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カテゴリーアーカイブ: Inner Ocean Records

Cory Zaradur – All That We Share [INNER001]

 Cory Zaradur - All That We Share [INNER001]

 – Tracklist –
 01. next life
 02. melanting
 03. more than ever
 04. innermost essence
 05. all that we share
 06. as long as space endures



 - 04. innermost essence


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 Release Page :
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 Release Date : 2012.09.01
 Label : Inner Ocean Records

 Keywords : Acoustic, Ambient, Electronica, Guitar.


 Related Links :
  ≫ Cory Zaradur Photography
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カナダのインディペンデント・レーベル、Inner Ocean Recordsより。フォトグラファーとしての顔も持つ、Cory Zaradurの作品が実質フリーでリリースされています。

Ambient/Droneのテクスチャーの中に、ギターやピアノを取り入れた、Electroacouticな作品です。ギターを利用したシネマティックなサウンドスケープということで、Post-Rockの影響もあるんだろうけれど、さほど強いものではない。アトモスフィリックなやわらかいレイヤーと、控えめな電子的リズム、透明感のある楽器音たちによって紡がれるのは、凛とした冬の空気。身の引き締まるような冷気の中にある陽性のきらめきは、冬の終わりから春の訪れを思わせる。澄んだ空を流れる雲の動きであったり、陽光を浴びて白く光る雪原だったり、あるいは軒先から滴る、雪解けの水だったり。普段は感じられない、細やかな、自然世界の動きに意識が集中していくような、と同時にそれがノスタルジックな記憶に結びついていくような(なぜなら幼少時は今よりもはるかに自然界、身の回りの環境というものに、意識を向けていた。花の咲き方、虫の動きや、風の匂い、雲の動きや草木の揺れ)、ある意味ではマイクロスコピックなサウンドでもある。

全編で不思議なほどに統一されたカラーを持ちながら、トラックごとに表情は異なっている。ちりばめられたイノセントな鍵盤(細かいGlitchも効いている)が、ゆるやかに溶ける氷を思わせる‘more than ever’、ディレイするギターとピアノの余韻を生かした、漂白的なイメージが心地よい‘innermost essence’、作中で唯一ヴォーカルを入れた‘all that we share’。ラストはクリスタルライクなAmbient/Drone(私の大好きなサウンドだ)。プラネタリウムを見ているような、精神の漂流を味わえる。そして6トラックで30分に満たないという、腹八分、コンパクトな聴き心地もよい。素敵な作品です。

余談ですが、聴いていて見える景色が、これはどこかで体験したことあると思ったら、イタリアのミュージシャンerrnoisが51 beatsからリリースした“The Winter Season”だった。これもすばらしい作品です。Cory Zaradurの作るサウンドと近しいものがあるので、今作が気に入った方は、是非聴いてみてください。…そういえば、彼はもう音楽は作らないのだろうか。


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All music and artwork by Cory Zaradur
Mastering by Andrew Hamill @ Chaos Theory Recordings