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カテゴリーアーカイブ: Silver Throne Records

Gossip Palace – Torsi

 Gossip Palace - Torsi Cover

 – Tracklist –
 01. Cloud Tube
 02. Ghosting
 03. Pepermint Peaks
 04. Firepower
 05. Izzy Black
 06. Jonquil
 07. White Flowers from a Saint
 08. Soda Rot
 09. Nap Aches
 10. Solar Powdered
 11. Vivite Somnia


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 Release Page Deleted!

 Release Date : 2017.02.17
 Label : Silver Throne Records

 Keywords : Electronic, Future Beats, Hip-Hop, Melodic, Swamp.


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アメリカ合衆国はミシガン州デトロイトのレーベル、Silver Throne Records。前身はOCCULT DREAMSであると勝手に解釈しているが、間違っていたらスイマセン。

このあたりのBeats~Future Beats(と書いてはいるが、私はよく分かっていませんよ勿論)系のアーティストは、VaporWaveのそれよりはマシかもしれないが、やはり誰が誰やらよく分からない。聞いたことない名前だから新しい人かと思ったら誰かの変名とかは改めて書くまでもなくよくあるパターン(書くまでもなく、といいながら書いているが、ご愛嬌だ)。つまりこのGossip Palaceもよく分からないということで。

この金で作られた(あるいはゴールドプレート―金メッキかもしれないが)オブジェは何であろう。じっと見つめながら視点をあちこち彷徨わせてみるが、判然としない。何かのキャラクターのようにも見えるが、私の知っている中にはないようだ。ショーケース、ガラスケースに展示されている様子のそれは、衆人環視の状態でありながら、しかし意味を持たないようにも見える。意味のあるものを組み合わせたようで、それでいてその実何も表しておらず、あまつさえ“金”という、一般的には価値のあるもので仰々しく存在感を放ち、人目をひきつける。そう、それはまるで“Gossip”―噂話。

音楽的にも一言では表現できない、とは言っても複雑怪奇なものでもなく、Hip-Hopを下地にした、Melodicなフレーズが頻出する、聴きやすい作風ではないかと思う。シンセチックな電子音や、フワフワとしたAmbientな音色を使う一方で、ダビーに振動する‘Firepower’や、‘White Flowers from a Saint’が作品を引き締め(後者はSILENT POETSを想起した)、またラストの‘Vivite Somnia’ではメロディでもって幾ばくかの抒情性を漂わせる。アブストラクトな側面もあるけれど、トラック自体が決して長くないので、飽きずに最後まで聴けるというのも特徴だろうか。各トラックがフックを持っているというのもあるかもしれない。不思議と引き付けられる魅力がある。

さまざまなサウンドを用いたシンセサイズな音像が醸す冷たい人工感。そう、言いたかった言葉は“イミテイション・ゴールド”だ。だがここにある音楽がゴシップを揶揄する意味でイミテイション・ゴールドな佇まいを持っているのか、私にはよく分からない。こじつけすぎかもしれない。



Yokan Pop – POOLSEX

 Yokan Pop - POOLSEX

 – Tracklist –
 01. マジック
 02. Juxtapose
 03. Bonsai Pavilion
 04. Florida
 05. 誇り高い
 06. Caleite Eyes
 07. Above the Clouds
 08. Cerulean Sunburn
 09. Motherly
 10. ホワイト
 11. Right There
 12. The Way Down
 13. Video Mysticeti
 14. ラベンダ



 - 01. マジック



 - 07. Above the Clouds


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 Release Date : 2015.07.20
 Label : Silver Throne Records

 Keywords : Ambient, ChillWave, Electronic, Hip-Hop, Melodic, POOL, Trap.


 Related Links :
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Future Hologramsが率いるレーベル/コレクティヴ、Silver Throne Recordsより。Yokan Popの作品がフリーでリリースされています。Future Hologramsは以前にもOCCULT DREAMSというレーベルを持っていましたが、おそらく現在動いてはいないと思います。そしてYokan Popも過去にそこからリリースを行っていまして、しかもタイトルは今作と同じ“POOLSEX”。え、別に同じ作品なだけでしょって思うかもしれませんが、中身は微妙に異なっているのです。注意が必要。

リリースページに“POOLSEX/SNOWPA!/CLOUDKI”というワードがありますが、これがそのまま今作の成り立ちを示しています。便宜上初めに出た“POOLSEX”を“POOLSEX1”とするならば、その“POOLSEX1”と“SNOWPA!”、そして“CLOUDKI”、この3作からの抜粋(プラス、新しいトラック)がこの新装版“POOLSEX”になっているのです。3作すべてのトラックが含まれているわけではなくて、あくまでも抜粋です。“POOLSEX1”と“SNOWPA!”は現在も入手可能ですが、“CLOUDKI”はすでにネット上からは消されている様子なので、一概に判断はできませんが、ここにあるのはこれまでのYokan Popの集大成ともいえるのではないでしょうか。ベストトラック集とでもいうか。

ところどころTrapっぽいリズムも聴こえてきますが、全体としてはChillWaveの流れに入るのかなと思います。ChillWaveといえばサマーな感覚に結びつくイメージがありますが、今作は確かにサマー感を出しつつも、それは夏のChillとはちょっと違う感じがします。深いシンセのリバーヴは水中を漂うような浮遊感、ゆらりとした心地よさを与えてくれます。またそのおぼろげな空間の中でコロコロと転がり、キラキラと瞬く、はかないメロディたちは、幻想感と同時にどこか倦怠感―ユルさといってもよい―も持っていて、これがタイトルの“POOL”というワードに見事に結びついているように思います。夏・サマーから生じた海という広大なイメージと、プールというパーソナルな水槽を結びつけることに成功しています。夏の午後、プールで泳いだ後の心地よい倦怠感がここにあるのです(いや海水浴でも同様かと思いますが、プールのイメージがここには似合うのです。ベッドルーム・リスニングには海よりもプールがよく似合う)。ただ“SEX”に結びつくセクシャル、官能的なイメージはあまりないかなあ・・・。そこまで考えてないかもしれませんが。

個人的にはわりとストレートなトラックが好きで、Deep TechnoやDeep Houseのタッチもある‘誇り高い’とか、Cloud Rapな‘Caleite Eyes’‘Motherly’、シンセティックヴォイスなDowntempo‘Right There’が挙げられます。あとは絶妙な浮遊感がクセになるCloud Rap/Hip-Hop/Trapな‘Above the Clouds’も、作品の中盤で光ってますね。すごくメロディが強いとか、即効性のある作品ではないのですが、ここにある空間が心地よくて、ついついリピートしてしまう次第です。空間を楽しむという意味ではAmbientな作品でもあるのかもしれません。

気に入った方は他の作品にも耳を傾けてみてください。ちなみにですが、‘マジック’‘誇り高い’‘ホワイト’’ラベンダ’、この日本語表記の4トラックが、今作で初お目見えしたトラックになります。