲の構造をそのまま歌にしていますし、後者はタイトル通りマ○クのポテトが待ち合わせの最中に減っていく様を、唄っています。こういう力の抜けた曲とは別に、‘東京バター’は“音楽やめて就職しよ!って曲”のようです…。“空を走る鉄道が部屋に迎えに来る曲”っていう‘ソラテツ’も、ロマンチックでよいですね。そんなように緊張と緩和が絶妙のバランスで排されている部分も今作のすばらしさなんですが、せっかくなので平野宏太名義以外の部分にもちょっぴりフォーカスを。


まずはもうなくなってしまったと思うんですが、Grifwawaというバンドの‘虹色タイムマシン’


虹色タイムマシン/Grifwawa



いいですねえ、どっか切ないんだけど、背中を押してくれるような力強さがあります。私にとってはノスタルジアな部分もポイント高い。

次は飯村美樹さんに提供した‘タイムトラベル’という曲。飯村さんのブログでも平野さんに作ってもらったということが書かれていますが、もし知らずに聴いたとしても平野節が嗅ぎ取れるかもしれません。これもよい。タイムトラベルという言葉にあるファンタジーなフィーリングを、歌詞の“魔法”という言葉に絡めての幻想的な前半部、そこから一転して力強く弾ける後半部。ダイナミックでエモーショナルでPopで。願いはとても切なくて。いい曲です!


タイムトラベル/飯村美樹


ということで他にも平野さんが作った曲、関わった曲は沢山あるんですが、気になる方はトカゲスタジオのウェブサイトへ是非。これから先に何がしかのリリースがあるのかどうかは皆目分かりませんが、期待はしない方がよいんでしょうか。音楽で飯を食っていくというのはこのご時世、相当にハードコアな選択ですし、安定を選んだ平野さんは正しかったと私は思うんですが、いや、そんなことが言いたいんじゃなくて、ただ、ここには素敵な音楽がありますよ!ということを言いたいだけなんだな、私は(そしてそれはこのブログの趣旨でもある)。だから、少しでも多くの人に聴いてほしい。そして願わくば、1986年生まれの平野さん!まだ若い!また、まだ、音楽を届けてほしいです!

追記:平野さん、このあとTokage Studioのウェブショップで再録音も含めたソロ名義の作品を販売開始しましたが、Sumika Recordsへの移行に伴い、2017年現在、販売は一時休止になっています。どうしても気になる方は、ディスコグラフィは平野さんのブログ内に記載があります。そこからiTunesやGoogle Playへ行きましょう。


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曲できた/平野宏太






東京バター/平野宏太