ABRAcaDABRA

Netaudio explorer

カテゴリーアーカイブ: Archaic Horizon

Corwin Trails – ’93EP [AH052]

 Corwin Trails - '93EP [AH052]

 – Tracklist –
 01. Greatest Hits
 02. IO Michigan
 03. Abandon In Place
 04. Lachrymal Craquelure
 05. A Warning to Mr. Peters
 06. Parallel 45
 07. Diamond Bleacher Highlights
 08. Field Study
 09. Young People of My Future
 10. So Long Halcyon Day
 11. Age of Horrors
 12. Z is for Zemnoy Poklon



 - 03. Abandon In Place


+ + +


 Release Page :
  ≫ [ main ] / [ mirror ] Download Free!

 Release Date : 2014.08.31
 Label : Archaic Horizon

 Keywords : Ambient, Electronica, Cinematic, Lo-Fi, Nostalgia, VHS.


 Related Links :
  ≫ Corwin Trails on Facebook / on SoundCloud / on bandcamp / on YouTube


+ + + + + +


アメリカのネットレーベル、Archaic Horizon(ここのところ活発で嬉しい)より。Corwin TrailsことSamuel Corwin Vandiverの作品がフリーでリリースされています。2007年にも同レーベルからセルフタイトル作をリリースしていまして、今作で7年ぶりのカムバック。その間にもリリースはありますが、bandcampで見る限りは1作のみ。寡作のようです。

で、どんな作風なの?ってところですが、これがヤバいくらいにノスタルジックで。聴いたとたんに「ヤバい」と口に出してしまった。押入れ掃除してたら出てきたVHSテープ、懐かしくて再生してみたら、テープがヨレヨレで画像も音もヒドいんだけど、ときおりハッキリする画や音声が、ふいに浮かび上がらせるノスタルジア、みたいな(長い一文)。シネマティックな宮殿感が醸すファンタジーなイメージと、チャイルディッシュなサンプリングが醸す回想が結びついて、得も言われぬドリームスケープが生まれます。ミニマルなメロディ(サンプリングなのか実演なのかは分からない)もどこか切なくて、ときおり素っ頓狂にゆがむ(なかなかエディットが効いている)その様も、記憶の歪さを表現しているようで、不思議と違和感はないのです。

以前の作品ではここまで編集感が強くないような気がするので、これは今作特有の作風なのかもしれません。タイトルも“’93EP”ですし、強く過去を意識して作られた作品なのかもしれないですね。過去の記憶を覗くってのは、いいことばかりではなくて、一緒に嫌なものも引きずり出されることも多くあって。そういう後ろ暗さっていうのかな、ちょっとした引っ掛かりがあって、夢見心地一辺倒ではないところも今作の魅力です。暗い部屋で独り、テレビに向かって思い出のVHSを見る光景って、すこし悲しいでしょう。切ないでしょう。なぜって、そこには今はもうないものが映っているから。意図されてないかもしれないけど、その辺の、思い出に特有の悲しみってやつも内包されている気がして、すごくよいですね。

と、ここまでサウンドのみに触れていたんですが、彼のYouTubeで今作に付随するビデオを見たら、さらにヤバかった! 自身のホームビデオをサンプルにして作られたと思しき、これまた編集感あふれる映像に、今作のトラックが付されているのですが、マッチしすぎてヤバい! 鳥肌立った! 何なら泣きそう! 粒子の粗い映像と、その中で動く子供たちの姿が、もうすでにノスタルジックで、そこにこんなサウンドがくっついてくるんだから、脳みそだけどこか別世界にすっとばされたような強烈なメモリーアタック(造語)をかまされました(特に‘Abandon In Place’の辺りがヤバい)。こんなのVaporWaveでも感じたことないぜ(ってアレはそういうものではない、たぶん)。捉えようによってはノスタルジア特化型VaporWaveと取れなくもない。映像が“The End”というワードから始まる皮肉感も、通じなくもないか(?)。

ということで、この作品は映像と共にあった方が何万倍も輝くと思いますので、下にそのビデオを貼らせてください。ちなみにこれは今作全編が使われているわけではありません。アルバム全編は20分ほどです(それでも短いな)。傑作だと思いますよ、私は。


+ + +


’93EP(※全編ではなく、抜粋です)



+ + +


(CC) by - nc - nd 3.0



Gemini Tri – Mirror [AH050]

 Gemini Tri - Mirror [AH050]

 – Tracklist –
 01. Silence Of The Universe
 02. Mirror
 03. Childhood
 04. Dream Is Destiny
 05. Sunset Generator
 06. Split Personality
 07. Pioneer Badge



 - 01. Silence Of The Universe


+ + +


 Release Page :
  ≫ [ main ] / [ mirror ] Download Free!

