ABRAcaDABRA

Netaudio explorer

カテゴリーアーカイブ: RAWMATROID Netlabel

DAN HIROSHI – OKARI [rwclass005]

 DAN HIROSHI - OKARI [rwclass005]

 – Tracklist –
 01. The strange boy (antiacustic mix)
 02. Sutil respirar
 03. 80′s music stars
 04. Lideres
 05. Mind repositories
 06. In the other side
 07. Stanza
 08. 1997
 09. 2 years
 10. Amelia



 - 03. 80′s music stars


+ + +


 Release Page :
  ≫ [ main ] / [ mirror ] Download Free! / you can buy it.

 Release Date : 2012.12.19
 Label : RAWMATROID Netlabel (THE END)

 Keywords : Ambient, Chill Out, Downtempo, Electronic, Melodic.


 Related Links :
  ≫ Dan Hiroshi
  ≫ Dan Hiroshi on Facebook / on SoundCloud / on Twitter


+ + + + + +


スペインのネットレーベル、RAWMATROID netlabelより。スペイン在住のミュージシャン、Dan Hiroshi(Danniel Hiroshi)の新しい作品がフリーでリリースされています。このレーベルのリリースは“Club Releases”と“Class Releases”に分けられていて、前者はクラブ志向、後者はベッドルーム志向/リスニング志向の作品になっています(レーベルとしては“Club Releases”の方に力が入っている様子だ)。彼Dan Hiroshiは、2008年にもフルアルバム“Oplus2”を、“Class Releases”としてリリースしていますが、アルバムはそれ以来なので、実に4年ぶりのリリース。前作を愛聴した私にとっては、この久方ぶりのドロップはうれしい限り。

また作品のクオリティが、前作に劣らず高いものだから、さらにうれしい悲鳴ではないか。前作と比べると、かなりリズム・オリエンテッドな作り方になっている。Ambientな音空間とシンセのレイヤーが深遠なサウンドスケープを作り出していた、まさに風景的な作品であった前作だが、対して今作はそこにミドルテンポのリズムを加味することで、Downtempo/Chill Outという形容が似合う音になっている。また、ピアノやストリングス、ギターなどの楽器音を積極的にとりいれ、より音楽的な方向に傾いている。さらには、曲の展開にも、よりエモーショナル/ドラマチックな流れが見られるようになり、これはAmbientな向きを求める向きには敬遠されるかもしれないが、私はこの変化は好意的に受け止めたい。音楽的な方向へのシフトが、よりイージーな聴き心地を生み出し、ひいてはそれがリラクシンなムードに結びついているからだ(そのイージーな感じが苦手な方もいるんだろう)。

重みのあるリズムとクリアなギターフレーズ、ファンタジックなストリングスのうねりが、ひたすらにドラマチックに空間を広げていく‘80′s music stars’、ディレイするギターのつまびきと、ピアノの悲しげな転がりが、追憶をよぶ‘Lideres’、このあたりが前半の聴きどころか。後半の目玉はなんといっても‘Stanza’。ミニマルなリズムとギターフレーズが軸になり、透き通るシンセのレイヤーがバックに流れる、流麗なトラックだ。鍵盤のような丸みのある電子音や、ストリングスの音色が加わって、景色は徐々にビルドアップされていく。すごくシンプルな作りなんだけど、シンプルだからこそ飽きがこない。それぞれの音色が実に上手いこと溶け合って、ひとつの景色の流れを作り出していて、その流れにいつまでも身をゆだねていたくなる。どこかギターポップ的さわやかさ、軽快さがあって、そこも魅力の一つだ。

隠し持ったオリエンタルな響きと、シンセのうねりによって醸される深海のイメージが印象的な‘2 years’に続いては、ラストの‘Amelia’。スペーシーで、コズミックで、WarmlyなAmbientトラックで、この作品は締められる。とてもジェントルな空気が漂っていて、ラストにありながら、このアルバムの空気感を強く象徴しているトラックに思えます。

怒りや悲しみに直接的に結びつく、いわば直情的な音楽のようなインパクトはありませんが、このマイルドな聴き心地の底に流れいてる、ジェントルな波に反応することができれば、今作はとても素敵な作品になる。気に入った方は前作“Oplus2”もフリーで入手できますので、是非ぜひ。


+ + +


(CC) by – nc – nd 3.0