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カテゴリーアーカイブ: Storage Unit Netlabel

The Hairy Giant – Ceiling Whales [STORAGEUNIT008]

 The Hairy Giant - Ceiling Whales [STORAGEUNIT008]

 – Tracklist –
 01. High Heels On Pavement
 02. Funny Car
 03. The Modem (+1)



 - 02. Funny Car


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 Release Date : 2015.11.29
 Label : Storage Unit Netlabel

 Keywords : Ambient, Electronica, Sea, Submarine, Whales.


 Related Links :
  ≫ The Hairy Giant on Last.fm / on Discogs


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アメリカはニュージャージーのAmbient/Drone作家、The Hairy Giant(Eric M. Gabrielsen)の作品です。自身が牽引するStorage Unit Netlabelからリリース。The Hairy Giantっていうイマジネイティヴな名前は記憶に残っていたものの、音の方が記憶から出てこなくて(申し訳ありません)、危うくスルーしそうになりましたが、面白い作品だと思います。

けっこうな多作家で、自身のレーベルだけでなく色んなレーベルからリリースしてまして(気になる人は上記Discogs参照)、アブストラクトなAmbient/Drone作品が多い人ですが、今作もそこからは外れておらず。じゃあ何が今作の特徴なのかって言ったら、まあ割とメロディに寄っているということもありますが、私の中では作品に付随するイメージがとっても印象的なのです。一見なんだろうっていうこのジャケットイメージ。いやハッキリとは説明されていないので私も憶測でしかないのですが、博物館あるいは水族館かどこか屋内の広い空間に浮かぶ、クジラと思しき巨大な物体。これが実際の展示物なのかそれとも画像加工の産物なのかは分かりませんが(おそらく前者でしょう)、そこにあるロマンティックなイメージ。それは広大な海と、そこに生きる巨大生物という、壮大な自然に対する畏怖の念とも結びつき、神秘性をも感じさせます。リリースページには“Mostly inspired by large sea mammals swimming among the air vents.”とあるので、“the air vents”を通気口と解釈するのであれば、そこにイメージされているのは海というよりは屋内の空間であり、そこを泳ぐ巨大な哺乳類ということになると、よりファンタジックな部分が強調されるように思います。よいですよね。たとえば灯りの落ちた深夜のオフィスにクジラが泳いでいるとか、たまらなく幻想的じゃないですか。

そういうイメージと、ここにあるサウンドが、ガチッとハマっているところが、今作のたまらない部分なのです。特にM-2において絶えず流れているソナー音のような一定の電子音とか、すごくイメージを掻き立てる。安易だけど、潜水艦の中から、艦の外の巨大生物を観察しているような、アドベンチャー感もあって、サウンドは決して派手ではないんだけど、ワクワクするのです。ああ今記憶の中からイメージが飛び出してきましたが、“Riven: The Sequel to Myst”の中で、ガラスを通して巨大魚と遭遇するイベントがあるんですが、それを思い出しました―動画はコチラ(3:30~5:30くらいまで) ≫ “Let’s Inflict Riven on David – Part 5 – FISH” 。

M-3なんかは機械の駆動音みたいなエフェクトと、バックで絶えず聴こえるシューシューとしたノイズ、それからオペレーション的な音声も相俟って、より潜水のイメージが濃くなっています。ぜんぜんメロディがある感じではないのですが、この探索感、そして孤独感、よいですね。暗い海の中のワンルーム。そこでヘッドフォンをかぶっているような、なんていうんだろう、安心感? ちょっと違う、心地よい孤独感? だってそんなところで孤独をどうにかしようたって、もう誰もいないんだから、受け入れるしかなくて、だからもういいんだっていう安心感っていうか、開き直りというか、気にしなくていいんだっていう、その受け入れが、ここにはあるような。


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