 Release Date : 2014.04.29
 Label : Archaic Horizon

 Keywords : Acoustic, Ambient, Downtempo, Melancholy, Melodic, Post-Rock.


 Related Links :
  ≫ Gemini Tri on SoundCloud / on VK (VKontakte)


+ + + + + +


アメリカのネットレーベル、Archaic Horizonより。記念すべき50番目のリリースは、ロシアのプロデューサ、Gemini TriことDenis Piryazevの作品です。プロフィールについて詳細がよく分からないんですが、この名義でのまとまったリリースは初めてのようです。VKを覗いてみると、Трио Двух Рукという名義でRusZUD Net Labelから“Waves Of Sunrise”や“Pleasant Green Moments”をリリースしていますし、“Sunsetsunrise 2012”にも参加しています。

このGemini TriとТрио Двух Рук、何が違うのかという点ですが。一言でいうと深度ではないかと思います。傾向は違わないのですが、このGemini Triの“Mirror”は非常に音が深くて、メランコリックです。Acousticな弦楽器のつまびきと包容力のあるシンセでもって作られる、ドリーミィな空間。そこに差し込むミドルテンポなリズムは淡々とした景色の流れを生み出して。さらにはPost-Rockishなギターのレイヤーや、さりげない鍵盤の挿入が、感傷的なムードを醸してくるし、極めつけは愁いを帯びたヴォーカルで、これがサウンドカラーをモノクロに、そしてリスナーを物思いに沈ませます。これだけメランコリックな音空間は久々に触れました。

ユニークに感じるところは、Electronicな要素とPost-Rockのもつメランコリアな部分を合わせもったサウンドはままあれど、彼の場合はPost-Rockの“動”の部分を前面に出してこないところでしょうか。ダイナミズムやカタルシスよりも、シネマティックでメランコリックな空間作りにPost-Rockのエッセンスが用いられています。他にもさまざまなサウンドが、ここでは融合しているわけですが、そのサジ加減が抜群で、不適当な表現かもしれないけれど、本当に“カッコいい”んです。Ambientな空間と、Acousticな響き、電子音の鳴り、Post-Rockishなメランコリア、Downtempoの重厚感(さらにはIDMの冷たさも遠くに感じられる)。

M-3‘Childhood’なんか、タイトル通り、実にノスタルジック。もっともPost-Rockチックでもあるんだけれど、冒頭のこの懐かしい記憶をさぐるようなオブスキュアな音像。たまりませんね。古ぼけた風景の中を散策しているようなM-4‘Dream Is Destiny’もよいです。森の中を歩くうち、霧の向こうに浮かび上がる湖―そんなファンタジック、ミスティックな風景が見えてきます。細かいGlitchなどのエフェクトも小技が効いていて、淡々とした風景に刺激を与えてくれます。

宗教歌のような厳かで神聖な空気をもったM-5‘Sunset Generator’(余談だけど“Pleasant Green Moments”‘Sunrise Generator’というトラックがあります)を通過したあとに、天上の朗らかな世界を思わせるサニーな輝きをまとった‘Split Personality’が配置されているのも、すごくしっくりくる。その流れ自体に確実にカタルシスがあります。ラストはAmbient/Droneに近づいたサウンドスケープで締められるんだけど、グロッケンのような音色がまたたき続け、鳴るたびに頭中のどこかで記憶が刺激されます。全編通じてメランコリックであるのと同時に、ファンタジックでドリーミィでもあるわけですが、その浮世離れ感も魅力のひとつかなと。このmemorableなサウンド、非常に私の好みです。すばらしい。

気に入った方は、上記Трио Двух Рукの作品にも、是非耳を傾けてみてください。あくまで個人的感想ですが、“Waves Of Sunrise”はちょっと温かみもあるので、今作のメランコリアがちょっと…という方も聴けるかもしれません。下にいくつか。



 - Imagination (from “Waves Of Sunrise”)



 - Reverse Thing (from “Waves Of Sunrise”) : イイ!!


+ + +


(CC) by - nc- nd 3.0



%d人のブロガーが「いいね」をつけました。