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カテゴリーアーカイブ: DOUBLE DOUBLE WHAMMY

Crying – Get Olde [DDW010]

 Crying - Get Olde [DDW010]

 – Tracklist –
 01. Open
 02. Bloom
 03. Bodega Run
 04. Rat Baby
 05. Vacation
 06. Olde World
 07. ES



 - 04. Rat Baby


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 Release Page :
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 Release Date : 2013.09.03
 Label : DOUBLE DOUBLE WHAMMY

 Keywords : Alternative, Chiptune, Indie, Pop, Punk, Vocal.


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cryingはニューヨークのバンド。メンバー構成は、Elaiza(vocals), Ryan(guitar), Nick(drums), そしてGame Boy(!)。彼らの作品がアメリカのレーベルDOUBLE DOUBLE WHAMMYから、実質フリーでリリースされています(フィジカルな形ではこれから先にリリース予定です)。

Chipsoundを取り入れたバンドサウンドというと、Anamanaguchiがメジャーだと思うんですが、彼らのサウンドがPunk寄りなのに対して、このcryingはもっとGuitar Pop寄りといいますか、Alternativeといってもいいような、レンジが広い印象を受けます。実際ギターもけっこう突っ走ってますし、ドラムも同様に疾走感あります。だから確かに“パンキッシュ”ではあるんです。でも“Punk”に踏み込んでいない。Game Boyを用いている、ある意味のどかな8bit sound、そのフレーズも関係していると思います(イメージでいうと、たとえばマリオのジャンプする“プゥィーン”って音は間が抜けているというか、愛らしいと思うんですが、あんな感じの非常にVGMチックな音色を使っている)。

でも何と言っても一番大きな役割を果たしているのは、Elaizaのヴォーカルでしょう。甘さと可愛らしさ、清涼感をも漂わせながら、しかし絶妙な脱力加減をほこる彼女の歌声は、ギターサウンドと結びつくことで、楽曲の佇まいをShoegazeに近づけている。そこからさらに辿っていくと、どうだろう、この豪快なギターと脱力ヴォーカル、POPなメロディという組み合わせ、ちょっとDinosaur Jr.を感じたりはしないだろうか。そういった部分からやはり、Punkを通過後のAlternative、あるいはAlternativeを通過後のPunkといった、音楽的なふり幅をうかがわせる。

だから彼らのサウンドはパンキッシュでファニーでありつつも、どこかにオシャレ感、クールネスが漂っている。その辺がユニーク。一番好きなのはM-4の‘Rat Baby’です。2分にも満たないんだけど。ギターとユニゾンする、おどけたような電子音のイントロから、もう引き込まれる。ギターとリズムが走り始めて、そこにそよ風のようにスルリと入り込む、Elaizaのヴォーカルったら。軽やかに上下を繰り返し、ときに裏返りながら、さりげなく楽曲の世界観を広げていく。

先にも書いたように、Chipsoudとバンドサウンドの組み合わせってのは、多くあると思うんです。私もいくつかは聴いてきました。でもなぜかしらその手のサウンドは、Pop-Punkに傾いているんです。このcryingは確かにPop-Punkを忍ばせつつも、そこから踏み出して、Guitar PopからPower Pop, Shoegazeまでを内包した、Alternativeなサウンドを聴かせてくれる。ラストの‘ES’なんか聴いていると、中盤でかなりギターを抑えて、電子音メインの作りでも歌を聴かせてくれるので、このスタイルを推し進めると、もっと面白いサウンドになりそうです。


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Music by Crying
Recorded/Mixed/Mastered by Mike Ditrio